8月6日に開幕するリオデジャネイロオリンピックですが、全ての競技の中で、開会式より1日早い8月5日から始まる種目があります。
それがサッカーです。
日本代表は、アジア予選を1位で勝ち抜き、リオ切符を手に入れました。
日本チームは五輪前の抽選会で予選リーグのグループBで戦う事が決定。ここでは試合日程や予選リーグの展望や見どころ、海外のライバル国の分析、そしてテレビ放送予定などをご紹介していきたいと思います。
オリンピックサッカー競技のシステムやルール
まず簡単にオリンピックのサッカー競技の概要を説明します。
参加国は全16チーム。これを4ヵ国づつA~Dの予選グループに分けます。それぞれのグループで総当たりのリーグ戦を行い、成績の良かった上位2チームづつ、全8ヶ国が決勝トーナメントに進むというシステムとなっています。
つまり日本は所属するグループB4チーム中2位以内に入らなければ、その時点で決勝トーナメント進出の道が断たれ、リオを去る事となるのです。
決勝トーナメントに進んだ場合、そこからは負けたら終わりのトーナメント戦になります。
決勝トーナメント1回戦を勝てば準決勝進出が決定(ベスト4)。準決勝で勝てば決勝進出が決まると同時に、銀メダル以上が確定します。準決勝で敗れた場合、敗れたチーム同士が3位決定戦を行い、勝った方が銅メダルを手にする事となります。
ちなみにこのオリンピックサッカー代表には年齢制限が設けられており、23歳以下の選手しか出場できません。しかし特例として、各チーム3選手までは24歳以上の選手を使えるというシステムがあります。これをオーバーエイジ枠といいます。
ですから、どの国も基本的にフル代表とは全く違ったメンバーとなっており、そこがサッカーワールドカップとの大きな違いといえるでしょう。
リオ五輪サッカーの日程とテレビ放送予定
8月5日(金) 10:00~試合開始予定
日本 対 ナイジェリア戦
テレビ放送(LIVE)
8月5日(金) NHK総合 09:45~
テレビ放送(録画)
8月6日(土) NHK総合 0:55~
8月8日(月) 10:00~試合開始予定
日本 対 コロンビア戦
テレビ放送(LIVE)
8月8日(月) フジテレビ 09:40~
NHKBS-1 09:50~
テレビ放送(録画)
8月8日(月) NHKBS-1 19:00~
8月11日(木) 07:00~試合開始予定
日本 対 スウェーデン戦
テレビ放送(LIVE)
8月11日(木)TBS 06:40~
NHKBS-1 06:50~
テレビ放送(録画)
8月11日(木)NHKBS-1 19:00~
放送予定は予告なしに変更される場合があります。念のためテレビ欄などでご確認下さい。なお、決勝トーナメント以降の放送予定に関しては、日本の進出に応じて決定される模様です。
ナイジェリア戦展望と見どころ 組織力で分があり!個人能力はカバーリングで補え
U23日本代表の初戦は、アフリカ大陸予選を1位で勝ち上がってきたナイジェリアとの対戦となります。
日本はアジア予選1位なので、U23世代のアフリカ王者とアジア王者の対戦という事ですね。
最初にハッキリ言っておきますが、この試合は絶対に勝たなければなりません。最悪引き分けでも・・という論調を良く見ますが、正直引き分けでは後が厳しくなるばかりだと思われます。
というのも、個人的には予選グループBの日本の対戦国の中で最も勝ちやすいであろう相手がこのナイジェリアだと考えるからです。
日本は6月に同じくリオオリンピック代表の南アフリカと親善試合を行い、4-1で勝利しています。この南アフリカがアフリカ予選の3位チームであり、当然予選1位のナイジェリアはその南アフリカより強いという事にはなります。
しかしナイジェリアはアフリカ予選を圧倒的な強さで勝ち上がったかというと決してそうではなく、予選リーグなどは苦戦の連続で勝ち上がってきたチームです。南アフリカともチーム力として決して大きな差はないでしょう。
その南アフリカ戦での日本代表は完勝と言ってもいい内容でした。当然親善試合ですし、日本のホームゲームだったというアドバンテージは考慮すべきですが、それを差し引いてもチームとしての力の差は歴然でした。
アフリカのチームというのは、伝統的にチームとして機能していないチームが多いですね。個人の身体能力などはとてもじゃないですが、日本人とは比べ物にならない程凄い選手の宝庫なのですが、チームとしてのまとまりには欠けるという事です。
つまり、日本チームはなるべく1対1の状況を避け、守備では数的有利を保つようカバーリングが重要になりますし、攻撃に移った時には素早く複数の選手が押し上げる事が必要となります。つまり、運動量で相手を圧倒する事が求められるでしょう。
しかしスタミナに関しては日本チームは自信を持っているはずです。実際にアジア予選でも押し込まれる展開で前線の選手が守備に走り回り、マイボールになればダッシュでゴール前に走り込んでいました。間違いなく組織力では相手を圧倒できるはずです。
恐らくナイジェリアがボールを支配する時間が多くなることが予想されますが、それは日本にとっては想定の範囲内でしょう。むしろ敢えて相手にボールを持たせるという展開になるかもしれません。
肝心なのは、個人技とフィジカルに優れたナイジェリアの選手と一対一の場面を作らない事です。特に守備の局面においては。これさえ気をつければそれほど決定的な場面を作られる事もないでしょう。
後はどうやって点を取るか?
フォワードの軸として考えられていた久保裕也(ヤングボーイズ)、所属クラブの事情でこのナイジェリア戦には間に合わないという事なので、恐らくオーバーエイジ枠の興梠慎三(浦和レッズ)がワントップに入る事が濃厚です。興梠でしたら前でボールを収めて時間を稼ぐことが出来るので、2列目以降の攻撃参加はしやすくなるでしょう。得点のカギは2列目の選手たち、南野拓実や中島翔哉らにかかってくると思います。
予想はズバリ、1-0での勝利。
というよりも、ここで負けるようであれば限りなく終戦に近い負けであると言わざるを得ません。ここにピークを合わせるくらいのつもりで準備してもらいたいですね。
コロンビア戦展望と見どころ グループB一番の難敵 守って引き分け勝ち点1狙いもあり!
わたしが思うに、最も苦しい試合になる事が予想されるのがこのコロンビア戦です。
恐らく全大陸の予選の中で最もレベルの高い南米予選を勝ち抜いてきたチーム。それだけでも実力は分かろうというものですが、チリやウルグアイ、パラグアイという強豪を抑えて出場してきたチームなのです。
個々の選手は技術も強さも兼ね備えたタレント揃いですし、チームの組織力もしっかりしており、全くと言っていいほど隙のないチームです。
日本にとっては技術、フィジカル、一対一の強さなどでは間違いなく劣っているといっていいと思います。唯一アドバンテージがあるとすれば組織力でしょうが、南米のチームの中でもこのコロンビアの組織力はかなり高い部類に入ります。大きなアドヴァンテージにはならないかもしれません。
総合力では日本の上を行くコロンビアですが、厄介なのは日本自体が伝統的に南米のチームを苦手にしているという事です。
元々南米に対して圧倒的に分が悪い日本代表だったのですが、それが如実に表れたのが2014年ブラジルワールドカップの予選リーグ・コロンビア戦でした。コロンビアは2連勝して既に予選突破を決めており、中心選手をスタメンから外して明らかにメンバーを落としてきました。決勝トーナメントを見据えたターンオーバーだったのです。
対して日本は1分1敗で勝つしかないという状況。当然ベストメンバーで臨みました。
結果は1-4の惨敗。とにかく全てにおいて劣っていたという印象だけが残った絶望的な試合でした。まああの時のコロンビアの監督は名将・ぺケルマンでしたから強いのは覚悟していましたが、それにしても衝撃的なほどのチームだったことは確かです。
救いがあるとすれば、ハメス・ロドリゲスやジャクソン・マルティネス、カルロス・バッカ、ラダメル・ファルカオらのオーバーエイジ枠での参加が噂されたスーパースターたちが結局は出場しなかった(出来なかった)というくらいでしょうか。これらの選手が出ていればもう本当にお手上げ状態だったかもしれません。
このコロンビア戦ですが、初戦のナイジェリア戦に勝って迎えたと仮定するのであれば、思い切ってメンバーを代えて臨むのもありだと思います。言い方は悪いですが、次のスウェーデン戦に向けたターンオーバーです。連戦の疲れを残さないために選手を温存しながら守って守って勝ち点1を狙うという戦略です。
最初から引き分け狙い、しかもメンバーを落として戦うなんて・・と思う方もいらっしゃるでしょうが、結果的に予選グループで2位以内に入らなければ終わりです。3試合トータルで考えるという事は非常に重要になってきます。それに、アジア予選でも分かるように、手倉森誠監督はターンオーバーが実に上手な監督ですし、誰が出てもクオリティを落とさないチームをしっかり作り上げています。
わたしの予想は、多少の願望を込めた0-0の引き分け。
間違いなく苦しい試合になるでしょうが、とにかく粘って粘って少ないチャンスをものにしてほしいですね。ポイントはボランチに入るであろう遠藤航。最終ラインの一歩手前でのカバーリングやボール奪取で決定的な形を作らせない働きに期待したいですね。
スウェーデン戦展望と見どころ 高さ対策が出来れば勝てる試合・・といか勝たなければならない試合
予選グループB最終戦はスウェーデンが相手となります。このスウェーデンはヨーロッパ予選1位で勝ち上がってきたチームです。つまりこのグループBにはアジア1位とアフリカ1位、ヨーロッパ1位が同居しているのです。本当に大変なグループに入ってしまったものです。
ここも日本にとってはしっかり勝たなければならない試合です。
ヨーロッパ予選1位という事ですが、それほど恐れる必要はないとわたしは少し楽観しています。日本の実力が発揮できれば五分以上の戦いが出来ると思いますね。
ヨーロッパのチームというのは、南米やアフリカ、アジア等と比べると強豪国がオリンピックを重要視していません。つまり、アンダー世代のナショナルチームの強化にそれほど積極的ではないという事です。選手たちのモチベーションも他地域の選手たちと比べると非常に低いです。そこがヨーロッパの国がなかなかオリンピックのサッカーで優勝できない最も大きな理由でしょう。
スウェーデンというチームは伝統的に高さと強さを兼ね備えたチームです。攻撃のタレントにはズラタン・イブラヒモビッチやヘンリク・ラーション、トーマス・ブロリンといった逸材が現れる事もありますが、基本的には優れたフィジカルを生かしたサッカーをするチームというのが伝統です。
実はこういったチームに対しては日本は伝統的にそんなに苦にする事はありません。ヨーロッパでは長身、パワーに優れたフィジカルゴリ押しサッカーが案外通用するのですが、日本はそういったチームに対する相性が非常にいいとも言えます。
組織力が高いのもヨーロッパのチームの特徴であり、当然このスウェーデンに関してもそうなのですが、組織力では日本も互角以上のチームです。むしろ自分たちより大型のチームと対戦し慣れている日本にとっては組織力が大いに生かされるタイプの相手と言ってもいいかもしれません。
フィジカルでは劣りますが、アジリティやテクニックなどでは日本が勝っていると思われます。組織力でも拮抗できているとなれば、好試合に持ち込むことが可能でしょう。
気をつけなければならないのが、相手チームのロングボール戦術。
中二日での強行日程での3試合目という事で両チームとも疲弊しているのは間違いなく、特に暑さに慣れていないスウェーデンは体力的に厳しいはずです。攻撃は中盤を省略して前線の長身フォワード目がけてロングボールを放り込む戦術を仕掛けてくる可能性が高いです。
日本の最終ラインは植田直通、岩波拓也、塩谷司など高さと強さを兼ね備えたディフェンダーが揃っていますが、ゴールに近い位置ではリスクは高まります。ディフェンスの最終ラインを下げ過ぎず、適度な高さを保つ事が失点を避けるカギとなりそうです。
攻撃では個人で積極的に仕掛けていっても面白いかもしれません。ハイボールに対しては圧倒的な強さを誇るスウェーデンですが、ドリブルでの仕掛けやラインの裏を狙った攻撃などは対応が遅れがちです。しっかりした形が作れれば得点チャンスは作れるはず。後はフィニッシュの精度となるでしょう。
予想スコアは2-0で日本の勝利。
ポイントはセンターバック陣の奮起。特にハイボールにはめっぽう強い植田直通の働きに期待ですね。
ブラジル戦回避のためにも理想はグループリーグの首位通過
というわけで、予想としては2勝1分の勝ち点7で首位通過というところでしょうか(願望入ってますけどね笑)。
この勝ち点であれば、間違いなくグループBを首位で通過出来るでしょう。グループBを1位で通過するか2位で通過するかというのは実は非常に大きな意味を持ちます。
というのも、決勝トーナメントに進出した時に、グループB2位通過だと初戦でグループAの1位通過チームと対戦する事になるのです。
グループAには優勝候補大本命の地元・ブラジルチームがいます。恐らくかなりの高確率でブラジルはグループAを1位通過してくる事となるでしょう。となると、日本が2位通過だとベスト8でブラジルと対戦するという非常に厳しい組み合わせとなってしまうのです。
首位通過まで考える程楽なグループじゃねえだろ!!っていう意見は重々承知のうえですが、やはり日本の目標はメダル獲得。そのためには予選敗退も決勝トーナメント1回戦敗退も同じ事という考え方も出来るでしょう。
実際にリオ五輪直前の練習試合でブラジルと対戦した日本代表は0-2で敗れました。しかもスコア以上に力の差を見せつけられる完敗と言ってもいい内容。
当然練習試合ですから日本は手の内を全部見せるわけもないですし、ブラジルのレベルを体感した事で再戦した時には違った展開となる事も十分あり得るのですが、やはりこの地元のスター軍団とは対戦しないに越したことはありません。
とにかくグループリーグ2勝がノルマであり、出来れば1位通過。これを目指して頑張って欲しいですね。
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