現在の男子プロテニス界には4強と呼ばれるトップ選手たちがいます。
セルビアのノバク・ジョコビッチ、スペインのラファエル・ナダル、イギリスのアンディ・マレーと並んでその4強に数えられるのがスイスのロジャー・フェデラーです。
その圧倒的な強さからネットなどでは「人外(人知を超えた強さを持つ者たち)」などとも言われる4人のトッププレイヤーたち。今回はその中の一人、ロジャー・フェデラーについてご紹介します。
ロジャー・フェデラーのプロフィール 奥さんもプロテニスプレーヤー
本 名:ロジャー・フェデラー
生年月日:1981年8月8日生まれの34歳
出 身:スイス・バーゼル
身長体重:185cm 85kg
利き腕 :右
バックハンド:片手打ち(シングルバックハンド)
34歳という年齢でありながら現在でもバリバリのトップ選手として世界ランキング3位を維持している事に驚かされますよね。
ちなみにフェデラーの奥さんも元テニス・プレーヤーです。スイスのミルカ・バブリネック(ミロスラヴァ・ヴァヴリネック)元選手ですね。フェデラーよりも3歳年上の姉さん女房で、出会いのきっかけは2000年のシドニーオリンピック。約9年間の交際を経て2009年に結婚。同年には双子の女の子、2014年にはこれまた双子の男の子が誕生しています。いやぁ、双子2組って奥さん大変でしょうね(笑)。奥さんはフェデラーの試合会場などにもよく訪れて声援を送っている姿が見られますね。夫婦仲は良さそうで何よりです(笑)。選手としては大きなタイトルに恵まれず、世界ランクも最高で76位だったミルカですが、それ以上に大きなタイトルを手に入れたといってもいいかもしれませんね。
フェデラーに残されたタイトル、それがオリンピック金メダル
ロジャー・フェデラーと言えば、歴代男子テニスの名選手たちの中でも史上最高の選手との呼び名さえあるほどの選手です。
彼の凄さは記録から明らかですね。グランドスラムは通算17勝で歴代1位。グランドスラム302勝、グランドスラム連続出場記録65も歴代1位で更新中です。グランドスラム優勝の内訳は、全英(ウインブルドン)が7勝、全仏(ローラン・ギャロス)が1回、全米が5回、全豪が4回です。現役中に全てのグランドスラムを制する、生涯グランドスラム(キャリアグランドスラム)を達成している4人のうちの一人がこのフェデラーなのです(他はオーストラリアのロッド・レーバー、米国のアンドレ・アガシ、スペインのラファエル・ナダルのみ)。
その他にもATPツアーファイナルで6度の優勝、デビスカップでの母国スイスの優勝も成し遂げています。
ほぼすべてテニスプレーヤーが手に入れるべきものは手に入れている感のあるフェデラーですが、唯一まだ取っていないタイトルがあります。それが・・
オリンピックでのシングルスの金メダルなのです。
ダブルスでは2008年の北京オリンピックで同じスイスのスタン・ワウリンカと組んで金メダルを獲得していますが、シングルスでは2012ロンドンオリンピックでの銀メダルが最高成績となっています。今年夏に行われるリオオリンピックでフェデラーが金メダルを取れれば、キャリアグランドスラム+五輪金メダルを達成する「ゴールデン・スラム」を達成した3人目の選手となります(他はアガシとナダル)。さらに、キャリアグランドスラム+五輪金メダル+ツアーファイナル優勝の全てを成し遂げる「スーパー・スラム」も同時に達成する事となります(過去にはアンドレ・アガシのみ)。
既に34歳を迎えたフェデラーにとって残された課題。その課題である五輪でのシングルス金メダルを獲得した瞬間に、フェデラーはテニス選手が手に入れるべき全ての物を得る事となるのです。
テニスの歴史を変えたパーフェクト・プレーヤー
ロジャー・フェデラーの凄さ、それは全てがパーフェクトである事です。穴というか、弱点らしい弱点がないのです。
フェデラーの凄さの一つはやはりサーブでしょう。ビッグサーバーのようにスピードがずば抜けているわけではないですが、同じモーションからワイド、センター、ボディにフラット、スピンなど様々な種類のサーブを打ち分けるので、相手はリターンの的を絞れません。更にセカンドサーブとなってもファーストサーブに比べてさほど威力が落ちないのもフェデラーの強みです。なので安定してサービスゲームをキープする事が出来るのです。全盛期は220kmを超えるサーブもありましたが、ここ最近は180~190kmくらいで確実にコースを狙っていくサーブが多いですね。
もう一つの武器は、歴代最高とも言われるフォアハンドです。特にフェデラーの代名詞ともいえるのがフォアでの逆クロス。これは精度、威力とも34歳の現在でも衰えていません。さらに強烈なカウンターショットとハードショットを自在に使い分けます。ストロークも正確無比で、タッチラインギリギリの深いショットや角度のあるショット、色々な種類のスピンなどをなんなくコントロールして繰り出す事が出来ますので、非常にラリー戦にも強い選手です。
バックハンドはフォアに比べて威力が落ちますが、それでもやはり正確でミスは少なくシングルハンドからスライスやダウンザラインなどを繰り出します。さらにバックに来たボールもフットワークを生かして回り込み、フォアハンドでエースを奪うこともしばしばですね。
ネットプレーも一流で、特に現役時代に超一流のネットプレーヤーであったステファン・エドベリをコーチに迎えてからはサーブアンドボレーに一段と進化が見られていますね。
まあ色々書きましたが、とにかく穴の無いプレーヤーなのです。
錦織圭を誰よりも評価し、誰よりも期待しているフェデラー
錦織圭選手との対戦成績はどうなのでしょうか。
錦織圭とロジャー・フェデラーの対戦成績は錦織の2勝4敗となっています。サーフェス別にみると、グラス(芝)コートでは錦織の0-1、ハードコートでは1-3、クレーコートでは1-0となっています。
錦織にとってみると、「人外」と呼ばれている4選手との対戦成績の中では最も好成績を上げているのがこのロジャー・フェデラーという事になります。
フェデラーは常々錦織を高く評価しているコメントを発する事でも有名ですね。
例えば昨年の全仏オープンの際のコメントがこれです。
僕はテニスのファンだから大会中は他の試合を見るのが楽しみなんだよ。ついこの間は錦織圭の試合を見たよ。理由は簡単、ただ単にいい試合が見たかっただけなんだけどね
このコメントは世界中でも大きく注目された発言ですね。日本でもニュース等で取り上げられましたから覚えている人も多いのではないでしょうか。
さらに2014年のマスターズ1000マイアミで錦織選手に敗れたフェデラーは、錦織のプレーを絶賛。特にバックハンドをほめちぎった後、こう付け加えました。
今から予言しておくよ。圭は近い将来必ずトップ10選手になるってね
図らずもこの予言は見事に的中させましたね。と同時に、敗れた後にこういうコメントが出来るところが、フェデラーが他の選手やテニスファンから尊敬を集める理由なのでしょうね。
テニス界のレジェンドの最後の勇姿を目に焼き付けよう
フェデラーの悲願であるリオ五輪は今年8月。恐らく今年のフェデラーはここに全ての照準を合わせる事でしょう。しかし心配なのは五輪が終わった後にフェデラーに現役を続けるモチベーションが残っているのかどうかという事です。
リオで金メダルを取ったのであればもちろんの事ですが、取れなかったとしても、年齢的に考えて次の東京オリンピックを狙うという事は考えづらいところです。
ひょっとしたら、この稀代の名プレーヤーを直にこの目で見る事が出来る時間というのはもの凄く限られてきているのかもしれません。
そういう意味でも、わたしは今年は錦織圭選手と同じくらいこのロジャー・フェデラーに注目して行きたいと思っています。
間違いなく歴代でも史上最高の選手だと思うので、その雄姿をこの目に焼き付けておきたいと思っています。
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