リオ五輪で男女団体戦、男子シングルスのメダルを獲得し、かつてないほどの人気と注目度を集めている日本卓球界。
そのリオオリンピック後の最大のビッグイベントとなるのが、世界卓球(正式名称:世界卓球選手権)。
団体戦と個人戦を交互に繰り返す世界卓球ですが、2017年は個人戦の年となっており、2017年5月~6月にドイツ・デュッセルドルフで開催される事がすでに決定しています。
日本代表シングルスの出場枠は5選手。ダブルス含めると最大8選手に
世界卓球2017は個人戦となりますが、種目は男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスの5種目となっています。
日本選手団の出場枠は以下の通りです。
男子シングルス 5選手
女子シングルス 5選手
男子ダブルス 2ペア
女子ダブルス 2ペア
混合ダブルス 2ペア
以上が日本が出場できる選手枠となります。
そして日本代表の選手枠ですが、男女ともにシングルスに出場する5選手に加え、ダブルス、混合ダブルスに出場する選手を最大3選手まで加えることができます。つまり、最大で8選手を選出することができるというわけですね。
ダブルスのペアリングは日本卓球協会の強化本部が決定することとなっていますが、シングルス出場の5選手には明確な出場基準が設けられています。
世界卓球ドイツ大会・男女シングルスの代表選考方法
それでは、男女シングルスの代表選考基準をご紹介しましょう。
男子シングルス5選手出場選手選考方法
(1)2017年1月発表のWR20位以内の最上位選手:(1名)
(2)2017年1月発表のWR100位以内の最上位選手:(1名)
※(1)のWR20位以内最上位選手を除く
(3)国内選考会優勝者:(1名)
(4)平成28年度全日本卓球選手権大会男子シングルス優勝者:(1名)
(5)2016年1月1日〜12月31日までの国際大会(世界選手権、オリンピック、オリンピックアジア大陸予選会、ワールドカッ プ、アジアカップ、ワールドツアーファイナル、ワールドツアー、世界ジュニア、アジアジュニア)においてWR30位以内 の選手(同一選手および日本選手は除く)6名以上に勝利した選手の中から強化本部で評価した選手:(1名)
(6)強化本部推薦(若干名)
上記(1)~(5)において該当者が5名に満たない場合および選手が重複した場合は、次の2点を勘案し強化本部にて決 定する。
イ.国際競争力の実績と評価。 ロ.国際競争力向上への高い潜在性があると思われる選手。
女子シングルス5選手出場選手選考方法
(1)2017年1月発表の WR20位以内の日本人最上位選手:(1名)
(2)2017年1月発表の WR100位以内の日本人最上位選手:(1名)
※(1)の WR20位以内の日本人最上位選手を除く
(3)国内選考会の優勝者(1名)
(4)平成28年度全日本卓球選手権大会女子シングルス優勝者(1名)
(5)「平成28年女子勝利ポイント制」を適用して上位から順に選手を選出する。(最大2名)
(女子勝利ポイント制は、従前の内規を修正し、平成28年4月4日に開催される第1回女子ナショナルチームスタッフ会議 にて決定する。)
かなりハードルの高い基準となっています。が、裏を返せばそれだけ日本卓球界のレベルが上がったという事の裏返しともいえるでしょう。これくらいの基準はクリアできないと最強王者の中国には太刀打ち出来ませんしね。
内定済みの男女選手一覧 世界ランキング上位の実力派がズラリ
1月16日(月)から、平成28年度の全日本卓球選手権が開幕するのですが、現時点での代表内定選手をご紹介しましょう。選手の頭に振ってある数字は、選出方法の各項目に対応している選手という事になっています(例:男子の(1)であれば、2017年1月発表のWR20位以内の最上位選手という基準で選出された選手という意味です)。
世界卓球2017男子シングルス出場内定選手
(1) 水谷準 世界ランキング5位
(2) 丹羽孝希 世界ランキング16位
(3) 松平健太 世界ランキング17位
世界卓球2017女子シングルス出場内定選手
(1) 石川佳純 世界ランキング4位
(2) 伊藤美誠 世界ランキング8位
(3) 加藤美優 世界ランキング32位
※世界ランキングは2017年1月現在
以上の男女各3選手が、既に世界卓球ドイツ大会のシングルスに出場を決めた選手となります。
全日本卓球選手権大会の結果次第では、この3選手にプラスして新たな代表選手が決まるということとなります(優勝選手がすでに内定済みの選手の場合は自動決定は無し)。
男子残り2枠はリオ代表吉村真晴、大島祐哉、村松雄斗の三つ巴か
男子は水谷、丹羽というリオ五輪代表に加えて世界での実績も十分な松平健太の三人、女子は石川、伊藤のリオ代表組と進境著しい高校生・加藤美優の三人がすでに内定し、残る出場枠は男女ともにあと2名づつとなっています。
全日本卓球でどの選手が優勝するのかというのが非常に大きな意味をもってくるのは当然の事です。ここで優勝すれば自動的に代表入りが決まるのですから。
そこで、まだ代表に入っていない有力選手たちを見てみましょう。
まずは男子ですが、やはり一番気になるのがリオ五輪団体戦代表にも名を連ねた吉村真晴選手ではないでしょうか。現在の世界ランクは28位。日本人では5番目に高いランキングとなっています。全日本選手権は高校生の時に水谷準の6連覇を阻止して初優勝を飾った縁起のいい大会でもありますし、もちろん国際大会の経験も豊富です。当然最有力候補の一人でしょう。
その吉村を上回る世界ランキング21位に位置しているのが、村松雄斗選手。21歳の若手のホープで昨年末のITTFワールドツアーファイナルではあのサムソノフ(ベラルーシ)を破っている、日本一のカットマンです。これからの日本を背負って立つ逸材ともいわれており、この選手も当然最有力候補となります。
そして忘れてはいけないのが、昨年の世界卓球代表の大島祐哉選手。世界ランキングは38位と昨年よりも若干下げていますが、この選手も国際経験は豊富で、そのパワフルなプレーは国際大会向けですし、メンタルも強いので世界卓球にはうってつけの選手です。
個人的には吉村、村松、大島の三つ巴の様相を呈していると思うのですが、もう一人の注目は中学1年生の怪物・張本智和選手。昨年は世界ジュニアで中国選手を撃破してシングルス、団体の優勝を飾り、シングルスでは史上最年少優勝という記録を作った、まさに将来の日本のエースです。世界ランキングはまだ64位ですが、伸びしろという点ではもちろんこの選手が一番であり、勢いに乗れば代表争いに割って入ってくる可能性も十分にあるでしょう。
どの選手が出場するにしても非常に楽しみな選手ばかりです。協会の強化本部は頭が痛いでしょうね(笑)。
福原愛不在で平野美宇最有力も、ひしめく若手選手で大混戦の女子
まだ内定していない女子選手の中で最大の注目は、リオオリンピック代表で、女子シングルスでメダルまであと1勝まで迫った福原愛選手ですが、残念ながらリオ後は国際舞台から遠ざかっており、1月の世界ランキングでは名前が消えてしまっています。全日本選手権にも出場の予定は無いので、残念ながら代表選出の可能性はないでしょう。
福原選手が出ないという事になると、最大の注目はみうみまで人気・知名度ともトップクラスの平野美宇選手でしょう。世界ランキングは9位。9位で内定出来ていないというところに今の日本女子のレベルの高さを垣間見ることができますね。しかし実力的には既に世界のトップクラス。昨年は中国選手以外で初めてワールドカップ女子シングルス優勝を飾るという快挙も達成しました。ド本命中のド本命といって差し支えないでしょう。
平野選手以外は大混戦となります。世界ランキング20位には19歳のカットマン・佐藤瞳選手が日本人4位として君臨しており、その後にも22位に世界卓球2016代表でもある18歳の浜本由惟選手、23位に16歳の次世代エース候補・早田ひな選手、24位には経験十分なベテラン・石垣優香選手が控えています。さらにその下にも橋本帆乃香選手、森薗美咲選手、森さくら選手、中畑夏海選手と、なんと世界ランクトップ50に日本人選手は12選手も入っているのです。世界トップの50選手のうち約4分の1は日本人選手という事になりますね。
というわけで、ハッキリ言って誰が代表に選ばれるのかさっぱりわかりません(苦笑)。まあ誰が選ばれてもおかしくない程の実力者である事だけは間違いないですね。それにしても・・強化本部は大変ですな(涙)。
日本の悲願、打倒中国を世界卓球2017デュッセルドルフ大会で
今の日本卓球界の男女のレベルの高さから考えると、5選手を選ぶのがいかに大変かというのがお分かりいただけたかと思います。
実績十分で経験豊富な選手を派遣したいという一方で、将来を見据えて若手選手に大舞台での経験を積ませたいという部分もあり、選考は非常に難しいものがあるのは一目瞭然でしょう。
特に卓球の場合は戦術的な部分やメンタル的な部分での国際舞台向き・不向きがありますし、対中国という部分でも得手不得手という傾向はハッキリと出る傾向があります。
特に各選手のレベルがこれだけ上ってしまえば、よりそういった各選手の特徴的な部分も選考するうえでは重要なファクターとなってくるのかもしれません。
卓球協会は大変でしょうが(いやいや、ホントに)、その辺りも加味してしっかりと勝てる代表を選んでいただきたいですね。今度こそ世界の舞台で打倒中国を果たして優勝する日本人が見たいですからね。そしてその日は確実に近づいているのですから・・
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