卓球日本女子の高校生・平野美宇選手が快挙を達成しました。
アメリカのフィラデルフィアで行われていた卓球の2016ワールドカップ女子シングルスで、日本の平野美宇選手が初優勝を飾ったのです。
卓球ワールドカップ女子シングルスの歴史において、平野美宇選手は中国人選手以外の初の優勝者となり、同時にワールドカップ史上最年少優勝記録を打ち立てる事となりました。
8月に行われたリオデジャネイロオリンピックでは惜しくも日本代表入りを逃し、サポートメンバーに回っていた悔しさを晴らす形になりましたね。
卓球W杯2016で平野美宇が成し遂げた3つの快挙とは
今回の平野美宇選手の快挙は、以下の3つとなります。
- 日本人初の卓球ワールドカップ優勝
- 史上最年少でのワールドカップ制覇
- 過去中国人選手以外の優勝者はおらず、平野美宇が中国選手以外で初の優勝者
これまでどの日本人選手も成し遂げられなかった快挙を、3つも同時に達成してしまったのです。これを快挙と呼ばずして何と呼べばいいのでしょう。
同学年の伊藤美誠(いとうみま)選手とコンビを組んで、ミウミマコンビのダブルスで数々の史上最年少記録を打ち立ててきた平野美宇選手。シングルスの最年少記録は伊藤美誠選手に後れを取っていましたが、これで一気に追いついたという感じですね。
日本人初のワールドカップ制覇というのは、男女シングルスと男女団体戦の全てを通しても史上初です。どの種目でも日本は一度も優勝していませんでした。これも本当に凄い事ですね。
男子シングルスでは過去に3位以内に入った選手は誰もいません。
女子シングルスでも石川佳純選手が2015年に準優勝、2014年に3位になっただけです。あの福原愛選手や平野早矢香選手も3位にすら入れなかったことを思えば、どれだけ困難なミッションであったかがお分かりいただけると思います。
リオ五輪後という事で大会参加をキャンセルした中国人選手たち
3つ目の中国人選手以外で優勝した世界でただ一人の選手であるという事ですが、これは少々ラッキーな側面もあります。
実は2016年の卓球ワールドカップには中国人選手が出場していなかったのです。
これは、オリンピック後間もない大会であったという事が大いに関係しているでしょう。オリンピックイヤーの卓球選手というのは、その年のほぼ全ての照準を五輪に合わせてきます。卓球王国として金メダル獲得が至上命題となっている中国選手であればなおさらですね。
というわけで、オリンピックで金銀メダルを独占した中国勢はリオ閉幕後1か月ちょっとというこの大会の出場をキャンセルしたというわけですね。
全てはオリンピックが優先するという事なのでしょうが、さすが王国と言いますか、世界三大大会と呼ばれているほどのタイトルを棒に振るなんて余裕ですよね(苦笑)。
中国人選手以外の世界ランキング上位者が参加した2016ワールドカップ女子シングルス
中国選手が出場していなかったという事で、事前に出場選手のうちの誰かが史上初の非中国人選手として初のW杯女王となる事が決定していた2016ワールドカップ。
しかしだからといって平野美宇選手の偉業に難癖をつけるわけではありません。
中国選手は不参加でしたが、それ以外は世界のトップクラスが集まるレベルの高い大会でした。
中国人選手以外で世界最高ランキングに君臨している5位の石川佳純選手も不参加でしたが、その次の世界ランク6位馮天薇(フォン・ティエン・ウェイ/シンガポール)や、日本の天敵とも言われているドイツの若きエース・ソルヤ、世界ランク8位の鄭怡静(チェン・イーチン/台湾)、18位の帖雅娜(香港)、そしてみうみまコンビの相棒でもある世界ランキング11位の伊藤美誠選手も出場していたのです。
平野美宇選手は決勝トーナメント1回戦で世界ランキング32位のサマラ選手(ルーマニア)を4-2で破ると、続く準々決勝では早くも伊藤美誠選手とのミウミマ対決が実現します。ここで伊藤選手を4-1で下し、続く準決勝では第1シードの馮天薇(フォン・ティエン・ウェイ/シンガポール)選手を4-2で撃破。決勝の相手は第2シードの世界ランク8位の鄭怡静(チェン・イーチン/台湾)選手。この決勝では平野美宇選手が4-0で圧倒し、初優勝を飾りました。
初戦のサマラ戦以外は全てランキング上は格上との対戦であり、本当に見事な優勝と言っていいと思います。
このビッグタイトル獲得によって、いよいよ4年後の東京オリンピックの出場権をかけた戦いはし烈なものとなっていく予感がしてきましたね。
オリンピック、世界卓球と並んで世界三大大会に数えられるビッグタイトル
ここで卓球ワールドカップについて詳しく説明しておきましょう。
卓球ワールドカップは卓球の国際大会の中でも、世界卓球、オリンピックと並んで世界三大大会と呼ばれている大会です。(ITTFワールドツアーグランドファイナルを含めて4大大会と呼ぶ場合もあり)
ワールドカップの男女団体戦は2年に1度、男女シングルスは毎年行われています。
男子のシングルスは1980年に始まったのですが、女子のシングルスは1996年から開始されました。つまり1980年から1995年まではワールドカップの女子シングルスのタイトル自体が無かったという事ですね。
男女のシングルスは会場も開催時期も別々に行われるのもこのワールドカップの大きな特色の一つです。男女シングルスが同じ場所で同時開催されるオリンピックや世界卓球との大きな相違点でもありますね。
前述したように、過去30年以上にわたる男子シングルスの歴史において日本人選手で3位以内に入った選手は未だかつて誰もいません。女子シングルスでは平野選手が優勝するまでは、石川佳純選手が準優勝、3位に一度づつ入っているだけです。
日本卓球界にとっては是非とも欲しいタイトルであっただけに、今回の平野選手の優勝は、まさに悲願達成ともいえるものだったのです。
日本女子卓球界は世代交代?新時代の幕開けかエースの意地か
この平野美宇選手の優勝によって、日本女子卓球界はまさに新時代に突入しようとしています。
今や日本の絶対エースともいえる存在となった石川佳純選手に加え、長らく日本卓球界を背負ってきた福原愛選手も結婚後も現役を続行すると明言しています。
この世界的な2選手に加えて、リオ五輪日本代表となった伊藤美誠選手、そしてこの平野美宇選手、さらにそれらのランキングの下にも早田ひな選手や佐藤瞳選手、浜本由惟選手と言った伸び盛りの若手がひしめいています。
石川佳純と福原愛越えをミウミマ世代が成し遂げて世代交代を果たすのか?それとも石川佳純らが跳ね返すのか?
東京五輪までまだ4年もありますが、日本女子卓球界の未来は非常に明るいといえますね。
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