野球シーズンとなると毎日のようにメディアを賑わせているダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)や田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)、イチロー(マイアミ・マーリンズ)、前田健太(ロスアンゼルス・ドジャース)ら、日本人メジャーリーガーたち。
その多くは日本プロ野球界でスーパースターとなり、アメリカへと渡った名選手たちです。
FA、ポスティング、アマチュアFAなど、メジャーへと渡った経緯は各選手それぞれですが、ここではポスティング移籍を果たした選手で移籍金(入札金)評価の高かった選手をご紹介したいと思います。
現行制度の前の入札システムだった時代のポスティング移籍金とは?
まず最初にポスティングシステムについては以下の記事をご参照ください。
プロ野球メジャー移籍のポスティングシステム解説 FA制度との違いは?
この中で述べてある通り、現行でのポスティングシステムの譲渡金(移籍金)は2000万ドルという上限が定められてしまっています。よって、現行制度となってからポスティング移籍した前田健太(LAドジャース)と田中将大(NYヤンキース)に関しては、上限の2000万ドルで移籍していきました。
しかし現行制度となる前の2012年以前に移籍した選手たちに関しては、上限が設けられていない青天井での各メジャー球団の入札によって獲得球団(交渉球団)が決定されていたのです。
というわけで、ここではポスティングシステム旧制度である入札によって移籍した選手たちの移籍金(入札金)に注目してランキング形式で発表してみたいと思います。
第5位 イチロー 2000年(シアトル・マリナーズ)
入札金額:1312万5000$。
意外ですよね?
あのイチローがまさかの5位なんです。ジョージ・シスラーの持っていた、誰にも破られないと信じられていたメジャーリーグの年間最多安打記録を84年ぶりに塗り替えた、メジャー在籍わずか16年で3000本安打を達成した、あのイチローが、です。
とはいっても仕方がない部分もあります。イチローは打者としては初のポスティング移籍の選手でしたし、何よりもイチロー以前の日本人打者でメジャーで成功した選手がいなかったからです。日本人バッターの力が懐疑的に思われていた時代であり、いくら日本で天才バッターと呼ばれたイチローであろうとも、必然的に評価も高くはならなかったのです。
この後のイチローの殿堂入り確実といわれているほどのレジェンド級の活躍を考えれば、シアトル・マリナーズが入札金として支払った1312万5000ドルは安すぎといってもいい金額でしょう。まさにお買い得ってやつです。と同時に、日本の天才の能力をメジャー球団の中で最も高く評価したマリナーズの選手を見抜く眼力の凄さも特筆ものでしょう。
第4位 岩隈久志(いわくまひさし) 2010年(オークランド・アスレチックス)
入札金額:1910万$
2012年のメジャー移籍以降、2016年までの5年間で63勝37敗という素晴らしい成績を残している日本人メジャー投手、岩隈久志投手が堂々の第4位にランクインです。
しかしこの岩隈投手の場合、ランクインしている他の選手とは少し異質なポスティングシステムの経緯があります。
既に「ん?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。タイトルでは2010年となっていますが、メジャー移籍は2012年となっています。そうです、ポスティング年とメジャー移籍年が合わないのです。普通はポスティング年の次の年がメジャーデビューですよね。
これは、ポスティングで最高入札額を提示したアスレチックスと岩隈投手の間での入団交渉がまとまらなかった事が原因です。結局アスレチックスとの交渉が破談となった岩隈久志投手は楽天ゴールデンイーグルスと再契約、翌年には海外FA権を取得して、シアトル・マリナーズへと入団したというわけです。
アスレチックスと岩隈投手との間では、年俸や複数年契約の年数で折り合わなかったといわれていますが、今頃アスレチックスは後悔している事でしょう。条件面で惜しまず獲得していれば、毎年二けた勝てる安定感抜群のローテーションピッチャーが手に入ったのですから・・
第3位 井川慶(いがわけい) 2006年(ニューヨーク・ヤンキース)
入札金額:2600万194$
阪神タイガースのエース左腕として18年ぶりの優勝に貢献するなど、5年連続の二桁勝利を挙げ、最多勝利や最優秀防御率、奪三振王など多くのタイトルも手にしたうえで球団に直訴して得たポスティングシステムでの名門ヤンキースへの移籍。大きな期待を背負っての名門入団でしたが、挙げた勝利は初年度のわずか2勝のみという結果に終わった井川慶投手が第3位です。
5年間の渡米でしたが、メジャーで投げたのは最初の2年間のみ。わずか16試合で2勝4敗という成績に終わりました。あのニューヨーク・ポスト紙の「過去10年のニューヨークのプロスポーツ選手ワースト10」という企画では堂々の1位に選ばれてしまうという屈辱も味わいました。
日本での成績が額面通りにアメリカでは比例しないという、ある意味格好のモデルとなってしまった感もあります。アメリカに行った時にはすでにピークを過ぎていたという説もありますが、今となっては本当のところどうだったのかわかりません。
ただ・・阪神時代は凄い投手だったのは間違いありません。あの井川が全く通用しないんだ・・とある意味ショックだったのをはっきり覚えていますね。
第2位 松坂大輔(まつざかだいすけ) 2006年(ボストン・レッドソックス)
入札金額:5111万1111ドル11セント
いやあ、入札金額刻みましたねえ、ヤンキース(笑)。セント単位まで刻んでますw
「平成の怪物」との異名を取った、日本の至宝ともいえるエースピッチャーの満を持してのメジャー挑戦はポスティングシステムでの移籍となりました。日本での無双ぶりや国際大会での活躍などを見ても、このポスティング入札金額は妥当といってもいいでしょう。それほどまでにメジャーからの評価も高かったという事です。
5111万1111ドル11セントという、同じく2006年にポスティング移籍した阪神の井川慶投手の約2倍近くという破格の入札金額に恥じないように、松坂大輔はいきなり1年目の2007年に15勝を記録、続く2年目の2008年には18勝3敗という驚異の成績を残しました。
しかし2009年からは不調に陥り、故障などもあってメジャーでの通算は8年間で56勝でした。しかし故障を発症して不調に陥るまでのレッドソックスでの活躍は日本の怪物の名に恥じぬものでした。日本の怪物はアメリカでも怪物だったという事を証明したピッチングでしたね。
第1位 ダルビッシュ有 2011年(テキサス・レンジャーズ)
入札金額:5170万3411$
ポスティングシステムでの日本人選手の移籍の中で、最高額で入札されたのが、当時北海道日本ハムファイターズのエースピッチャーであった、このダルビッシュ有投手です。
日本での活躍ぶりは説明するまでもないでしょう。2005年に高卒ルーキーでいきなり5勝を挙げると、後はメジャー移籍するまですべて2桁勝利。最優秀防御率を2度、最多奪三振を3度受賞する大活躍ぶり。中でも奪三振の多さは群を抜いていました。
そしてその傾向はメジャーへ行っても変わりません。メジャー2年目にはシーズン277三振で堂々の奪三振王を獲得。メジャー初タイトルとなりました。
メジャーでは2016年までの4年間で46勝を挙げ、奪三振は812を数えています。怪我さえなければ、最もサイ・ヤング賞に近い投手という声も多いダルビッシュ。間違いなくこれからのメジャーにおける日本人投手の記録を作っていってくれることでしょう。
6位~10位の選手たち。投手に比べて圧倒的に入札金額が低い野手陣
それでは6位以下の選手たちもご紹介しておきましょう。
順位 | 選手名 | 日本での最終球団 | 最高額提示球団 | 落札金額 |
---|---|---|---|---|
6位 | 石井一久 | ヤクルトスワローズ | ロサンゼルス・ドジャース | 1126万4055ドル |
7位 | 西岡剛 | 千葉ロッテマリーンズ | ミネソタ・ツインズ | 532万9000ドル |
8位 | 岩村明憲 | ヤクルトスワローズ | タンパベイ・デビルレイズ | 450万ドル |
9位 | 青木宣親 | ヤクルトスワローズ | ミルウォーキー・ブルワーズ | 250万ドル |
9位 | 中島裕之 | 西武ライオンズ | ニューヨーク・ヤンキース | 250万ドル |
うーん、名選手たちの勢ぞろいですね。あ、この中で9位タイの中島裕之選手の場合はヤンキースとケイ役合意に至らずに西武に残留し、1年後に海外フリーエージェントの権利を取得してFAでアメリカへと渡りました。
こう見てみると、やはり目立つのは野手に対する評価の低さでしょうか。投手が高額なので余計に目立ちますね。まあイチロー選手と松井秀喜選手以外は大成功例とはいえない上に、金額通りの活躍が出来ずに退団という野手も多かったですからね。これからこの評価を覆せるような日本人野手の出現を期待したいですね。
ちなみに、松井秀喜選手や上原浩治投手、黒田博樹投手や佐々木主浩投手などといった選手はみなフリーエージェントで移籍した選手です。圧倒的に数的にはFA移籍の選手が多いですね。
これからも日本人選手のポスティングでの移籍は増えていくことでしょう。楽しみですが、入札金額の多さが話題にならなくなってしまったのはちょっと寂しいといえば寂しいですかね(苦笑)。
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