ロンドン五輪、リオ五輪とオリンピックで2大会連続メダルを獲得した女子卓球日本代表。
リオでは高校1年生・15歳(当時)の伊藤美誠(いとうみま)が代表入りして団体銅メダル獲得に大きく貢献しました。同学年の平野美宇(ひらのみう)は惜しくもあと一歩で代表入りを逃しましたがリザーブメンバーとしてリオに帯同し、五輪後には日本人として史上初のワールドカップ優勝を果たし、平成28年度の全日本選手権では女王・石川佳純を決勝で降して史上最年少で初優勝を成し遂げました。
そんな高校一年生の「みうみまペア」と同学年にもう一人将来を嘱望されている超大型選手がいる事をご存知でしょうか。
平野美宇、伊藤美誠とともに「卓球黄金世代」と呼ばれている世代の注目株こそ、ここでご紹介する早田ひな選手なのです。
希望が丘高校に在籍する早田(はやた)ひな選手のプロフィール
生年月日 :2000年7月7日生まれの16歳
出 身 地:福岡県北九州市
効 き 腕:左
身 長:165cm
在 学 校:希望が丘高校
グリップ :シェークハンド
使用ラバー:表裏ともに裏ソフト
タ イ プ:ドライブ攻撃型
世界ランク:23位(2017年1月時点)
卓球では左利きですが、普段の生活などは右利きであるという早田ひな選手。左シェークの裏裏ドライブ型といえば、日本のエース・石川佳純選手と同じですね。
所属は地元福岡県の希望が丘高校。コーチは早田選手が卓球を始めた石田卓球クラブでもコーチをしていた石田大輔さんが務めています。
身長は165cm。まだ高校1年生である事を考えればまだまだ伸びる可能性は十分です。同学年の平野美宇選手は158cmで伊藤美誠選手が153cmであることを考えるとフィジカル的にはかなり恵まれているといえますね。まさに日本に久々に現れた大型選手であり、日本には数少ないパワードライバーになれる素質と可能性を秘めている存在なのです。
平野美宇、伊藤美誠とともにアンダーカテゴリーで打倒中国を成し遂げてきた超大物
早田ひな選手は中間東中学校時代に全中で2年連続優勝を飾るなど、早くから次世代の日本代表のエースとなる逸材であると期待される存在でした。
卓球女子の有力選手といえば、卓球一家で育った幼少時からの英才教育を受けた選手が多いですよね。福原愛選手や石川佳純選手、みうみまなど有名選手になるほどそういう選手が多い傾向が見られます。
しかしこの早田選手に関しては、卓球を始めたのは4歳と早かったのですが、両親を初めとする家族は卓球未経験者です。現在コーチを務める石田大輔コーチの実家である石田卓球クラブで実力を蓄えて頭角を現してきた選手なのです。
平野美宇・伊藤美誠とは早くから国際大会で一緒に活躍しており、2014アジアジュニアの女子カデット団体や2016世界ジュニア女子団体などでともに中国を破っているメンバーでもあります。
アンダーカテゴリーで何度も中国選手を破っている事から、この世代には中国選手に対する過剰な苦手意識やアレルギーが少ないといわれており、その経験は国際大会でこれから打倒中国を目指していくうえではこの上ないほどの武器となるでしょう。
この早田ひな選手ももちろんそうであり、史上最年少でのITTFワールドツアー決勝進出の記録の持ち主で、昨年2016年には悲願のワールドツアー初優勝をオーストラリアOPで飾っています。さらに2016年のツアーファイナルではU21カテゴリーで女子シングルス、女子ダブルスの二冠を達成。この記録は石川佳純やみうみまも達成できなかった日本女子史上初の快挙でもあります。
その実力は既にジュニアレベルにはなく、今年2017年はより一層の飛躍が大いに期待されている選手なのです。
165cmの長身を生かしたパワードライブが武器 日本待望の中陣ドライブ型
プロフィールの項でも述べたように、早田ひな選手は現在身長が165cm。現在の日本女子卓球界ではかなり高身長の部類に入る選手です。
身長の高さも勿論ですが、手足も長く日本人離れした体型の持ち主といえます。反射神経やボールタッチなども天性の才能に負う部分が大きい要素ですが、体格というのはこれはもう持って生まれた天賦の才という以外にありません。体幹の強さや筋力などは鍛えれば後天的に伸ばせますが、身長やリーチの長さは努力でどうにもならないものです。
そういう意味では高身長・長いリーチを持つ早田選手はそれだけで一つの大きな武器を生まれながらに備えているといってもいいでしょう。リーチの長さは当然守備範囲の広さに繋がります。足の長さも歩幅の大きさゆえのフットワーク面で大きな武器となるのは間違いありません。
リオ五輪の中国女子シングルス代表の丁寧(ていねい/ディンニン)、李暁霞(りぎょうか/リシャオシャ)や、中国選手以外で世界ランキング最高位を石川佳純とともに占めていたシンガポールの馮天薇(フォン・ティエンウェイ)などを見ても分かるように、アジア系女子選手のランキング上位選手は身長が高い選手が多いです。ヨーロッパの女子選手はアジア以上に高身長選手が多いですね。まあそれは逆に世界的に見れば小柄な石川佳純、福原愛、伊藤美誠、平野美宇らがいかに凄いかの裏返しでもあるわけですが・・
とにかく男子と同様に、女子選手も恵まれた体格を生かして中陣からパワフルなドライブで攻撃する選手が増えてきています。
その意味では中陣から強烈なフォアハンド・バックハンドを駆使して相手守備を打ち破る早田ひな選手は、色々な意味で規格外な選手であり、だからこそ日本卓球界で最も期待される存在の一人でもあるのです。
目標であり尊敬する選手・五輪、世界選手権、W杯の大満貫を達成した中国・丁寧(ていねい)
早田選手が目標としている憧れの存在が現在世界ランキング1位の中国・丁寧選手です。
丁寧選手といえば、リオオリンピックの女子シングルス金メダリストであり、世界選手権、ワールドカップという世界三大タイトル全て(中国でいう大満貫“だいまんがん”)を獲得している現在世界一の卓球界のレジェンドです。
左利きの裏裏ドライブ型で長身から女子選手とは思えないほどのパワフルなドライブやスマッシュを武器にしている、まさに早田ひな選手がモデルとするべき理想形の選手といえるでしょう。そんな早田選手は丁寧選手と直に話す機会があった時に、丁寧選手本人から「わたしを超えてね」という言葉も貰ったことがあるそうです。中国ナショナルチームの他選手が口を揃えて「いい人」と評するほど性格の良い丁寧選手らしい逸話です。
そんな丁寧選手のようになるために早田選手に最も必要なのが、やはりパワーでしょう。世界一ともいわれる中国の中でも史上最強のパワードライバーとの呼び声高い丁寧選手のパワーと比べるのはいささか気の毒な気もしますが(汗)、目標は高いに越したことはありません。丁寧の域に達する可能性を秘めた選手であれば尚更です。これは食生活や普段のトレーニングなどの積み重ねでしょう。まだ16歳。これからしっかりとした管理と鍛錬をして体が出来上がってくれば自ずとパワーもついてくるはずです。
中陣でドライブ勝負を挑むのであればパワーとともにスタミナも必須です。ラリー戦ではより多くのパワーを消費し、運動量も前陣で戦うのとは比べ物にならない程を必要とします。これもフィジカル強化で自然と克服できてくるはずです。
チキータなどのレシーブ技術やサーブの威力向上、台上技術などの細かな技術的な部分も年々レベルアップしてきていますし、何よりもこの選手の卓球が完成したらどんな選手になるんだろう??という期待感の方が圧倒的に現状の課題よりも大きいですね。
「みまひなペア」で世界を制する?新コンビ誕生で黄金世代の力を示す世界卓球2017
5月に開幕する世界卓球ドイツ大会では惜しくもシングルス出場の5選手には選ばれなかった早田ひな選手ですが、女子ダブルス出場選手として選出されました。
世界選手権でペアを組むことになったのが、黄金世代の一人、伊藤美誠選手。長らく卓球ファンの間ではコンビ結成が切望されていた待望のタッグ実現です。
伊藤美誠選手のダブルスといえば、平野美宇選手と組んだみうみまや福原愛選手と組んだリオ五輪仕様のコンビが印象的かもしれませんが、このコンビはどちらも右利き同士の組み合わせです。
卓球のダブルスの利き腕の理想の組み合わせは右利き選手と左利き選手というのがセオリーとなっていますし、圧倒的に右と左という組み合わせが多いというのが実情です。つまり、左利きの早田選手と組むことで伊藤選手はより一層ダブルスで真価を発揮する可能性が高いといえるでしょう。早田選手は浜本由惟(ゆい)選手とのコンビでグランドファイナルU21女子ダブルス優勝、加藤美優(みゆ)選手とのダブルスでワールドツアー準優勝を果たしているようにダブルスでの実績も豊富です。
もう一組の右左ペアである石川佳純・平野美宇ペアとともに、世界卓球2017ではシングルス以上に活躍が期待できるのがこの女子ダブルスであるのではないでしょうか。
伊藤美誠選手が「みまひな」と名付けたように、世界選手権後は「みうみま」よりもこの「みまひな」のコンビ名の方が有名になっているかもしれませんね。
これまで平野早矢香、福原愛、石川佳純と続いてきた日本女子卓球界のエースの系譜は間違いなくこの早田ひな選手ら黄金世代に受け継がれていく事となるでしょう。
前陣でスピード勝負できる伊藤美誠、平野美宇に加えて中陣でドライブ勝負に持ち込める早田ひな。
日本女子卓球界の未来は果てしなく明るい光で照らされているといったら言い過ぎでしょうか。
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