いよいよ始まるリオオリンピック。
見事にリオオリンピック出場を決めた全日本女子バレー「火の鳥ニッポン」は、開幕直後の8月6日(土)予選プールAの韓国戦で熱戦の火ぶたを切ります。
前回ロンドンオリンピックでは中国、韓国と言ったアジアのライバルたちを撃破し、見事に銅メダルを獲得した全日本女子バレ―チーム。今回のリオデジャネイロ五輪では2大会連続のメダル、そして前回銅メダル以上の成績を目指します。
そんな選ばれし12人の火の鳥ジャパンの選手たちをご紹介したいと思います。
セッター、ミドルブロッカー、リベロについてはこちらの記事をご覧ください。
リオ五輪全日本女子バレー火の鳥ジャパン選手紹介 宮下遥、荒木絵里香、山口舞等セッター、センター、リベロ編
ウイングスパイカー(セッター対角、レセプション免除) 新世代のスーパーエース、長岡望悠の爆発に期待
まずは現代バレーではチームの点取り屋が入る事の多い、セッター対角の選手から。このポジションはチーム事情によって役割が様々ですが、現在主流となっているのは、このポジションの選手はサーブレシーブに関与せずに攻撃に専念する事が求められているという事です。オポジットとかスーパーエースと呼ばれる事もありますね。
日本代表も概ねサーブレシーブはリベロとレフト2人の計3人で担当するのが基本戦術であり、このセッター対角のウイングスパイカーは得点を取る事を求められます。レシーブが乱れた二段トスなどもここの選手がスパイクする事が多くなり、文字通り困った時に打たなければならない宿命のポジションでもあります。
長岡望悠(ながおかみゆ) 真鍋ジャパンの大砲であり、新エース
生年月日 :1991年7月25日生まれの25歳
出 身 地:福岡県山川町
身 長:179cm
体 重:64kg
血 液 型:A型
所属チーム:久光製薬スプリングス
出 身 校:東九州龍谷高校
昨年のバレーボールワールドカップ2015で大ブレイクした日本の若き大砲です。身長は179cmとこのポジションの中では小柄な部類ですが、そのフィジカルを生かしたジャンプ力で相手のブロックを打ち破ります。オリンピックは初出場となります。
恐らくこの最終予選でのセッター対角(ライト)はよほどのことがない限り長岡で行くことになるでしょう。それほど現在の日本のこのポジションの選手では抜けているともいえますね。昨年一昨年と二連覇するなどすっかりVプレミアリーグの強豪となった、所属先の久光製薬スプリングでも不動のエースとして君臨し、昨年はワールドカップで世界にも通用する事を証明しました。苦しい状況での二段トスを面白いように海外の強豪国のコートに叩きつけていましたね。
最終予選でもセッター対角で出場し、火の鳥NIPPONのリオオリンピック出場に貢献しました。序盤はなかなか動きの堅さも見えましたが、プレッシャーに慣れてきた後半からは本来のキレのあるスパイクが戻ってきましたね。
サウスポーから繰り出すそのスパイクはまさに美しいの一語に尽きますね。ワールドカップでサーブランキング2位に入るなど、サーブからの得点力も大きな魅力です。個人的に大好きな選手ですね。ショートカットでボーイッシュなそのキャラクターから女性人気が高い選手です。このリオオリンピックで更なる高みに達する事の出来る可能性を秘めた選手です。
リオオリンピックでも恐らくセッター対角としてレセプション免除の攻撃のスペシャリストとしてスタメンで使われる事となるでしょう。日本の新エースが世界を驚かせる日はすぐそこです。
迫田さおり(さこださおり) バックアタックが代名詞の韓国キラー
生年月日 :1987年12月18日生まれの28歳
出 身 地:鹿児島県鹿児島市
身 長:175cm
体 重:64kg
血 液 型:A型
所属チーム:東レアローズ
出 身 校:鹿児島西高校
バックアタックと言えばこの人!と言ってもいいほどの選手ですね。ロンドンオリンピックでは銅メダルを決める3位決定戦で大活躍してその名を日本中に轟かせました。身長は低いのですが、とにかくフィジカルが凄いんです。体が全身バネと言ってもいいほどの跳躍力であり、そのバックアタックは美しいの一語に尽きます。ロンドンオリンピックに続いて2度目の五輪となります。
ロンドン以降は不振に陥ったりして全日本でも控えに回る事が多くなっていますが、眞鍋監督は五輪本番の大舞台で迫田の勝負強さと経験に賭けて、同ポジションの江畑幸子を落としてまでもこの迫田をメンバー入りさせました。恐らくリオオリンピックではレセプション免除のセッター対角で起用される事が多くなることと思います。
実際に江畑幸子との日本代表争いはし烈を極めました。オリンピック前最後の国際大会であるワールドグランプリでも江畑を招集し、迫田とギリギリまで代表争いに加わりました。結局真鍋監督は苦渋の決断として迫田を残したのですが、その大きな原因は迫田の「韓国キラー」ぶりも大きな要因だと思います。
迫田と言えば韓国戦!というほど迫田さおりの韓国戦での活躍は神がかっています。4年前のロンドンオリンピックの銅メダルをかけた3位決定戦では、まさに鬼神の如き活躍で、「迫田無双」状態でした(笑)。韓国チームが最も恐れているのは間違いなくこの迫田さおりでしょう。
リオオリンピックの女子バレー日本代表は、初戦がいきなり韓国戦で開幕します。大会の流れを決めるいきなりの大一番です。ここで迫田がいつもの韓国に対する相性の良さを発揮できて勝つことが出来れば、ただの1勝以上の価値のある勝利となるでしょう。いってみれば、迫田さおりがリオでの日本の命運を握っているのかもしれません。
ウイングスパイカー(レフト、レセプション参加) 最後の五輪に賭けるエース・木村沙織と次世代エースの石井優希・鍋谷友理枝
ここではウイングスパイカーの中でもレセプション(サーブレシーブ)に参加する選手をご紹介します。攻撃力だけでなく、安定した守備力も求められる攻守の要のポジションですね。レセプションの安定を就任からのテーマとして挙げてきた真鍋正義監督率いる火の鳥ジャパンでは肝となるポジションでもあります。
木村沙織(きむらさおり) 小指のケガの回復は?女子バレー初の4大会連続出場
生年月日 :1986年8月19日生まれの29歳
出 身 地:埼玉県八潮市
身 長:185cm
体 重:68kg
血 液 型:O型
所属チーム:東レアローズ
出 身 校:成徳学園高校(現・下北沢成徳高校)
ご存知「さおりん」。2003年に高校生で全日本デビューした木村沙織ももう29歳ですか、早いものですね(遠い目)。10年以上も全日本のエースとして日本バレー界の象徴だった彼女も今回が恐らく最後のオリンピックになるはずです。
サオリンの初オリンピックは2004年のアテネオリンピック。当時まだ高校三年生でした。そして北京、ロンドンと出場し、今回のリオで4大会連続出場。この記録は、長きに渡る日本女子バレー界でも史上初の快挙です。
彼女の凄さはいくつもあるのですが、個人的に思う凄さはその「ユーティリティ」。とにかく何でもこなしてしまう選手です。しかも恐ろしく高いレベルで。レセプションをきっちりこなしながら攻撃でもエースとして働く。こんなことが出来る選手が世界に何人いるでしょうか。しかも木村ほどの高レベルでこなせる選手が。
正直この選手がいなくなったら日本女子バレーはどうなってしまうんだろうと思っています。それだけの選手ですね。まさに替えの効かない存在なのです。攻守両面での中心なのですから。
そんな木村沙織ですが、リオの切符を掴んだ世界最終予選の韓国戦で小指をケガしてしまい、最終予選後に行われたワールドグランプリは全戦欠場を余儀なくされてしまいました。
一時期はリオオリンピック開幕戦の韓国戦は欠場か?なんてニュースも出ましたが、ケガの回復具合が非常に気になるところです。
この木村沙織無くしてオリンピック連続メダル獲得などとても考えられません。不死鳥のように蘇って躍動する木村沙織の姿をリオで見られるように祈るしかないですね。
石井優希(いしいゆき)
生年月日 :1991年5月8日生まれの25歳
出 身 地:岡山県倉敷市
身 長:180cm
体 重:68kg
血 液 型:A型
所属チーム:久光製薬スプリングス
出 身 校:就実高校
全日本のこれからを担うといわれている次のエース候補。オリンピックはリオが初出場となります。
全日本のWS(ウイングスパイカー)でも攻撃力においては木村選手や古賀選手などにも引けを取らない選手がこの石井優希選手です。同じく日本代表でもある同学年で仲の良い長岡選手とは所属先の久光製薬でも同僚であり、攻撃の中心としてチームを引っ張る存在です。
しかし全日本では昨年のワールドカップで大ブレイクした長岡選手には少し水を開けられてしまった格好になっています。その原因はレセプションの不安でしょう。所属チームではそうでもないのですが、全日本になると守備力に不安があるために控えに回る事が多くなってしまっているのが現状です。ただし攻撃力は全日本メンバーの中でも引けは取っていません。持ち味は何といっても全日本の中でもナンバーワンと言われるそのパワー。パワーを生かしたスパイク力は勿論ですが、サーブやブロックも素晴らしく、貴重な得点源になれる選手です。
最終予選では序盤は途中出場が多かったものの、中盤からは不調の古賀紗理奈の穴を埋める大活躍を見せました。間違いなく最終予選影のMVPと言ってもいい働きでしたね。結局、次世代全日本の中心選手と期待されていた古賀紗理奈リオメンバーから落選。石井は代表入りを果たしました。
世界最終予選の中で、石井優希が十分に世界で通用するという事が分かったのは大きな発見でした。リオ本番で木村沙織のケガの具合によってはレギュラーを奪ってしまう可能性もあります。
長岡や迫田の出来次第ではその得点力を生かしてレセプション免除のセッター対角に入る事もあるかもしれませんね。とにかく初の五輪ではパワーで決めまくって欲しいですね。
鍋谷友理枝(なべやゆりえ)
生年月日 :1993年12月15日生まれの22歳
出 身 地:神奈川県川崎市
身 長:176cm
体 重:55kg
所属チーム:デンソー・エアリービーズ
出 身 校:東九州龍谷高校
昨年のワールドカップと世界最終予選で控えながら国際舞台で輝いたのがこの鍋谷友理枝選手です。オリンピックはリオデジャネイロが初出場となります。
ワールドカップ、最終予選では主にピンチサーバーでの起用でしたが、サーバーとしての活躍ももちろんですが、わたしの目に焼き付いたのはその気迫あふれるレシーブです。本当に素晴らしいレシーブでしたね。この選手も木村選手や古賀選手と同じく、非常にユーティリティに溢れた選手です。器用なのは当然かもしれません。なんと所属先のデンソーではセッターだったこともあった選手なのです。レシーブが乱れた時の二段トスなどでも計算できる選手ですね。こういう選手は監督としては是非とも一人はいれておきたい選手であろう事は想像に難くありません。
リオの全日本メンバー選出では、石井優希選手、古賀紗理奈選手、内瀬戸真美選手らとウイングスパイカーの座を争いましたが、鍋谷選手が選ばれたのは、そのユーティリティ性に加えて、ピンチサーバーとして得点源になれると期待されてのものだと思います。
惜しくもリオオリンピックのメンバーから外れたミドルブロッカーの大竹里歩選手はデンソーの同僚であり、同学年の親友であり、高校バレー時代の宿命のライバルでもあります。無念の落選だった大竹選手の分まで鍋谷選手にはリオで大暴れしてほしいですね。
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