6月3日は混合ダブルスの試合が行われ、吉村真晴・石川佳純ペアが見事に金メダルに輝き日本列島を震撼させました。日本勢の活躍が際立つ世界卓球も6月4日の試合で残り2日となり、6月4日の試合では女子シングルスの決勝戦と男子ダブルスの決勝戦によってそれぞれの金メダリストが決定、最終日に残すは男子シングルスと女子ダブルスの優勝者のみという事となります。
ここでは6月3に登場する日本選手の試合展望や対戦相手などをご紹介しましょう。
大島祐哉・森薗政崇は丹羽・吉村を子供扱いした樊&許組と金メダルをかけて!
まず何といっても注目は金メダルがかかった男子ダブルスの決勝戦でしょう。
男子ダブルス世界王者の大島祐哉・森薗政崇ペアは優勝候補の名に恥じない堂々とした戦いぶりで勝ち上がってきました。その内容は王者らしいもので、ゲームを取られても慌てることなく最終的に勝利を収めるという勝ちっぷりが際立っていますね。世界ランキング22位の大島祐哉と同63位の森薗政崇という、シングルス的には決して世界のトップランク同士といえるペアではありませんが、そのコンビネーションは一朝一夕で出来上がるものではない深さと相乗効果をもたらしています。まさにダブルスの奥深さや面白さを見ている卓球ファンに伝えられるコンビです。
そんな大島祐哉・森薗政崇と決勝戦で対戦するのが、もはや日本でもお馴染みの中国、樊振東(はんしんとう/ファンジェンドン)・許昕(きょきん/シュシン)組。世界ランキング2位と3位という世界的に見ても超豪華な強豪コンビです。
大島・森薗と並んで優秀候補最右翼に挙げられたコンビらしく、樊&許ペアは準決勝で対戦した日本人ペアの丹羽孝希&吉村真晴ペアに対して4-0の完勝劇を収めました。その内容は実力者の丹羽・吉村をして「何もできなかった」と言わしめる程の圧勝でした。
しかし確かに準決勝だけを見れば樊振東・許昕組を破るのは困難に見えるかもしれませんが、例えば準々決勝の黄鎮廷(こうちんてい/ウォンチュンティン)・何鈞傑(かきんけつ/ホカンキ)という香港ペアとの試合では4-3というギリギリの勝利を収めてきたという側面もあります。世界2位の樊振東と3位の許キンと考えれば、確かに最強コンビといえるかもしれませんが、それだけで勝敗がつかないのが卓球のダブルスの面白いところです。コンビネーションが大きく勝敗を分けるポイントとなり、個々の実力をそこで逆転することも可能なのです。
ハッキリ言って、この2人は強いです。特に左ペンホルダーの許キン選手は世界でも最もダブルスの強い選手、得意な選手といっていいでしょう。勝敗のカギは、大島&森薗ペアがいかに許キン選手にペンホルダーの弱点といわれるバック面を使わせることが出来るかでしょう。ラリーで許キン選手にバックを使わせることが出来れば大島・森薗ペアが優位に立てる事でしょう。その回数が多くなればなるほど大島・森薗の優勝が近づくという事だと思います。相手は強いですが、決して勝てない相手ではありません。頑張ってほしいですね。
張本智和の準々決勝相手は中国の世界一のペンホルダー選手・許キンか?
今大会最大の衝撃であり番狂わせといわれた2回戦での世界ランキング6位・水谷準の敗戦。しかもその相手は弱冠13歳の中学二年生・張本智和選手だったのですから驚きも当然です。
一躍世界卓球ドイツ・デュッセルドルフ大会最大の台風の目となった張本智和選手ですが、3回戦を4-0、4回戦を4-1で勝利してベスト8進出を決めました。準々決勝での対戦相手はじつはまだ決定していません。6月4日17:00(日本時間)から行われる4回戦の許キン対林高遠戦の勝者こそが、張本智和選手の準々決勝での対戦相手となるのです。
許昕でも林高遠でも、どちらが勝ったとしても中国選手と対戦するという事になる張本選手。どちらの選手ともこれまでに公式試合での対戦はありません。許か林かどちらの選手が出てくるかについてですが、やはり馬龍、樊振東、張継科とともに中国四天王として世界ランキング1位から4位を独占した許キン選手が有利なのは間違いないでしょう。今大会に入っても好調を維持しており、特に3回戦で対戦したカルデラノ(ブラジル)に4-1で勝利した試合は圧巻でした。カルデラノは今大会でも台風の目になるのではと期待された伸び盛りの選手です。それをキッチリ危なげなく降す辺りに許キンの強さを垣間見ることが出来ます。
仮に張本智和選手と許キンの対戦となったと仮定すると、張本選手の最大の課題は世界一ともいわれる許キンの強力なフォアハンドドライブをどう止めるか?にかかってくるでしょう。回転量では間違いなく世界一といってもいい許キン選手のフォアドライブは、ブロックしても抑えきれずにオーバーしてしまう程の威力を持ちます。張本選手としては、許キン選手のフォアハンドドライブを出来るだけ自分のバックに打たせたいところでしょう。許キンのフォア対張本のバックハンドという図式を作ればしめたものですね。後はラリーでいかに許キンに裏面バックハンドを使わせられるか?ペンホルダーの最大の弱点である裏面バックハンドを使わせられればラリーを優位に運べるでしょう。
最大の見どころは、「許キンのフォアドライブVS張本智和の天才的バックハンド」。
世界3位の許キンに対して怪物・張本智和がどんな戦いを見せるのか?期待しましょう。
日本の天才・丹羽孝希と中国の世界ランク2位の樊振東(さいしんとう/ファンジェンドン)が激突?
世界ランキング11位の丹羽孝希選手は4回戦での登場です。相手は世界5位の地元ドイツの選手、ドミトリ・オフチャロフ。押しも押されもせぬ世界的名選手です。
過去はオフチャロフに5戦5敗の丹羽選手ですがその内容は圧倒的な差ではなく、展開次第では勝利の可能性は十分にあるでしょう。中陣からの強力な両ハンドドライブのオフチャロフと、前陣で打球点の速いカウンターで勝負する高速卓球の丹羽孝希という図式となるでしょう。オフチャロフには地元の大声援が大きなプレッシャーとしてのしかかるはずです。丹羽孝希選手には大いにチャンスがあり、勝敗の可能性は両者5分5分だと見ますね。
このオフチャロフ戦に勝利すれば、その日のうちに準々決勝を戦う事となる丹羽孝希選手。その準々決勝の相手は既に決定しています。
世界ランキング2位の樊振東(はんしんとう/ファンジェンドン)選手です。丹羽孝希選手とのこれまでのシングルス対戦は3戦。いずれも丹羽選手が敗れています。
前回の世界卓球蘇州大会でも丹羽選手と樊振東選手との対戦はベスト16で実現しており、丹羽選手はそのリベンジを同じ世界卓球で果たしたいと燃えているはずです。
当然世界ランキング2位の樊振東は強いです。丹羽孝希はその超人的な反射神経を生かしたあり得ないようなカウンター攻撃のスタイルからしばしば天才と呼ばれますが、この樊振東のプレースタイルもまさに天才と呼ぶにふさわしいものです。
あり得ないタイミングで繰り出すあり得ないコースへのドライブや、相手サーブを一撃で仕留める世界一ともいわれるチキータ技術、それらの才能の数々は中国でも次世代の世界王者間違いなしと太鼓判を押される存在でもあります。
日本の天才対中国の天才。この対戦を世界卓球の舞台でもう一度見てみたいと思うのはわたしだけではないはずです。そのためにも何とかベスト16でのオフチャロフ戦に勝利してほしいですよね。
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