3月24日に行われるサッカーワールドカップロシア大会のアジア2次予選・アフガニスタン戦と29日のシリア戦の日本代表メンバーが発表されました。
2次予選もこの2試合で終了しますが、アフガニスタンに勝ったうえでシリアと引き分け以上であれば、日本の2次予選グループE首位通過が決まる大事な試合です。最終予選を考えれば、当然ここは首位通過にこだわらなければなりません。首位通過しておけば、最終予選で対戦するメンバーが少しでも楽になる可能性が高まるからです。
正直に言いますと、アフガニスタンにはまず間違いなく勝つ事になるでしょう。シリア戦もまあ普通に戦えば負ける事は無いかと思われます。シンガポールにまさかの引き分けを喫した過去があるだけに油断は禁物ですが、力関係で言えば、ほぼ通過は間違いないと思われます。
代表に課せられたミッションは、結果は残しながら内容的に次につながる試合、連携や決めごとを確認しながら完成度を高めるという事です。いうなれば、最終予選前の実践とテストを兼ねた重要な2連戦ということになります。
そういう意味でもこのメンバー発表は実に興味深い物があると思います。
アフガニスタン戦、シリア戦の招集メンバー
選ばれたメンバー24人は以下の通りです。
GK 西川周作(浦和)林彰洋(鳥栖)川島永嗣(ダンディーU)
東口順昭(G大阪)川島永嗣(ダンディーU)
DF 吉田麻也(サウサンプトン)槙野智章(浦和)
森重真人(FC東京)昌子源(鹿島)
長友佑都(インテル)酒井高徳(ハンブルガーSV)
酒井宏樹(ハノーファー)藤春広輝(G大阪)
MF 長谷部誠(フランクフルト)柏木陽介(浦和)
山口蛍(ハノーファー)清武弘嗣(ハノーファー)
原口元気(ヘルタ)香川真司(ドルトムント)
FW 本田圭佑(ACミラン)岡崎慎司(レスター)
金崎夢生(鹿島)ハーフナー・マイク(デンハーグ)
小林悠(川崎F)宇佐美貴史(G大阪)
なぜあの人はいないの?何であの人は選ばれてるの?って疑問は人それぞれでしょうけど、個人的にはいくつか気になる点もありますね。
GK4人は多すぎ 川島と西川の守護神争いか?
まず大きく報道されそうなのが、9か月振りの代表復帰となったスコットランド・ダンディーユナイテッド所属のゴールキーパー、川島永嗣。
長らく代表から遠ざかっていたのは不調ではなく、所属チームが決まらず浪人していたためですので、クラブチーム所属となった今回、代表復帰するのは実績的にも当然と言えば当然かもしれませんね。
とはいえ、代表24人中ゴールキーパー4人というのは多過ぎだと思います。せめて3人で十分ですね。枠がもったいないですし、ここに4人充てるのであれば、フィールドプレーヤーを一人でも多く呼んで試したいと普通は考えると思います。
ひょっとしたらアフガニスタン戦とシリア戦でキーパーを変えてくるかもしれませんね。川島の実戦での動きを確かめるかもしれません。そのためのキーパー4人体制ではないでしょうか。
現在代表の守護神を務める西川周作と川島永嗣では全く正反対のGKと言ってもいいかもしれません。
守備範囲が広く、最終ラインとの間をカバーする能力に長ける西川に対して、川島のストロングポイントは高さに強い事と、シュートに対する反応の鋭さです。これはどちらがどうという訳ではなく、チームの戦術によってどちらが機能するかは違ってきます。が、最終ラインを高く保つ現在のハリルホジッチのサッカーに合っているのは西川の方のような気がしますね。
サイドバックの充実と比べて不安なセンターバックの層の薄さ
ディフェンダーは特に目新しさはないですね。強いて言えば、ガンバ大阪のサイドバック、藤春広輝が完全に定着し、国内のサイドバックの選手では代表争いで一歩抜け出たなという印象です。
とは言えサイドバックは海外組の層が厚く、スタメンに定着するには大きな壁を乗り越えなければなりません。インテルの長友、ハノーファーの酒井宏、ハンブルガーの酒井髙はそれぞれクラブでスタメンを張っている選手。藤春がアピールするには少ないチャンスを確実にものにしなければならないでしょう。
センターバックはサウザンプトンの吉田麻也、浦和レッズの槙野智章が不動のスタメンでしょうか。割って入るとすれば森重ですが、センターバックの層を厚くする意味でも鹿島の昌子に経験を積ませたいところですね。吉田麻也がケガなしできている分、あまり話題に上る事が少ないセンターバックですが、日本代表で最も層の薄いポジションのひとつがここです。吉田にもしもの事があったらそれは日本代表の大ピンチとなるのは間違いないところです。リスク管理の意味でも次世代のセンターバックの育成は急務ですね。
個人的にはリオ五輪代表の鹿島・植田直通に期待したいところですが、オリンピックが終わるまではU23に専念させるでしょうから、代表に定着するとすれば五輪後でしょうね。
攻守の要となれるボランチ・青山敏弘の招集を!
わたしが最も気になるのがミッドフィルダー。特にボランチの選手です。
ボランチ候補はわずか3人。長谷部、山口蛍、柏木だけです。これはいかにも少なすぎます。ハッキリ言ってキーパーを4人呼ぶのであれば、ここにもう一人追加した方がいいと思います。特に攻撃の起点となれるボランチを。
長谷部、山口蛍は守備寄りのボランチであり、攻撃を組み立てるのは柏木しかいません。長谷部、山口のコンビであまりいい形が作れていなかったこれまでの試合を考えると、柏木のスタメン起用は濃厚でしょう。確かに柏木は前線に良質なパスを供給する事が出来ます。ですが、もう一人是非とも試してほしい選手がいるのです。
サンフレッチェ広島のMF・青山敏弘です。
彼の良さは何といっても正確無比なロングパスです。ミドルシュートも打てますし、守備も柏木より上でしょう。攻守の切り替えも早く、昨シーズンのJリーグ王者・サンフレッチェの可変システムの肝といってもいい選手です。
正直、なぜハリルホジッチがこの選手を呼ばないのかがわたしには理解できません。サンフレッチェのその独特なシステムによって、青山はサンフレッチェ専用の選手だと考えているのかもしれませんが、日本代表に選ばれていた時もきっちりチームに順応していました。ハリルの言う「素早くボールを奪って縦に早い」サッカーを目指すのであれば、これほどの適任者はいないと考えます。
本番の最終予選が始まる前には必ず試してもらいたいのですが、ここで招集されなかったという事はハリルの頭の中に青山の存在はないのかもしれませんね・・
香川真司を脅かす清武弘嗣の存在
攻撃的MFは無風状態ですね。ただし、ここまで不動のスタメンだった香川真司の序列はひょっとしたら下がるかもしれません。脅かすのはハノーファーの清武弘嗣。
ドイツ・ブンデスリーガで降格争いを演じるハノーファーでは攻撃で孤軍奮闘の働きを見せています。ドルトムントで出場機会を失いつつある香川とは正反対です。
清武は香川にはない精度の高いセットプレーという武器があります。特に右利きのキッカー不足が深刻な代表においては、清武のキッカーとしての能力は魅力です。創造性あふれるラストバスも香川には無い武器です。香川が巻き返すにはペナルティーエリア内での得点感覚を取り戻す必要があるかもしれません。セカンドストライカー、シャドーストライカーとしては香川の方が上ですが、トップ下、インサイドハーフとして起用するのであれば、現時点では清武の方が上かもしれません。
ただし、サイドで起用されるであろう本田圭佑との連携では香川に一日の長があるので、非常に難しいところではありますね(苦笑)。
ハリル待望の大型FW・ハーフナーの覚醒
フォワードで目を引くのは何といってもハーフナー・マイクの代表復帰。ハリル体制では初の代表招集となりますね。
今シーズンからオランダ・エールディビジのデンハーグに移籍し、そこでストライカーとしての才能が開花。現在13得点を挙げており、招集されたのは当たり前といえば当たり前なのかもしれません。
元々ハリルホジッチはセンターフォワードとして高さのある選手を好むと言われていましたが、ここまではなかなかその候補がいないために高さを重要視してきませんでした。そういう意味ではハリルにとっては待望の選手と言っていいのかもしれませんね。
ですが、このハーフナーの特色は高さを生かしたポストプレーというよりも、その得点感覚の鋭さにあります。長身選手という事で高さを生かしたプレーが得意だと言う印象がありますが、どちらかというと足元の技術やゴール前でのポジショニングなどに優れた選手だと思います。
その辺りを見極める意味でもこの時期に招集したのはベストといえるかもしれませんね。レスターで優勝争いをする岡崎慎司にとってはフォワードのスタメンを争う非常に厄介なライバルになるかもしれません。
この2試合で日本代表今後の展望を楽しもう
最初にも書いたように、アフガニスタン戦は勝つのが当たり前であり、問題は試合内容。テストも兼ねた布陣になると思われます。
負ければ2位通過が濃厚となる2戦目のシリア戦は現時点でハリルが考えているベストメンバーで臨むでしょう。
いってみれば、シリア戦のスタメンが現在ハリルホジッチが考えている最強布陣だと考えて差し支えないと思います。
勝敗ももちろん大事ですが、最終予選を睨んだハリルホジッチの選手起用やフォーメーションを見て、この後の代表を予想しながら楽しむと言うのもまた一興だと思いますよ。
てか、次の6月のキリンカップでは絶対に青山敏弘を呼んでください、ハリルさんお願いします(涙)。
コメント