年々国際大会において成績を上げ続け、ワールド・ベースボール・クラシックには4大会連続出場となるヨーロッパ最強の野球王国、オランダ。
今大会はプールAでイスラエル、韓国、チャイニーズ・タイペイと同組となっており、続く2次ラウンドでは日本との対戦の可能性も大いにあります。
そんなオランダチームについてここでは見てみましょう。
世界ランキング10位のオーストラリア、WBCとプレミア12での実績、
まずは現在の世界ランキングの比較からまいりましょう。
世界ランキング1位の日本に対して、対戦相手のオランダは世界ランキング10位。
過去のWBC及びプレミア12での成績は以下の通りとなっています。
大 会 名 日本成績 オランダ成績
第1回WBC 優 勝 1次R敗退
第2回WBC 優 勝 2次R敗退
第3回WBC ベスト4 ベスト4
プレミア12 3 位 ベスト8
オランダという国はここ数年の間に一気に力をつけてきた野球新興国であり、前回の2013年の第3回WBCでは日本と同プールで2次ラウンドを戦い、日本とともに仲良くベスト4に進んだチームです。一昨年のプレミア12でもきっちりとベスト8に残った実力派チームです。
オランダ=野球後進国というかつてのイメージは完全に捨て去らなければなりません。
100年近い歴史を誇るオランダ国内リーグ 実は野球大国のオランダ
上に記したように、最近の野球オランダ代表といえば、日本や韓国、アメリカ、ドミニカらと並ぶ野球強豪国となってきています。その急速な強豪国化は世界の中でも類を見ないほどの進歩の速さといえるでしょう。
その理由とは何なのでしょうか。
実はオランダというのはヨーロッパ屈指の野球強豪国なのです。国内のリーグ戦の歴史は1922年創立と、日本の野球の歴史よりも古いのです。そんな歴史の中、ヨーロッパ選手権では最多の22回の優勝を誇るなど着実に野球文化を根付かせてきた国なのです。
そんなしっかりとしたバックボーンを持っている上に、近年の野球の国際大会の普及とそれに伴うオランダ代表野球チームの好成績によって、国が代表強化に本腰を入れ始め、さらに代表チームの活躍によって、世界中に散らばっていたオランダ代表資格を有する一流選手たちも代表入りを熱望するようになってさらに加速度的に代表が強くなってきたというのが実情となっています。
オランダ野球代表の強さは、長い歴史と地道な強化、代表の名声による選手の代表入りという部分がしっかりかみ合った故の必然といえるでしょう。
スラッガーのシモンズ、メジャー最強の遊撃手守備を誇るシモンズ
ハッキリ言いましょう。今回のオランダチームは強いです。特に打線は強力です。打線だけならば、プールAとプールBを合わせた8チームの中でも間違いなくナンバーワンだと思いますね。残念ながらわが日本をも凌いでいるでしょう。
その一番の理由はメジャー組の参加です。
まずはボストン・レッドソックスのザンダー・ボガーツ内野手。2015年には終盤まで激しい首位打者争いを演じ、昨年は打率こそ.294だったものの、21本塁打を放ち、打点も89を記録して長打力を伸ばして自己ベストのシーズンを送りました。今やバリバリのスーパーメジャーリーガーといえるでしょう。
さらには現在守備力ではメジャーでもナンバーワンのショートストッパーともいわれている、ロサンゼルス・エンゼルスのアンドレルトン・シモンズもオランダ代表に名を連ねています。
メジャーで2年連続ゴールデングラブ賞を受賞した守備のスペシャリストの代表入りは、センターラインのこれ以上ない安定をもたらすとともに、投手の安心感という意味でも非常に大きいでしょう。シモンズの加入でオランダの守備力は劇的に向上し、さらにスキのないチームへと変貌してしまいました。
昨季20本以上のグレゴリウスとスコープ、そしてご存知バレンティン
まだまだいます。ニューヨーク・ヤンキースのディディ・グレゴリウスも代表入りしています。グレゴリウスは今年ヤンキースでキャリアハイの20本塁打を放って将来的にはデレク・ジーターの後継者になるともいわれている有望株です。
はい、まだまだ(笑)。オリオールズのジョナサン・スコープも強烈な選手です。昨季は二塁手としてフル出場してキャリアハイの25本塁打を放っています。137三振と穴も大きいですが、打率は.267とそれ程低くはなく、何よりも少しでもコースを間違えたらスタンドインという恐ろしいバッターです。
そしてこれらの錚々たるメジャーリーガーたちを差し置いて4番に座るのが、日本でもおなじみのヤクルトスワローズ、ウラジミール・バレンティン選手です。
もう説明の必要もないですよね。日本記録となるシーズン60本塁打の記録を持つスラッガーです。日本の投手の事は知り尽くしているといってもいいでしょう。
バリバリのメジャーのレギュラークラスのスラッガーたちと日本記録を持つホームラン打者。恐怖の破壊力を誇る打線です。これを抑えきるのは投手力に定評のある日本でも厳しいでしょう。ある程度の失点は覚悟しなければならないかもしれません。
ソフトバンクのバンデンハークの登板は果たして?日本戦でないことを祈る
ある程度の失点をしたとしても、打線がその失点を取り返せばいい・・というわけでオランダ代表の投手力はどうなのでしょう。
どの国にも言える事ですが、やはりこのオランダの場合もメジャーの投手の辞退などが相次ぎ、投手に関しては満足な招集とはいきませんでした。打線の豪華さに比べれば投手力が劣るのは間違いありません。
投手力のほとんどはオランダの国内リーグ組が中心となって構成されています。データが乏しいという部分もありますが、レベル的にはやはりメジャー組には大きく劣るはずです。
そんな投手陣の中で中心的存在になるのが、ソフトバンク所属のリック・バンデンハーク投手でしょう。オランダ代表の中ではバリバリのエース級です。逆に言えば、バンデンハーク以外はそれ程怖い投手はいないともいえます。
このバンデンハークがどの試合で出てくるのかが大きく二次ラウンドプールEの行方を左右することとなるでしょう。日本戦で登板してくるなどという事となれば・・日本代表チームは苦しい戦いを強いられる公算が大きくなるやもしれません。
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