読売ジャイアンツ監督就任条件の「不文律・暗黙のルール」 巨人軍の生え抜きスター選手等なれる人なれない人の違い

スポンサーリンク
野球

日本プロ野球界の盟主として、日本プロ野球の黎明期から現在に至るまで数々の名選手を生み出し、多くの栄光を築いてきた読売ジャイアンツ(読売巨人軍)。

その巨人軍の監督人事というのもまた、監督交代のたびに大きな話題となってきたのはプロ野球ファンにとってはお馴染みの事かと思います。

選ばれしプロ野球人の中でもごく限られた人物しかなれないといわれている巨人軍監督の座。その監督就任における不文律・暗黙のルールなどについてもここではご紹介していきましょう。

スポンサーリンク

ジャイアンツ以外の球団在籍はNG!現役時代は巨人一筋の生え抜きが絶対条件

歴代の巨人軍監督をご紹介していく前に、2018年シーズンまで巨人監督として指揮を執った高橋由伸監督の辞任時にも大きな話題となった、巨人軍監督になれる条件といわれている「ある条件」についてご紹介しましょう。

読売ジャイアンツという球団が決定したという文章なり規約なり、文言化したものがあるというわけではないこの「読売巨人軍監督就任条件」。しかしその巨人監督になるための条件というのは間違いなく存在しているといわれています。その暗黙のルールというものを一つ一つ検証していきたいと思います。

最初の条件が

読売巨人軍の生え抜き選手であった者

これは巨人の監督就任条件の中でも最も有名なものといってもいいでしょう。現役生活をジャイアンツ一筋で終えた選手でなければならないというものです。

他球団に入団してからフリーエージェント制度(FA)やトレードで巨人に移籍してきた選手、また逆に巨人に入団したものの途中でFAやトレードで他球団に移籍した選手というのは当然ながらこの「生え抜き選手であった者」から除外され、監督候補から外れる事となるという事です。

この条件は1947年(昭和22年)に就任した三原修監督以降の全監督に当てはまっています。1947年以降の巨人軍監督は、一人の例外もなく現役時代の選手生活を巨人一筋で終えた人たちばかりなのです。

FA制度など無かった時代ならいざ知らず、現在ではすっかり定着したFAでの球団間における選手異動が活発となり、実際にジャイアンツもフリーエージェントとなった選手を毎年のように獲得しています。そんな状況の中でのこの「生え抜き」縛りはこの先非常に厄介な縛りとなってくるのは間違いないところでしょう。時代にそぐわない…という気はしますね。この縛りによって以下の選手たちは巨人監督の座から除外される事となります。

駒田徳広 (FAで他球団へ移籍)
落合博満 (FA移籍)
小笠原道大(FA移籍)
西本聖  (トレードで他球団へ移籍)
二岡智弘 (トレードで他球団へ移籍)
仁志敏久 (トレードで他球団へ移籍)
川相昌弘 (巨人退団後移籍)
江川卓  (トレード移籍)
小久保裕紀(トレード移籍)
大久保博元(トレード移籍)
張本勲  (トレード移籍)
別所毅彦 (トレード移籍)
金田正一 (トレード移籍)

落合、張本、金田、小久保、駒田、小笠原…と、名球界入りしたレジェンド達がキラ星の如く並びます。いやあ、やっぱ巨人って凄い球団なんですよね。

ちなみに、江川卓さんの場合はトレード移籍での阪神から巨人への移籍入団という形でしたので、生え抜き選手からは除外しました。江川選手入団の経緯についてはこちらの記事をご参照下さい。

[ドラフト騒動史]江川事件を空白の一日”と呼ぶ理由

投手ならエース、打者なら四番バッター 巨人を代表するスター選手も必須条件に

読売巨人軍監督になるための二つ目の必須条件に参りましょう。

ジャイアンツ監督への二つ目の条件はさらに縛りの厳しい、候補者を極限まで限定させてしまう条件でもあります。

現役時代に読売ジャイアンツにおいてエース投手または四番打者を務めたスター選手

四番打者はさておき、エースにおける定義は意見の分かれる部分ともいえますが、まあ要するに「チームの中心を担うスター選手であった者」という事ですね。

こちらに関しては、1950年(昭和25年)に就任した水原茂監督以降に共通する部分といってもいいでしょうか。とはいえ、水原監督が巨人軍の4番打者を務めたのは、生涯の現役生活において僅かに4試合のみ。純然たる四番打者とはいえないため、実質的には水原監督の次に監督となってV9を達成した“打撃の神様”こと川上哲治監督から適用されている暗黙のルールといってもいいかもしれません。

川上監督以降は、長嶋茂雄と王貞治のONコンビに昭和30年代初頭の巨人軍エース・藤田元司、ON後に4番を打った原辰徳、V9時代のエース・堀内恒夫、天才打者と呼ばれたスラッガー、高橋由伸…と、見事なまでに巨人軍のエース投手と4番打者だけとなっていますね。この条件で巨人監督の可能性が無くなるのは以下の巨人OB達です。

柴田勲
高田繁
森昌彦(祇晶)
土井正三
篠塚利夫(和典)
松本匡史
山倉和博
清水隆行
山口鉄也

ここでは、チーム内で最も4番を打った試合が多いシーズンのない選手を「4番打者ではなかった」という定義としました。とすれば、以上の選手たちが当てはまる事となります。そして「エース」という部分については、あくまで先発投手としての「エース」であると定義しました。実際、これまで巨人の監督となった投手出身監督は藤本英雄、藤田元司、堀内恒夫と全員が先発完投型エースでしたので。

他球団監督経験者もアウト?藤田元司氏の例からコーチ経験はセーフ?

上にご紹介した「生え抜き」「エースか4番のスター選手」という条件に比べると地味かもしれませんが、以下の条件もジャイアンツの監督になるにはクリアしなければならない必須条件であるといわれています。

巨人監督となる前に他球団の監督経験の無い事

これは「生え抜き選手である事」に準拠する条件といえるかもしれませんが、現役時代の巨人一筋というだけでなく、現役で巨人一筋であっても現役引退後に他球団の監督を務めた巨人OBは巨人の監督にはなれないというものです。以下の方たちがこの条件にかかってしまいます。

中畑清  (DeNA)
落合博満 (中日)
広岡達朗 (ヤクルト、西武)
森昌彦  (西武、横浜)
高田繁  (日ハム、ヤクルト)
土井正三 (オリックス)
金田正一 (ロッテ)
大久保博元(楽天)

ざっとこのような感じなのですが、他球団での監督経験はダメでも他球団でコーチ経験がある人物は??という疑問を抱く方もいらっしゃるかと思います。こちらに関しては、藤田元司監督が巨人軍監督となる前に大洋ホエールズのコーチをしていたという前例がありますので、他球団での“コーチ”ならばギリギリOKであるのではと思います。まあ何度も言いますが、規定が明文化されているわけではないので現在ではコーチ経験でもアウトな可能性は否定できませんが…

なお、巨人軍監督を退任後に他球団の監督に就任した人物なら、藤本定義氏や中島治康氏、三原修氏、水原茂氏、王貞治氏と結構いらっしゃいます。勿論、その後もう一度巨人監督となった方はいらっしゃいませんが。

メジャーリーグ移籍組は「生え抜き」から除外?松井秀喜監督は誕生するのか?

さて、最後にこの例に触れないわけにはいかないでしょう。そう、近年日本人トップ選手に目立つメジャー移籍選手です。以下の選手が街頭選手ですね。

松井秀喜 (メジャー移籍)
桑田真澄 (メジャー移籍)
上原浩治 (メジャー移籍)

果たしてメジャーリーグへと移籍した選手は「生え抜き選手」という条件から除外されるのでしょうか。ここに関しては、まだNPB選手のメジャー移籍の歴史も浅く、特に巨人からメジャーという例は少ないという事もあって、何ともいえないという部分ではあります。

ただし、スポーツ紙や週刊誌報道などによると、巨人としては松井秀喜監督の誕生を望んでおり、松井氏に要請をしているというニュースは毎年のように定期的に出ています。もしこの報道が本当だとするならば、メジャー移籍は「生え抜き選手」という条件と矛盾しないという事となり、「生え抜き選手」というのはあくまで「国内プロ野球団」におけるものであり、国外チームの所属履歴に関しては考慮しないという条件が成立するという事となります。

この巨人出身選手でメジャー移籍組に関しては、もう少し様子を見る必要があるかもしれませんね。

まとめ:生え抜きエースか4番という狭き門に拘る名門球団の監督条件

というわけで、日本プロ野球界(NPB)を代表する名門球団である読売ジャイアンツの監督となるための「不文律」をご紹介しました。

何度も書いていますが、あくまで「不文律」であり、成文化したものがあるわけではありません。あくまで「暗黙のルール」といった類のものです。ですから、巨人軍側が妥協してこの不文律を崩して監督を選考する可能性も将来的には勿論あります。

2018シーズン終盤に高橋由伸監督が辞意を表明した後、マスコミはこぞって「原辰徳監督誕生」を報道しましたが、監督候補はかなり限定的に絞れる程に巨人の監督になる条件は厳しいものがあるという事でもあります。「実績と経験が必要」とオーナーが明言した時点で、原監督くらいしか候補が残らなかったという事からもそれは明らかといえるでしょう。そしてそんな報道の通り、巨人は原監督の3度目の登板を発表したのです。

この先、この「巨人軍監督就任における暗黙のルール」が覆されて新たな歴史が綴られる事となるのか、それともこの「不文律」通りに監督が選ばれていくのか…。個人的には1球団くらいはこれだけ伝統や慣習にこだわり続ける球団があっても面白いと思う口なのですが、皆さんはどうでしょうか。

なお、巨人軍の歴代監督については以下の記事もご参照ください。

巨人軍歴代監督の勝敗や優勝回数等全成績一覧 読売ジャイアンツの指揮官全16人データ

コメント