「保育園落ちた 日本死ね」
こんな物騒なタイトルがつけられた匿名ブログから全国に火が付いた待機児童問題。
野党がこの問題を国会で初めて取り上げた時には、匿名意見であるから・・と困惑していた安倍総理も、世論の盛り上がりに押された(?)形で、待機児童問題の解決に全力を尽くす事を明言しましたね。
確かにこの問題、保育園児を抱える父親としてはかなり考えさせられる問題であった事は確かなのです。
待機児童数断トツ1位は東京都。待機児童0は何と12県も
このブログ問題で気になったので全国の待機児童数をちょっと調べてみたのですが、びっくりしましたね。資料は平成26年4月1日と少し古いのですが、都道府県別で確実な資料はこれが一番新しいっぽいです。
1位は東京都なんですが、断トツの8672人。人口も多いとはいえ、多すぎますよね。ちなみに「保育園落ちた」のブログ主さんも東京都在住ですね。
2位が意外な事に沖縄県。2160人と東京都の約4分の1の数なんですが、人口は東京都の約10分の1なので人口当たりだと断トツの1位という事になってしまいます。
3位は東京のお隣、千葉県。1251人です。4位は大阪府で1124人、5位は神奈川県で1079人と続きます。1000人以上はここまでで、6位以下は宮城県、埼玉県、熊本県、静岡県、兵庫県と続きます。
続いては待機児童の少ない都道府県。
1位は待機児童数0。何と待機児童無しの県が12県もあります。待機児童のい無い県が
青森県、山形県、群馬県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、鳥取県、香川県、愛媛県、宮崎県。
以下島根県、和歌山県、京都府、高知県、徳島県、大分県と続きます。
待機児童数100人未満の都道府県が27、100~499人が10、500~999人が5、1000~2999人が4という分布となっています。
こうやって見てみると、随分都道府県によって差があると言うのが分かりますね(苦笑)。
待機児童0の住民にとっては危機感無し?
こうやって改めて都道府県別の待機児童数を調べてようやくわかったことがあります。
ここ数年、この待機児童の問題は国会で野党が与党を責める機会が多く、ニュースでも取り上げられていた問題です。
ところが、わたしの周囲では全くこのことに関して話題になりませんでした。妻ともほとんど話した事は無いですし、会社の保育園、幼稚園の児童を持つ親たちや同世代の子を持つ親たちともこの話題は上がりませんでした。その他の子育ての苦労とか子供が犠牲になる事件、良い保育園悪い保育園の話題は沢山出るのに、です。
そうです。わたしの住んでいる鳥取県は待機児童問題がないからなのです。
だから同じ子を持つ親でありながらどことなく親近感がわかなかったんですね。実際わたしの娘が入園した時もすんなりでしたし、入園を心配する人たちも周囲には全く見当たらないのです。
保育園入園できなければ生活破たん?
恥ずかしながらわたしは今回のブログ騒動で初めて都会に住む同じ世代の子を持つ親御さんたちの危機迫る状況を知りました。
もしうちもブログ主さんと同じような境遇だったとしたら・・正直言って暮らしていけないかもしれません。
うちは妻と私が共働きで、母がわずかながらの年金暮らしです。もしも娘が保育園に入れないのであれば、妻は仕事を辞めないといけないかもしれません。そうすると家のローンや光熱費、食費などが赤字になってしまいます。考えただけでぞっとしますね。それでもうちは母がいるので面倒見てもらえるかもしれませんが、夫婦と子供だけの核家族であればそうはいかないでしょうし。
まあ自分が家族全員を養っていけるだけの収入のある大黒柱だったら問題ないんですけどね(涙)。
実際には共働きでやっと暮らしていけるっていう家庭が現在は多いんでしょうし、そういう意味では非常に切迫した問題ですね。
違和感を感じる「日本死ね」のフレーズ 自治体の責任の方が大きいのでは?
この「保育園落ちた日本死ね」ブログを見て事の深刻さに気付いたと同時に、一つの疑問も沸きました。
それは、なぜ「日本死ね」なのかという事です。
ここだけは何か違和感を感じてしまいます。
確かに国の責任もあるんでしょうけど、少なくとも保育所が足りない原因の多くは自治体にあると思います。実際に都道府県によって待機児童数にこれだけの差が出ているのが何よりの証拠です。
国の責任としては、保育士の待遇改善策が十分ではないという事です。保育士は非常に給料が安いです。よって保育士になりたがらない、なっても続かない、となって人材不足になってしまいます。十分な予算を取って保育士がこれから保育士を目指す人たちにとって魅力的な職種になるようにしなければなりません。
しかし、保育園不足はもちろん保育士不足だけが原因ではありません。保育所は許認可制なので、自治体の許可なく開園することは出来ないのです。自治体は都市計画の一環として保育園も計画的に作っています。しかし、児童数に対して計画の保育所の絶対数が足りないなど、その計画自体に問題があったり、開園計画の保育所予定地の周辺住民の反対などで計画が進んでいないなどという自治体も少なくはありません。
正直、わたしはこの問題に関しては心の底から「鳥取県に住んでてよかった。鳥取GJ(グッジョブ)!」と思ってしまいました。不謹慎という批判は覚悟のうえで申しますが、これが偽らざる気持ちです。
なので、もしもわたしの娘が待機児童になってブログ主さんと同じ立場に立ったら、「保育園落ちた鳥取死ね」と思うと思うんですよね。ブログ主さんの場合は「東京死ね」でしょうか。
どちらにしても「○○死ね」って発想は穏やかではないですよね。
立場や思想を超えて解決への努力を
どちらにせよ、この問題は働きながら子供を育てる親にとっては本当に切実な問題です。
ネットなどではこのブログ主さんに対する批判的な意見も多く見かけますが、わたしは大部分に共感できます。実際ブログ主さんも取材に対して「感情の赴くままに書いてしまった」とおっしゃってるようです。表現は過激ですが、気持ちは十分理解できますね。わたしが同じ立場に立ってもどこかに誰かに怒りをぶつけずにはいられなかったかもしれません。
野党はこの問題を与党叩きのネタとして利用するだけに終わらせず、1億総活躍を掲げている与党は、解決のために国が出来る事をしっかりやって欲しいですね。どちらにしても政争の具としないでいただきたいです。
ブログ主の30代前半の女性は「これが何かを変えるきっかけになってくれれば」と言っているという事です。
この待機児童問題は、思想や打算、立場云々抜きにして国民全体で取り組んでいかなければならない問題だと思いますね。
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