大リーグの公式サイトが、メジャーリーガーにおける、打席から一塁までの走塁タイムの上位選手を発表しています。
この中で、今年43歳を迎えるマイアミ・マーリンズ所属のイチロー選手が、並みいるスピードスターの中に交じってメジャー全体の5位タイに入っていることが話題になっています。
イチローと言えば、天才とも称されるバッティング技術による「安打製造機」として、そして、広い守備範囲と元投手である地肩の強さを生かした「レーザービーム」と呼ばれる華麗な守備が代名詞のようになっています。これらに比べて、日本ではあまり取り上げられることが少ないのが彼の脚力です。
イチローがアメリカで人気のある秘訣の大きな要因のひとつが、この「スピード」です。
このスピードがイチローの凄さであるという事を一番忘れがちなのは何を隠そう、我々日本人なのかもしれませんね。
日本よりもスピードを評価するメジャー
日本に比べると、アメリカではより三拍子そろった選手を称える傾向が強いです。そのため、ホームランを40本、50本打つ選手でも、走塁に関するスキルも意識も日本の長距離打者より遥かに高いように見えます。
往年の名選手でも、バリー・ボンズ、ラリーウォーカーやアレックス・ロドリゲスなどが達成しており、その他にもホセ・カンセコなどは40・40(フォーティ・フォーティ)という、40本塁打、40盗塁を達成しています。
そして、このようなスピードを兼ね備えた強打者というのは、メジャーにおいて評価がすこぶる高いというのもメジャーの特徴でしょう。
昨年はここ日本でも3割30本30盗塁という、いわゆる「トリプルスリー」を達成した選手がセ・パ両リーグで誕生して三拍子そろった選手が一際脚光を浴びた年でした。そう、福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手と東京ヤクルトスワローズの山田哲人内野手ですね。これによって、日本では「トリプルスリー」を達成できるような選手のことを三拍子そろった選手だと勘違いする人が増えているようですが、本来の三拍子とは、功・走・守の三つの事を言います。
天才的なバッティング技術、華麗な守備、卓越したスピードを兼ね備えたイチローがメジャーで高い評価を得るのは当たり前といえば当たり前の話ですよね。
イチローにしか出来ない内野安打の多さの秘密
イチロー選手はメジャーにわたった1年目にいきなり首位打者と盗塁王を獲得しました。以来15年連続で二けた盗塁をマークし、メジャー通算盗塁数は498を数えます。この数字もすごいのですが、特筆すべきは、データで露わになったように、打席から1塁までのスピードがずば抜けている事です。
この原因はイチロー選手の足の速さに加えて、イチロー独特のバッティング技術にも謎が隠されています。
イチロー選手は「振り子打法」と呼ばれるその独特のバッティングフォームにより、体の重心を前に移動させながらボールを捉えます。重心を前に移動させながら打つことによって、打った後にスムーズに一塁方向に走り出す事が出来るのです。重心を後ろに残したまま引き付けて打つフォームだと、打った後、一度後ろに傾いた重心に逆らうように前へ走り出さなければならないので、コンマ何秒か走り出しが遅れるのです。このコンマ数秒の差がイチローの凄さの秘密の一端でもあるのです。
打った後、その流れのままファーストに走る事が出来るので、ボテボテの内野ゴロでも内野安打にしてしまいます。天才的な打撃センスに隠れていますが、この内野安打の多さもイチローがこれだけヒットを積み重ねてこれた秘密でもあります。
日本にいた時にはこの内野安打の多さを批判的に揶揄するファンもいましたね。しかし、これも立派な技術といえるのではないでしょうか。だってこんなフォームで打てるのはイチローくらいのもんですよね(笑)。真似できるもんなら真似して見ろって感じですかね。
ローズ兄さん、大人気ないっすわ(笑)
今年はメジャー通算3000本安打にあと65本までに迫って開幕を迎えるイチロー。日本プロ野球界と通算すると4213安打というとてつもない記録を打ち立てたイチローですが、恐らくこのメジャー3000本もただの通過点に過ぎないのでしょう。
だって背番号と同じ51歳まで現役を続けると言ってるんですからね(笑)。
しかし、イチローならホントにやってしまうかもしれんと思わせてしまうところがこの選手の凄さなんですよね。
ちなみに、メジャーの通算安打記録はピート・ローズ氏の4256安打。この記録も日本での安打数と合わせると今年で超えてしまいそうです。当のピート・ローズは日本での記録なんて何の参考にもならないと言っておられましたが(苦笑)、実際にイチローのメジャー1年目の安打数が242本で、その前の年、オリックス在籍最終年のイチローのヒット数が153本なんですけどね。確かにレベル的にはメジャーの方が高いですが、試合数は圧倒的にメジャーの方が多いので、安打数はメジャーの方が稼ぎやすいとも言えます。まあピート・ローズのいう事もわかりますが、あんまりマジで反応しなくてもいいのにね。日本人もあくまで参考記録だって理解してますから(笑)。そもそも当のイチローが全く意識してない記録ですしね。
とにかく、メジャー3000本が注目される事は間違いないであろう2016年のイチロー。自慢の脚力に衰えがない以上、3000本達成は間違いないと信じますよ。だってすでに日米野球界のレジェンドですからね。
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