世界卓球日本と中国直接対決の対戦成績は?卓球王国との差は縮まった?マスコミの過熱報道と違う結果とは

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金メダル1、銀メダル1、銅メダル3という素晴らしい成績を残して閉幕した世界卓球選手権ドイツ・デュッセルドルフ大会2017。全5種目(男女シングルス・男女ダブルス・混合ダブルス)のうち、メダル獲得を逃したのは男子シングルスのみという大健闘でした。まさに国民の期待に大いに応えた成績だといっていいでしょう。

そんな世界卓球2017ですが、連日の大熱戦とテレビ東京による地上波テレビ放送、そしてフレッシュな若手選手の台頭などによって日本は大きく盛り上がりました。間違いなく世界卓球史上最高の注目度となりましたね。テレ東だけでなく、試合翌日にはお昼のワイドショーや夜のニュース番組などでも連日日本人選手の戦いぶりが映し出されていました。

約1年前のリオデジャネイロ五輪での男女団体、さらに水谷準選手のシングルス、3つのメダル獲得によって一躍世間からの注目度が大きく増した日本卓球界。ここではそんな日本卓球の世界卓球での戦いぶりからその未来を占ってみたいと思います。

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純粋な中国ペア不在の中、強敵撃破で金の混合ダブルス、吉村・石川組

マスコミに連日大きく報道された世界卓球2017。それほどこの大会で日本卓球界は大きく飛躍しました。

まず何といっても、世界卓球で38年ぶりとなる金メダルを獲得した混合(ミックス)ダブルスの吉村真晴・石川佳純ペアの快挙でしょう。前回の世界卓球蘇州大会では銀メダルを獲得したこのコンビ、2大会連続出場となる今回は出場前から金メダルを取りに行くと公言していました。その有言実行ぶりは素晴らしいという他有りません。

準決勝の方博・ソルヤ組との試合、決勝の陳建安・鄭怡静との試合はともにゲームカウント1-3という絶体絶命の状況からの逆転という、まさに不屈の精神力による劇的すぎる勝利もまた日本人ファンの胸を打ちました。二人にとっては嬉しい嬉しい初の世界三大タイトル(五輪、世界卓球、ワールドカップ)獲得となりました。特に長年日本のエースとして世界と戦ってきた石川佳純選手にとっては喜びもひとしおでしょう。

世界の強豪国のトップレベルを破っての素晴らしい金メダルなのでケチをつける気は毛頭ないのですが、この混合ダブルスには純粋な中国人ペアが出場していなかったという事は触れておかなければならないかもしれません。

混合ダブルスでの中国の出場枠は2つ。その出場枠は方博(ほうはく)・ソルヤ(ドイツ)組とグロート(デンマーク)・馮亜蘭(フォンヤーラン)組でした。どちらも異国選手との越境コンビだったのです。

男子シングルス世界ランキング11位の方博と組んだソルヤはドイツのエースで女子一ともいわれるパワードライブの使い手ですし、女子中国選手の馮亜蘭と組んだグロートもヨーロッパのエース候補と呼ばれる才能あふれる若手選手です。しかしながら、やはり急造コンビは急造コンビ。ペアを組んでの練習はほとんどできませんし、いくら個々の実力があってもダブルスとしてのコンビネーションが出来上がっていなければその実力は相乗効果を発揮できません。中国程の分厚い選手層があれば、中国人同士の強豪ペアを組む事などいとも簡単に出来たはずです。なぜそれをしなかったのかはハッキリとわかりませんが、この混合ダブルスでの中国の本気度が他の種目よりも低かったのは間違いないでしょう。

東京五輪で正式種目となる事が期待されている卓球の混合ダブルス。もしも東京五輪で混合ダブルスが正式種目になったとしたら、恐らく中国は馬龍丁寧ペアや許キン劉詩文ペアクラスのトップ級コンビを送り込んでくることでしょう。今回は本当の意味でのラスボス不在の中での金メダルだったという事は、わたしたちファンは心の片隅に置いておいた方がいいと思います。

怪物の世界デビューとなった張本智和や世界一のスピード、平野美宇らの活躍

男子シングルスでは13歳の中学生・張本智和選手が現エースのリオ五輪シングルス・団体のメダリストである水谷準選手を4-1で破るという大波乱を演じ、その後もベスト8まで勝ち進み、世界卓球での史上最年少記録を作りました。準々決勝では世界ランキング3位の許キン選手に1-4で敗れましたが、1-1となった時は「もしや・・」と思わせる程の試合だったことは間違いありません。

女子シングルスでは平野美宇選手が全く危なげなく準決勝まで勝ち上がりました。特に準々決勝での世界ランク4位・フォン・ティエンウェイ選手(シンガポール)に対しての4-0ストレート勝ちは衝撃的なものでしたね。金メダルの予感を誰もが抱いたのも無理はありません。準決勝では大満貫(五輪・世界卓球・W杯の三冠)達成の絶対王者・世界ランク1位の丁寧選手に1-4で敗れ去りましたが、そのラリーで互角に渡り合う内容は今後に大きく期待を抱かせてくれる内容でしたし、何より勝利の瞬間の丁寧のガッツポーズが平野美宇という選手の脅威を物語っていたと思います。

シングルスではその他にも男子の世界9位・丹羽孝希選手がこれまで勝ったことのなかった世界5位のD・オフチャロフ(ドイツ)を4-3の死闘の末に降してキャリアハイとなるベスト8進出を決めました。準々決勝では準優勝した中国の天才・樊振東(はんしんとう)に1-4で屈しましたが、日本の天才ここにありを十分に示してくれる内容でした。

女子でも石川佳純がベスト8で丁寧に1-4で負けましたが、さすがという内容でしたし、ベスト16に入った加藤美優選手は格上選手を打ち破っての快進撃を見せてくれましたし、同じくベスト16の伊藤美誠選手も敗れた中国の朱雨玲(しゅうれい)戦では世界トップに迫る内容の卓球を見せてくれました。

総じて若手選手が力を出した印象のある男女シングルス。張本智和、平野美宇を軸に伊藤美誠、丹羽孝希、村松雄斗、加藤美優、佐藤瞳ら、これからの日本卓球界を引っ張っていく選手たちの魅力を存分に見せてくれたといえるでしょう。

金メダルにあと一歩と迫ったダブルス世界1位、大島・森薗組や女子のみまひなペア

続いては男女ダブルス。

男子では前回の蘇州大会であと一歩のところでメダルを逃したダブルス世界1位の大島祐哉・森薗政崇組が銀メダル、リオ五輪団体などでもお馴染みの丹羽孝希・吉村真晴組が銅メダルを獲得するという活躍ぶりでした。

大島・森薗ペアは世界ランク1位らしく、堂々の第1シードからの勝ち上がりでした。途中苦戦する試合は有ったものの、慌てることなくゲームカウントを重ねる試合運びはまさに王者に相応しい安定感でした。決勝戦の樊振東許キン戦こそ1-4で敗れましたが、とられたゲームのスコアは9-11.14-16、9-11、11-13と、全て2点差で失ったもの。大島祐哉選手が試合後に「勝てた試合だった」と語っていたように、試合内容は完全に互角というものだったのです。だからこそ余計に悔しいですし、逆に「次に戦ったら・・」という期待も持てるのですが・・。とにかく惜しかったですね。しかし世界を相手の堂々とした戦いぶりは見事という他有りません。

丹羽・吉村組も準決勝では樊振東許キンに完敗したものの、それ以外は安定した戦いぶりで、さすがは五輪団体で修羅場をくぐってきたコンビだなと感じさせる強さでしたね。

女子ダブルスでは高校二年生コンビの「みまひな」こと伊藤美誠・早田ひな組が堂々の銅メダル獲得でした。正直言ってみまひなの最初のドローを見た時の偽らざる印象は、「厳しいブロックに入っちゃったな・・メダルは厳しいかも・」というネガティブなものでした。実際に2回戦は韓国の金キョン娥・徐孝元組、3回戦は北朝鮮のリ・ヒョンシム・リ・ヒギョン組、準々決勝は杜凱琹・李皓晴というアジアの強豪だらけでした。そしてそんな難敵を打ち破ってのベスト4進出は見事という他有りません。今後が非常に楽しみな大型ペアです。敗れた準決勝の丁寧劉詩文戦も1-4という結果以上に内容は拮抗した試合でした。二人にとっては中国超えをハッキリと実感できるような内容だったのは間違いないでしょう。

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世界卓球ドイツ大会での日本選手と中国選手との対決はまさかの驚きの結果に・・

とまあ、種目ごとに簡単に振り返ってみたのですが・・勘のいい方ならお気付きかもしれません。「やっぱ中国に勝ててないんじゃん・・」という印象を持たれた方は多いでしょう。というわけで、この大会における日本選手と中国選手の対戦試合全てを見てみたいと思います(中国選手と違う国の選手とのミックスダブルスコンビは含みません)。

男子シングルス
張本智和1-4許キン
丹羽孝希1-4樊振東

女子シングルス
平野美宇1-4丁寧
石川佳純1-4丁寧
伊藤美誠1-4朱雨玲
加藤美優0-4木子

男子ダブルス
大島・森薗1-4樊振東・許キン
丹羽・吉村0-4樊振東・許キン

女子ダブルス
伊藤・早田1-4丁寧・劉詩文
石川・平野0-4丁寧・劉詩文

なんとなんと、10戦して0勝10敗いう成績だったのです。しかも誰も2ゲーム以上を奪えていないという成績・・少なくとも対中国という点においては完敗、いや惨敗といってもいい結果となってしまいました。

マスコミは連日連夜、熱狂的な報道で、中には「卓球王国日本復活」と謳うものもありましたが、こと対中国に絞ればこういった結果になっているのです。もちろん選手やスタッフ、協会や熱心なファンたちはしっかりとその辺りも心得ていて慢心は微塵もないですが、やはりマスコミの狂想曲には惑わされるファンも少なからずいるのでしょうね。その辺りが少し心配といえば心配です。

世界2位を確実とした日本卓球界のドイツ大会は打倒中国への大きな一歩に!

中国には全く勝てなかった世界卓球2017ですが、中国以外の世界の強豪国の中では一歩抜きんでた感のある大会でもありました。中国は世界の卓球界の中でも群を抜く選手層を誇る王国です。その中国に世界大会で確実に挑戦するためには、日本は中国以外の国に負けない実力を持つことが大切になってきます。これまでの日本は同じくらいのランクのチーム、男子で言えばドイツや韓国、香港など、女子ではシンガポール、韓国、北朝鮮、ドイツなどと勝ったり負けたりの一進一退を繰り返してきました。しかしこの世界卓球2017で日本は男女ともに世界ナンバー2グループの中でも一歩抜けたという印象があります。これは日本卓球界にとって非常に大きな事だと思いますね。打倒中国への大きな大きな一歩といえるでしょう。

さらには全て1-4以下で敗れた中国との直接対決でしたが、その内容は全くもって悲観するものではありません。

特に大島・森薗対樊振東・許キン戦、伊藤・早田対丁寧・劉詩文戦、平野美宇対丁寧、伊藤美誠対朱雨玲の試合などは結果以上に接戦であり、展開によっては勝敗がひっくり返っていてもおかしくない試合もありました。

中国との差はまだ大きくありますが、その差は確実に狭まってきています。それほどこれまでの日本と中国との差は大きすぎたのです。

幸いなことに、平野美宇、伊藤美誠、早田ひなの同級生高校生コンビや、怪物中学生・張本智和といった新世代選手たちは中国アレルギーがほとんどありません。今回の結果でも大きく自信を喪失したという事はないでしょう。

東京五輪に打倒中国を成し遂げて金メダルを獲得するための大きな布石となった大会であったことは間違いないと思いますね。

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