いよいよ2016年のドラフト会議が迫ってきました。
2016年はかなりの粒ぞろいで、各球団もドラフト会議まで1週間と迫った現在、まだ1位指名選手を公表している球団はありません。恐らくギリギリまで見極めたうえで決める事になるであろうという、ある意味戦国さながらの激戦ドラフトとなっています。
そんな中、現在早稲田実業高校二年生の清宮幸太郎選手は、言うまでもなく来年2017年ドラフトの超目玉となる逸材です。
ここでは、その清宮幸太郎選手のホームランバッターとしての適性を検証してみたいと思います。
清宮ドラフトの目玉、清宮幸太郎の高校通算本塁打は何位?
清宮幸太郎選手は現在高校2年生。ドラフト解禁は2017年ですが、今のまま成長していくと間違いなく2017ドラフトは「清宮ドラフト」になるとまで言われています。
これまでのドラフト1位での重複指名選手の記録は、1989年の野茂英雄(新日鉄堺→近鉄バファローズ)と、1990年の小池秀郎(亜細亜大学→ロッテオリオンズ【指名拒否】)の8球団競合なのですが、清宮幸太郎選手の1位指名球団はこの最多記録を塗り替えるのではとまで言われています。
現在、清宮幸太郎選手は来春の「春の選抜高校野球大会」への出場をかけて秋季東京大会を戦っている最中なのですが、現在の高校通算本塁打記録は72本塁打。卒業時までに高校通算100号を突破する事はほぼ間違いないと見られています。
ちなみに、高校通算本塁打記録の上位者を見てみましょう。
順位 名 前 本数 経 歴
1位 山本 大貴 107 神港学園-JR西日本
2位 黒瀬 健太 97 初芝橋本-ソフトバンク
3位 伊藤 諒介 94 神港学園-法大-大阪ガス
4位 中田 翔 87 大阪桐蔭-日本ハム
5位 大島 裕行 86 埼玉栄-西武
6位 横川 駿 85 神港学園-立命館大
7位 鈴木 健 83 浦和学院-西武-ヤクルト
7位 中村 剛也 83 大阪桐蔭-西武
9位 高橋 周平 71 東海大甲府-中日
9位 奥浪 鏡 71 創志学園-オリックス
これが通算本塁打記録の上位10名です(現役高校生は除く)。
清宮選手はまだ2年生の秋の段階ですでに通算記録で単独9位に入っていることになるのです。順当にいけば1位の記録も十分に更新できるといえるでしょうね。
意外と少ない?大物たちの高校時代のホームラン数
上に記した高校通算本塁打記録を見て意外に思われた方も多いかもしれません。そうです、高校時代に甲子園を沸かせてプロ入り後も強打者に成長した清原和博や松井秀喜の名前がないのです。
ちなみに参考記録としてプロ野球で活躍した大物選手たちの記録を見てみましょう。
城島 健司 70 別府大付-ダイエー-マリナーズ-阪神
筒香 嘉智 69 横浜高-横浜
清原 和博 64 PL学園-西武-巨人-オリックス
江藤 智 61 関東-広島-巨人-西武
松田 宣浩 61 中京(岐阜)-亜細亜大-ソフトバンク
松井 秀喜 60 星稜-巨人-ヤンキ-ス-エンゼルス-アスレチックス-レイズ
この辺りが上位者ですね。昨年のセパ両リーグのトリプルスリー選手である山田哲人や柳田悠希はさらにこの記録より下でした(山田31本・柳田11本)。
こう考えると、高校通算本塁打記録はプロで大成するかどうかにさして影響を与えないような気もしますが、どうなのでしょう。
高校通算ホームラン記録のマジック 本塁打数は公式戦だけではない
高校通算本塁打記録というのは、実は公式戦で打った本塁打の数ではありません。練習試合で放ったホームランの数も含まれています。
という事で、当然練習試合を多くこなせばそれだけ本塁打記録にも有利となります。
さらに、練習試合ともなれば、ちゃんとした球場で試合をするとは限りません。高校のグラウンドで行う場合も当然あります。高校のグラウンドとなれば、両翼や右中間・左中間が極端に狭いところや、場合によってはほぼ長方形の形をしたグラウンドなどもあります。
練習試合ともなれば、相手投手も許打者相手でも勝負を度外視して思い切って真っ向勝負を挑んでくる場合が多いので、公式戦に比べれば打ちやすいという説もあります。
清原和博や松井秀喜の通算本塁打記録が思ったほどではないのは、この練習試合も含めたホームラン数という側面が非常に大きいのです。彼らの高校時代は、今と比べるとはるかに練習試合が少なかった時代です。今の高校生くらいに練習試合を重ねられる環境があれば、二人とも軽く100本は超えていただろうという人もいますね。
とはいえ、早稲田実業の場合は野球部のホームグラウンドは他の野球強豪校と比べても広く、しかも練習試合の相手は東京都外の有名強豪校との試合がほとんどです。決してレベルが低いとかグラウンドが狭いという事は当てはまらないと思います。
真のホームランバッターとは?清宮の打球はホームランアーティストの角度なのか?
良く世間で言われる高校通算本塁打記録に対する懐疑的な論調にはわたしも概ね賛成ですが、この清宮選手の本塁打記録はその非凡な実力を反映していると思っています。
清宮選手の本塁打は当たり損ねが金属バットのおかげでスタンドインといった類のものはほとんど無く、打った瞬間といったものがほとんどです。
金属バットと木製バットとは全く違いますが、清宮選手のスイングスピードの速さや下半身をしっかり使った柔かいスイングを見れば、彼が木製バットを使っても対応できることは一目瞭然だと思います。
ただし少し気になるのが、ホームランを打った時のボールの角度が、いわゆる典型的なホームランバッターのホームランの角度よりも少し低いのが気になるところではありますね。
典型的なホームランアーティストと呼ばれるバッターたち、例えば田淵幸一や秋山幸二、江藤智、中村剛也などのホームランの角度と清宮の放物線を比べれば明らかですね。
日本では無敵のホームラン打者であった松井秀喜選手は、メジャー挑戦の際に「自分の本質は中距離打者」と言いましたが、清宮選手もそうなのかもしれません。とはいえ、日本球界ではバリバリの長距離砲になれる事は間違いありません。
清宮選手はホームランを打つだけではなく、選球眼がよくてミートも巧くて技術もあるので打率も残せるバッターとなるでしょう。間違いなく三冠王も狙える選手になると思いますね。
生粋のホームランバッターではない清宮幸太郎は三冠王も狙える逸材?
前述したように、清宮幸太郎選手は打球の角度的には典型的なホームラン打者ではないのかもしれません。
しかしそれは別に悲観する必要もないといえます。あの三冠王を三度獲得した天才打者・落合博満によると、自分や王貞治氏はホームラン打者ではないと言っているのです。プロ野球の歴史において真のホームランバッターは田淵幸一と秋山幸二だけだと。
清原や松井のみならず、落合、王、さらには野村克也や門田博光らでさえも、落合博満からいわせれば生粋のホームランバッターではないのです。
こう考えると、落合、王、野村、松中信彦らの歴代三冠王の顔ぶれからすると、むしろ生まれながらのホームランバッターでは無い方が三冠王には近いのかもしれません。
どちらにせよ、これから清宮幸太郎が高校通算本塁打記録をどれ程伸ばしてくれるのか?甲子園でどのような伝説を作ってくれるのか?ドラフトでどれ程の球団から1位指名を受けるのか?そしてどの球団でプレーし、プロ野球でどれだけの成績を残せる選手になるのか?
これからも清宮幸太郎の一挙手一投足から目が離せないのは間違いないでしょう。
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