2017第4回WBCは最後の大会?各国のベストメンバーが揃わない理由やアメリカで盛り上がらないワケとは

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2017年3月に開幕する野球の世界大会、第4回目のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。

プロ野球選手で構成される日本代表「侍ジャパン」は過去3回の大会で2度の優勝、1度のベスト4という世界でも最も優秀な成績を残しています。

毎回日本では高視聴率が記録されるなど、盛り上がる事間違いなしのWBCですが、第4回大会を前になにやらきな臭い話も出始めているのが実情です。

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WBC消滅の危機?アメリカ三大ネットワークCBSが報じたニュース

冒頭からWBCを楽しみにしているプロ野球ファンの方を不快にさせてしまったかもしれない「きな臭い話」とは以下のようなお話です。

WBCが来年の大会を最後に消滅の可能性 米メディア報道

なかなか衝撃的なニュースですね。しかもWBC消滅の危機を報じたのが、NBC、ABCと並ぶアメリカの三大メディアである、あのCBSなのです。

記事によると、CBSのこのニュースの発端となったニュースソースはESPNの記者が複数の関係者から聞いた話なのだそうです。ちなみにESPNとはアメリカの大手スポーツ専門チャンネルですね。

この記者の話では、WBCが打ち切りになる前提は、「2017年のWBCで十分な利益が出なかった場合」という事であると言っています。

ということは、第4回のWBCは激しい収益の落ち込みが見込まれているという事なのか??と勘ぐってしまいたくなりますよね。

上がり続けるWBCの賞金額 日本は2013大会でWBCバブルがはじけた?

ちなみに、第一回から第三回までのWBC賞金総額は以下のようになっています。

大   会   総 賞 金    優勝賞金

第1回大会   780万US$  78万US$
第2回大会  1400万US$ 270万US$
第3回大会  1500万US$ 340万US$

気になるのが、第1回大会から第2回大会までの上昇幅が総賞金で2倍近い伸びなのに対して、第2回から第3回までの伸び幅がわずかに7%程度にとどまっているという点です。

WBCの収益の大きな要となるのが、莫大な放映権料だといわれています。特に毎回高視聴率を記録する日本からの放映権料はこのWBCにおいてもかなりのウエートを占めているともいわれています。

ちなみに2013年の第3回大会の日本代表は準決勝で敗れて初めて優勝を逃しました。さらに、日本人メジャーリーガーが全選手辞退したという事もあって、初めてNPB所属選手のみで代表チームを編成しました。そのために前2回大会とは明らかに盛り上がり方に差があったのは事実です。それは過去2大会との視聴率の差を見ても明らかでしょう。おまけに決勝に進めなかったという事もあって、決勝戦の放送を予定していたテレビ局は急きょ放送を取りやめたという経緯もありましたよね。

高視聴率間違いなしというキラーコンテンツであれば各局が競い合って放映権料は高騰していくのでしょうが、敗退の危険性が高く、盛り上がりもイマイチという事になれば当然放映権料は下がっていきます。

少なくとも日本では前回の第3回大会で一旦WBC熱が冷めてしまった感は否めません。

ちなみに過去3大会の日本でのWBC視聴率についてはこちらの記事をご覧ください。

WBC(ワールドベースボールクラシック) 高視聴率のカギはメジャーリーガー?過去3大会の視聴率を振り返る

ダルビッシュのツイッターと全米視聴率に見るアメリカでの盛り上がりは?

日本での盛り上がりについては前述した通りなのですが、それでは肝心なアメリカでの盛り上がりはどうなのでしょうか。これについては、メジャーリーガーであるダルビッシュ有投手のツイートが参考になるかもしれません。

このツイートは当時結構話題になりましたよね。このツイートが2012年7月のツイートなので、第3回大会の前年時点での話なんですよね。

つまり、第2回大会終了時点で少なくともWBC主催の中心であるメジャーではこの程度の扱いだったという事です。これはWBCに熱狂した日本のプロ野球ファンには結構ショッキングな事実でしたよね。

ちなみに、第3回WBCの第1ラウンドのアメリカでの視聴率が以下の通りです。

米国×カナダ 0.5% 76万人
米国×メキシコ 0.4% 67万人
米国×イタリア 0.4% 57万人
ドミニカ×プエルトリコ 0.3% 51万人
プエルトリコ×ベネズエラ 0.3% 42万人
カナダ×メキシコ 0.2% 33万人
ベネズエラ×ドミニカ 0.2% 28万人
スペイン×プエルトリコ 0.2% 26万人
スペイン×ベネズエラ 0.2% 20万人
カナダ×イタリア 0.1% 19万人
オランダ×キューバ 0.1% 19万人
イタリア×メキシコ 0.1% 19万人
ドミニカ×スペイン 0.1% 15万人
オーストラリア×オランダ 0.1% 14万人
台湾×キューバ 0.1% 10万人
日本×オランダ 0.1% 7万人
日本×台湾 0.1% 5万人
ブラジル×中国 0.0% 3万人
日本×キューバ 0.0% 3万人
韓国×オーストラリア 0.0% 3万人
台湾×韓国 0.0% 3万人

Son of the Bronx

アメリカは日本と違ってケーブルテレビによる多チャンネル文化が根付いていますので、日本のテレビ視聴文化と一概に比較は出来ず、あくまで参考資料程度なのですが・・まあそれでもお世辞にも高いとは言えませんよね。

特に自国アメリカ戦が0.5~0.4%、視聴者数が57万~76万人だというのが驚きです。第3国同士であるドミニカ対プエルトリコ戦とほとんど変わらないという事なんですよね。これを見ると中止になってもおかしくないのかなと思えてきますよね。

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代表チームに選手の拘束力がなく、球団が選手派遣に非協力的な現状

まあ前述したように、当然のことながら日本の視聴率とアメリカの視聴率を単純比較することは出来ません。ですがアメリカ本国での盛り上がりが日本ほどではないのは間違いないようです。

ちなみにアメリカのWBC成績はといえば、2006年の第1回大会が第2ラウンド敗退、2009年の第2回大会がベスト4、2013年の第3回大会が第2ラウンド敗退となっています。優勝はおろか、決勝戦にさえ進んだことがないのです。

この原因ははっきりとしています。アメリカチームがベストメンバーとは程遠いチーム編成だというのが一つ。さらにモチベーションが低く、シーズン開幕前なので調整不足だという事。これに尽きると思います。

これらの原因の多くはメジャーの各球団はWBCへの選手派遣に関して積極的だとはとてもいえないという現状が大きく関係しています。球団としては大事な選手にシーズン前の大会で怪我でもされたら困るという事です。これは球団側から考えれば当然の話ですね。

例えばサッカーの場合は、所属チームがいくら選手を各国の代表に出したくなくても、年間に一定日数があらかじめ決められている国際Aマッチデーの期間中は、各国のサッカー協会から代表への招集があれば選手を各国のナショナルチームに送り込まなければならない事に決められています。だからこそ日本代表の海外組はワールドカップ予選やワールドカップ本戦やアジアカップなどの主要国際大会に出場することができるのです。もしもこの国際Aマッチデーの規則が無ければどのチームも大事な選手を代表戦に送り出さなくなってしまうでしょう。

つまり、野球の場合はサッカーにおける国際Aマッチデーのように、球団が国際試合に選手を出さざるを得ないような取り決めがないのです。そのために球団は選手の代表チーム派遣に非協力的になり、結果選手も球団の意向を汲んで代表招集に及び腰になってしまうというわけです。

歴史の浅いWBCとサッカーワールドカップの大きな違い

球団が選手の代表チーム派遣に非協力的である理由は以上の通りですが、それでも球団は選手に出るなという強制力があるわけではありません。選手がどうしても出たければほとんどの場合は出られます。しかし実情は出場を見送る選手がほとんどです。

その大きな理由の一つに、先ほどのダルビッシュの発言が大きく関わっています。

そうです、知名度も人気もそれほどないからです。少なくともアメリカでは。

度々サッカーを引き合いに出して申し訳ないのですが、例えばサッカーでの各国代表戦の最高峰の大会であるワールドカップで、一流のサッカー選手でワールドカップの結果を知らないなんてことはほとんど無いと思われます。

サッカーのワールドカップといえばサッカー選手であれば誰もが憧れる舞台であり、そこに出場すること、優勝することは選手として最大級の名誉であるとされています。だからこそ多くの選手が代表に選ばれる事を誇りに思うのです。そして怪我のリスクなどがあっても代表に合流して代表選手として試合に出てプレーするのです。

しかし残念ながら歴史の浅いWBCはまだそこまでの権威を持っていません。現時点で選手の価値観としては圧倒的に「所属球団でのキャリア>WBC」なのです。当然そんな大会のために調整をいつもの年よりも早めにして万全の状態で参加する選手は少なくなってしまうでしょう。

しかしこればかりはWBCの歴史を重ねてその存在を名誉も権威もあるものに育てていかなければなりません。WBCが野球の国際大会としての地位を高めていければメジャーリーグの一流選手も参加するようになるはずです。だからこそ続ける事に意味があるのだと思うんですけどね。

一日も早く代表チームの招集要請に球団が従うシステム作りを

世界での野球の普及率は残念ながらまだ地域によってバラつきがあります。北中米・カリブ海地域や東アジア地域ではかなり盛んで人気のある一方、ヨーロッパやアフリカ、東アジア以外のアジア地域などは野球不毛地帯といわれています。

各国にあるプロリーグの中でも、選手の質・量、さらに球団の経済規模全てにおいてメジャーリーグベースボール(MLB)が他を大きく引き離して独走状態なのが実情です。

よって、WBCが成功するか否かの大きなカギはやはりMLBが握っているという事になります。メジャーが選手の派遣に非協力的である以上、何度大会を重ねてもWBCの大会価値が上る事は考えづらいですね。

WBCを成功させるには、一にも二にも、代表選手を派遣するための仕組み作りが大事なのではないかと思いますね。それこそサッカーの国際Aマッチデイのような強制力のある規則を早急に作る事が求められます。

超一流の選手がその国を背負って戦うという事になれば、今まで国際大会に無関心だったアメリカ国民の関心も高まるでしょうしね。

メジャーリーグナンバーワンを決める試合を「USAシリーズ」ではなく「ワールドシリーズ」と名付けるくらいですから、アメリカには当然メジャーが世界一という自負はあるはずです。だとしたら、ここまで自国が決勝進出すら果たせてないのは屈辱以外の何物でも無さそうな気もするんですけどね。

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