日本時間で8月6日に開会式を迎えるリオデジャネイロオリンピック。
前回ロンドンオリンピック以上のメダル獲得が期待される日本選手団。その中でも金メダル獲得が大いに期待されているのが、フェンシングの男子フルーレ個人に出場する太田雄貴選手。
ここでは太田選手の出場するフェンシングフルーレのルールや大会展望や見どころ、競技日程やテレビ中継予定などをご紹介したいと思います。
フェンシング競技(フルーレ、エペ、サーブル)の基本システム
まずはフェンシング競技の大まかなルールについて説明します。
フェンシング競技には「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3つの種目があります。
フェンシングはピストと呼ばれる、幅約1.5m~2.0m、長さ14mの競技場の上で行われます。
試合を行う2選手がピストの中央に向かい合って立ち、主審の「アレ(始め)」の声で試合を開始します。
試合時間は9分間。どちらかの選手が15点を先取した時点でその選手の勝利となり、試合終了となります。
フルーレとエペでは試合時間の9分間を3分ごとの3ピリオドに分け、各ピリオド間に1分間の休憩が与えられます。
サーブルではどちらかが8点を先取した時点で1分間の休憩が入る事になります。
同点で試合時間9分間が経過した場合は、どちらかが先に1点を取った時点で試合が終了するサドンデス方式へと移行します。
ちなみに、太田雄貴選手が出場するフルーレは、得点として認められる有効打部分が胴体部分(背中も含む)に限定されているのが大きな特徴です。手足や頭などを突いても得点にはならないという事ですね。
フルーレ、サーブルで適用される攻撃権ルールとは?
太田雄貴選手の活躍によって日本でもメジャーになりつつあるフェンシング競技。
中でも太田選手が北京個人で銀メダル、男子団体がロンドンで銀メダルを獲得したフルーレは日本人が最も目にする事の多い種目なのではないでしょうか。
中継を見ていてどうしてもわかりにくいのが、フルーレでよく出てくる「攻撃権」という用語。
選手が攻撃に成功したはずなのに得点が入らない。解説者が「今は相手選手に攻撃権がありますから、得点は入りません」とか言っているのですが、非常に分かりにくいですよね。
そんなフェンシングの攻撃権について説明して見たいと思います。
試合中に移動する攻撃権 いかに攻撃権を奪うか?攻撃権を守るか?が試合の重要なポイント
まず、攻撃権というルールが適用されるのはフェンシングの中でもフルーレとサーブルだけです。
攻撃権とは簡単に言えば、得点を取る権利が与えられるという事です。
攻撃権を持っていない選手が攻撃に成功したとしても、得点は加算されません。
では攻撃権を取るにはどうすればいいのでしょうか。
攻撃権の基本は、先に攻めた選手に攻撃権が与えられる事です。相手選手より先に攻撃を仕掛けて相手からポイントを奪えば、文句なしに得点が加算されます。先に攻める事の定義は、腕を伸ばして先に相手に剣先を向けることとなります。
相手に攻撃を仕掛けられた後にその攻撃を凌いで反撃して得点を奪っても得点は加算されません。
しかし攻撃権を相手にとられたとしても、取り返すことは出来ます。
攻撃権のある選手の剣をバラードすれば、バラードした選手に攻撃権が移ります。バラードとは相手の剣を自分の剣で払う事です。
つまり、相手に腕を伸ばして剣先を向けられて攻撃権を取られた後、相手の剣先をこちらの剣で払い、こちらに攻撃権を移して相手を突いて得点を決めるという事も出来るのです。
このように、試合中に何度も攻撃権が行ったり来たりするのが、フルーレとエペの特徴です。
その攻防は非常に素早く、なかなか見ている視聴者には分かりずらいかもしれませんが、攻防の入れ替わりが激しくスピーディであり、非常にスリリングな競技と言えますね。
フェンシングフルーレ種目の基本ルールまとめ
それではフェンシングフルーレのルールまとめです。
- 9分間15点先取の3分3ピリオドで行われる
- 胴体と背中部分のみが有効打突面である
- 攻撃権を持つ選手でなければ得点は加算されない
- 攻撃権は先に攻撃を仕掛けた選手に与えられる
- 攻撃権は相手の剣を払う事で取り返す事が出来る
- 試合中に何度も攻撃権が移動する
というのが、大まかなポイントですね。
やはり、競技を見るうえで重要なのは、大まかでもいいから競技のルールを把握しておくことだと思います。
そうする事でその競技の持つ深水や味わい、そして面白さの真髄も見えてくる事でしょう。
わたしも北京五輪で太田雄貴選手の試合を見るまではこのようなフルーレのルールは全く知りませんでしたが、一通りルールを理解していたロンドン五輪ではその面白さは倍増しました。
フェンシングという競技は、さすがにヨーロッパの伝統ある競技だけあって非常に奥深く、独特の様式美のような物さえ感じられる競技です。
興味の無かった方も、是非このリオオリンピックを契機にしてフェンシングの本当の面白さを知ってもらえればと思いますね。
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