この記事ではリオオリンピック全日本女子バレーチーム「火の鳥ニッポン」メンバーをご紹介します。
ウイングスパイカー(セッター対角、レセプション担当)については、こちらの記事をご覧ください。
リオ五輪全日本女子バレー火の鳥ジャパン選手紹介 木村沙織、長岡望悠、石井優希等ウイングスパイカー編
セッター 宮下遥は伝説の全日本セッター・竹下、中田の後継者になれるか?
宮下遥(みやしたはるか)
生年月日 :1994年9月1日生まれの21歳
出 身 地:三重県桑名市
身 長:177cm
体 重:58kg
血 液 型:B型
所属チーム:岡山シーガルズ
出 身 校:大阪国際滝井高校
間違いなく今後の全日本の要となるセッターです。オリンピックはこのリオが初出場となります。
最も育てるのが難しいといわれているバレーボールのポジションがセッターです。ロンドンで日本が銅メダルを獲った時には竹下佳江という世界一の名セッターがいました。その前には中田久美というレジェンドも存在していましたね。日本が強い時には必ずその陰には名セッターがいます。その意味でもセッターは重要です。チームの攻撃のタクトを振る指揮者のようなものですから。竹下無き後の全日本にもようやくその後継者が現れました。それがこの宮下遥です。
正直、技術的にはもちろんまだまだ竹下と比べるのは酷というものでしょう。それに竹下とはタイプが違います。竹下がトスに特化したセッターだったのに対して、トス技術では宮下はまだまだ竹下には及ばないと思います。
しかし宮下には竹下には無い武器があります。彼女は中学時代はアタッカーでもあったため、攻撃力に秀でています。身長も177㎝と日本人セッターの中ではかなりの大柄であり、前衛にいてもブロックの穴にはなりません。逆にブロックポイントが大きく期待できます。
昨年のワールドカップでは素晴らしい活躍を見せた宮下遥選手ですが、5月の最終予選では見ているこちらにもわかるほどに緊張していました。それはそうでしょう。負ければオリンピックの道が閉ざされるという大一番なのです。海千山千の選手たちでも緊張する場面を経験できたのは非常に大きな財産になったはずです。
宮下選手は強気な性格も魅力です。決めて当然と言われるツーアタックをミスを恐れずに果敢に仕掛けるその強気な姿勢はかつての名セッター・中田久美を彷彿とさせますね。リオ本番ではスタメンセッターとして起用される事が予想される宮下遥。日本に現れた待望の大型セッターが飛躍を遂げるのにはこれ以上ない舞台ですね。
田代佳奈美(たしろかなみ)
生年月日 :1991年3月25日生まれの25歳
出 身 地:滋賀県栗東市
身 長:173cm
体 重:70kg
血 液 型:O型
所属チーム:東レ・アローズ
出 身 校:古川学園高校
宮下とともに全日本のセッターに選ばれたのが田代佳奈美選手です。これまでは全日本ではあまり馴染みの無かった田代選手ですが、高校時代から春高バレーやユース、アンダーカテゴリーの国際大会などで脚光を浴びていた注目選手です。世界最終予選で招集され、最終戦のオランダ戦では変幻自在のトス回しで見事強豪オランダを破る原動力となりました。
そのルックスからアイドル的な人気を誇る人気選手でもある田代選手ですが、強豪久光製薬の正セッターでワールドカップでも活躍した古藤選手を押しのけて代表入りするくらいですからそのセッターとしての能力は高く評価されています。
実際に最終予選での活躍によって、6月に行われたワールドグランプリではスタメンで起用され、素晴らしいプレーを披露しています。
リオオリンピックでの正セッターは宮下遥か田代佳奈美か?という、真鍋監督にとっては非常に嬉しい悩みが増えてしまいましたね。
スタメンは宮下選手でいくかもしれませんが、宮下選手のトスが乱れたり、試合の流れが悪くなれば必ず出番が回ってくるでしょう。チームにとっては、試合の流れを変えなければならない非常に重要なポジションです。試合展開が厳しかったり、チームを立て直さなければならない場面での起用になりますので、非常に緊迫した場面での登場が予想される田代選手。持ち前のガッツでリオ切符を掴んでほしいですね。
ミドルブロッカー(センター) ここ最近の日本のウイークポイントだが、鉄腕絵里香の復帰で解消されるか?
ロンドンでの銅メダル獲得以降、不動のミドルブロッカーだった荒木絵里香が結婚・産休で休養し、大友愛が引退してしまい、層の薄さが嘆かれていた全日本女子のミドルブロッカー陣。その層の薄さゆえに、一時はミドルブロッカーを起用しない「ハイブリッド6」という新戦術まで編み出した真鍋正義監督でしたが、リオオリンピック本番ではミドルブロッカー2枚を入れるオーソドックスな戦術で行きそうです。
荒木絵里香(あらきえりか)
生年月日 :1984年8月3日生まれの32歳
出 身 地:岡山県倉敷市
身 長:186cm
体 重:79kg
血 液 型:O型
所属チーム:上尾メディックス
出 身 校:成徳学園高校(現・下北沢成徳高校)
ロンドンオリンピック後数年来の全日本の課題であったミドルブロッカーの層の薄さを解消してくれるのがこの「鉄腕エリカ」こと荒木絵里香です。オリンピック出場は北京大会、ロンドン大会に続いて3大会連続となります。
説明不要なほどの全日本の看板選手が結婚・出産を経てようやく全日本に戻ってきてくれました。その実力に関しても殆ど説明不要でしょう。そのパワフルなスパイクと外国人選手の強烈なスパイクをいとも簡単にシャットアウトしてしまう日本一のブロック力が彼女の唯一無二の武器です。
全日本に本格復帰していきなりの最終予選では、不動のスタメンとしてアタック、ブロックと流石といえるプレーを見せてくれました。間違いなくリオでは不動のスタメンミドルブロッカーとして立ちはだかり、相手チームをシャットアウトしてくれるでしょう。
荒木の復帰によってミドルブロッカー2枚のうち1枚は決まったといってもいいかもしれません。真鍋監督としては待望の復帰だったでしょうね。
鉄腕エリカが再び日本を再びオリンピックメダル獲得へと導いてくれることを信じてやみません。
山口舞(やまぐちまい)
生年月日 :1983年7月3日生まれの33歳
出 身 地:三重県志摩郡志摩町
身 長:176cm
体 重:62kg
血 液 型:O型
所属チーム:岡山シーガルズ
出 身 校:大阪国際滝井高校
ミドルブロッカー、ウイングスパイカーのどちらでもこなせる攻撃のスペシャリストぶりがこの山口舞選手の最大の魅力です。前回ロンドンオリンピック銅メダリストのメンバーであり、五輪出場は2大会連続となります。
ロンドンオリンピック銅メダルメンバーでもあり、その多種多様なアタックは全日本に欠かせない選手と言ってもいい存在です。今年7月には33歳を迎えたチーム一のベテラン選手ながら、そのスピードや技術には一切衰えはありません。それどころか円熟味を増しているほどです。
その卓越した技術、どんな時でもきっちり仕事をしてくれる安定感は、まさにいぶし銀と言う言葉がピッタリ。同じくロンドンメダリストの荒木絵里香が闘志でチームを引っ張るタイプだとすれば、この山口舞はプレーと冷静さでチームに安心感をもたらしてくれる存在です。
彼女は特に海外の強豪国からの評価が高い事でも有名です。あまりにトリッキー且つ俊敏でスピーディーなその動きは「NINJA(忍者)」と呼ばれて恐れられているほどです。今大会でもあらゆる場面でその優れたアタック能力を見せてくれるほどでしょう。これほど計算できる選手もそうそういませんよね。
年齢的には恐らく最後のオリンピックになるであろうリオ五輪。2大会連続メダルのためには頼れるベテランの力は欠かせないでしょう。
島村春世(しまむらはるよ)
生年月日 :1992年3月4日生まれの24歳
出 身 地:神奈川県鎌倉市
身 長:182cm
体 重:73kg
血 液 型:O型
所属チーム:NECレッドロケッツ
出 身 校:川崎市立橘高校
彼女も昨年の2015ワールドカップで本格的な国際舞台に表れた超新星です。日本のミドルブロッカーの将来を担う存在であるといってもいいでしょう。荒木選手が産休から復帰しても全日本メンバーから外れなかったという事がこの選手の能力の高さ、そして将来性を物語っていると思います。オリンピックは初出場となります。
荒木絵里香、山口舞というレジェンド級選手はメンバー入りほぼ確実と見られていた中で、ミドルブロッカーの残り1枠を争ったのが、かつての全日本男子の名センター、大竹秀之氏の娘であり、デンソー・エアリービーズ所属の大竹里歩選手とこの島村選手。
どちらも素晴らしい選手ですが、リオ本番では最終予選に続いてこの島村春世選手が選ばれる事となりました。
彼女の最大の武器はサーブです。これは日本のミドルブロッカーの中でもずば抜けているかもしれません。
日本だけに限らず、世界的に見てもミドルブロッカーという選手のサーブはあまり強くありません。どちらかというと、入れるだけの選手が多いです。しかしこの島村選手のサーブは相手のレセプションを崩してポイントにつなげる事の出来るサーブです。
荒木選手とともにミドルブロッカーとして先発出場が予想される島村選手。帰ってきた荒木選手と組むセンターラインは今や決して海外の強豪にも引けを取らないものとなったといえるでしょう。
リベロ 日本の堅守を支える守備の要 佐野優子に代わる新守護神候補は佐藤あり紗が一番手か?
アタックする事は許されず、ただひたすら守備専門でコートで拾いまくるリベロ。
ロンドンオリンピック銅メダルという快挙は、間違いなく世界一のリベロであった佐野優子無くして有り得ないものでした。しかしそんな佐野選手も引退。セッター竹下佳江の後継者とリベロ佐野優子の後継者はリオでのメダル獲得のためには必須ともいえる懸案事項です。
佐藤あり紗(さとうありさ)
生年月日 :1989年7月18日生まれの26歳
出 身 地:宮城県仙台市
身 長:164cm
体 重:52kg
血 液 型:A型
所属チーム:日立リヴァーレ
出 身 校:古川学園高校
ポスト佐野優子の一番手と目されているのが、日立リヴァーレに所属する佐藤あり紗選手です。オリンピックは初出場です。
2013年に全日本に初選出されると、その年のグラチャン(ワールドグランドチャンピオンズカップ)ではベストリベロに輝くなど一躍脚光を浴びました。残念ながら昨年のワールドカップには招集されませんでしたが、最終予選では見事全日本に帰ってきてくれました。美人選手として知られており、全日本メンバーの中でも人気はひときわ高いものがあります。
最終予選ではレセプションを崩される場面が目立つなど、非常に悔しい部分もあったであろう佐藤あり紗選手。本番ではその悔しさを見事に晴らす活躍を期待したいものです。
日立リヴァーレ躍進の中心選手でもあり、今がまさに絶好調といった感さえある佐藤あり紗選手。どうしても見る人たちは日本のリベロと言えば佐野優子選手を思い浮かべてしまいますが、周囲の雑音を気にせずに自分のプレーをしてほしいですね。それだけの力を持った選手ですからね。
座安琴希(ざやすことき)
生年月日 :1990年1月11日生まれの26歳
出 身 地:沖縄県うるま市
身 長:159cm
体 重:60kg
血 液 型:A型
所属チーム:久光製薬スプリングス
出 身 校:中部商業高校
火の鳥ジャパン常連の日本を代表するリベロプレーヤーです。座安選手の持ち味は何といってもそのガッツあふれるプレー。どんなボールでも諦めることなく追いかけるその姿勢は、戦うチームの士気を鼓舞するのに十分です。久光製薬でも全日本でも常に座安選手の前に立ちはだかっていた憧れでもあり、大きな壁でもあった佐野優子という大きな存在。彼女は自分なりのリベロ像で佐野選手に着実に近づいています。ロンドンオリンピックでは残念ながら選外となり、今回のリオが初出場となります。
リオへの切符をかけた最終予選ではウイングスパイカー登録で出場。守備に特化したプレイヤーとして、リベロとともに日本の守備力アップに大きく貢献しました。
今回のリオオリンピックでは、本職であるリベロ登録での出場であり、いつものガッツ溢れる気迫のレシーブが見られる事でしょう。佐藤あり紗選手との正リベロ争いはどうなるかわからない程熾烈を極めるでしょうが、どちらの選手も甲乙つけがたい守備の持ち主なので、お互い切磋琢磨して本番を迎えてくれればと思います。
元々はセッターだった座安選手は非常に使い勝手の良い存在と言えます。セッターがディグの時にしっかりトスを上げれるというのは非常に貴重ですよね。今回も心を揺さぶるような魂のレシーブを見せてほしいですね。
コメント