5月14日(土)から始まったリオオリンピックの出場権を賭けた女子バレーボール世界最終予選も参加8か国が4試合を終わって半分を過ぎました。
泣いても笑っても残り3試合となります。
前回ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した日本女子バレーはリオへの切符を手に出来るのか?ここまでの戦いぶりを振り返りながら今後の展望や予想、日本以外の各国の状況や今後、そして最終的な成績予想などを展開して見たいと思います。
イタリア、韓国はほぼリオ行き決定か?日本は残りを2勝1敗が最低ライン
まずは4試合を終えての順位表を見てみましょう。
順位 国 名 勝 負 勝点
1 イタリア 4 0 12
2 韓 国 3 1 9
3 オランダ 3 1 9
4 日 本 3 1 8
5 ペルー 2 2 6
6 タ イ 1 3 4
7 カザフスタン 0 4 0
8 ドミニカ 0 4 0
(2,3位と7,8位はセット率による)
日本は韓国に敗れてタイとフルセット勝ちの激戦で3勝1敗勝点8で4位という成績です。
個人的にはまさかの展開となっています。正直、ここまで全勝で来るんだろうと思っていましたから。
残り試合は2勝1敗で行かなければならない状況になってきました。というのも、残り試合や対戦相手などを考えてもイタリアと韓国はほぼ勝ち抜け決定と言っていいからです。
イタリアは日本やオランダという強敵と試合が残っていますが、もう1試合は全敗のカザフスタン戦。これは間違いなく勝ってくるでしょう。最悪でも5勝2敗で大会を終えるはずです。
韓国は1敗していますが、残り試合はペルー、タイ、ドミニカという下位チーム相手。日本、イタリア、オランダという強豪国とは全て対戦を終えているのです。ここも韓国は最悪でも2勝1敗で来ると思われるので、5勝2敗の通過ラインをクリアしてくるでしょう。
韓国の全体順位3位以内はほぼ確定と思われますので、日本がリオ出場となるラインは全体順位4位以内になると思います。現在の順位をキープすれば行けるのですが、日本はこの後の対戦国が非常に厳しいのです。最下位のドミニカ戦は別として、オランダ、イタリアというヨーロッパの2強との対戦が残っています。
この3か国に全て勝てば恐らく全体順位2位か3位に入り、リオへの道が開かれる事となるでしょう。しかしこの2か国、特にイタリアの牙城はあまりにも高いです。日本はかなり危うい状況に立たされていると言ってもいいと思います。
4試合消化して大苦戦中の火の鳥ニッポン その理由は?
ここまでの日本女子バレー「火の鳥ニッポン」の戦いぶりですが、正直言ってかなり物足りないという状況です。
3年間韓国に対して無敗でしたが、この大事な最終予選で4年ぶりの敗戦。しかも完敗と言ってもいい内容でした。タイにはなんとかフルセットで勝ちましたが、韓国より格下のタイに負けてもおかしくないほどの大苦戦でした。フルセットで勝ったものの、勝ち点は2止まり。この勝ち点1のロスが最終的に大きく響いてくる可能性もあり、かなり不安が残る試合でしたね。
日本は何故ここまで苦戦しているのか?韓国戦とタイ戦を見るとそれは明らかです。
レセプションの不安定さとサーブの弱さです。
相手のサーブで崩されて、自分たちのサーブでは崩せない。もうこれがすべてと言ってもいいほどです。
サーブレシーブがきっちりセッターに入らないので攻撃が単調になり、相手のブロックに捕まったりスパイクミスが出てしまいます。反対に相手のサーブレシーブを崩せないので相手はどんな攻撃でも出来る万全の体制になってしまい、簡単に決められてしまう。
改めてレセプションの重要さを認識させてくれることとなっていたのが、韓国戦、タイ戦でした。
レセプションの安定には古賀紗理那の復活が必須
これからの3試合で急務なのが、サーブレシーブの安定を取り戻す事です。
ワールドカップで一躍世界に名を上げた新星・古賀紗理那はこの大会ではサーブで狙われる機会が多く、攻撃でもその影響が出てしまっています。先発で出ても2セット目、3セット目で変えられるという苦しい状況が続いていますね。こうなると代わりは石井優希か鍋谷友理枝という事になるのですが、石井はレセプションが不安ですし、鍋谷だと攻撃力が落ちますね。石井はアタックが絶好調なのですが、サーブで狙われた時の不安はどうしてもついて回ってしまう選手です。この先は徹底的にサーブで狙われる事が予想されます。特にこの先の3試合はドミニカ、オランダ、イタリアというサーブが強烈な対戦国が続きます。石井にとってはここからが正念場と言えるかもしれませんね。
個人的にはやはり古賀紗理那の奮起に期待したいです。絶好調の石井はやはり攻撃の切り札としてとっておきたいカードですね。一にも二にも古賀の復調。これに尽きると思います。
長岡、迫田といったセッター対角のエースは好調ですので、レセプション担当(佐藤あり紗、木村沙織、古賀紗理那)の奮起に期待したいですね。
リスクを恐れず相手のレシーブを崩す強いサーブを!
もう1点の課題がサーブで相手を崩せていない事です。
正直日本の高さではまともにセッターにレシーブが帰ってしまうようなサーブではブロックでシャットアウトする事もひっかける事も難しくなってしまいます。やはり強いサーブを打ってレシーブを崩さなければなりません。日本チームのサーブ権の時にポイントをブレイクしなければ試合には絶対勝てないのですから。
サーブミスを怖がるあまりに優しいサーブばかりになってしまっては、逆に相手にどうぞ点を取ってくださいと言っているのと同じです。リスクを覚悟でポイントに繋がるようなサーブを打っていかなければいけないでしょう。
確かにサーブミスはイメージ悪いですよね。選手としては嫌がるのも理解はできます。しかし勝つためにはサーブミスを恐れずに攻めたサーブで勝負してほしいです。リスク無くして勝利無しという事ですね。
天王山は最終日のオランダ戦。イタリア戦は厳しいか?ドミニカも侮れず
最後に残り3試合の展望を少しだけ。
5月20日(金)に対戦するドミニカ共和国はここまでまさかの4戦全敗。ほぼリオ行きの可能性は無くなったと言ってもいいでしょう。モチベーションもかなり低くなっているはずです。しかし間違いなく力はあるチームです。世界ランクは日本に次ぐ7位。イタリアやオランダよりも高いのです。ひとつ歯車がかみ合い始めれば予断を許さない試合になる事は間違いないです。全敗チームだからと言って全く油断はできない相手です。出来ればこのまま眠っていてほしいものですね。
21日(土)に対戦予定のイタリアは間違いなくこの最終予選で最強の相手です。おまけに日本が最も苦手とする相手です。速さ、強さ、巧さを全て兼ね備えている日本の天敵です。正直言って個人的にはこのチームには勝てる気がしないです。ロシアや中国、アメリカ、ブラジルといった世界最強チームたち以上に日本にとっては強敵と言ってもいいです。それくらい日本はイタリアとの相性が悪いです。何とか食らいついていってほしいですね。負けるにしてもフルセットまでもつれこませて勝ち点1は奪いたいところです。
22日(日)の最終戦がヨーロッパ2位のオランダ。イタリアがヨーロッパ3位なのでこのチームの強さが分かってもらえると思います。ここが天王山でしょう。全てを出し切って戦ってほしいですね。オランダも強いですが、イタリアに比べると穴があるチームです。大型選手が多いので高さとパワーはイタリア以上ですが、脆さもあります。粘り強く拾って、サーブで崩せば勝機はあると思います。ポイントになるのはやはりサーブレシーブの安定といかにサーブで崩すかというところですね。
5勝2敗がこの最終予選突破のボーダーラインだと踏んでいますが、そこを突破するためにはイタリアかオランダどちらかのヨーロッパ勢に勝たなければなりません。
韓国戦、タイ戦と課題ばかりが目立つ結果となりましたが、1日の休養を挟んで必ずや立て直してくることを期待しています。前回五輪銅メダルチームがこんなところで負けているわけにはいきません。金曜日からの3連戦も全力で応援したいと思います。
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