ロンドンオリンピック卓球団体で見事に銀メダルに輝いた卓球日本女子チーム。
リオオリンピックでは2大会連続の団体メダル獲得、そしてシングルスでも史上初のメダル獲得を目指します。
ここではそんな日本女子卓球チームの福原愛選手と並ぶダブルエースの一人、石川佳純選手をご紹介したいと思います。
リオ五輪卓球競技の概要
まずは簡単に卓球女子のチーム編成をご紹介します。
オリンピックの女子卓球競技は2種目のみ。団体とシングルスです。
日本代表の出場選手枠は団体戦3選手、シングルス2選手となっています。
ただし、シングルスに出場する2選手は必ず団体戦にも出場しなければなりません。となると、シングルスの2選手プラス団体戦枠で残り1選手という事になります。
つまり、団体戦の3選手プラスシングルス2選手の5選手が派遣できるという事ではなく、1ヶ国当たりの選手が3選手しか選べないのです。
中国に次いで選手層の厚い日本卓球界にとってはなんとも悩ましい選手枠の少なさですが、同時に日本以上の圧倒的な層の厚さを誇る中国勢以外にもチャンスが増えるという事にもなります。日本にとっては痛しかゆしと言った感じですが、中国選手の数が制限されるメリットの方が日本にとっては大きいと思います。
それでは、リオ五輪卓球女子団体、女子シングルスの代表となった石川佳純選手をご紹介します。
石川佳純 団体戦・個人戦(シングルス)出場
生年月日 :1993年2月23日生まれの23歳
出 身 地:山口県山口市
血 液 型:O型
効 き 腕:左
出 身 校:四天王寺高校
所属チーム:全農
グリップ :シェークハンド
タ イ プ:ドライブ型
世界ランク:6位(2016年7月時点)
五輪ランク:4位(同上)
日本女子卓球界の新エース・石川佳純選手。オリンピックは前回ロンドンオリンピックに続いてリオで2度目となります。ロンドンでは初出場ながら団体戦でフル回転の活躍を見せ、銀メダル獲得に大きく貢献。シングルスでは惜しくも3位決定戦で敗れ4位に終わりましたが、19歳という年齢を考えれば脅威の活躍と言えるでしょう。
そんな石川選手が周囲の期待通りに成長を続け、再びオリンピックの舞台に挑もうとしているのです。
石川佳純選手のプレースタイル、特徴、得意なタイプ、苦手なタイプ
石川佳純選手は左利きのシェークハンドのドライブ攻撃タイプ。同じ日本チームの福原選手、伊藤選手と比べると少し打点を下げて強烈なフォア、バック両ハンドドライブで相手を粉砕するのが特徴です。
ラバーは裏表とも裏ソフト。世界でも非常にオーソドックスなスタイルと言えるでしょう。
両面裏ソフトでドライブタイプといえば、ヨーロッパの選手に多いですが、石川選手のプレイスタイルはヨーロッパ選手のそれとは少し違います。
台から少し下がってかなり打点を下げて打つ選手が多いヨーロッパの選手ですが、石川選手はそれほど台から離れません。基本的には台から近い位置で早いドライブを打っていきます。
分かりやすく言えば、福原、伊藤選手とヨーロッパのドライブタイプの選手の中間といったところでしょうか。台から離れた卓球も勿論出来ますし、台の近くでの卓球も得意です。非常に天性の卓球センスを感じさせるプレイヤーですね。そこが天才と言われる所以なのです。
そんな石川選手のもう一つの特徴が、特に苦手なタイプがいない事。どんな卓球も出来る石川選手は極端に苦手なスタイルの選手がいないというのも安定した成績を残している理由です。
少し前まではカットマンを多少苦手とする部分もあったのですが、最近では逆にカモにしています。世界卓球では現在世界最強のカットマンとの呼び声も高い北朝鮮のエース、リ・ミョンスン選手を寄せ付けずに2連勝してしまいました。
相手の変化をつけたカットに対してほとんどミスらしいミスはなく、しっかりドライブで返しながら少しでも甘い球が来たらきっちり仕留めるという、正にカットマン攻略のお手本のような試合でしたね。シングルストーナメントや団体戦でカットマンが相手であればラッキーかもしれません。それくらいカットマンに対しては安定した戦い方が出来る選手です。
【団体戦】左利きの石川は団体戦のカギを握るダブルス起用か?
初の五輪となったロンドンの団体戦では王者・中国に敗れたものの見事に銀メダルを獲得した石川選手。今回は打倒中国で金メダルが最大目標となります。
しかし相手は勿論中国だけではありません。同じアジアでも香港、シンガポール、韓国などは強豪中の強豪ですし、ヨーロッパでもドイツなどは全く油断のならない相手であり、実際に世界選手権の予選リーグでは敗れているほどの強敵です。
そんな中、団体戦はシングルス4、ダブルス1の計5試合で3勝した方が勝利する方式となります。この方式でカギとなるのが、第3試合に必ず組み込まれるダブルスゲーム。ここが最も重要だと言われています。
恐らく日本チームのダブルスは石川選手が出るはずです。ペアが福原選手になるのか伊藤美誠選手になるのかは試合によって流動的になるでしょうが、石川選手はダブルスメンバーになると思います。
その理由は石川選手が日本女子チーム唯一の左利きだからです。卓球のダブルスは左利きと右利きの選手のペアが最も有利なのです。テニスやバドミントンと違って各選手が交互に打たなければならない卓球のダブルスにおいては、右と右、あるいは左と左だと余計な動きが多くなり、打球交代の際にスムーズさを欠くこととなります。その点、左と右だと余分な動きが少なく済み、両選手がスムースに打てるのです。
団体戦の石川選手に期待されるのは、要となるダブルスともう1試合のシングルスで2勝を挙げる事。まさに日本女子団体の命運を握る存在であるという事です。
そしてそれを託すに十分なだけの実力と実績を持っているのもまた石川佳純選手なのです。
【個人戦】五輪ランキング4位内に入る意義とは?シンガポールのファンにリベンジを!
石川選手の現在の世界ランキングは6位で、オリンピックのシングルス出場選手内のランキングは4位となっています。
このままオリンピックランキング4位をキープする事が出来れば、石川選手は上位4人に与えられるシード権を確保し、中国の丁寧(ていねい)、李暁霞(りぎょうか)の両選手と少なくとも準決勝まで対戦する心配がなくなります。
このままいけば上位4シードは丁寧、李暁霞、馮天薇(ファン・ティアンウェイ:シンガポール)、石川佳純の四人になります(その次の5位が福原愛)。何とかオリンピックまで現在のランキングをキープして中国選手との対戦をギリギリまで回避できるかが大きなポイントになるでしょう。
全てのタイプの選手に対して安定的な戦いを見せる石川選手ですが、やはり卓球王国中国の壁は厚いです。上位4シードに入ってメダルに王手をかけた状態で挑みたいですね。中国選手の方が恐らく勝って当然という中国国内のプレッシャーが重圧となって重くのしかかるはずです。
しかし個人的に言わせてもらえば、馮天薇と対戦してほしいです。馮はロンドンオリンピックの3位決定戦で石川佳純の銅メダル獲得の夢を打ち砕いた選手。やはりオリンピックの借りはオリンピックで返してほしいですね。そのうえで石川佳純の歓喜の笑顔が見られれば、ドラマとして最高じゃないですか。
選手として全てにおいてロンドンより成長した石川佳純の活躍に期待
23歳にして、世界にひしめく打倒中国の一番手の選手にまで成長した石川佳純選手。
シングルスでは世界四大大会(オリンピック、世界選手権、ワールドカップ、ITTFワールドツアーグランドファイナル)のうち、ツアーファイナルで優勝し、ワールドカップでも銀メダル、銅メダルを獲得しています。
もはや日本のエースというより、世界の石川佳純と言っていいほど石川の存在は世界の卓球界に轟いています。
このリオオリンピックはそんな石川佳純選手が歴史に名を残す選手となるのに相応しい条件がすべて整ったと思いませんか?
初のオリンピックの舞台でありながら日本卓球界初の団体銀メダルをもたらし、シングルスでもメダルまであと1勝と迫った石川選手。心技体全てに充実して臨むこのブラジル・リオデジャネイロの地で見事に世界の頂点に輝く姿に期待しましょう。
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