ワールドカップ出場国が現行の32ヵ国となり、4チームづつ8グループに分けてグループリーグを行って各組の上位2カ国が決勝トーナメントに進出できるというシステムとなったのが1998年のフランスワールドカップから。
そのフランス大会から6大会連続出場中の日本代表ですが、毎回のようにいわれるのが初戦(第1戦)の大切さ。第1戦を勝つか負けるかでは、予選突破か敗退かを決定付ける程の天と地ほどの差があると毎大会のようにメディアは喧伝していますよね。
というわけで、ここでは現行の予選&決勝トーナメントシステムとなったフランスワールドカップから直近のブラジルW杯までの予選における第1試合の全データからこの説を紐解いてみたいと思います。
グループリーグ初戦に勝利したチーム(国)の全予選結果と勝率
早速参りましょうか。まずはグループリーグの初戦に勝利した場合から。フランスW杯以降、グループリーグ初戦で勝利したチームはのべ60チーム存在します。その第1戦を勝利した60チームの決勝トーナメント進出の可否が以下の通りとなります。
グループリーグ初戦〇(勝利)の場合
グループリーグ突破 51チーム
グループリーグ敗退 9チーム
決勝トーナメント進出確率=85%
まあ予想はしてましたが、やはり初戦勝利での予選突破確率は相当高いものがあります。初戦勝利で予選敗退したチームは1大会につき2チーム弱しか存在しないという低き確率となっています。初戦勝利至上主義を裏付けるデータといえるでしょう。やはり勝利で得られる勝ち点3は大きいですよね。
グループリーグ初戦で引き分けたチーム(国)の全予選結果と勝率
さて、続きましては引き分けの場合。明らかに実力で劣る方のチームは強豪との試合は引き分けでもOKというような戦いをする事もワールドカップでは珍しい事ではありません。勝利に越したことはありませんが、ワールドカップ初戦における引き分けという結果はそれほどネガティブなものでもないイメージはありますよね。では、実際には初戦を引き分けたチームはどのような結果となっているのでしょう。初戦で引き分けたチームは全40チーム。ではそのデータを見てみましょう。
グループリーグ初戦△(引き分け)の場合
グループリーグ突破 22チーム
グループリーグ敗退 18チーム
決勝トーナメント進出確率=55%
突破確率は半分をやや上回る55%という結果となっています。ほぼ突破と敗退五分五分という事ですね。この結果だけを見れば、初戦引き分けだったとしても五分以上の確率で予選突破の可能性を残す事が出来るというわけです。こう見てみると、初戦引き分けが決してネガティブなものではないのも頷けますよね。
グループリーグ初戦で敗戦したチーム(国)の全予選結果と勝率・負けて決勝T進出国一覧
W杯における予選初戦における勝利パターンと引き分けパターンでの決勝T進出率を見て来ましたが、最後は衆寡敵せず第一戦に敗れてしまった場合のデータです。勝利したチームと同数の60チームがこの結果に該当するのですが、果たしてその結果やいかに??
グループリーグ初戦●(負け)の場合
グループリーグ突破 7チーム
グループリーグ敗退 53チーム
決勝トーナメント進出確率=約11.7%
第1戦で負けを喫した後に巻き返して決勝トーナメントに駒を進めたのはたったの7チームしかいません。その確率わずか12%足らずという狭き門となっています。この数字を見れば、メディアが初戦の大切さを殊更に強調するのも頷ける話です。ちなみに、予選突破に絶対不利という初戦負けを喫したにも関わらずグループリーグを見事突破したこれら全7チームをご紹介しておきましょう。
開催年 | 勝利国 | 最終結果 |
---|---|---|
2002 | トルコ | 3位 |
2006 | ガーナ | ベスト16 |
2006 | ウクライナ | ベスト8 |
2010 | スペイン | 優勝 |
2014 | ギリシャ | ベスト16 |
2014 | ウルグアイ | ベスト16 |
2014 | アルジェリア | ベスト16 |
2002日韓大会で3位となったトルコは日本を決勝トーナメント初戦で破った国ですよね。2014のギリシャも日本と同グループだったチームです。そして同じく2014ブラジル大会のアルジェリアは、日本にとって因縁(?)のハリルホジッチが率いていたチームです。初戦負けから巻き返して決勝Tに進み、優勝したドイツを決勝トーナメント初戦で最も苦しめたチームとなったのです。
イニエスタの感動的な決勝ゴールで優勝を決めた2010南ア大会のスペインは何と初戦黒星からの優勝だったんですね。ちなみにこの無敵艦隊を初戦で破ったのはスイスでした。
日本代表のFIFAワールドカップにおける全初戦成績と大会トータルの成績
というわけで、最後に日本のこれまでのワールドカップ予選グループにおける初戦成績と大会トータルの成績をご紹介しましょう。
開催年 | 対戦国 | 試合結果 | 大会成績 |
---|---|---|---|
1998 | アルゼンチン | ●0-1 | グループリーグ敗退 |
2002 | ベルギー | △2-2 | ベスト16 |
2006 | オーストラリア | ●1-3 | グループリーグ敗退 |
2010 | カメルーン | 〇1-0 | ベスト16 |
2014 | コートジボワール | ●1-2 | グループリーグ敗退 |
見事なまでのデータ通りとなっています。初戦に敗れた1998、2006、2014の各大会は予選敗退となっており、引き分けた2002と勝利した2010大会は見事にグループリーグを勝ち抜いて決勝トーナメント進出を果たしています。まさに初戦が大会結果をそのまま示しているといってもいい状態となっているのです。
この結果を見れば、メディアが初戦を重要視するのも当然といえるでしょう。ワールドカップは初戦に注目!ですね。
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