8月に開幕する4年に1度のスポーツの祭典、リオデジャネイロオリンピック。
卓球競技は前回ロンドン五輪で女子団体が日本卓球界初の銀メダルを獲得し、リオでも2大会連続のメダルが期待されています。
ロンドンでは準々決勝で香港に敗れ、惜しくもメダルを逃した男子団体も、今年行われた世界卓球選手権で銀メダルを獲得、オリンピックで男子卓球界史上初のメダル獲得を目指しています。
そんな卓球団体競技なのですが、その団体戦sのシステムはハッキリ言って分かりにくいとの声が大多数であるのが実情です。
ここではリオ五輪卓球競技の団体戦の方式について詳しく解説していきたいと思っています。
なお、世界卓球選手権における団体戦方式については以下の記事に詳しいのでご参照ください。
世界卓球との一番大きなルールの違いはダブルスの試合が組まれる事
特に世界卓球などで卓球団体戦を観戦した人たちなどは、特にリオデジャネイロオリンピックでのシステムは多少混乱を来すかもしれませんね。
ちなみに世界卓球の団体戦システムについてはこちらをご参照ください。
世界卓球とオリンピックでの団体戦の対戦方式での一番の違いは、オリンピックではダブルスの試合が1試合組み込まれている事です。
シングルス5試合をして3勝した方が勝つという世界卓球の方式に対して、オリンピックではシングルス4試合、ダブルス1試合の5戦して3勝した方の勝利となります。
3人の選手同士で戦うというのはどちらも同じなのですが、世界卓球のシングルス5戦方式だと、1選手は1試合しか出られない選手が必ずいます。
対して、オリンピックの方式だと、1人の選手がシングルス2試合を戦い、2人の選手はダブルス1試合とシングルス1試合を戦うという事になるのです。
つまり、オリンピックでは3人の力の結束や総合力が世界卓球よりも如実に反映される事となります。2人の絶対的なエースがいれば絶対有利であった世界卓球との一番大きな違いはそこです。
このシステム、卓球王国・中国に次いで分厚い選手層を誇る日本にとっては他国よりも有利に働く要素が大きいと個人的には思っています。
試合のポイントとなる第3試合に行われる唯一のダブルスゲームの重要性
では簡単にリオオリンピックでの卓球団体戦の概要をご説明しましょう。
先ほども述べたように、5試合を行い、先に3勝した方のチームが勝利します。3連勝してしまったら4試合目と5試合目は行いません。どちらかのチームが3勝した時点で試合は終了です。
まず第1試合、第2試合にシングルス戦を行います。そして第3試合でダブルス戦を行い、第4、第5試合で再びシングルスマッチ2試合を行うというものです。
この方式のポイントとしては、第3試合のダブルス戦が特に重要視されています。ダブルスの試合と言うのは非常に盛り上がりますし、シングルスの試合よりも、勝てば勢いを加速させる効果が高いです。
例えば1,2試合目をどちらかのチームが連勝したとすると、連勝したチームにとっても連敗したチームにとっても勝敗を決める試合になります。1勝1敗で迎えた場合は勝利に王手をかける非常に重要な試合となります。
劣勢に立たされたチームがダブルス勝利で勢いに乗って逆転勝ちするという場面も卓球団体戦ではよくある光景です。
どのチームもダブルスを重視するのにはそのような理由があるのです。
オリンピック卓球団体戦のルール、システム解説
ABCXYZ方式とは?
ここでオリンピック卓球団体戦のオーダーについて説明しましょう。
この方式は、ABCXYZ方式と呼ばれています。
まず団体戦開始前に、両チームの監督がコイントスを行います。それによって、ABCなのかXYZなのかを決めるのです。
そしてコイントスでABCかXYZかが決まれば、その選手同士が決まったシステムどうりに対戦するというシステムです。
恐らく非常に分かりにくいと思いますので、実際のチーム同士の対戦でシミュレートしてみましょう。
卓球女子日本代表と女子中国代表が戦ったとしましょう。
日本チームは福原愛、石川佳純、伊藤美誠の三選手。
中国チームは劉詩雯(りゅうしぶん/リウシウェン)、丁寧(ていねい/ディンニン)、李暁霞(りぎょうか/リシャオシア)の三選手。
この両チームが対戦し、試合前のコイントスで日本がABC,中国がXYZに決まったとしましょう。そしてそれぞれのアルファベットに各選手を割り当てます。
日本チーム 中国チーム
A 石川佳純 X 劉詩雯
B 福原愛 Y 丁寧
C 伊藤美誠 Z 李暁霞
こういうオーダーに各チームの監督が決定しました。
日本女子と中国女子の対戦でシミュレーション
試合が始まると、まずは第1試合のシングルスではA選手とX選手が対戦します。このオーダーで行くと、石川佳純対劉詩雯となります。
そして第2試合のシングルス戦では、B選手とY選手が対戦します。このシミュレーションだと福原愛対丁寧ですね。
そして第3試合のダブルスとなるのですが、これが少しややこしいのです。
ダブルス2選手のうち、一人はシングルス第1、第2試合に出ていないC選手とZ選手で決まりです。そしてその相方となる選手ですが、これは任意で選ぶことが出来ます。日本チームはBの福原選手、中国チームはYの丁寧選手を選択したとしましょう。
すると、C伊藤美誠選手&B福原愛選手ペア対Z李暁霞選手&Y丁寧選手ペアと言う対戦になります。
続く第4試合では再びシングルス戦となります。
ここではオーダーでABCのチームの方が第3試合のダブルスに出ない選手が闘う事となっています。A石川佳純選手ですね。そしてXYZの中国の方はダブルス出場でまだシングルスを戦っていないZ選手が出る事となります。李暁霞選手です。
つまり、第4試合は石川佳純選手対李暁霞選手という事になります。
そして最後の第5試合、ABCはダブルス出場でシングルス戦を行っていないCの伊藤美誠選手、そして中国はダブルスに出場していないXの劉詩雯選手が戦います。
第5試合は伊藤美誠対劉詩雯という事になります。
纏めるとこうなります。
第1試合 A石川佳純 VS X劉詩雯
第2試合 B福原愛 VS Y丁寧
第3試合 C伊藤美誠 VS Z李暁霞
B福原愛 Y丁寧
第4試合 A石川佳純 VS Z李暁霞
第5試合 C伊藤美誠 VS X劉詩雯
とにかく全選手が全て等しく2試合に出られるという事と、シングルスで絶対に同じ選手同士が試合する事の無いように考えられたシステムなのです。
対戦しない選手が出るシステム オーダー決定から既に勝負は始まっている
ご理解いただけましたでしょうか。非常に難解且つ複雑なシステムですよね。
この方式だと、どちらの選手にも絶対に対戦しないシングルスの試合が1試合出来るという事になります。
上記のシミュレーションで見てみると、福原愛選手対劉詩雯選手ですね。
これによって相性の悪い対戦相手を意図的に避ける事も出来てしまう訳です。
というわけで、卓球団体戦におけるオーダーは非常に重要となります。チーム同士の高度な駆引きとなるのです。
実は試合開始前のオーダー提出の段階から試合は始まっているといってもいいでしょう。こんなところにも注目しながら卓球団体戦を楽しめば面白さが倍増する事間違いなしだと断言しましょう。
追記:東京オリンピックから変更となる新オリンピック団体戦システム
2020年の東京五輪から行われる卓球競技の団体戦においてのシステム変更が決定しましたのでその旨を追記しておきます。
お手数ですが、東京五輪における団体戦方式については以下の記事で詳細を説明していますのでご参照ください。
コメント