錦織圭選手のライバルシリーズ、今回はスペインのラファエル・ナダルです。
錦織選手悲願のグランドスラム制覇、マスターズ優勝の前に立ちふさがるライバルたちの中でも最強の部類に入る強敵中の強敵ですね。その強さは、ノバク・ジョコビッチ、ロジャー・フェデラー、アンディ・マレーの3人と並んで「男子プロテニス界の4強」、あるいはその人並み外れた強さから「人外四天王」などとも言われています。人間の領域を超えた存在であるという事ですね。
そんなラファエル・ナダルの強さを分析していきましょう。
生まれついてのスター性を持つ男・ナダルのプロフィール
本 名:ラファエル・ナダル・パレラ
生年月日:1986年6月3日生まれの29歳
出 身:スペイン・マジョルカ島
身長体重:185cm 85kg
利き腕 :左
バックハンド:両手打ち
ナダルの年齢ってまだ29歳なんですね。もっといってるかと思ってました(笑)。いや、老けてると言う意味ではないですよ。グランドスラム初制覇したのがまだ19歳と若く、それから11年もの長きにわたってトップ選手として君臨しているのですっかりベテランだと思っていただけです。
とにかく息の長い選手ですよね。昨年はケガや体調不良もあってランキングが約10年ぶりに二けたの10位まで落ちた事もあり、巷では限界説も囁かれましたが、終わってみればきっちり8位以内に入ってツアーファイナルにも出場しました。2016年にはポイントを着実に加算してランキング5位前後をキープしてますし、まだまだ老け込む年齢ではありませんね。
何より、実力はあっても地味な印象の多い現在の男子テニス界のトップ選手たちの中にあって、スター性と言う意味ではずば抜けた選手です。テニスの歴史を支えてきた華やかなスター選手たち、ビヨン・ボルグやジョン・マッケンロー、ジミー・コナーズ、ステファン・エドベリ、アンドレ・アガシといった選手たちの系譜に連なる、まさに華も実もある選手、それがラファエル・ナダルなのです。
ナダルがクレーコートで無敵の強さを誇る理由
ナダルと言えば真っ先に思い浮かぶのが、なんといってもその異名ともなっているクレーコートでの圧倒的な強さですね。
そのクレー(赤土)での無双ぶりから、「砂魔神」だとか「赤土の王者」と呼ばれています。
それもそのはず、グランドスラムで唯一クレーコート開催の全仏オープン(通称ローラン・ギャロス)では通算9勝を挙げています。2005年から昨年2015年までの11年間でナダルが優勝できなかったのは2009年、2015年の2回だけ(2009年優勝はフェデラー、2015年はワウリンカ)。さらにクレーで行われるマスターズ1000シリーズのモンテカルロでは前人未到の8連覇を達成、同じくマスターズのマドリードでは優勝4回、ローマでは優勝7回を数えます。クレーコートで行われるマスターズ3大会の通算優勝は19回!!錦織圭に少しは分けてくれよって思わず思っちゃいますよね(苦笑)。
ナダルのクレーコートでの強さの秘密はその強烈なトップスピンを多用するプレースタイルにあります。ナダルのトップスピンは現役選手、いや歴代の名選手たちの中でもナンバーワンと言われるほどのものです。ナダルの放つ強烈なトップスピンは別名「エッグボール」と呼ばれるほどに落差の激しいショットです。クレーコートでは球足が殺されて遅くなり、尚且つ高く弾むため、ナダルのトップスピンが最も威力を発揮するサーフェスとなるのです。加えて球足の遅くなったサーブやストロークに対して効果を発揮するのが、ナダルのその尋常ではないフットワークで武装された守備力です。そのフットワークで普通の選手であればウイナーを取られるようなボールにも追いつき、逆にウイナーを奪ってしまうのです。
そしてそんなフィジカルを支える有り得ない程のメンタルの強さも彼の魅力の一つです。彼のメンタル力は「鋼のメンタル」とさえ呼ばれているほどです。
そのプレースタイルはまさに見るものを魅了してやまない魅力に溢れています。そしてそんなプレースタイルの源は、ナダルの強靭なフィジカルと鋼のメンタルによるものです。
彼はまさにミケランジェロの彫刻のような美しい肉体美を誇っています。それはまさにナダルの日ごろの鍛錬の賜物以外の何物でもなく、だからこそトッププレイヤーの中でも断トツの人気を誇っているのです。
それこそがまさに華も実もあるスターの中のスターと呼ばれる所以なのです。
キャリアグランドスラム、ゴールデンスラムを達成。残るはツアーファイナルのみ
とはいえ、ナダルの凄さはクレーだけではありません。
彼はクレーで行われる全仏以外のグランドスラムでも何度も優勝しています。グラス(芝)コートで行われる全英オープン(通称ウインブルドン)を2度、ハードコートで行われる全米オープンも2度、同じくハードの全豪オープンを1度、それぞれ優勝しているのです。生涯のうちにグランドスラムの4大会すべてを制する事を生涯グランドスラム(キャリアグランドスラム)と呼びますが、男子選手で過去7人しか達成していないこの生涯グランドスラムを史上最年少で達成してしまったのがこのラファエル・ナダルです。
さらに生涯グランドスラムに加えて、4年に1度しか開催されないオリンピックの優勝も加えたものをゴールデンスラムと呼ぶのですが、ナダルは2008年の北京オリンピックで優勝しているので、このゴールデンスラムも達成してしまっているのです。ゴールデンスラムを達成している男子選手はナダル以外に過去にたった一人だけ、アメリカのアンドレ・アガシのみです。
そしてグランドスラム、五輪に加えてATPツアーファイナル優勝のタイトルを加えたのがスーパー・スラムです。残念ながら、ナダルにはまだツアーファイナルの優勝経験だけがありません(準優勝は2度)。ナダルに残された課題はツアーファイナルを制し、このスーパースラムを達成する事でしょう。ちなみに男子選手での達成者はただ一人。そう、アンドレ・アガシだけなのです。
こう見てくると、ナダルの凄さを分かって頂けると思います。なんせ、生涯グランドスラムだけでもとんでもない偉業なのです。だって、ボルグもマッケンローもコナーズもレンドルもエドベリもベッカーもサンプラスも達成できなかった記録なのですから・・
錦織とナダルとの対戦成績など 好試合間違いなしの組み合わせ
さて、既にレジェンドの仲間入りを果たしているラファエル・ナダルですが、日本人初のグランドスラム、マスターズ制覇を目指す錦織圭との対戦成績はどうなのでしょうか。
ナダルと錦織の対戦成績はナダルの8勝1敗と、やはりナダルが圧倒しています。サーフェスごとの内訳を見てみると、グラスコートが2-0、クレーコートが2-0、そしてハードコートが4-1となっています。唯一の錦織の勝利はハードコートで行われた2014年のマスターズ1000カナダ大会。
対戦成績はナダルが圧倒していますが、グラスコートでは約6年間対戦がありませんし、ナダルが圧倒的な強さを誇るクレーコートでも、2014年のマスターズ1000マドリッドで第1セットを奪ってナダルを追い詰める戦いも見せています。
少なくとも錦織にとって同じ4強選手でも、マレーやジョコビッチに比べるとそう苦手意識がないのではないでしょうか。現時点では少なくともハードコートでは互角に戦える自信を持っていると思います。
ナダルの強靭なフィジカルを生かしたトップスピンとフットワーク、そして錦織のアグレッシブなリターン、そして速いショットメークはテニスの試合としては極上の面白さとなること間違いなしともいえるほどガッチリとかみ合う組み合わせです。
引退の噂も囁かれ始めているナダルですが、錦織の高い壁として、また数少ない華のあるスタープレイヤーとして、一日でも長く見続けていたい選手ですね。
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