長距離ドライバーの過酷な労働環境とは?運送業はブラック企業がいっぱい?原因は規制緩和による企業飽和状態か

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死者2人を含む69人の死傷者を出した3月17日の山陽道でのトンネル内での衝突事故。

トンネル内で停車していた車の列に突っ込んだトラックの運転手が過失運転致死の疑いで逮捕されましたが、それに関連してこんなニュースが出ていました。

元社員「限界まで走る」過酷労働実態を証言

先月の軽井沢でのスキーバス事故など、最近多発する大型車の事故ではドライバーの過酷な労働実態が深刻な問題として報じられてきましたが、この事故の背景はどうなっているのでしょう。

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元運転手の証言に見る運送業の「総ブラック企業化」

このニュースの中で、事故を起こしたドライバーが勤務する会社の元運転手のインタビューがあります。

皆見容疑者が勤める運送会社の元ドライバー「(運行は)ほぼぶっ通しです。トイレ休憩以外は止まれないような感じで。私は18時間半ですかね。確か、鹿児島から関東に戻るような感じのスケジュールで急ぎだった。とにかく走らないと寝る時間がない、寝ないと次の運行がきつくなるので、とりあえずその日、限界まで走るっていうのが常識な会社なんですかね」

引用:日テレNEWS24

やっぱりという感想しかないですね。

長距離運転手を取り巻く環境の厳しさは既に常態化してしまっているのでしょう。「運送業総ブラック化」と言ってもいいのかもしれません。

軽井沢のスキーバス事故でもバス会社の労働実態等が問題視され、結局会社は国土交通省から一般貸切旅客自動車運送事業の許可の取消処分という処分を受けてしまいました。

今回は事故原因がまだはっきりと解明されていませんが、軽井沢の時と同様に勤務実態などが問題視される可能性も大いにあるでしょう。

規制緩和によって競争が激化し、ダンピング合戦に

これだけ運送業を取り巻く環境が悪化している理由とは何なのでしょうか。

大きな原因の一つとして、小泉政権下で実施された規制緩和政策によるものがあります。

規制緩和によって運送業への参入障壁が大幅に下がって、新規参入企業が増えました。これによって同業者による競争が激化し、仕事を取るために猛烈な価格競争となります。旅行会社のプランなどで「激安バスツアー」が増えた原因の一つがこれです。旅行会社が下請けであるバス会社同士の熾烈烈な価格競争によって、バス会社を安く雇えるようになったからです。いわば原価の削減が出来たという事ですね。原価削減によって、ツアー料金を安く設定する事が出来るようになったわけです。

ダンピングによって低価格で仕事を請け負う事となった運送会社がどうするかというと、赤字を出さないために経費を削減する事です。経費削減で一番手っ取り早いのが人件費の削減。通常は1.5人から2人でしなければならない仕事を1人で賄わせるとか、給料を下げるとかですね。

つまり、最も大きな原因は規制緩和によって業者間競争が増え、ダンピングで価格競争になったしわ寄せが運転手に来ているという事なのです。

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ドライバーを取り巻く過酷な実情

わたしの友人にも運転手をしている人間が何人もいます。長距離貨物トラックの運転手もいれば、建設業の大型ダンプカーの運転手、コンビニなどに食料品を納品するドライバーなどもいます。

全員が全員、きついと言ってますね。割に合わないとも。

長距離運転手なんて本当にインタビューで発言している元ドライバーとほぼ同じこと言ってます。10トン車の箱いっぱいに手積みで荷物を入れて出発。途中トラックの中で仮眠をとって出発。早朝目的地についてまたも手降ろしで10tの荷物を降ろす。そしてまた手積みで帰り荷を積んで出発。ほぼ休憩無しで帰ってきて荷物を手降ろし・・やっと終わり・・みたいな。

荷物の積み下ろしだけでクタクタになっちゃいますよね。フォークリフトでの積み下ろしならまだしも、手積み手降ろしってね(涙)。

コンビニに納品しているドライバーなんかも拘束時間16時間とか聞きますしね(合間に休憩はあるらしいですけど)。

そんでもって給料は安い・・と。

確かに地元の求人票見てても運送・配達の求人はずーっと残ってるの多いんですよね。実際、わたしが勤務する職場に出入りしているドライバーさんが言っていましたが、前任者の相棒が退職してから求人出しているのに1年近く応募がないって言ってました。おかげで二人分の仕事をしないといけないってぼやいてました。それなのに給料は変わらないと。

安かろうしんどかろうではそりゃあ集まりませんよね。

監視・罰則を厳しくし、参入障壁を上げて業者数を適正に

とにかく全てが悪循環になっているんでしょうね。

意見として、ドライバーの賃金の見直しをっていうのをよく見かけますが、仮に法で最低賃金を定めて給料が上がったとしても、人件費を補うためにより一層過酷な労働条件となるのは目に見えていますね。

結局は労働環境に対する監視や罰則をもっと厳しくしなければ無くならないような気がします。

あとは参入障壁を上げるという事でしょうか。基準に満たない業者はバッサリと切るという事です。需要と供給のバランスが保たれれば、ダンピングも無くなり価格も真っ当なところに落ち着くでしょう。

そうすればドライバーの収入も労働に見合ったものになるはずです。

労働組合があって社員の意見が反映されるような大手企業は運送業者の場合ほんの僅かです。会社としては、文句があるならやめてくれっていうスタンスです。従業員は生きるために従うしかないのが実情です。

国が本気で取り組まなければならないところまで来ているのは間違いないと思います。

コメント

  1. いまひ より:

    規制改革って良いものかと思っていましたが、トラックやタクシーの規制緩和や大規模小売店舗法の廃止といった規制緩和は最悪の結果をもたらしたと思います。