いよいよ5月29日に開幕する第54回世界卓球選手権大会。2017年のこの大会はドイツ・デュッセルドルフで行われる個人戦のタイトルを争う大会となっています。
世界卓球選手権日本代表は2017年ドイツ大会で38年ぶりとなる優勝を目指しますが、その前に大きく立ちはだかるのが卓球王国中国の超一流選手たちです。ここでは、第54回世界卓球選手権デュッセルドルフ大会に出場する中国の男女ダブルスと混合ダブルスの強豪代表選手たちをご紹介したいと思います。
優勝大本命の樊振東・許キンペアと英雄T・ボルと王者・馬龍の夢のコンビ
まずは男子ダブルスからいきましょう。男子ダブルスの中国の出場ペア枠は2つ。まずはこのコンビです。
世界ランキング2位 樊振東
世界ランキング3位 許キン
右利きシェークハンドの樊振東(はんしんとう)に左利きペンホルダーの許キン、全てにおいて隙の無い、ぶっちぎりの優勝大本命コンビでしょう。特に許キンのダブルス巧者ぶりは有名であり、数多くのダブルスタイトルを獲得しています。
許キンは張継科と組んだ前回蘇州大会、馬龍と組んだ2011ロッテルダム大会に続く3度目の世界卓球での男子ダブルスタイトル奪取、樊振東は周雨と組んで惜しくも準優勝に終わった前回大会の悔しさを是が非でも晴らしたいところでしょう。優勝のド本命であり、最後まで当たりたくないペアです。日本のペアはこの樊振東・許キンのブロックには絶対に入りたくないところですね。
もう一組がこちらのダブルスとなります。
世界ランキング1位 馬龍
世界ランキング8位 ティモ・ボル(ドイツ)
中国の現世界王者・馬龍と元ヨーロッパ王者で卓球界のレジェンド、ドイツのティモ・ボルという、新旧世界ランキング1位による夢のような超大物ペアです。間違いなく世界卓球2017ドイツ大会の男子ダブルスにおける最大の目玉コンビといえるでしょう。
こちらも左効きのボルと右利きの馬龍という、卓球の定石通りの左右コンビ。さらにどちらも現在の卓球界を代表するパワードライバーです。二人の中陣からのドライブ攻撃は迫力満点でしょうね。卓球ファンなら考えただけで昇天してしまいそうな魅力に溢れたコンビです。当然ですが、日本のペアはこことも当たりたくないですね。ただし、異国間コンビという事もあって、ダブルスの練習にはそれほど時間がさけないので、コンビの熟成という点ではマイナスポイントでしょうか。まあそれにしてもそれを補って余りあるほどに魅力あふれたコンビですね。
ダブルスのシルバーコレクター、丁寧が劉詩雯と組んで悲願の優勝を狙う
続いては女子ダブルスを見てみましょう。まずは1組目。
世界ランキング1位 丁寧
世界ランキング2位 劉詩雯
強いに決まってます。世界ランキング1位と2位のペアですから(涙)。まあ言うまでもなく優勝候補の筆頭となるでしょう。リオデジャネイロオリンピックで引退した李暁霞(りぎょうか)とともに中国女子三強と呼ばれた二人で組んだ、現在の女子世界最強ペアですね。
劉詩文は前回の蘇州大会で朱雨玲と組んで世界選手権ダブルスの初タイトルを獲得していますが、意外なことに丁寧はまだ世界卓球のダブルスタイトルがありません。2009年の横浜大会以来、なんとなんと4大会連続で準優勝という結果に終わっているのです。そんな4大会連続準優勝中の丁寧の世界卓球ダブルスで前々回で組んだ劉詩文とのコンビがここで復活しました。今度こそ!という気合を感じる組み合わせですね。本気で取りに来てます。
続く2組目がこちらのペア。
世界ランキング3位 朱雨玲
世界ランキング5位 陳夢
こちらは1組目の現役最強ペアの丁寧・劉詩文コンビとは対照的な、次代の卓球界の女王となるであろう近い未来の最強ペア最有力候補ですね。
丁寧と劉詩雯コンビはその圧倒的な攻撃力で相手を木っ端微塵に粉砕する程の破壊力を秘めた二人ですが、この朱雨玲と陳夢は守備の堅いバランスのとれたペアですね。どんな試合展開になっても大崩れしない安定した戦いを展開できるのが強みです。派手さこそありませんが、強いというペアです。当然の如くこのペアも優勝候補本命でしょう。ただし珍しいなと思うのは、右利きと左利きが有利といわれる卓球のダブルスにおいて、敢えて右利き同士のこの二人を組ませた点でしょう。まあ右同士でも強いペアは強いので問題はないと思いますね。日本で言えば「みうみまコンビ(平野美宇・伊藤美誠)」も右同士ですからね。
女子ダブルスは本気度が高いですね。ビシッと世界ランキング上位4人でペアを組んできましたからね。まあ1989年から四半世紀以上にわたって中国が優勝し続けている、伝統の世界選手権女子ダブルスですから。気合が入っています。
男子の実力者、方博はドイツのパワードライバー、ソルヤと。馮亜蘭も混合で復活!
現在では珍しい種目となっている感もある、男子選手と女子選手が組んで戦う混合ダブルスがあるのもこの世界選手権の特徴ですね。
混合ダブルスの中国代表ペア1組目がこちらです。
男子 世界ランク 9位 方博
女子 世界ランク20位 P・ソルヤ(ドイツ)
残念ながら男子シングルスでは代表入りを逃した実力者、方博(ほうはく/ファンボウ)ですが、こちらの混合ダブルスで選ばれましたね。右利きの方博と左利きのソルヤという組み合わせです。
この選手がシングルスで代表漏れするのですから、やっぱり中国の層の厚さは恐ろしいという他ないですね。方博のフォアハンドドライブの破壊力はトップレベルですし、チキータなどレシーブ技術も優れた素晴らしい選手ですからね。それにしても、相手も女子屈指のパワードライバーであるドイツのソルヤというのが面白いですね。国境を越えたパワードライブ競演を楽しみたいですね。
続いて2組目のペアがこちらとなっています。
男子 世界ランク42位 グロート(デンマーク)
女子 世界ランク圏外 馮亜蘭
こちらも個人的にはビックリしたコンビでした。あの中国女子きってのパワードライブの持ち主、馮亜蘭(フォンヤーラン)が久々に大きな国際大会の舞台に帰ってきました。最近はめっきり見なくなっていたので、てっきりもうすでに引退モードなのかと思ってしまっていたのですが(苦笑)嬉しい限りです。世界ランキングポイントが得られる国際大会への出場がなかったために世界ランキングは圏外となっていますが、その実力はもちろん健在。実質はトップ10圏内の実力者であることは間違いありません。
ペアを組むのは36歳の大ベテラン、デンマークのグロート。中陣から粘り強い守備で戦うオールラウンダーです。台から下がっての豪快なラリー戦が楽しめそうな“魅せる”ペアといえるかもしれません。
それにしても今回の世界卓球の中国女子はこの馮亜蘭にせよ、シングルス代表となった木子にせよ、懐かしい面々が復活してくれていて個人的には凄く嬉しいですね。
卓球のダブルス文化を残すための最後の砦?バドやテニスと違った卓球Dの魅力とは
テニスやバドミントン等と違い、卓球のダブルスというのは、ペアを組んでいるお互いの選手が交互に打球しなければならないという制約があります。そしてその制約ゆえに他のダブルスとは違った卓球のダブルスならではの深い魅力が生まれているとも言えます。交互に打たなければならないからこそ重要なフットワーク、そして相手の動きの逆を突く返球など、その駆引きの多彩さはシングルスとは全く違った魅力を引き出してくれます。知れば知る程その奥の深さに引き込まれていくのが卓球におけるダブルスなのです。
というわけで、2004年のアテネオリンピックを最後にオリンピックの卓球競技からダブルスが消えたのは個人的に非常にショックでした。代わりに団体戦が出来たのはそれはそれで嬉しいのですが、何故ダブルスを残したうえで団体戦を新設出来なかったのか・・という思いはまだ拭えません。
しかしダブルス好きにはまだこの世界選手権があります。男女ダブルスはもちろんの事、今や世界でも珍しくなっている混合ダブルスまであるというすばらしさ(笑)。卓球におけるダブルス文化はこれからも未来永劫残していってほしいですからね。一人でも多くの人にこの卓球ダブルスの魅力を知ってもらいたいものです。
ちなみに世界卓球選手権男女シングルスの中国メンバーに関しては以下の記事をどうぞ。
コメント