中日・落合博満GMの背番号問題にみる超合理主義と超能力者の如き恐るべき勝負師としての顔

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いやあ、契約更改やらメジャー移籍話・外国人補強などストーブ・リーグの話題満載のプロ野球ですねえ。

視聴率低迷による地上波テレビ放送の激減など危機を叫ばれている野球界ですが、こうやって見てみるとやはりまだまだ日本のプロスポーツ界の話題の中心である事は間違いないですね。

そんな中、日本で最も有名なGM(ゼネラル・マネージャー)、中日ドラゴンズの落合博満GMがまた話題を振りまいてくれています。

レジェンドナンバーを新人に…落合GMの背番号“安売り”が波紋

今季で引退した名球会選手、最年長勝利記録など様々な記録を持つ球界のレジェンド・山本昌広氏の背番号34を今年のドラフト4位・福敬登(ふく・けいと)投手に、同じく引退した名球会選手、和田一浩氏の背番号43をドラフト5位の新人・阿部寿樹内野手に、かつてのエースで今年退団した川上憲伸投手の背番号11をドラフト1位の小笠原慎之介投手につけさせるのではないかというニュースです。

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暗黙の了解や不文律を意に介さない落合博満の異端さ

日本のプロ野球界は背番号に思い入れの強い選手やファン・球団が多く、特にその球団の功労者ともいうべき選手がつけていた背番号はその選手に敬意を表して永久欠番にしたり、その選手の後継者と誰もが認めるような中心選手にあてがわれたり、あるいはそんな選手が見当たらない時には何年もの間、誰にもあてがわれない、というのが通常です。そういう意味でも、何の実績もないドラフトの下位選手に名球会入りするほどの選手の背番号を与えるというのは異例中の異例ともいえるものなのです(1位指名の小笠原はアリかもしれませんが)。

そんな、日本プロ野球界の「暗黙の了解」とも「不文律」とも「伝統」ともいえる慣習を意にも介さない今回のニュース。この話が本当であれば、それはもう間違いなく落合GMの意向でしょうね。これまでの彼の行動を見ていれば、それだけは確信できますw っていうか、多分この話本当だと思います。

それほどまでに落合博満という男は強烈な個性を放つ人なのです。

落合博満自身の背番号への意識

落合GM自身は、選手・監督時代に背番号「6」という数字にこだわり続けたことで有名です。

現役時代は基本的に背番号6でした。例外は巨人に移籍した時、当時の巨人の主力選手である篠塚利夫が背番号6を背負っていたため、60をつけました。しかし、移籍翌年の篠塚引退後には6に変更しています。中日ドラゴンズの監督時代は一貫して6を2つ重ねた「66」を背番号にしていました。

しかしこれはあくまで落合氏自身が選手・監督として現場にいた時の話であり、今回の件とはあまり関係ないと個人的には思います。

落合GMが中日監督時代に、ドラフト2位で獲得した新人の中田賢一投手(現ソフトバンク)にいきなり中日のエースナンバーと言われる背番号「20」を与えた事があります。中日の20番と言えば、杉下茂、権藤博、星野仙一、小松辰雄といった錚々たる面々が背負ってきた、まさに中日のエースがつける番号でした。その栄光の背番号を実績ゼロの新人に与えたのですから、今回と同様にちょっとしたニュースになりました。

この件に関して当時の落合監督は

「20番が空いていたから」

とコメントしています。

これが全てを表していると思います。どんなに名選手が背負っていたものでも、居なくなった後は関係ない。その背番号の持つ伝統とか系譜に関係なく粛々と次の選手にあてがうだけ。

いかにも落合博満らしいドライで合理的な考え方だと思います。

そう言えば、昨日のスポーツニュースで、今年流行語にもなったトリプルスリー(3割30本塁打30盗塁を達成する事)を達成したヤクルト・スワローズの山田哲人内野手が来季から背番号を23から1に変更すると大々的に報じられました。ヤクルトの背番号1と言えば、若松勉、池山隆寛、岩村明憲、青木宣親といった球界を代表するスラッガーに受け継がれている背番号です。記者会見では前任者のメジャーリーガー・青木宣親がサプライズで登場し、直々に山田に背番号1のユニフォームを手渡すという豪華さ。

でも、こっちの方が日本のプロ野球界では普通なんですよね。

この盛大な背番号変更発表イベントを落合GMはどのように見ていたのか、ちょっと興味がありますね(笑)

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勝負師・落合博満 戦慄の日本シリーズ予想完全的中

わたしの落合博満へのイメージは、とにかく「恐ろしいほどの勝負師」であるという事です。

3冠王を3度獲得するなど現役時代も恐ろしいバッターでしたが、わたしのイメージはむしろ、引退してからの落合博満の方が強烈です。

何といっても一番印象に残っているのは評論家時代の日本シリーズ予想ですね。

2003年の日本シリーズ阪神タイガース対福岡ダイエーホークス。当時評論家だった落合は、

「4勝3敗でダイエーが勝つでしょ。福岡ドームでダイエーが4勝、甲子園で阪神が3勝。」

と予想したのです。つまり、すべてホームチームが勝ってダイエーが優勝すると・・・(この年はパ・リーグ開幕の年なので、パ・リーグの優勝チーム、つまりダイエーの方がホームで1試合多く戦える)。

あまりに簡単に言うので、「おいおい、落合大丈夫かよ」と思ったのをハッキリと覚えています。どの評論家も第何戦をどこが勝つかなんて予想する人はいません。大抵は何勝何敗でどちらの勝ちという予想です。それをこんなに具体的に、しかも簡単に・・・評論家としての仕事を考えるとリスク多すぎて普通は出来ませんわな(笑)

で、結果は

4勝3敗でダイエー優勝。福岡ドームでダイエーが4勝。甲子園で阪神が3勝。

鳥肌が立ちました。何なんだ、一体この男は・・・と。同時に監督になったら恐ろしい事になるな、とも。

監督・落合博満の采配、その凄さは息子・落合福嗣氏のコメントにも

その翌年、落合は中日ドラゴンズの監督になるのですが、巨大戦力を誇る読売ジャイアンツに対して戦力的に明らかに劣っているにも関わらず、毎年のように優勝争いを繰り広げました。これはもう、監督落合博満の力によるものだと断言します。

投手交代のタイミングや代打のチョイス、試合中の采配のそこかしこにわたしが感じたのは、試合の流れを引き寄せるうまさ、そして一旦来た流れは絶対に相手に渡さないという勝負勘です。この点において落合に匹敵する監督をわたしは知りません。監督としての落合博満の凄さはもちろん、これだけではありません。選手のモチベーションを保つ、勝つために絶対に妥協はしない、古い慣習にとらわれずあくまで合理的に、など山ほどありますが、落合の恐ろしさはその予言者とも思えるほどの勝負勘だとわたしは思います。

そういえば、落合GMの一人息子で今は声優として活動している落合福嗣さんいわく、お父さんである落合氏と野球中継を見ていると、試合の展開を全て当ててしまうらしいです。このあとこのピッチャー打たれるよとか、このあとこっちが逆転して勝つよ、とか。

CS放送のフジテレビONEで麻雀番組「THEわれめDEポン プレイバック」というのがあるんですが、何気に見ていたら若かりし日の落合さんが麻雀を打っていました。もちろん勝っていましたが、押すところは押し、引くところは引く、実に隙のない強い麻雀でしたね。やはり勝負師だなぁと感心しました。

こんな監督が今のソフトバンクや少し前の巨人のような巨大戦力に恵まれたチームの監督をしたらどうなるんでしょうかね。

見てみたいけど、強すぎてプロ野球人気がさらに低迷しそうなんでダメですな(苦笑)

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