日本勢が38年ぶりの優勝を目指す世界卓球選手権2017ドイツ・デュッセルドルフ大会。個人戦で行われる2017ドイツ大会ですが、ここでは男子シングルスのドロー(組み合わせ)をご紹介しながら、日本選手が対戦可能性のある中国選手ら海外の強豪選手たちを見ていきたいと思います。(記事中の世界ランキングは2017年5月現在のものです)
男子ダブルストーナメントドロー(組合せ)
世界ランキング22位・大島祐哉&同63位・森薗政崇ペア
日本最強の男子ダブルスコンビがこの大島祐哉と森薗政崇のペアでしょう。
ITTFワールドツアーでは既に6勝を挙げており、2015年のグランドファイナルでは優勝、昨年のグランドファイナルでも準優勝に輝いている、ダブルスのスペシャリストといってもいいコンビですね。ドイツ・デュッセルドルフ世界卓球選手権2017の男子ダブルスでは優勝候補筆頭にも挙げられる程です。
ある意味日本勢で最も金メダルに近い存在ともいえるこのコンビですが、3回戦辺りまでは問題なく勝ち進んでくると見ます。最初の関門といえそうなのがベスト8(準々決勝)でのゴジ(15位)・ロビノ(92位)のフランスコンビでしょうか。しかし相手は確かに手ごわいですが、ダブルスペアとしての熟成度と実績では大島・森薗ペアが圧倒しており、力を出し切れば勝ち進める相手とみます。
続く準決勝では韓国の実力者同士のコンビ、鄭栄植(13位)&李尚洙(20位)辺りとの対戦が濃厚ですが、進境著しいカルデラノ(25位)&ツボイ(104位)のブラジルコンビも怖い存在となりそうです。ともかく、大島&森薗コンビのブロックには最も警戒すべき中国ペアは入っていません。当たるとなれば決勝戦という事となります。それまではダブルス世界王者の意地にかけても負けるわけにはいかないでしょう。
世界ランキング11位・丹羽孝希&同30位・吉村真晴ペア
リオ五輪団体戦においてもダブルスコンビを組んで世界の強豪と戦った、日本のファンにもお馴染みのペア、丹羽・吉村コンビも世界卓球に参戦です。丹羽孝希は前回蘇州大会男子ダブルスでは松平健太と組んで銅メダルを獲得していますし、吉村真晴は石川佳純との混合ダブルスで銀メダルに輝いているダブルス巧者です。
大島・森薗ペアと同じく、このコンビの強みはダブルスとしての経験、それもヒリヒリするようなオリンピックの舞台を経験したのは大きなアドバンテージといえるでしょう。それに加えて、丹羽孝希にしろ吉村真晴にしろ、シングルスとしても世界にその名を轟かせているバリバリの強豪選手というのも大きいですね。丹羽の前陣でのスピード、吉村のパワードライブの相性も素晴らしく、ダブルスとして理想的なコンビといえます。
この二人に立ちはだかる最初の大きな難関は3回戦。恐らくここはK・カールソン(23位)&M・カールソン(27位)というスウェーデンのペアとの対戦となる事が濃厚です。このペアは要注意ですね。特にマティアス・カールソンは現在のトップランカーには珍しいフォア面表ソフトラバーという変則攻撃型です。慣れるまでに時間を要するようだと足元をすくわれる危険性は高くなるでしょう。実力的には日本ペアの方が上ですが、変則攻撃型選手というのが非常に気になりますね。
準々決勝の相手は誰になるのか予想できない程に伯仲したブロックから出てくることになるでしょうが、ここはさほど問題はないと見ます。問題は続く準決勝でしょう。ここで中国ペアと当たる可能性が非常に高いです。
相手は樊振東(2位)&許昕(3位)ペアか、はたまたドイツと中国の英雄同士が組んだドリームペア、馬龍(1位)&ティモ・ボル(ドイツ)ペアか。ダブルスとしての実力的には樊振東・許昕が出てくる可能性が非常に高いと思いますね。ハッキリ言ってこのペアは付け入るスキが無いといってもいいペアで、わたしは男子ダブルスの優勝候補大大大本命といっても過言ではないと思っています。二人ともシングルスでも鬼のような強さですが、ダブルスもメチャクチャ上手いです。従って、丹羽・吉村コンビには思い切った手で立ち向かってほしいですね。ここを勝ち抜けば大島・森薗との日本人決勝対決の可能性も大いにあります。そんな夢を見せてほしいものですね。
女子ダブルストーナメントドロー(組合せ)
世界ランキング6位・石川佳純&同8位・平野美宇ペア
日本女子のダブルスといえば、平野美宇と伊藤美誠というみうみまや、リオ五輪団体での福原愛・伊藤美誠ペアなど、右利き同士のコンビも珍しくなかったのですが、今回の日本女子ダブルスは右&左のペアに色分けしてきました。1組目がこの石川・平野コンビです。今年の全日本卓球女子シングルス決勝戦で戦った二人でもあります。
日本期待のこの日本王者同士のダブルスコンビですが、ドローは恵まれたとは言えない組み合わせとなってしまいました。
その原因は、中国の丁寧(1位)・劉詩雯(2位)の世界ランキング1位・2位コンビが同じブロックにいるという事です。順当にいけばこの最強中国ペアと3回戦で対戦することとなります。
ラスボスといっていいほどに強いこの中国ペアですが、丁寧選手は実はまだダブルスでの世界選手権優勝がありません。決して丁寧選手がダブルスが不得手という事ではないのですが、メチャクチャ得意としているわけでもありません。ダブルスでまだ優勝が無いというプレッシャーも少なからずあるでしょう。
ハッキリ言って、シングルスで丁寧、劉詩雯それぞれと戦うよりもダブルスの方が勝率はかなり高いはずです。相手はダブルスコンビとしても何試合も組んでいる経験豊富さですが、ダブルスであるがゆえに付け入るスキは大いにあると思います。とにかくここに全てをぶつけるつもりで頑張ってほしいですね。
世界ランキング10位・伊藤美誠&同16位・早田ひなペア
みうみまペアを解消して伊藤美誠選手が新ダブルスを組むこととなったのが、同級生の早田ひな選手との高校生コンビ、「みまひな」ぺアです。
左効きの早田選手と右利きの伊藤選手とのコンビは熟成すれば世界を取れる可能性を秘めているといっていいほどのペアとなりそうな予感がしますね。伊藤美誠のスピードと早田ひなのドライブ、この特性を上手くいかせるようになるかがカギでしょう。
そんなみまひなペアの最初の難関は、2回戦で対戦濃厚な徐孝元(29位)・金キョン娥(46位)ペアでしょう。二人とも世界的に有名なトップカットマンです。大ベテランの金キョン娥の経験はこの高校生コンビにとって大きな脅威となるはずです。これまで幾度となく日本選手が苦しめられてきた韓国カットマン。ここは何としても粘り負けせずに戦ってほしいですね。
3回戦で対戦濃厚なのが、北朝鮮のリ・ヒョンシム(193位)&リ・ミギョン(77位)ペア。殆どデータがないうえに、明らかに実力以下の世界ランキング。不気味この上ない難敵であることは間違いありません。
準々決勝では恐らくドイツのソルヤ(20位)・ウインター(39位)ペアか、香港の杜凱栞(13位)・李皓晴(33位)ペア辺りとの対戦となりそうです。この辺りも経験豊富、実力も充実した強敵でしょう。簡単な試合にはなりそうにありませんね。
ここを勝って準決勝に進出すれば、丁寧・劉詩文コンビか石川佳純・平野美宇ペア辺りとの対戦となるはずです。ハッキリ言って、みまひなペアも石川・平野ペアと同じで非常に大変なブロックに入ってしまいましたね。ですが、勝ち抜ける実力は間違いなくあります。応援しましょう。
ミックスダブルス(混合ダブルス)トーナメントドロー(組合せ)
世界ランキング30位・吉村真晴&6位・石川佳純ペア
前回の2015蘇州世界卓球選手権での混合ダブルス準優勝ペアが、今回のデュッセルドルフ大会でもペア復活です。目標は前回あと一歩で届かなかった混合ダブルスでの金メダルしかないでしょう。そしてその実力は十分に秘めたペアです。
このコンビの最初の難関は恐らく3回戦。相手は北朝鮮のパク・シンヒョク(94位)&リ・ヒョンシム(193位)になりそうです。世界ランキング的にははるか格下となる北朝鮮ペアですが、国際大会に殆ど出てこない北朝鮮選手の世界ランキングは全く当てにできません。リオ五輪でキム・ソンイがノーシードから銅メダルを獲得したのはその好例でしょう。北朝鮮選手には中国選手と対戦するのと同じくらいの警戒が必要といっても過言ではありません。ここは最初のかなり難易度の高い関門となるでしょう。相手にいかに早くなれるか?そこが全てといってもいいかもしれません。
続く準々決勝にも難敵が・・。韓国の李尚洙(20位)・梁夏銀(24位)ですね。恐らくこのペアが勝ち進んでくるはずです。二人ともオーソドックスな裏裏シェーク攻撃型ですが、その実力はすでにシングルスでもお馴染みでしょう。打点の高い早いドライブ攻撃はスリリングなラリーを呼び込みそうです。ラリーをどちらが制するかが勝負のポイントとなるでしょう。
準決勝へ行けば方博(9位)・ソルヤ(20位)の中国とドイツの異国間ペア辺りが勝ち上がって来そうです。方博はシングルスで出場しても金メダル候補となるほどの実力者ですし、ソルヤは世界一ともいわれる強力なパワードライブの持ち主です。ここが事実上の決勝戦だと思います。このペアを倒せれば優勝だと断言します。しかし、その前にまずは3回戦の北朝鮮ペアとその次の韓国ペア対策が重要となるでしょう。かなり厳しいブロックに入ってしまった感は否めませんが、間違いなくミックスダブルスの優勝候補筆頭のペアだと思いますね。金メダルを期待しましょう。
世界ランキング119位・田添健汰&66位・前田美優ペア
世界ランキング的には決して高くありませんが、ダブルス巧者同士で結成した期待の混合ダブルスペアがこの田添・前田コンビです。
二人とも前陣で先手を取っての積極的な速攻スタイルを身上としている選手であり、そういう意味ではコンビとしてお互いの力を相乗効果として出せるダブルス向きの選手同士のペアですね。
そんな日本のダークホースの最初の敵となりそうなのが、3回戦で対戦濃厚な韓国のジャン・ウジン(39位)・イ・ジオン(88位)のコンビでしょうか。この右&右のシェークハンドペアを破る事が出来れば嫌でも勢いに乗る事が出来るでしょう。
ベスト8では恐らくデンマークのグロート(42位)・中国の馮亜蘭(フォンヤーラン/世界ランク外)との対戦となりそうです。馮亜蘭は久しく国際大会から遠ざかっていたためにランク圏外となっていますが、当たり前のようにトップ10圏内の実力はあります。グロートはヨーロッパを代表する大ベテラン。一筋縄ではいきそうもないくせ者ペアですね。
相手ペアからはノーマーク的な存在といえる田添・前田ペアですが、それを上手くいかせればメダル圏内にも入ってこれるはずです。序盤でいかに勢いに乗れるかだと思いますね。
男女シングルスについてはこちらの記事をご参照ください。
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