3月7日から開幕する第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本代表侍ジャパンの所属する予選プールB。
侍JAPANの3月10日に行われる第3試合の相手はメジャーリーグなどにも多くの有力選手を輩出している東アジア地区の国際大会の常連、中国。ここではそんな中国の戦力や試合の見どころ、ポイントなどを解説していきたいと思います。
世界ランキング19位の中国代表野球チーム、WBCとプレミア12での実績
まずは現在の世界ランキングの比較からまいりましょう。
世界ランキング1位の日本に対して、対戦相手のオーストラリアは世界ランキング19位。
中国代表チームの過去のWBC及びプレミア12での成績は以下の通りとなっています。
大 会 名 日本成績 中国成績
第1回WBC 優 勝 1次R敗退
第2回WBC 優 勝 1次R敗退
第3回WBC ベスト4 1次R敗退
プレミア12 3 位 不 出 場
ここまでの中国の国際成績は残念ながら目立ったものを残せていないのが現状となっています。
2015年のプレミア12には出場できず、過去3回のワールド・ベースボール・クラシックにおいては3回とも全て第1ラウンドで敗退しています。しかもその第1ラウンドでの敗退は全て日本と同じ予選リーグに入ってのものであり、そこでの日本と中国の対戦成績は日本の3戦全勝となっており、中国にとって日本は1次ラウンド突破を阻む高い壁として毎回そびえたっているというのが現状です。
2012年に中断した中国プロリーグ。14年に再開して以来初の大きな国際大会に
過去のワールド・ベースボール・クラシックでは一度も第1次ラウンドの壁を突破できていない野球中国代表。過去のWBCでは同組であった日本や韓国、チャイニーズタイペイなどという、自国にプロリーグを持つ東アジアの野球強豪国との差はいかんともしがたい程の物があったのは事実です。
中国に国内プロリーグが誕生したのは2002年の事でした。当時は6年後に北京オリンピックの開催が決まっており、さらに野球はまだバリバリのオリンピック競技でした。
そういった背景もあって中国でも野球に力を入れる事となり、将来性が非常に楽しみな大規模リーグが誕生したのです。
そんな国内リーグへの投資が成功したのが、北京オリンピックと第2回WBCで国内プロリーグの先輩ともいえる強豪・チャイニーズタイペイを破った事でしょう。この中国の勝ちには本当に驚かされました。まさかあの台湾が中国に・・??という感じでしたからね。
しかし野球のオリンピック競技からの除外等といった流れと呼応するかのように中国国内リーグは年々その規模を縮小してついに2012年には国内リーグの中止へと追い込まれてしまったのです。ここに確実なる成長を記していた中国野球界の成長は完全に潰えたかに思えました。
しかし野球が2020年東京五輪での復活という気運にも乗り、2014年に国内リーグを再開。再び東アジアの野球強豪国の座を目指して歩み始めたのです。そんなリーグ再開後初となる大きな国際大会の第4回WBC。中国に気合が入っていないわけがありません。
メジャー通算80勝のブルース・チェンが中国代表のために現役復帰
前回までの中国には素質的に非常に魅力のある野手はいたのですが、いかんせん投手力がひ弱でした。一発長打の魅力溢れる選手がおり、実際に上原浩治投手からホームランを放つなど、高い潜在能力は見せたものの、どの試合でも投手が日本打線を抑えるだけの実力に達していなかったのです。
しかし今回の中国チームは少し様相が違います。変わった原因は一人の実績ある中国系選手の代表入り。その選手こそ、ブルース・チェン投手です。
ブルース・チェンは中国系のパナマ人選手としてメジャーリーグで活躍した左腕投手。メジャー通算80勝を挙げた大物投手です。年齢は39歳であり、2015年に現役を引退した身ですが、このWBCのために、そして中国代表のために現役復帰してきたのです。
引退して2年経っているのでどの程度まで仕上げてこれているかが気になりますが、現役引退時近くにまで状態を挙げれているのであれば他国には脅威の存在となるでしょう。中国代表投手陣の中では頭一つ抜けた存在となる事は確かです。
あとは球数制限ルールのあるこのWBCという大会において、このブルース・チェンがどの試合で投げてくるかという事でしょう。もしも日本戦をチョイスしてくるようであれば、日本打線もそう簡単には攻略できない可能性はあります。中国がチェン投手をどの試合で使うのか?これはプールBの行方を左右する投手起用になるかもしれません。
国際大会の経験はパナマ代表として申し分のないブルース・チェン。まさに中国に誕生した待望のエースです。
米マイナーのレイモンド・チャンとシュ・グイユアンの両内野手が攻守の要
投手にブルース・チェンという軸が出来ましたが、打線は相変わらず魅力あふれる選手がいます。
まずは過去の国際大会でも中国野手陣の攻守のかなめとして大車輪の活躍を果たした中国系アメリカ人のレイモンド・チャン選手。打って良し守って良しのオールラウンドプレーヤーで、過去の中国のWBCでの白星ではいずれも決定的な働きをしている勝負強い選手です。メジャー経験こそないものの、マイナーリーグで培ったその経験と技術は、ベテランの年齢となった今でこそより光るものとなっているでしょう。
更にもう一人野手陣で要注意なのが、メジャーリーグの中国アカデミーの傑作といわれており、「中国のイチロー」との異名まで取る天才打者・許桂源(シュ・グイユアン)内野手。
ボルティモア・オリオールズのマイナーに所属するこのシュ選手と前述したレイモンド・チャン選手。この二人が野手陣の中心となるべき選手であり、日本人投手にとっては非常に厄介な相手となりそうです。
日本人投手はこれまで中国戦では打線が活発に打っていたので、ある程度投手が失投を打たれてもそれ程のプレッシャーにはなりませんでしたが、今回は少し様相が違うかもしれません。
ピッチャーが踏ん張り切れなければ中国野球史に残る大金星を献上してしまう可能性は過去のどの大会よりも今回の方が高いのは間違いないでしょう。日本は絶対に油断だけはしてはいけません。
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