ツキノワグマの習性や性格、行動範囲やもし遭遇してしまった場合の対処法、出会わないための予防策を知っておこう

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時事
出典:wikipedia
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最近個人的に気になるニュースといえば何といっても、人間がクマに襲われて犠牲になるという事件です。

ここ数年クマによる人間の被害が多発しており問題化していましたが、今年は秋田県鹿角市で4人が犠牲となった痛ましい事件がありました。近くで駆除されたメスのツキノワグマの胃からは、人体の一部とみられるものも発見されています。

わたしの住む鳥取県でもツキノワグマの目撃情報がありました。しかも本陣山という場所の遊歩道での目撃です。わたしの住む場所からそれほど遠くもなく、実際に何回か行った事もある場所です。住宅地も程近く、とても熊が出るなどと考えた事もないような場所です。だからこそ余計にショックでした。

だからこそ熊について正しい知識が必要なのだと改めて思ったのです。

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昔から熊との遭遇を避ける知恵を常識として持っていた梨農家の叔父

わたしが住む鳥取県は全国を代表する梨の名産地です。二十世紀梨が有名ですよね。

実はわたしの本家は梨農家をやっています。子供の頃から梨山に何度も連れて行ってもらっていました。その時、親せきの叔父さんは、必ずポケットラジオに紐をつけて首にぶら下げて大音量でラジオを流していました。まだ子供だったわたしは当然疑問に思って聞きます。

「何でそんなに大きな音でラジオ聞いてるの??」と。

「こうやってるとな、クマが怖がって逃げてくんだよ」

と叔父は答えてくれました。

未だにたまに親戚の叔父さんの梨山に梨の袋かけを手伝いに行くと、叔父さん夫妻は二人ともラジオを大音量でかけていますね。

ツキノワグマは非常に臆病な生き物だと言われています。

熊除けの鈴をつけたり、ラジオを流すとかして人間の存在を感知させると恐れて熊の方から遠ざかっていくという習性があるのです。昔から農家の人たちは熊に対する適切な知識を持っていたのだなあと今では感心してしまうエピソードです(あくまでツキノワグマの話です)。

昔に比べてクマの生息地域、活動範囲は広がっている?

近年、クマによる人間の被害や目撃情報が相次いでいる理由ですが、その理由で見かける中に森林伐採などによって熊の生息域が狭まっているからという意見があります。

しかしこれは逆で、熊の生息地域は以前より広がっているそうです。

理由は人間の生息地域が都市部に集中するようになったからです。山に程近い限界集落などは過疎化によってほとんど人がおらず、近くの山にも畑や田んぼはほとんどありません。木を伐採してはげ山になっているような山も昔に比べたら遥かに少ないですよね。

そういう意味で、クマの活動範囲、生息範囲は昔より随分広がっているというのが事実なのだそうです。つまり熊にとっては活動範囲が広くなっている環境となっているという事です。

以前は、住宅地から離れた山間部には集落があって田畑があり、森林にも人の出入りが多かったので、熊は都市部に出る事が無かったと言われています。田畑、森林に出入りする人たちのおかげで、都市部と熊の生息地の間に防衛線のようなものがあったという事ですね。

しかし山間部が過疎化によって寂れ、都市部と熊の生活圏の狭間の防衛ラインが無くなってしまったのです。熊の目撃情報が年々増えているのはそのような背景もあるのです。

臆病なツキノワグマが人間を捕食対象として認識してしまうのが最も危険

ところが、そのような習性(音で人間から逃げていく)に全く合致しない異端の熊がいる事も事実です。

秋田県鹿角市で4人を襲ったと見られる熊は、恐らくその異端の熊だと言われています。

普通、本州や四国などに生息しているツキノワグマはブナの実やドングリの実、木の皮、ハチの巣などを食します。北海道に生息しているヒグマなどは動物を襲ったりする獰猛さで知られていますが、基本ツキノワグマは臆病な生き物であり、植物性の食べ物が主食であると言われています。

ツキノワグマが人を襲って被害を与えるという場合、ほとんどは予期せず人間と出会ってしまったツキノワグマが自己防衛のために人間の襲い掛かるのです。

しかし恐ろしいのは、自己防衛のために襲った人間を偶然熊が食べてしまった場合です。その瞬間、クマにとって人間は、未知なる恐怖として逃げる存在から、餌として捕食する対象へと変わってしまう場合があると言われています。

これは熊の知能の高さ、環境適応能力の高さに起因していると言われています。

つまり、このように一度人間を食してしまった熊にとって、人間は餌として認識されてしまうのです。そうなると、クマ除けの鈴やラジオを流す等の一般的な熊対策は命取りになります。熊を遠ざけるどころか、餌の位置を知らせて熊をおびき寄せるようなものです。

ですから、近くで人間がクマの犠牲となったような出来事等があった場合、鈴やラジオなどで防衛できるなどとは考えず、現場近くには絶対に近寄らない事です。

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クマと遭遇してしまった場合の正しい行動、NGな行動

このように、絶対に出会いたくないツキノワグマですが、もしも万が一遭遇してしまった場合どうすればいいのでしょうか。

わたしが子供の頃にまことしやかに言われていたのが、死んだふりをすればいいという事。

しかしそれが一般的には間違った常識である事は現在では広く知られていますよね。そう、臆病なツキノワグマにとって、反撃の可能性の無い死んだ人間などは恐怖の対象になり得ないため、なんの抑止力にもならないのです。むしろ自らを危険に晒す大変なリスクとなってしまいます。

走って逃げるというのも大変危険です。熊は背中を見せて逃げる相手を追ってくる性質があります。クマの最高時速は約50kmとも言われています。人類最速のウサイン・ボルトでさえ最高時速が約44kmなのです。とてもじゃないが逃げ切れるものでもありません。

木に登るという行為もNGです。熊は木にも登ってきます。人間などとは比べ物にならないほどのスピードで。

一般的に言われている、クマに出会ってしまった時の対処方法をご紹介します。

  • 大声を出したり物を投げつけたりせず、じっとクマの目を見る。
  • クマの目を見ながらゆっくりと後ずさりをする(絶対に背中は見せない)
  • クマが視界から見えなくなるまで、決して走ったり騒いだりしてはならない。
  • 持ち物や衣服、帽子などをゆっくり静かに地面に置いてクマの注意を引き付けるのも有効

とはいえ、やはり出会わないのが一番です。もしもクマの足跡らしきものやフン、皮が削り取られたような木などがあれば、近くにクマがいる可能性が高いです。そのような時は、速やかに遠くへ離れましょう。

子に正しい知識を教え、自分の身を守る術を教えるのも親の責任

わたしも子供の頃はよく山の中で遊びまわったり、山奥深くの川で泳いだりしたものです。その度に、親からクマが出るぞ、とかイノシシがいるぞ、とか注意されたものです。

今はわたしにも幼稚園に通っている子供がいます。だからこそ、わたしが子供の頃に比べてクマの存在が身近になった今だからこそ、正しい知識に基づいた事を伝えなければならないと思っています。

子どものうちは親が子を守ってやらなければならないのは当たり前ですが、大きくなっていくにつれて、四六時中傍にいてやれる事など出来るはずもありません。大きくなれば活動範囲も広がりますし。だからこそ、正しい知識を身に付けせて万が一の場合に自分の身は自分で守れるような人間にしてやるのも親の責務だと思っています。

皆で正しい知識を共有できるようにしておかなければならないとつくづく思いますね。

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