高身長の大型カットマン・村松雄斗(ゆうと) 卓球世界ランキング日本人4位につける大型選手は打倒中国の切り札?

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世界卓球2017の代表メンバーが発表されました。

注目を集めた男子シングルスの代表は、13歳の中学生・張本智和選手が選ばれたことが大きくメディアなどでも取り上げられましたが、個人的に大きく興味を惹かれたのが、20歳のカットマン・村松雄斗選手の選出です。

全日本選手権で初優勝を飾った平野美宇選手の従兄妹として、世界卓球2015代表では従兄妹揃って代表となった事も話題となりましたが、今回も堂々の揃っての代表選出となりました。

ここでは村松雄斗選手のプレースタイルなどについてご紹介したいと思います。

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村松雄斗(むらまつゆうと)のプロフィールや最新世界ランキング等

生年月日 :1996年10月14日生まれの20歳
出 身 地:山梨県中央市
身   長:180cm
体   重:63kg
血 液 型:B型
効 き 腕:右
出   身:JOCエリートアカデミー、帝京高校
所属チーム:東京アート
従 兄 妹:平野美宇
グリップ :シェークハンド
ラケット :松下浩二オフェンシブ
表面ラバー:テナジー64(裏ソフト)
裏面ラバー:スーパースピンピップス21(表ソフト)
タ イ プ:カット守戦型
世界ランク:21位(2017年1月時点)

村松雄斗選手は間違いなをもく現在日本一のカットマンです。長年日本のトップカットマンとして世界選手権代表にもなった東京アートの先輩でもある塩野真人選手の引退によって、これからの日本を背負うとともに、世界トップクラスのカットマンとなる存在と期待されている選手ですね。

現在の世界ランキングは21位。これは日本男子では水谷準(5位)、丹羽孝希(16位)、松平健太(17位)に次いで4番目に高いランクです。リオ代表の吉村真晴(28位)や昨年の世界卓球代表の大島祐哉(38位)らよりも上位という事ですね。

まさに堂々と実力でつかんだ世界卓球シングルス代表の座といえるでしょう。

村松雄斗選手のプレースタイル フォア・バックともに攻撃選手並みの破壊力

村松選手は表面裏ソフト、裏面表ソフトのカットマンです。

長年世界を代表するトップ選手として世界ナンバーワンカットマンの名を欲しいままにしてきた37歳の大ベテラン・朱世赫(チュセヒョク)が世界ランキングから消滅したことで、21位の村松雄斗選手が現在世界最高ランクのカットマンという事となります。

現在男子卓球界では世界的に減少傾向にあるカットマン。その一番の理由は用具やボールの進化や変化などによって以前よりも攻撃型の選手に有利になったためでしょう。そんな中、現在のカットマンは以前よりも攻撃力がなければ厳しいといわれています。

その点において、村松選手はカットマンとして世界を制する可能性を存分に秘めている存在です。180㎝という恵まれたフィジカルを生かした攻撃力はこれまでのカットマンの常識を打ち破るほどのものを誇っています。

特に凄いのがバックハンド。従来のカットマンといえばフォアで攻撃、バックでカットという選手がほとんどだったのですが、村松選手はバックハンドでも相手守備を打ち破るほどの強烈な攻撃力を誇ります。これからのカットマンはバックでも打てなければ・・とは以前よりいわれていたのですが、ようやくその待望の存在が出てきたという感じですね。バックでも強烈なカウンターや三球目・四球目攻撃を繰り出せるという事で戦い方のバリエーションは飛躍的に広がり、相手や流れによって戦型や試合展開を変えることができるという事になります。

相手にとってはこれは大変大きな問題です。対カットマンといえば以前は「とりあえずレシーブはミスせずに確実に相手陣地に入れればいい」とか「甘いカットが来るまではしっかりとループドライブで返していればいい」という意識が攻撃側には少なからずあったのですが、村松選手にはこのような戦い方は通用しません。フォア・バックともに攻撃選手顔負けの攻撃力と攻撃センスがあるため、コースや高さの甘いレシーブや威力のないドライブだと一発で打ち抜かれてしまう危険性があるためです。

これだけの攻撃スキルを持った選手はこれまでのカットマンにはいなかったでしょう。まさに新時代のカットマンといってもいいと思います。

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馬龍(まりゅう)・許听(きょきん)やヨーロッパ選手のパワードライブ対策が課題か

もちろん本業であるカットに関しても一級品です。

180㎝の長身という事もあり、守備範囲は非常に広く、特に表ソフトでのバックカットの変化は非常に大きく、この変化に慣れていない相手は大いに戸惑うことになります。

幾度か対戦していく中で変化に慣れられてしまったカットマンは劣勢を強いられる事になる例はこれまでも多くみられた現象ですが、前述のとおり、この村松選手の場合はカットの変化を読まれてしまったとしても、そのカットマンらしからぬ攻撃力によって攻守のスタイルを自在に変化させることができるというユーティリティ性があります。

まだ20歳という若さからも、これから練習や実戦経験によりカットの精度や安定感を増し、攻撃力の威力や正確性を増していけば、これまでにない攻守自在のオールラウンドカットマンになっていく可能性は大といえるでしょう。

このように、卓球史におけるカットマンの歴史を変える事さえ期待されている村松選手ですが、課題は何なのでしょう。

まずはカットマンに強い選手が多いヨーロッパのパワードライブ系の選手や、中国の馬龍(まりゅう/マロン)許听(きょきん/シュシン)というカットマンに絶対的強さを誇る強烈なフォアハンドを持つ選手たちに対する戦い方でしょう。

世界のトップを目指すのであれば強烈なフォアハンドドライブを持つパワードライブ型の選手対策は避けては通れません。

これらの選手に対してカットのみで応戦するというのは現実的には厳しいかもしれません。ポイントはやはり攻撃力となるでしょう。これらの選手は攻勢に出れば強いですが、守備力はそれほど優れてはいません。かといって攻撃のスペシャリストですから、攻撃対攻撃となれば当然カットマンには分が悪いです。

いかにカットと攻撃とをうまくミックスするかが大きなカギとなるでしょう。試合の要所で攻撃に転じることで相手は混乱し、結果的にはカット打ちにもミスが出てくることとなります。この辺りの試合の駆け引きや読みはこれから経験を重ねていけばどんどん熟練してくるはずです。カットマンは比較的ベテランになるほどに強くなる選手が多いのはこういった要素も大きく影響しているといえるでしょう。

後は今の攻撃力とカットによる守備に磨きをかけていけば、攻守自在のカットマンとして大成できるはずです。

村松雄斗選手に日本卓球界が大きな期待をかけるのも当然だといえますよね。

カットマン減少の流れを変えるためにも世界選手権で優勝を

今年の5月に開幕する世界卓球2017ドイツ・デュッセルドルフ大会の男子シングルス代表にも選ばれた村松雄斗選手。昨年12月のITTFワールドツアーグランドファイナルでは元世界王者でリオ五輪4位のウラジミール・サムソノフ(ベラルーシ)に勝利するなど、確実に世界での地位を固めつつあります。

かつては世界一のカットマンともいわれた高島規郎(のりお)さん仕込みのカットで、是非とも恩師の高島さんが成し遂げられなかった世界制覇(1975年のカルカッタ大会で惜しくも3位)を成し遂げてもらいたいものです。

この高島規郎さんを始めとして、渋谷浩さんや松下浩二さんなどこれまでの日本卓球界を代表するカットマンの血を受け継ぐ系譜の選手として、そして世界におけるカットマンの復権を果たすためにも、世界卓球では堂々と優勝を狙ってプレーしてもらいたいですね。

個人的な話になりますが、わたしが学生だった頃にはカットマンが沢山いました。大会に出ればカットマンやドライブマン、表ソフトの前陣速攻型やアンチラバーやイボ高を使った変則攻撃型、さらにグリップもペンホルダーとシェイクハンドが半々くらいの割合でいました。

古き良き時代といってしまえばそうですが、現在におけるカットマンの少なさは当時を知る世代としては非常に寂しいものです。そういう意味でも村松雄斗選手にはぜひとも頑張ってほしいですね。

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