4月に開催されたATPマスターズ1000マイアミオープンでは決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れ、惜しくも準優勝に終わった日本の錦織圭。
先週のATP500バルセロナオープンでも決勝でラファエル・ナダル(スペイン)に敗れて3連覇を逃すなど、惜しい大会が続いています。
そんな錦織圭の最大目標の一つであるマスターズ制覇に向けて、4月30日にはマドリードオープンが開幕します。見どころや展望などを見てみましょう。
- 錦織圭の今季初のクレーコートでのマスターズ1000であり相性の良いマドリーOP
- 初戦から難敵登場の錦織圭のドロー(トーナメント組合せ)
- 最初の難関、ここまで全敗のリシャール・ガスケ(フランス)戦
- 準々決勝はワウリンカか?鬼のスタンか仏のスタンか(笑)
- 準決勝は順当ならばジョコビッチ モンテカルロ初戦敗退でノバクの気合入りまくり?
- テレビ中継の放送予定など
- 5/5追記 2回戦フォニーニ戦と3回戦の予定・放送日程等
- 5/6追記 3回戦でここまで全敗のガスケに勝利!準々決勝は「悪童」キリオスと対戦
- 5/7追記 準々決勝キリオスのサーブに苦しむもブレイク許さず勝利 準決はノバクと
- 5/8追記 錦織、またもジョコビッチの前に無念のストレート負け
錦織圭の今季初のクレーコートでのマスターズ1000であり相性の良いマドリーOP
4月30日から5月7日まで1週間行われるマドリードオープンは、ATP(男子プロテニス協会)が主催するプロテニスツアーであり、大会グレードはマスターズ1000にカテゴリーされている大会です。まだマスターズ優勝の無い錦織にとっては悲願達成のための大きなチャンスとなります。
2016年の男子プロテニスツアーは、5月22日から始まるグランドスラム唯一のクレーコート開催となる全仏オープンに向けて既にクレーシーズンに突入しています。クレーシーズンというのは、ATP主催のツアートーナメントのほとんどがクレーコートで行われる期間の事です。ATPツアーの流れとしては、全仏が終わると今度は6月27日から始まるグラスコート(芝)の全英オープン(ウインブルドン)に向けてグラスコートシーズンに入っていき、それが終わると全米オープンに向けてハードコートシーズンに入る・・といった具合にサイクルしていきます。
さて、昨年は惜しくも全仏でベスト4で敗れた錦織圭ですが、日本人がまだ誰も成し遂げていないグランドスラム、マスターズ1000の制覇に向けて着実に調子を上げつつあります。クレーコートもさほど苦にしない錦織にとってはこのマドリードオープンも非常に相性の良い大会でもありますね。
2014年には決勝でナダルに敗れたものの準優勝。昨年2015年にはアンディ・マレー(英国)に敗れたもののベスト4に進出しています。今年こそはと期待せずにはいられませんね。
初戦から難敵登場の錦織圭のドロー(トーナメント組合せ)
そんなマドリードオープンですが、ドロー(組合せ、トーナメント表)が決まりました。
錦織圭は第6シードに入りました。初戦はBYE(バイ、不戦勝の意味)で登場は二回戦からとなります。
その二回戦の相手は世界ランキング22位のバーナード・トミック(オーストラリア)と同30位のファビオ・フォニーニ(イタリア)の勝者となります。
トミックとの対戦成績は錦織の2勝1敗でクレーコートでは初対戦となります。フォニーニとの対戦成績は錦織の1勝0敗です。フォニーにとの唯一の対戦は5年前のもので、しかもクレーでは初対戦という事もあり、相性などはやってみなければわからないと言った方がいいかもしれません。トミックともクレーでは対戦していませんし、錦織が唯一負けたのは今年です。全くもって予断を許さない相手といえるでしょう。とはいえ、通算成績でクレーコートで負け越している事からも分かるように、トミックは明らかにハードコート向きの選手であり、クレーでは錦織優位だと思います。逆にフォニーニはクレーコートを得意とする選手です。錦織としてはトミックの方が戦いやすいといえるかもしれません。
最初の難関、ここまで全敗のリシャール・ガスケ(フランス)戦
問題は次の三回戦ですね。
順当であれば、ここでは世界ランク10位のリシャール・ガスケ(フランス)と対戦する事になるはずです。
このガスケこそ錦織圭の天敵といってもいい存在なのです。これまでの錦織との対戦成績は錦織の0勝6敗。うち5敗がハードコート、1敗がグラスコートでの対戦となっています。この6試合の対戦で錦織が奪ったセットはわずかに1セットのみという、圧倒的な対戦成績となっています。
錦織にとっては圧倒的に相性の悪いガスケとの対戦ですが、クレーでの対戦は未だにありません。これが初対戦となります。しかし、ガスケはクレーコートも非常に得意としている事で有名な選手です。ハードもグラスもクレーもパフォーマンスにムラの無いオールラウンドプレーヤーなのです。
とはいえ、錦織の悲願とするマスターズ、グランドスラムを手にするためにはいつかは倒さなければならない相手です。トップ4選手には全て勝利している錦織ですし、あれだけ勝てなかったラファエル・ナダルにも勝つときにはあっさりと勝利しました。
初勝利がこのマドリードオープンとなる事を期待しましょう。というよりも、錦織にとって既に手も足も出ない選手ではないはずです。実際にランキングも錦織の方が上位になっているのですから。下手に意識せずに普段通りのプレーが出来れば勝てると思います。
準々決勝はワウリンカか?鬼のスタンか仏のスタンか(笑)
ガスケとの対戦が予想される三回戦を突破すれば、いよいよクォーターファイナル(準々決勝)です。
ここでは恐らく第4シードのスタン・ワウリンカ(スイス)と対戦する事になるはずです。いよいよ錦織よりも上位シードの選手との試合です。
ここまでの通算成績は錦織の1勝3敗。クレーでの対戦は錦織の0勝1敗となっています。錦織の唯一の勝ち星は錦織圭が準優勝した2014年の全米オープン準々決勝です。フルセットの大激戦でしたね。
このワウリンカですが、昨年のクレーコート唯一のグランドスラムである全仏優勝者である事からも分かるように、クレーコートで強いです。いや、クレーでも強い、と言うべきでしょうか。ハードコートと同じくクレーでもパフォーマンスは全く落ちません。
アグレッシブなベースライナーという錦織と同タイプの選手であり、特にそのシングルバックハンドは同国の王者・ロジャー・フェデラー以上です。付け入るスキがあるとすれば、試合によってパフォーマンスにムラがある事でしょうか。いい時には手が付けられませんが、悪い時には格下にあっさり負けてしまったりという事も珍しくありません。とにかく手に汗握る熱戦が期待できるのは間違いありません。長い試合になりそうですね。
とにかく、いい時の鬼のようなワウリンカが出ないことを祈りましょう(笑)。
準決勝は順当ならばジョコビッチ モンテカルロ初戦敗退でノバクの気合入りまくり?
ジキルとハイドのような(笑)ワウリンカを乗り切ったとしても、その先のベスト4にはラスボスが控えています。
そう、新時代の絶対王者、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)です。ジョコビッチと同じヤマにはジョー・ウィルフリード・ツォンガ(フランス)や今シーズン絶好調のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)もいますが、やはりジョコビッチが進出してくるでしょう。唯一獲得していないクレーのグランドスラム、全仏での優勝の悲願に向けていつになくこのクレーシーズンは気合を入れて臨んでくるはずです。その前哨戦のこのマドリードオープンは何が何でも取りに来るでしょう。
錦織とノバクの対戦は錦織の2勝7敗。うちクレーでの対戦は錦織の0勝2敗です。このジョコビッチも全仏こそまだ獲っていませんが、クレーでも安定した強さを見せつけています。全仏が取れないのは砂魔神・ナダルが君臨していたからです。昨年はナダルが敗れて千載一遇のチャンスでしたが、決勝で魔神モード(笑)のワウリンカに遭遇してしまい、あえなく敗れてしまいました。
今季のクレー初戦はマスターズ1000のモンテカルロオープンでしたが、なんとなんと、ジョコビッチは初戦負けを喫してしまいました。そんな悔しさをこの大会にぶつけてくるでしょう。ジョコビッチの早期敗退を願ってはいけません。しかし願ってしまう自分がいるのも事実です(汗)。そんくらい錦織に立ちはだかっている大きな壁なんですね。
クレーコートでの錦織圭の対ジョコビッチ初勝利を祈ろうではありませんか。
テレビ中継の放送予定など
そして決勝ですが、ここはもう誰が来るのか分かりません(苦笑)。
順当にいけば、第2シードのアンディ・マレー(イギリス)か第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)、あるいは砂魔神・第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)あたりでしょうか。
誰が来たって強敵なのは間違いないですね。とはいえ、錦織にとって手も足も出ない選手でもないはずです。錦織がベストなパフォーマンスをすれば十分に勝てる相手です。
マドリードオープンでの錦織選手の試合日程はまだ未定となっています。
気になるテレビ中継の予定としては、スカパーのGAORAが全試合生中継で放送する予定となっています。
その他にも地上波のNHK総合とBSのNHKBS-1でも放送予定となっています。これらテレビ放送や試合予定については、また詳細が分かり次第順次追記していきますのでお楽しみに。
5/5追記 2回戦フォニーニ戦と3回戦の予定・放送日程等
日本時間の5月4日に行われた錦織圭のマドリードオープン2回戦、ファビオ・フォニーニ戦は、6-2、3-6、7-5のフルセットの末に錦織圭が2-1で勝利を収めました。非常に苦しい展開でしたが、最後はフォニーニのアンフォースドエラーやペナルティなどの自滅にも助けられた格好でしたね。しかしそんな結果も錦織自身が粘り強く我慢していたからこそ訪れたチャンスだったことは言うまでもありません。
フォニーニはさすがクレー巧者という選手でしたね。1セット目完璧なテニスを演じた錦織は、2セット目以降は勝負を急ぎ過ぎた感がありました。クレー巧者に対してエースやウイナーを狙いすぎると痛い目に遭うという教訓を目にしたようでしたね。しかし3セット目に入ると立て直す辺りはさすがという試合でした。
フォニーニは粘り強くて揺さぶりの得意な、まさにクレーでこそ真価を発揮する選手でしたが、マナーの悪さが気になりましたね。苛立ってポケットに入れていたボールを観客席に打ち込んでペナルティポイントを与えたところなどはその典型でした。ルックスも良く、人気出そうな選手なだけに勿体ないですね。あと個人的にはガッツポーズが気に入りません。いちいち相手選手の方を見てガッツポーズするのはやめた方がいいのではないでしょうか。ぶっちゃけ、非常に不愉快でしたね。いい選手なだけにプレー以外でもリスペクトされるようなマナーを身に付けてほしいと思いました。
3回戦の相手は、リシャール・ガスケ(フランス)。はい、錦織圭がここまで6戦全敗の天敵です。しかしいうほど錦織自身が気にしていないとわたしは思っています。今回は勝てるだろくらいにしか思っていないのではないでしょうか。そんなメンタルで試合をすれば結果はついてくるような気がしますね。
試合開始時間は日本時間5月5日の夜9:00開始予定となっています。
テレビ放送はCSのGAORAで完全生中継の予定となっていますね。
NHKBS-1でも夜8:30から生中継の予定です。
順当にいけば準々決勝で当たる予定だった第4シードのスタン・ワウリンカが2回戦で敗れるという、錦織にとってはラッキーな展開になっているだけに、ここガスケ戦は何としてでも突破してもらいたいですね。
5/6追記 3回戦でここまで全敗のガスケに勝利!準々決勝は「悪童」キリオスと対戦
マドリードOP3回戦が日本時間の5日に行われ、錦織圭はキャリア通算0勝6敗と、天敵ともいえるリシャール・ガスケ(フランス)を6-4、7-5のストレートで降し、準々決勝に進出しました。
錦織の3回戦での戦いぶりはほぼ完ぺきと言ってもいい内容でしたね。ガスケはいつも通りミスが少なく、正確なストロークにドロップショットや要所でのネットプレーなどで攻めていましたが、錦織が実力通りのプレーを披露しました。完全な力勝ちといってもいいと思います。2回戦のフォニーニ戦で目立ったアンフォースドエラーも少なく、スタッツを見てもほとんどのデータでガスケを上回っていました。決して出来の悪くないガスケに対してこれだけの試合を出来たのですから、これで完全にガスケに対する苦手意識は払拭できたのではないでしょうか。
準々決勝の相手は第4シードのスタン・ワウリンカ(スイス)を撃破して勝ち進んできたノーシードのニック・キリオス(オーストラリア)との対戦となります。
ノーシードとは言えキリオスの世界ランクは21位。当然力のある選手です。21歳と若く、5年後には世界のトップ3に入っているだろうとまで言われている逸材です。性格的にムラが多く、好不調の波が激しい選手ですが、ハマればトップ選手をも食ってしまうほどのポテンシャルを秘めた選手です。
ここまでの錦織との対戦成績は錦織の2勝0敗。サーフェスは2戦ともハードコートであり、クレーでは初対戦となります。キリオスはどちらかというとハードコート、グラスコートなどの球足の速いサーフェスを得意としている選手なのですが、クレーでも侮れません。何せ若くて伸び盛りなので、過去の成績はあまり鵜呑みにしない方がいいかもしれませんね。実際にクレーでワウリンカに勝って上ってきているのですから。
試合開始予定は日本時間5月6日の夜9:30分。
テレビ中継はCSのGAORAで完全生中継の予定となっていますし、NHKBS-1でも夜9:30分から生中継の予定となっています。視聴しやすい時間帯なので非常に嬉しいですよね(笑)。
5/7追記 準々決勝キリオスのサーブに苦しむもブレイク許さず勝利 準決はノバクと
マドリードOP準々決勝は錦織圭がニック・キリオス(豪)を6-7、7-6、6-3のフルセットの末に降して準決勝進出を決めました。
キリオスの強烈なサーブに苦しめられながらも、確実にサービスゲームをキープし、少ないチャンスをものにする見事なゲーム運びでしたね。ストロークはミスも少なく、ウイナーの数でも圧倒。まさに持ち味をこれでもかと発揮したゲームでした。それにしても、キリオスという選手はやはり恐ろしい選手です。ビッグサーバーでありながらアジリティにも優れてテクニックもありますね。これで精神的に落ち着いてくればどんなプレーヤーになるのか・・錦織にとっては長年にわたって厄介な相手になる事は間違いありません。
準決勝は日本時間の5/8午前3時(5/7の27:00)からの試合開始予定となっています。
相手は世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)。ここまで全てストレート勝ちで危なげなく勝ち進んできました。錦織はキリオスとの激闘での疲れが心配ですが、キリオス戦のようなプレーが出来ればジョコ相手でも好勝負に持ち込めるはずです。それにジョコはクレーでも強いですが、ハードでのジョコよりはまだ付け入る隙は大いにあると思います。健闘を期待しましょう。
テレビ放送は、CS「GAORA」で完全生中継の予定となっている他、NHK総合でも生中継で2:55分より放送予定となっています。
それにしても、錦織以外のベスト4メンバーは、ジョコビッチ、ナダル、マレーですからね。この中に当たり前のように入ってるんですから、やっぱり凄い選手なんだと改めて思いますよね。
5/8追記 錦織、またもジョコビッチの前に無念のストレート負け
錦織圭とノバク・ジョコビッチとの準決勝は3-6,6-7のストレートでジョコビッチが勝ちました。
錦織は3回戦、準々決勝と同じく非常に好調をキープしていましたが、やはりこれまでの相手とは格が違ったと言わざるを得ません。第2セットでは鉄壁のジョコビッチのサービスゲームをブレイクするなど、やはりリターンに関しては世界でも一級品である事をまざまざと見せつけた試合でした。カギは重要なポイントでいかにポイントを奪うか?そこに尽きるのではないでしょうか。そんなわずかな部分だと思います。まあそこが凄く大きな距離でもあるのかもしれませんが・・
残念ながら対ジョコビッチ7連敗となってしまいましたが、手も足も出ない選手ではないという事はすでに証明済みですので、あとは結果を出すだけです。それがマスターズ1000やグランドスラムの舞台である事を期待しましょう。
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