女子レスリングの金メダルラッシュに沸いたリオオリンピックのレスリング日本代表の大活躍。
女子のメダルラッシュに対して、グレコローマン59kg級の太田忍選手が銀メダルを獲得して気を吐いていた男子レスリングですが、女子の影に隠れてしまいがちであった事は事実だったと思います。
そんな中、グレコローマンで奮闘した太田忍選手に続き、フリースタイル57kg級でも男子レスリングリオ代表最年少の新進気鋭の若手・樋口黎(ひぐちれい)選手が見事銀メダルに輝きました。
日本レスリング界の未来を背負って立つ男と呼ばれる天才・樋口黎とはどんな選手なのでしょうか。
樋口黎選手のプロフィール
生年月日 :1996年(平成8年)1月28日生まれの20歳
出 身:大阪府
身 長:163cm
階 級:フリースタイル57kg級
出 身 校:霞ヶ浦高校
在 学 校:日本体育大学
好 物:ブラックサンダー、マカロン
嫌いなもの:野菜全般
男子レスリング界28年ぶりの学生オリンピック代表こそその才能の証
女子レスリングでは珍しくない学生の五輪代表ですが、男子レスリングではこの樋口選手が1988年のソウルオリンピック以来28年ぶりとなる現役学生日本代表となります。
しかも、過去にソウル五輪で金メダル紛失事件で有名な(笑)小林孝至さんが金メダルを取るなど、これまで幾多のメダリストを生んできた日本のお家芸となるフリースタイルの最軽量級の代表という、非常にプレッシャーのかかる階級です。
レスリングの名門中の名門、茨城県の霞ヶ浦高校時代にはインターハイを2連覇。この頃から樋口黎選手は将来の日本レスリング界を背負って立つ逸材と言われていました。
久しく金メダルからは遠ざかっているレスリングの最軽量級。
以前は最軽量というと小林孝至選手の頃の48kg級というイメージが強かったのですが、階級編成によって現在は59kg級が最軽量となっています。以前は48kg、52kg、その次が57kgで次が62kg級でした。
つまり、以前の階級で言えば、軽い方から3番目が現在の最軽量級という事になります。日本が得意としていた軽量級がどんどん削られていってしまっているのが現状です。
そんな現状で久々の学生五輪代表となった樋口黎選手。しかもその肩には日本レスリングのお家芸復活という重い使命ものしかかっています。その事実こそがこの樋口黎選手の才能の凄さを物語っているのです。
国際大会連戦連勝の割に注目度の低かった樋口選手 男子レスリング界人気復活の切り札の役目も?
高校時代にインターハイを2年連続で制し、日体大進学後も昨年2015年には国体で優勝し、全日本選手権でも優勝するなど着実に成長していきます。
その後はオリンピックアジア予選を圧勝して制覇。見事にリオオリンピック日本代表の座を決めました。
五輪代表の座をつかんだ後もマケドニア国際とポーランド国際で優勝し、国際大会3連勝を飾ります。この頃には「REI HIGUCHI(樋口黎)」の名は既に世界のレスリング界にも鳴り響いていました。海外勢にとってはリオオリンピックの強敵として認知されていたという事です。
その割には日本での知名度はイマイチでしたね。
やはり注目を集めていたのは女子選手ばかり。メディアが一番の原因なのですが、卓球といいレスリングといい、どうしても人気選手がいる女子ばかりにスポットライトを当てるんですよね。
そんな歪といえるまでの男女間格差を解消してくれるほどの逸材、それがこの樋口黎選手ともいえるのかもしれません。
極度の偏食が招いた減量失敗による失格 その食生活は内村航平並み
順風満帆に見える樋口選手のレスリング人生ですが、挫折もありました。
最も有名なのが、昨年6月の全日本選抜の失格処分。なんと、樋口選手は軽量に失敗して戦う前に失格となってしまったのです。
その原因は樋口選手の極端な食生活。
樋口選手は極度の野菜嫌いであり、肉が大好きで野菜はほとんど口にしませんでした。大好物は有楽製菓のロングセラー人気商品「ブラックサンダー」。このような偏食が原因となって減量に苦労し、失格の憂き目にあってしまったのです。
ところで、大の野菜嫌いで肉好き、そしてブラックサンダー大好き。って何か聞いた事ありませんか?
そうです、リオ五輪で体操男子個人総合を2連覇し、団体で金メダルに輝いた日本体操界のレジェンド・内村航平選手と全く同じなのです。
内村航平の衝撃の食事を間近で目撃!転機とした樋口黎の才能開花
ところで、極度の野菜嫌いでブラックサンダー大好きという共通点のある内村航平選手と樋口黎選手。この二人は東京都内のトレセンで一緒になった事があります。
一緒になったというよりも、樋口選手が日本を代表するアスリート・内村航平選手を目撃したというのが近いかもしれません。
樋口選手が目撃したのがトレセン内の食堂で食事する内村選手の姿。そしてその内村選手の前に置いてあった食事を見て驚いたのです。
内村選手の食事は大量の肉のみ。野菜は一切手を付けず、肉の付け合わせの野菜も取り除いていたほどの徹底した野菜嫌いだったそうです。
その光景を目撃した樋口選手は衝撃を受けました。あの食事であれだけの成績を残せる内村選手は類い稀な天才ですが、自分はそこまでの選手ではない。自分があのような食生活では選手として大成できないという戒めとなったそうです。
それからは大好きなブラックサンダーも控えるようになり、野菜も口にするようになって徐々に減量も安定。同時に成績も上昇していき、五輪代表の座を射止めました。
まさに樋口選手の開花の裏の立役者ともいうべき内村航平選手(汗)。
それにしてもそんな食生活で世界一の座を守り続ける内村航平・・まさに恐るべしですな(笑)。
内村航平を超えるアスリートになる大いなる可能性
リオオリンピックで見事にその実力を示し、女子レスリングに押されがちな日本男子レスリング界復権の狼煙を上げた天才レスラー・樋口黎。
まだ20歳という事を考えた時に、この若者を待ち受ける未来はとてつもないほど明るい光で照らされています。
次の東京オリンピック時でもまだ24歳。
そしてその次のオリンピックに出たとしても28歳です。上手くいけばさらにその次、2028年のオリンピックさえ狙えるほどです。
トレセンで出会った内村航平に並ぶ、いやそれを凌ぐほどの日本スポーツ界の歴史に残るレジェンドとなる可能性をこの樋口黎選手は秘めているのです。
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