1876年にナショナル・リーグが誕生して以来、現在まで140年以上の歴史を誇るアメリカプロスポーツを代表するメジャーリーグベースボール(MLB)。
1936年(昭和11年)に日本職業野球連盟が設立されて第1回のリーグ戦が開催されて以来、80年以上の歴史を誇る日本プロ野球(NPB)。
野球大国として世界の野球界を引っ張る日米両国が、長い歴史の中で積み上げてきたプロ野球の投手主要タイトルのシーズン記録を比較してみたいと思います。
なお、メジャーリーグ記録に関しては、現在のナショナル・リーグとアメリカン・リーグの2リーグ体制となった2001年以降の記録とさせていただきます。
最多勝利数(最多勝利投手) 日本プロ野球と大リーグ各リーグ記録
日本プロ野球
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | 勝利数 | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
パ・リーグ | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 42 | 1961年 | 日本記録 |
セ・リーグ | 真田重男 | 松竹ロビンス | 39 | 1950年 | |
1リーグ時代 | ヴィクトル・スタルヒン | 東京巨人軍 | 42 | 1939年 | 日本記録 |
メジャーリーグ
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | 勝利数 | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ア・リーグ | ジャック・チェスブロ | ニューヨーク・ハイランダース | 41 | 1904年 | メジャー記録 |
ナ・リーグ | クリスティ・マシューソン | ニューヨーク・ジャイアンツ | 37 | 1908年 |
メジャーのア・ナ両リーグの記録は100年以上前の記録、日本記録も60年以上前の記録という、日米双方とも古い記録が未だ破られていない最多勝利。投手の分業制が確立して先発投手が中4日、中5日が常識と化した現代野球の現状で考えたらこの最多勝利記録はこれから先も破られることはないでしょう。
驚きなのが、日本記録の方がメジャー記録を数字上で上回っている事でしょう。日本よりも60年長い歴史を誇るメジャーリーグの方が記録も凄い部門がほとんどなので珍しい現象といえますね。
日本記録は鉄腕・稲尾和久さんと並んで戦前の1リーグ時代のスタルヒンが持っています。日本球界初の300勝を達成した、沢村栄治さんと並ぶ問答無用の伝説的大投手ですね。
最優秀防御率 日本プロ野球と大リーグ各リーグ記録
日本プロ野球
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | 防御率 | 記録年 | 備考 |
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セ・リーグ | 村山実 | 阪神タイガース | 0.93 | 1970年 | |
パ・リーグ | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 1.06 | 1956年 | |
1リーグ時代 | 藤本英雄 | 東京巨人軍 | 0.73 | 1943年 | 日本記録 |
メジャーリーグ
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | 防御率 | 記録年 | 備考 |
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ア・リーグ | ダッチ・レナード | ボストン・レッドソックス | 0.96 | 1914年 | メジャー記録 |
ナ・リーグ | モーデカイ・ブラウン | シカゴ・カブス | 1.04 | 1906年 |
メジャー記録・ナ・リーグ記録ともに100年以上前の記録となっていますし、日本記録も1リーグ制の時代に巨人のエースで日本プロ野球史上初の完全試合達成投手である藤本英雄さんが記録した0.73が70年以上を経た現在でも燦然と輝いています。やはりこの防御率部門も古い記録が大きく高い壁となって立ちはだかっているといえますね。
防御率0点台といえば、9回を投げても1点取れるか取れないかのレベルです。これを1シーズン通してなどというのはやはりとんでもない記録です。だって藤本英雄さんの記録何て、投球回数432回を投げてのものですよ?信じられません(笑)。
最多奪三振(奪三振王) NPBとメジャーリーグ(MLB)各リーグ記録
日本プロ野球
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | 奪三振数 | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
セ・リーグ | 江夏豊 | 阪神タイガース | 401 | 1968年 | 日本記録 |
パ・リーグ | 稲尾和久 | 西鉄ライオンズ | 353 | 1961年 |
メジャーリーグ
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | 奪三振数 | 記録年 | 備考 |
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ア・リーグ | ノーラン・ライアン | カリフォルニア・エンゼルス | 383 | 1973年 | メジャー記録 |
ナ・リーグ | サンディ・コーファックス | ロサンゼルス・ドジャース | 382 | 1965年 |
この日米のシーズン奪三振記録の持ち主である四人の投手はプロ野球ファンならばよく知っている名前ばかりですね。
メジャーのシーズン及び通算奪三振記録を持つ“ドクターK”N・ライアンに投手三冠を三度も達成したドジャースのエース、S・コーファックス、オールスター9連続奪三振や江夏の21球等の伝説を残す江夏豊、そして日本野球史上数々の記録を持つ鉄腕・稲尾和久・・。いやはや凄いメンツです。
ここでご紹介した記録ホルダー以外にも、日本の上位には400勝投手・金田正一や“史上最強のアンダースロー”と呼ばれた南海のサブマリン・杉浦忠らが、アメリカでは2m左腕のランディー・ジョンソンや“火の玉投手”の異名をとった伝説の豪速球投手、ボブ・フェラーら錚々たるドクターKが名を連ねます。
この部門も日本記録の方が数字的にメジャー記録を上回っています。それにしても江夏さんの400奪三振って・・これも永遠に破られることのないアンタッチャブルとなるでしょうね。
最多セーブ投手 NPBとメジャーリーグ(MLB)各リーグ記録
日本プロ野球
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | セーブ数 | 記録年 | 備考 |
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パ・リーグ | デニス・サファテ | 福岡ソフトバンクホークス | 54 | 2017年 | 日本記録 |
セ・リーグ | 岩瀬仁紀 | 中日ドラゴンズ | 46 | 2005年 | |
藤川球児 | 阪神タイガース | 2007年 |
メジャーリーグ
リーグ名 | 選手名 | 所属球団 | セーブ数 | 記録年 | 備考 |
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ア・リーグ | フランシスコ・ロドリゲス | ロサンゼルス・エンゼルス | 62 | 2008年 | メジャー記録 |
ナ・リーグ | ジョン・スモルツ | アトランタ・ブレーブス | 55 | 2002年 | |
エリック・ガニエ | ロサンゼルス・ドジャース | 2003年 |
メジャーリーグでは1969年、日本プロ野球では1976年から公式記録として表彰対象となった比較的新しいタイトルだけあって、日米の記録も新しいものばかりですね。
記録が全て21世紀のものなのは、年々投手の分業制というのがよりハッキリと区分けされ、クローザー(抑え投手)がセーブの付く場面で1イニングのみという負担の少ない登板形態が各球団内でも徹底されてきているからでしょう。
日本記録は2017年に大きな話題となったソフトバンクの絶対的守護神、サファテの54セーブ。セ・リーグ記録は中日・岩瀬と阪神・藤川という左右両腕のストッパーです。
メジャー記録はエンゼルス時代のロドリゲスが2008年に記録した62セーブ。ナ・リーグ記録はスモルツとガニエ・・。いいですね、この辺りの選手だとリアルタイムで見ていたんでイメージがすぐ頭に浮かんできます。ちなみにメジャー2位となるシーズン57セーブを記録したのが、1994年から2年間ダイエーホークスでも活躍したボビー・シグペン投手です。
それにしても・・サファテと球児の剛速球、岩瀬とロドリゲスのスライダー、スモルツの縦に割れるスライダー、ガニエのチェンジアップ・・当たり前ですけどこのクラスのクローザーだと、球種が分かっていても打てないレベルのウイニングショットを持っていますね。
打撃部門のシーズン記録の日米比較についてはこちらをご覧ください。
日米の通算記録のランキング比較についてはこちらの記事を。
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