2017年のグランドスラム(4大大会)のトップを切って開催される全豪オープン。
1月16日の開幕を前にして、注目のドロー(組合せ)が発表されました。
悲願であるグランドスラム初制覇を狙う錦織圭にとっては、得意のサーフェスであるハードコートで行われるこの全豪オープンは願ってもない舞台。その対戦相手などを初戦から見てみたいと思います。
マレー、ジョコの二強やナダル、フェデラー、デルポトロら下位シードの強豪との対戦を避けられるか?
世界ランク5位の錦織圭選手は全豪OP2017では第5シードに入りました。
第1シードから第4シードまではA・マレー(英国)、N・ジョコビッチ(セルビア)、M・ラオニッチ(カナダ)、S・ワウリンカ(スイス)の4選手が占めており、この4選手同士が対戦するのは早くても準決勝となります。
第5シードに入った錦織圭選手は、自身と上位4人のシード選手が順当に勝ち進んでいったとすれば、準々決勝(ベスト8)の段階で、上位4選手の誰かと必ず対戦することとなっています。マレー、ジョコビッチとの対戦は避けたいところです。ワウリンカ、ラオニッチも当然強いのですが、マレー・ジョコという二強に比べればまだマシなのは言うまでもないでしょう。
今回は下位シードにとんでもない選手も控えています。まずは第9シードのR・ナダル(スペイン)。このゴールデンスラム達成のレジェンドとは組合せ次第ではベスト32で対戦する可能性がありますし、さらに第17シードにはスーパースラム達成者であるR・フェデラーまでいます。さらに下位シードにはケガから復調したJ・デルポトロも。
錦織圭が悲願の全豪優勝を飾るには、これらの厄介な強豪たちを上手く避けられるかというのも大きなカギを握っているといっていいでしょう。
考えられる最悪に近いドロー・・初戦はクズネツォフ、2回戦はアルマグロかシャルディか
全豪オープンテニス開幕を控えた1月13日、大会の組み合わせが発表されました。
最初に結論から言いましょう。
錦織圭にとって、考え得る限り最悪に近い組合せになってしまいました。
では初戦から見ていきましょう。
初戦の相手は世界ランク48位のアンドレイ・クズネツォフ(ロシア)との対戦に決まりました。過去の錦織圭選手との通算対戦成績は錦織の2勝1敗。サーフェスの内訳はクレーコートで1勝0敗、グラスコート(芝)で1勝1敗となっており、全豪のサーフェスであるハードコートでの対戦はまだありません。
クズネツォフはどのサーフェスでも持ち味を発揮できるオールラウンドプレーヤーといってもいい選手であり、若干ハードの戦績がいいですが、典型的なハード向きの選手というわけでもありません。油断はできませんが、錦織優位で試合を進める事が出来そうな選手であるといえるでしょう。
2回戦に勝ち進んだと仮定すると、次はランキング43位のニコラス・アルマグロ(スペイン)と71位のジェレミー・シャルディ(フランス)との対戦となります。
アルマグロとの対戦成績は錦織の2勝1敗(全てハードコート)、シャルディとの対戦成績は錦織の4勝2敗(ハードでは3勝1敗)となっています。2選手ともにランキング的にも格下ですし、ハードよりもクレーコートを得意とするタイプなので、ここも錦織選手が万全であれば何の問題も無いはずです。
4回戦に待ち受ける元王者・フェデラーとベルディヒ。どちらがきても激戦必至
次の3回戦ですが、ここで対戦が予想されるシード選手が、アルベルト・ラモスビノラス(スペイン)。世界ランキングは26位で、錦織選手の対戦成績は錦織選手の4勝1敗。うちハードでの対戦は錦織選手の2戦2勝となっています。
このラモスという選手も、スペイン人らしく典型的なクレーコート巧者です。クレーとその他のサーフェスでは別人のようなプレーになる選手ですね。従って、ハードでは恐れる必要はないでしょう。ひょっとしたらここは予選勝ち上がり選手かノーシード選手が上ってくるかもしれません。しかしどちらにしても錦織絶対有利は動かないでしょう。
鬼門は次に待ち受ける4回戦(ベスト16)となります。
順当にいけば、世界ランク10位のトマシュ・ベルディヒ(チェコ)か、元世界王者の世界17位、ロジャー・フェデラー(スイス)となるでしょう。最初に考え得る限り最悪と評した原因の一つはここにあります。
二人とも好調時であればトップ5に入っていてもおかしくない実力者。どちらが上ってきても錦織選手にとっては厳しい戦いとなる事は間違いありません。
ちなみにベルディヒとの対戦成績は錦織の4勝1敗となっており、ハードでの対戦は錦織の4戦全勝です。
フェデラーとの対戦は錦織の2勝4敗で、ハードでは錦織の1勝3敗となっています。
対戦成績的にもベルディヒの方がやりやすいのは間違いなさそうです。フェデラーは怪我明けとはいえ体調は万全という情報もあり、むしろフレッシュな状態で怖さがありますね。実力は言うまでもありませんし。となるとハードの対戦では負けなしのベルディヒの方が与しやすいといえます。しかしここはどっちが上ってくるか全く予想がつかないというのが本当のところですね。どちらにしても死闘となるでしょう。
準々決勝は現王者・マレー。対戦成績で大きく劣るマレーにどう立ち向かうか?
4回戦を突破すれば、いよいよベスト8進出。準々決勝へと駒を勧めます。過去3度敗れている錦織選手の全豪にとって鬼門というべきなのが、この準々決勝の壁なのです。
ここで待ち受けるのが現在の世界ランキング1位、王者アンディ・マレーです。
いやあくまで勝ち進めばという話ですけど・・。マレーの山には世界ランク16位のルーカス・ブイユ(フランス)や19位のジョン・イスナー(米国)、32位のサム・クエリー(米国)等も揃っているのですが、正直言って現在のマレーの充実ぶりを止められる可能性は低いでしょう。それくらい今のマレーは強いです。ビッグサーバーのイスナーの確変があればもしかして・・といった感じでしょうか。どちらにしても期待は薄と見ておかなければならないでしょう。
錦織圭との通算対戦成績は錦織の2勝8敗。ハードコートでは2勝7敗。大きく負け越しています。しかし、内容的にはこの戦績ほどの差は感じませんね。
直近の対戦である昨年暮れのワールドツアーファイナルでは負けはしたもののフルセットの大激戦を演じており、さらにその前の全米オープンではフルセット3-2で勝利を収めています。
カギとなるのは、錦織選手のコンディション。ここまでどれだけ体力を温存して勝ち上がってこれるかというのは大きなポイントとなるでしょう。その意味では錦織選手はきつい山に入ったかもしれません。有力選手には比較的ラリー戦でしっかり粘れるタイプが多いからです。勝ったとしても疲弊させられるような相手が多いですね。だからこそ不必要なセットを落とすことなく勝ち上がって来たいところです。
マレーの調子ももちろん重要ですね。いい時のマレーにはすでに、かつてのレジェンド級王者たちのような圧倒的な強さがあります。恐らく絶好調時のマレーに勝てる選手は、現役では絶好調時のジョコビッチくらいしかいないでしょう。それほどに圧倒的な存在になりつつあります。
誰もが思う事でしょうが、全豪オープン最大の山場はこの準々決勝です。
ここを超えれば錦織圭の全豪オープン未知の領域に入ります。とにもかくにもマレー戦。ここをどう乗り越えるかですね。
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