[高校野球記録]春夏甲子園での監督通算勝利数ベスト10②和歌山、神奈川、東京、高知に大阪桐蔭&PLの名将も

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100年以上の歴史を誇る高校野球甲子園大会。数々の名勝負や名選手を輩出してきた球児たちの戦いの最高峰の甲子園ですが、球児たちを率いて戦う各チームの監督も多士済々、長い球史の中で数多くの名監督を生み出してきました。

ここではそんな甲子園を沸かせた名監督たちの中でも、甲子園での勝利数でトップ10に入る監督をご紹介したいと思います(各監督の甲子園成績2019夏の選手権終了時のものです)。

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第4位 前田三夫(まえだみつお/帝京) 甲子園通算51勝

出  身:千葉県袖ケ浦市
生年月日:1949年(昭和24年)6月6日
出場回数:26回(春14回夏12回)
勝  敗:51勝23敗
勝  率:.689
優勝回数:3回(春1回夏2回)
学校名 :帝京高校

今や高校野球ファンでなくとも知っているとんねるず・石橋貴明がバラエティ番組などで度々発する「帝京魂」で有名な帝京高校。帝京野球部OBの石橋貴明らの恩師ともいえる帝京高校野球部監督・前田三夫が甲子園51勝で堂々4位タイにランクインです。

帝京高校を率いて甲子園に初出場させ、瞬く間に帝京高校を全国屈指の強豪校へと育て上げて3度の甲子園優勝に導いた名将・前田監督。教え子には伊東昭光や奈良原浩、吉岡雄二、芝草宇宙、三沢與一、森本稀哲らのプロ野球OBに加え、山崎康晃(DeNA)、中村晃(ソフトバンク)、杉谷拳士(日本ハム)、原口文仁(阪神)など、現役選手にも数多くの各球団レギュラークラスを送り出しています。

投手、野手双方の指導・育成能力に加えて試合の采配においても非常に緻密でスモールベースボールも実践できる懐の広さがあり、何よりも指導者としてのバランスの良さには定評のある前田監督。この先も帝京高校のシンボルであり続け、更に記録を伸ばしていってもらいたいベテラン監督さんですね。

第4位 渡辺元智(わたなべもとのり/横浜) 甲子園通算51勝

出  身:神奈川県足柄上郡松田町
生年月日:1944年(昭和19年)11月3日
出場回数:27回(春15回夏12回)
勝  敗:51勝22敗
勝  率:.699
優勝回数:5回(春3回夏2回)
学校名 :横浜高校

全国屈指の激戦区・神奈川県の名門、横浜高校で監督として47年間指揮を執り(途中は野球部長の期間も有り)、惜しまれつつも2015年夏の大会を最後に勇退し、現在は横浜高校終身名誉監督の渡辺元智監督(1997年までの名義は渡辺元)が帝京高校の前田監督と並んで51勝で4位タイです。

松坂大輔、筒香嘉智、涌井秀章、愛甲猛、鈴木尚典、多村仁志、成瀬善久、高橋健など育成した超大物プロ野球選手は数知れず、まさにアマチュア球界を代表する名伯楽の監督勇退には大きな反響が寄せられました。以前は100回大会(2018年の予定)までは監督を続けたいという意向を話していたこともある名将の勇退は報道でも大きく取り上げられましたが、渡辺監督の体は満身創痍ともいえる状態だったといわれています。

以前には心室細動や脳梗塞、胃潰瘍を患った事もあったのに加え、腰痛やメニエール病も持病として抱えながらの監督生活であったとの事。逆にそんな状態でここまでのチームを作り続けられた手腕は素晴らしいの一語に尽きるとも言えますね。しかし個人的にはもっともっとこの渡辺元智という名伯楽がどんな凄い選手を育ててくれるのか見たかったというのが正直なところですね。

第4位 馬淵史郎(まぶちしろう/明徳義塾) 甲子園通算51勝

出  身:愛媛県八幡浜市
生年月日:1955年(昭和30年)11月28日
出場回数:33回(春13回夏20回)
勝  敗:51勝33敗
勝  率:.607
優勝回数:1回(夏1回)
学校名 :明徳義塾高校

高知県の名門私立高校である明徳義塾高校を率いて27年になる馬淵史郎監督が甲子園49勝を挙げて堂々の歴代4位タイにランクインです。

高知県といえば全国有数の高校野球強豪校が集う県として有名ですが、近年ではそんな高知県で明徳義塾高校は一強ともいえる強さを誇っています。そしてそんな強さの原動力の大きな一旦こそが名将・馬淵史郎にあるのは間違いないでしょう。

馬淵監督のその試合における采配はしばしば「勝負師」と呼ばれる所以となっています。「確率」を重視するというデジタル派の一面に加えて、試合における「勝負の流れ」というオカルト派の一面も併せ持って試合を進める部分はまさに馬淵監督の真骨頂といったところでしょう。馬淵監督といえば、甲子園における松井秀喜選手への5打席連続敬遠が未だに引き合いに出されます。あの敬遠も松井という超高校級のスーパースターに打たれる事で球場の雰囲気が変わって試合の流れさえ左右するという事実を客観的に分析して、試合に勝つための最善策として出した作戦だったのでしょう。事実、馬淵監督はあの作戦について「試合に勝つための作戦」だとおっしゃっています。

この松井選手への5打席連続四球に関しては、未だに「教育」と「勝負」という観点で大きく議論の分かれるところです。ただ一つ言えるのは、馬淵史郎という監督の評価や実績はあの試合に対する見解で左右されるものではないという事だと思いますね。

第3位 西谷浩一(にしたにこういち/大阪桐蔭) 甲子園通算55勝

出  身:兵庫県宝塚市
生年月日:1969年(昭和44年)9月12日
出場回数16回(春8回夏8回)
勝  敗:55勝9敗
勝  率:.859
優勝回数:7回(春3回夏4回)
学校名 :大阪桐蔭高校

甲子園通算勝利数ランキングトップ10の監督たちの中では断トツともいえる最年少監督。勝利数ベスト10のうち唯一の40代監督であり、唯一の昭和40年代生まれの監督でもあります。

その若さでありながら、既に歴代3位となる甲子園通算44勝を挙げ、さらにどの高校もなし得なかった2度の春夏甲子園連覇という大記録を打ち立て、数々の名将を抑えてこの順位にいるというのはもう凄いという他有りません。この若さを考えるとこの先どこまで記録を伸ばしていくのか末恐ろしい程です。甲子園通算優勝回数では既にPL学園を率いた中村監督を抜いて歴代1位に躍り出ており、同世代の監督に追ってくる監督は誰もいないのが現状です。

この西谷監督の一番の特徴といえばやはりその選手育成能力の高さでしょう。特にスラッガーを育てる事にかけては現代の高校野球指導者の中でも群を抜いているといってもいいかもしれません。これまで西谷監督が育てた代表的な選手を挙げれば、パ・リーグ本塁打王6度、打点王3度の中村剛也(西武ライオンズ)、パ・リーグ打点王2度、侍ジャパンの4番も務めた中田翔(北海道日本ハムファイターズ)、パ・リーグの首位打者と盗塁王に輝いた西岡剛(阪神タイガース)、パ・リーグ打点王1度で中村剛也とともにクリーンナップを打つ浅村栄人、高校通算70ホーマーを放った平田良介(中日ドラゴンズ)らを輩出しています。どの選手もまだ現役バリバリというのがまた凄いですね。この短期間にこれだけの選手をプロに送り込んでいるという事です。

西谷浩一という名監督がこれからどんな記録を打ち立てていくのか、わたしたちは歴史に立ち会っている最中なのかもしれませんね。

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第2位 中村順司(なかむらじゅんじ/PL学園) 甲子園通算58勝

出  身:福岡県中間市
生年月日:1946年(昭和21年)8月5日
出場回数:16回(春10回夏6回)
勝  敗:58勝10敗
勝  率:.853
優勝回数:6回(春3回夏3回)
学校名 :PL学園高校

春夏甲子園での通算優勝回数6回は史上最多優勝監督であり、勝率.853も監督の中ではナンバー1勝率を誇るPL学園を率いた名将・中村順司監督が2位にエントリーです。2位って凄いのですが、わたしなどは逆に「え?中村監督が1位じゃないの?」と思ってしまったほどにわたしのような40代の高校野球ファンにとっては伝説的ともいえる存在なのです。

この中村監督についてはどこから語っていいか分からないくらいにエピソードは満載なのですが、とにかく「逆転のPL」と呼ばれたほどの逆境に強いメンタル的に優れた選手たちの育成、さらに試合の流れを掴んで離さない采配、そして時に大胆に攻めるその姿はソフトな外見からは想像出来ない「天性の勝負師」としての資質を感じさせてくれます。そのあまりにドラマチックな戦いぶり、勝ちっぷりもPL学園の人気の高さの秘密といえるでしょう。そしてその原動力は言うまでもなく中村順司監督でした。

1980年代後半から1990年代のプロ野球チーム、阪神タイガースは阪神史に残る「暗黒時代」の真っ只中でした。当時関西における何かのアンケートで、「低迷する阪神に監督として迎えたい野球人」というようなものがありました。並みいる錚々たるプロ野球人たちに混ざって上位にランクインしている中村順司という名前を見て、ああやっぱり関西の野球ファンに凄く愛され、そして評価されてるんだなあと思いましたね。あの時代の阪神タイガースを率いたPL学園中村監督を是非とも見て見たかったというのはわたしだけではなかったんだなと思いましたね(笑)。

第1位 高嶋仁(たかしまひとし/智弁学園、智辯和歌山) 甲子園通算68勝

出  身:長崎県
生年月日:1946年(昭和21年)5月30日
出場回数:37回(春14回夏24回)
勝  敗:68勝35敗
勝  率:.660
優勝回数:3回(春1回夏2回)
学校名 :智弁学園、智弁和歌山

ここまで数々の名将の名が並んできた甲子園歴代勝利数の監督ベスト10。伝説的な名監督である尾藤監督や蔦監督、中村監督、渡辺監督、木内監督、更に現役の前田監督、馬淵監督、西谷監督、阪口監督らを抑えて甲子園歴代勝利数1位に輝いたのが、現在智辯和歌山高校で指揮を執る高嶋仁監督です。

長崎海星高校で甲子園に出場して高校を卒業後は日体大に進学して4年時にはキャプテンを務めるなど、首都大学リーグでも活躍した野球選手だった高嶋監督が奈良県の智弁学園高校のコーチとなったのが1970年(昭和45年)で、監督となったのがその2年後でした。これが高校野球史に残る高嶋監督の高校野球指導者キャリアの始まりでした。

智弁学園では春の選抜ベスト4などの実績を残した高嶋監督。1980年(昭和55年)には同じ学校法人智辯学園が経営する兄弟校、智弁和歌山の監督に就任。智辯和歌山高校を3度の甲子園優勝する程の強豪校へと育て上げたのです。

高嶋仁監督は現在71歳。通算勝利数トップ10監督で常総学院や取手二高を優勝へ導いた木内幸男監督が80歳まで監督を続けられた事を考えれば、高嶋監督もまだまだ記録を伸ばしてくれそうです。下から追ってくる若き西谷監督(大阪桐蔭)らとの勝利数争いも興味を惹かれるところですね。

 

高校球史に残る甲子園の名監督ベスト10の10位から6位については以下からどうぞ。

[高校野球記録]春夏甲子園での監督通算勝利数ベスト10①

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