9月6日に行われたロシアワールドカップ最終予選で、日本がタイに2-0で勝ち、勝ち点3を挙げて、最終予選の最初の2試合を1勝1敗の勝ち点3で終えました。
この2戦を終えての課題やこれからの展望、さらに気付いた点などを指摘してみたいと思います。
最悪のパターンだけは免れたUAE,タイとの2連戦
UAE戦とタイ戦を終えて勝ち点3をどう見るのか?
個人的には、ベストではないですが最悪でもないという印象ですね。
例えば1敗1分や2分などが最悪のパターンであり(2連敗はもちろん論外、即終了です)、2分で勝ち点2などという展開などよりはよほどマシであったといえます。ポジティブに考えれば。
特にかなり難しい試合となるのではと予想したタイとのアウェーで勝ち点3を取れたのは非常に大きいですね。勝ち点1も有り得ると思っていましたので。この勝ちによって初戦の勝ち点ロスの半分は取り返せたのではないでしょうか。
ただし試合内容は非常に課題の多く残るものとなりました。
香川トップ下が日本代表で機能する可能性は限定的。本気で考えなければヤバい
まず目についたのが攻撃陣ですね。
初戦不発だった岡崎慎司をスタメンから外してワントップには浅野拓磨を起用したタイ戦。
記事W杯サッカー予選日本のUAE戦敗戦はカタール人審判買収のおかげ?試合の振り返りと反省点と課題などの中でも触れたように、基本的に香川トップ下と岡崎ワントップは機能しないと思っていたのでこの起用は正解だと思います。以前に比べてワントップでの岡崎は左右にあまり流れなくなってしまっていますね。だから香川のゴール前での動きがかなり制限されてしまっていると思います。
UAE戦は右ウイングの本田圭佑のプレーが中央に寄り過ぎているとの批判がありましたが、タイ戦は本田はかなり右に張っていましたね。ここは修正できていたと思います。ただし、本田が中央でプレーしすぎという批判は、個人的には香川にも責任があると思います。
基本的に日本の両ウイングは、サイドにワイドに張って仕掛けるというよりも、サイドの選手が中央に入ったり、中央がサイドに流れたりして流動的に動く事で相手マークを混乱させたり、2列目からの飛び出しで得点を取るというポジションだとわたしは思っています。本田が中央に来れば、香川が右へ流れるといった流動性が初戦はほとんど見られませんでしたね。両者とも中央でゴールを狙うという展開でした。
それによって中央に選手が集まり過ぎて攻撃が停滞してしまいましたね。同時に右サイドバックの酒井宏樹が孤立して数的不利となる展開となってしまいました。攻撃も中央に偏りすぎてしまい、相手は非常に守りやすかったと思いますね。
その辺りは2戦目に本田が右サイドに張る事と、左サイドに本職のウインガーである原口元気を起用した事で解消されました。この辺りの修正力は素直に評価したいですね。
ただし、香川真司が中央で決定的な働きが出来たかと言われると及第点とは言えません。裏に抜けるスピードが最大の持ち味である浅野拓磨とのコンビも機能していたとは言えませんし、相変わらず中央で消えている時間帯が多かったですね。決定機も外していましたし、香川のトップ下は真剣に考え直す時期に来ているのかもしれません。相手チームに支配されるような前にスペースのある試合では香川トップ下もありだと思いますが、ドン引き相手での香川トップ下では有効な働きは出来ないと思いますね。つまり、アジア相手での試合では香川トップ下は機能しないと思います。
清武外しはセットプレー軽視!ボランチ山口蛍・長谷部で攻撃は機能するのか?
もう一つ攻撃面で言うのであれば、タイ戦ではまさかの清武弘嗣外しでした。タイ戦での2得点はいずれも試合の流れの中での得点でした。セットプレーはあれだけチャンスがありながらひとつも物に出来ませんでしたね。そしてそれは清武退場後のUAE戦も同じです。
ハッキリ言ってハリルホジッチはあまりにもセットプレーを軽視し過ぎなのではないでしょうか。現在の日本代表の中で清武弘嗣のプレースキッカーとしての能力はずば抜けています。逆に言えば、他の選手のキックの精度ではいくらセットプレーのチャンスを得ても大きな期待は望めません。
最終予選の相手に対して、流れの中で点を取るのはそうたやすくはありません。セットプレーでの得点力は非常に重要となります。その意味で清武を使わないという選択肢はわたし的には有り得ません。この部分ももう一度よく考えて欲しいですね。ハッキリ言ってセットプレーからの得点を放棄していると捉えられても致し方ないのではないでしょうか。
そしてもう一つ重要なのが長谷部誠とコンビを組むボランチの問題です。
UAE戦では大島僚太を使ってPK献上してしまうという展開となりました。タイ戦では山口蛍を使ってきましたね。一見これで良かったように見えますが、果たしてそうでしょうか。
山口、長谷部コンビだと確かに中盤の守備は安定します。しかしボランチからのパスの供給は著しく質量ともに低下してしまいます。タイ戦でそれが目立たなかったのは、タイが日本のボランチがボールを持ったところでそれ程プレッシャーをかけてこなかったからです。
プレッシャーが無いので前にボールを運べましたが、普通のアウェー戦ならばああも簡単にボールを持たせてはもらえません。パスの出どころにも厳しいチェックが行くのでパスコースを探すのも難しいですし。山口、長谷部コンビで前線にボールを供給できない試合は既に何試合か経験しているはずなんですけどね。
とはいえハリルはもう大島を使う事は無さそうですし、候補がいるとすれば柏木陽介の起用という事になるのでしょうが、このタイ戦の結果によって次のイラク、オーストラリアの10月2連戦も長谷部と山口のコンビで行きそうな気がしますね。イラクはともかくとして、オーストラリア相手にこのコンビで効果的な攻撃が出来るのか?わたしは出来ないと思いますね。
スコアレスドロー上等!!の戦術としてはアリなのでしょうが、点を取って勝ち点3を取るというプランであれば、長谷部・山口コンビは無しだと思います。特にオーストラリア戦は。
サウジアラビアの3得点全てPKという離れ業と日本のUAE戦での世紀の大誤審で考えるべき事
これで最終予選を各国2試合づつ消化したのですが、やはり気になるのが審判ですね。
特にサウジアラビアの2勝0敗の内容は非常に気になります。初戦のタイ戦では試合終了間際のPKで1-0勝ち。2戦目のイラク戦でも0-1とリードされてからの後半36分以降に立て続けに2本のPK獲得で2-1勝利。特にタイ戦でのPK勝利はタイには非常に気の毒でしたね。タイのPKは取ってもらえなかっただけに特に。タイ国内ではこの試合に対する審判の買収疑惑がファンの間で渦巻いていると言われています。
サウジアラビアのここまでの戦いぶりとUAE対日本の試合を見ると、やはり最終予選くらいは最もフェアな笛を吹くと言われているヨーロッパの審判に吹いてもらうという必要性を真剣に考えなければならないのではないかという事です。ちなみに、日本対UAE、サウジアラビア対イラク、この2試合のレフェリーはカタールの審判です。
アジアカップも毎回かなりひどいレフェリングですが、ワールドカップ最終予選でアジアカップのような笛を吹かれればハッキリ言ってやられた国は本当の命取りになります。せめて審判によってワールドカップ切符が左右されないような措置をしてほしいですね。このままではUAEとサウジアラビアとのアウェー戦では一体どんなレフェリングをされるのか?考えただけでも恐ろしいです。場合によってはこのロシアW杯最終予選は、誤審のオンパレードだった2002日韓ワールドカップ以上の惨劇になるやもしれません。
個人的にこのアジア最終予選2試合で最も印象的だったのは、サウジとUAEは恐ろしいほど本気でワールドカップ出場を取りに来ているなという事ですね。全ての面において。
10月7日のサウジ対オージー戦は色々な意味で要注目の試合
それでは、ここで最終予選2試合を終えてのグループBの順位表を見てみましょう。
順位 国 名 勝点 勝 負 分 得失点差
1 オーストラリア 6 2 0 0 +3
2 サウジアラビア 6 2 0 0 +2
3 日 本 3 1 1 0 +1
4 UAE 3 1 1 0 0
5 タ イ 0 0 2 0 -3
6 イラク 0 0 2 0 -3
(5位と6位は得点数の多い順による)
日本にとっては他チームの試合で引き分けが多い方が有利なのですが・・2節全6試合を終えてまだ引き分けが無いというのは少々痛いところでしょうか。
オーストラリアは流石の勝負強さと守備の固さですね。ケーヒルおじさんが相変わらず勝負強いですし、やはり日本にとって一番厄介な相手である事は間違いないです。サウジは実力的にはUAEよりも断然落ちます。日本は普通にやれば勝てる相手ですが・・まあ・・ね。
UAEは中東ではイランと並ぶ強豪ですが、力的にはやはり日本の方が上ですが・・まあ・・ね。
イラクとタイは厳しくなりましたね。ただし、上位陣に金星挙げるくらいの実力がある事は証明しました。日本はこの2つにきっちり勝っておけば、タイとイラクは上位のどこかを削ってくれるはずです。
とはいえ、まだ星勘定するには早すぎますね。10月7日の第3節で現在勝ち点6同士の潰し合い、サウジアラビアとオーストラリアの直接対決がサウジホームで行われますので、その結果が出てからでしょう。この試合、レフェリングも含めてどんな試合になるのか非常に楽しみですね。どこの審判が笛を吹くことになるのか?どんなジャッジが飛び出すのか?日本にとっては対岸の火事では済まされないだけに、非常に気になります。
日程的に有利なオーストラリアとのアウェー戦は勝ち点3を取りに行くべき!
日本は10月6日のホームのイラク戦はもちろん何が何でも勝たなければなりません。11日のアウェーのオーストラリア戦は7日の試合次第ではありますが、当然勝ち点3を狙っていくべきだと思います。
日本は1日オーストラリアよりも休養日が多いですし、オーストラリアが酷暑のサウジでのアウェー戦の後に時差のあるオーストラリアでの日本戦と言う日程なのに対して、日本は日本でイラクと戦った後、ほとんど時差の無いオーストラリアのアウェー戦となります。状況的には日本が断然有利なのです。
オーストラリアは守備は固いですが、スピードには弱いので裏は取れるはずです。後はオーストラリアの高さを封じれば勝機は十分にあるでしょう。
ポイントはサイド。UAE戦では徹底してサイドからのクロスで中央に合わせるという戦法でした。サイドからのクロスをいかに封じるかがカギになるでしょう。と同時に、ディフェンスラインを高く保ち続けるというのもオーストラリアの高さ封じの大きなポイントとなるでしょう。最終ラインの奮起が試合のカギとなりそうです。
UAEがホームでオーストラリアに負けた事で、日本がオーストラリアを叩けば浮上できる状況になったのは非常に有り難い話です。日本は絶対にこのチャンスを逃してはいけません。アウェーでも勝ち点3を狙っていくべきだと思いますね。
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