現在に至る半世紀もの間、世界卓球界の頂点に立ち続ける卓球王国・中国。国技とまでいわれる卓球における世界での強さは一向に衰える気配さえ見せていません。
そんな圧倒的世界のトップに立つ中国卓球女子の女王候補の一人、陳夢についてここではご紹介したいと思います。
女子世界ランキング2位・陳夢(ちんむ/チェン・ムン) 右シェークハンドドライブ型
生年月日 :1994年1月15日生まれの24歳
出 身 地:中華人民共和国山東省青島市
効 き 腕:右
身 長:163cm
グリップ :シェークハンド
タ イ プ:ドライブ攻撃型
世界ランク:2位(2018年4月時点)
2017年に入って世界ランキングのトップ10入りを果たし、その後はITTFワールドツアー等のランキングポイント付与の国際大会で実績を積んで2017年8月には世界ランキング2位にまでランクを上げてきたのがこの陳夢(ちんむ/チェンムン)です。
陳夢のこの23歳になってからのブレイクというのは、若くして国から英才教育を施され、エリート選手は10代で頭角を現す事も珍しくない中国のトップ級選手にしては若干遅咲きといった感もありますが、時間をかけて今の地位を築いた分、安定感抜群の成績を残しています。
2016リオ五輪代表選考時には世界的に大きく注目を集める存在ではなく、世界ランキング2位ながらリオ五輪3選手の代表選考枠から漏れて話題になった同世代の朱雨玲(しゅうれい/ジュ・ユリン)に比べると何とも地味な存在でした。
しかしそれから1年半が経過した現在、陳夢はリオ金メダリストの丁寧らを世界ランキングで抜き去り、朱雨玲とともに東京五輪における中国代表の大本命とまでいわれる実力者に成長しました。
ワールドツアープラチナ3勝、グランドファイナルでは朱雨玲に勝ち初制覇の2017年
2017年に入ってからのこの陳夢選手の快進撃(シングルス)について少し説明しておきましょう。
ITTFワールドツアーのハンガリーオープンこそ準々決勝で同じ中国期待の若手・陳幸同に敗れたものの、ワールドツアープラチナのカタールオープンで優勝を果たします。その後は4月のアジア卓球選手権で平野美宇に敗れて準優勝、さらに6月の世界卓球選手権ドイツデュッセルドルフ大会ではライバルの朱雨玲に2-4で破れて準々決勝敗退という悔しさを味わいました。
世界選手権直後のプラチナジャパンオープンでは決勝で中国の孫穎莎に敗れて準優勝、さらに地元開催のプラチナ中国オープンでも丁寧に準決勝で敗れてベスト4に終わります。続くプラチナオーストラリアオープンでは準々決勝から中国若手を3選手連続撃破で優勝、さらにプラチナドイツオープンでは決勝で朱雨玲を倒してこれまた優勝、スウェーデンオープンではベスト8で陳幸同に苦杯を喫します。
そしてITTFワールドツアーグランドファイナルでは順調に決勝まで進み、決勝では宿敵・朱雨玲に完勝して優勝を飾り、飛躍の2017シーズン有終の美を飾ったのです。
なんとワールドツアーのプラチナ大会を3勝、そして上位16選手のみ出場するファイナルで優勝という恐るべき成績を残したのです。ちなみにこの1年間で中国人以外でこの陳夢にシングルスで土をつけたのはアジア選手権の平野美宇のみでした。
しかしアジア選手権では0-3のストレート負けを喫した平野にはその2ヵ月後のジャパンオープンで4-0ストレート勝ちでキッチリ雪辱を果たしています。
世界ランキング2位に恥じぬ素晴らしい実績を残し、陳夢にとっては大きな飛躍の年となったのです。
前中陣でのラリー戦、サーブ、レシーブ、戦術対応等弱点の無いプレースタイル(試合動画有)
上の動画は、2017年のワールドツアーグランドファイナル女子シングルス決勝戦の模様です。当時世界ランキング1位の朱雨玲を全く寄せ付けずストレートで降した試合です。前陣でのラリーでは別格の強さを誇る朱雨玲に対して真っ向からラリー勝負を挑んで勝利するという、スコアと同様に内容的にも非常に強いと唸らせられる試合でした。
2017年に一気に頭角を現して朱雨玲に次ぐ世界ランキング2位にランクアップした陳夢のプレースタイルは、右シェークハンドによる前中陣ドライブ攻撃型です。今の中国女子選手に最も多いスタンダードな戦型といっていいでしょう。
身長は163cmと、大型選手の多い中国女子の中では至って平均的なものであり、決して目立つほどのものではありません。がしかし同じ東アジアの国の選手と比べるとパワーは上位であり、基本的には前陣で戦う事が多い陳夢選手ですが、中陣でのパワーを要するラリーにも対応することが出来るオールラウンドさも持ち合わせています。
フォアの横回転サーブ等を中心としたサーブはさほどバリエーション的には豊富ではありませんが、レシーブ技術はチキータやフリック、ストップ、ツッツキなど多彩でどれも高い精度を誇り、このレシーブ技術からの4球目攻撃も得点源の一つとなっています。
4月のアジア選手権決勝で0-3のストレート負けを喫しましたが、その2か月後の再戦ではしっかり平野のスピードに対応して4-0勝利を飾るなど、戦術変更などにおけるクレバーさももちあわせており、とにかく弱点らしい弱点がないという厄介な選手です。
日本一早い(?)東京五輪女子中国代表予想 順当に現世界ランキング3位以内?
世界卓球選手権やオリンピック、ワールドカップといった国際大会の度に話題となる中国代表争いのレベルの高さ。
リオ五輪では、男女各3名の代表枠に、当時男子世界ランキング2位の樊振東(はんしんとう/ファンジェンドン)と女子世界ランク2位の朱雨玲が漏れた事が大きな話題となったのは記憶に新しいところです。
気が早いといわれそうですが、個人的に東京五輪の中国女子代表を予想するとすれば、この陳夢と朱雨玲はほぼ固いのではないかと思います。東京五輪時にはこの陳夢が26歳。卓球選手としては最も脂がのった時期ですし、よほど大きなケガや不調などなければこの同世代のライバル二人のオリンピック代表選出は固いような気がしますね。もちろん下の世代である王曼昱や孫穎莎の台頭は要警戒ですが…。あと一人は大舞台での実績を買って丁寧(朱、陳に次ぐランク3位)辺りでしょうか。しかし丁寧は東京五輪時は30歳。ピークは過ぎている可能性大です。
まあぶっちゃけると、誰が出ても圧倒的な強さを誇る中国代表に関しては語るだけその強大さが浮かび上がって気が滅入ってしまいますし、次から次へと雨後の筍の如くとんでもチート級選手が現れてきてキリがないのでこの話しはこの辺りにしときましょう(苦笑)
ともかく、ともすれば男子っぽい雰囲気の選手が多い卓球中国女子選手(おっと失礼!苦笑)の中にあって、端正なルックスで中国国内でも人気の高い陳夢選手。今は知名度の低い日本でも、いずれは嫌でも多くの人が知る名となるのは間違いないでしょう。
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