いよいよ開幕までカウントダウン状態に入ったスポーツの祭典、リオデジャネイロオリンピック。
数々の競技で日本のメダル獲得が期待されていますが、卓球もメダルが期待される有望種目の一つ。
前回ロンドン五輪では女子団体チームが銀メダルを獲得し、日本卓球界初のメダルをもたらしました。
ロンドンでは惜しくもメダルを逃した男子も、ロンドンでの女子に続けとばかりに勢いに乗っています。
今回はそんな卓球日本男子の不動のエースをご紹介します。
リオ五輪卓球競技の概要
まずは簡単に卓球男子のチーム編成をご紹介します。
オリンピックの男子卓球競技は2種目のみ。団体とシングルスです。
日本代表の出場選手枠は団体戦3選手、シングルス2選手となっています。
ただし、シングルスに出場する2選手は必ず団体戦にも出場しなければなりません。となると、シングルスの2選手プラス団体戦枠で残り1選手という事になります。
つまり、団体戦の3選手プラスシングルス2選手の5選手が派遣できるという事ではなく、1ヶ国当たりの選手が3選手しか選べないのです。
中国に次いで選手層の厚い日本卓球界にとってはなんとも悩ましい選手枠の少なさですが、同時に日本以上の圧倒的な層の厚さを誇る中国勢以外にもチャンスが増えるという事にもなります。日本にとっては痛しかゆしと言った感じですが、中国選手の数が制限されるメリットの方が日本にとっては大きいと思います。
それでは、リオオリンピック卓球男子団体・シングルスの代表となった水谷準選手をご紹介したいと思います。
水谷隼 団体戦・個人戦(シングルス)出場

出典:wikipedia
生年月日 :1989年6月9日生まれの27歳
出 身 地:静岡県磐田市
効 き 腕:左
出 身 校:青森山田高校
所属チーム:beacon.LAB(ビーコン・ラボ)
グリップ :シェークハンド
タ イ プ:オールラウンド型
世界ランク:6位(2016年7月時点)
五輪ランク:4位(同上)
もはや日本男子卓球界の不動のエースであり、世界的にも打倒中国選手の1番手にいると言ってもいいほどワールドクラスな選手ですね。
団体でも個人でも、とにかく日本男子卓球界悲願のメダル獲得は、この水谷選手の奮起無くしては有り得ないでしょう。
水谷準選手のプレースタイル、特徴、得意なタイプ、苦手なタイプ
水谷隼選手は左シェークハンドでフォア面、バック面とも裏ソフトラバーを使用しています。プレースタイル的には前陣でも中陣でも、後陣まで下がってもプレーできるオールラウンドタイプです。
サービスの種類は豊富で、縦回転、下回転、左右の横回転をバックサーブでもフォアサーブでも打ち分け、さらにショート、ロングと巧みに使い分けます。このサービスからの三球目攻撃も強烈ですし、ディフェンスが優れているので、レシーブで先手を取られても後陣に下がってしのぎながらポイントにつなげる事も出来ます。攻守のバランスが非常に素晴らしく、これはまさに天性の才能というものでしょう。
タイプ的には、往年の世界王者であり、卓球界のレジェンドとして今なお高い人気を誇る、スウェーデンのヤン・オペ・ワルドナーを彷彿とさせます。間違いなく現在世界でナンバーワンのオールラウンドプレーヤーはこの水谷準でしょう。
特に水谷選手の後ろに下がってロビングやドライブで凌ぐ守備。これは卓球が極上のエンターテイメントであり、魅せるスポーツである事を見ている人たちに知らしめるものですね。水谷選手の試合を見て卓球の魅力に気付かされたというファンは数多くいます。まさに卓球の魅力を伝える伝道師の役目も果たしているのです。
世界最高のオールラウンドプレーヤーである水谷選手、以前はカットマンを若干苦手としていたのですが、近年はそうでもありません。速攻型にもドライブ型にも安定して良い成績を残していますね。
ただし一つ気になるのが、水谷選手と同じ左利きの選手との相性が悪い事です。ドイツの至宝、ティモ・ボルや中国の世界ランク3位、世界でも希少になったペンホルダーの許昕(きょきん)などですね。しかしこれらの選手とも素晴らしい試合を繰り広げており、あくまで右利きの選手に比べれば若干苦手という程度です。それだけ求められるものの高い実力者であるという裏返しでもありますね。
【団体戦】シングル戦2試合を任される事が濃厚。エースとして2戦2勝がノルマ!
前回ロンドン五輪と前々回北京五輪では残念ながらともに準々決勝で敗退して5位となっている男子団体。ともに出場した水谷選手にとっては、リオにかける思いは並々ならぬものがあるでしょう。
今年行われた世界卓球選手権ではエースとしてチームを引っ張り、世界卓球では実に39年ぶりとなる男子団体銀メダルに大きく貢献しました。
リオ五輪団体はシングルス4、ダブルス1という変則方式で行われますが、この水谷選手は恐らくシングルス2試合を戦う事になると思われます。丹羽孝希選手と吉村真晴選手がダブルスを組み、それぞれがシングルスも1試合戦うという布陣ですね。
シングルス2試合を任される事となるであろうエース・水谷選手。世界選手権で敗れた中国へのリベンジは当然として、もちろん中国以外にも難敵が待ち構えています。韓国・チャイニーズタイペイなどのアジア勢の他、ドイツやポルトガルなども日本と互角の力を持った強豪です。
エースとして水谷選手に課せられた役割はただ一つ。シングルスで2勝する事です。そうすれば、ダブルスか残りシングルス2試合、合計3試合のうち1勝で勝利する事が出来るのですから。
団体シングルスで全て勝つ。そんな困難で重要なミッションを果たせるのはこの水谷準以外にいないのです。
【個人戦】中国の許昕が出ないのは朗報。第4シード確保にも成功
前回ロンドンオリンピックでは第3シードに入りながら4回戦で敗退して悔しい思いをした水谷選手。当然リオでは期するものがあるでしょう。
今回も水谷選手は中国選手と準決勝まで対戦しないことが確定する第4シード以内に入る事が重要です。現在の五輪ランキングが4位。まだ8月の世界ランキングは発表されていませんが、残り試合の状況的に水谷選手の五輪ランク4位以内は既に確定しました。絶対王者・中国選手とはこれで少なくとも準決勝までは対戦しない事となったのです。これは非常に大きいですね。
さらに前途したように、中国選手の中でも水谷選手と最も相性の悪い左効きの許昕(きょきん)選手。この選手はシングルスには出場しません。中国のシングルス出場選手は世界ランク1位の馬龍(まりゅう)選手と世界ランク4位で前回ロンドン五輪金メダリストの張継科(ちょうけいか)選手。二人とも右利きの選手です。さらに張選手は世界ランク4位という事からもわかるように、馬選手や許選手、さらに世界ランク2位の樊振東選手(今回は参加せず)などと比べると若干ですが、与しやすいと言えます。近年は国際舞台で中国選手以外に不覚を取る事も多く、決して手も足も出ないという存在ではありません。
その他にも気をつけなければならない選手は、ドイツのオフチャロフ、チャイニーズタイペイの荘智淵、ポルトガル勢など沢山いますが、実力的に水谷選手が持っている能力を発揮できれば勝てる相手です。ロンドンの悔しさを晴らす条件はすべて整ったと言えそうです。
ITTFワールドツアーグランドファイナルの男子シングルスで2度の優勝を誇る実力者
世界三大大会(世界卓球、ワールドカップ、オリンピック)のシングルスのメダルこそないものの、毎年末に行われるITTFワールドツアーのグランドファイナルでは2度の優勝を誇る水谷準選手。
グランドファイナルで2度優勝した選手は中国選手以外に誰もいません。あのティモ・ボル(ドイツ)やウラジミール・サムソノフ(ベラルーシ)らでさえ成し遂げていない快挙です。
すでに世界三大大会を制しても全くおかしくない程の実力者、水谷隼。
名実ともに世界のトップに立つのがこのリオオリンピックの舞台である事を期待しましょう。
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