11月も終わりに近づいてくると、嫌が応にも高まってくるのが世間でのクリスマスムード。
「嫌が応」と言いましたが、別にクリスマスが嫌いなわけではありません。結婚して子供が出来、今は子ども中心のクリスマスとなっていますが、何歳になっても、やはりクリスマスは気分が高揚するものです。
子どもの頃、ティーンエイジャーの頃、20代、30代、40代・・重ねる年齢によってクリスマスの感じ方や楽しみ方も変わってきますが、そんな中で不変なものももちろんあります。その一つが名作映画。
ここでは、若い恋人同士、新婚夫婦、そしてある程度年齢を重ねた夫妻・・どんなカップルが見ても感動できる不変の名作をご紹介します。特にクリスマスに見るとより一層親密になれる、愛情が深まる事間違いなしの名作たちです。
シザーハンズ 主演:ジョニー・デップ
巨匠ティム・バートンの6作品目の監督作品がこの1990年公開のアメリカ映画「シザーハンズ」です。
監督・制作・原案までをティムが担当した、まさにティム・バートンの代表作の一つであり、この後ティム・バートン作品には欠かせない俳優となるジョニー・デップの出世作でもあります。
作品は、もはや「これぞティム・バートンの世界!!」というほどのティムワールド全開のファンタジー映画です。
両手がハサミで出来ている人造人間・エドワード・シザーハンズ(ジョニー・デップ)と、それを取り巻く人々、そしてエドワードの純粋な心に惹かれていく少女・キム(ウィノナ・ライダー)との交流を描いたこの「シザーハンズ」。
物語は、寒い冬の夜に、幼い孫娘に「どうして雪が降るの?」と聞かれたおばあちゃんの回想から始まります。この街には毎年クリスマスになると必ず雪が降るのです。
物語はキムとエドワードとの出会いや思い出、そしてエドワードの生い立ちや悲しい過去、さらにはエドワードのハサミにまつわるトラブルと、それが原因でのキムとの別れが、美しい情景や音楽に乗って描かれていきます。
そして年を重ねたキムおばあちゃんは、クリスマスに降る雪がささやかな奇跡の結晶であることを最後に孫娘に聞かせて寝かしつける場面で物語は幕を閉じます。
あんまり詳しい解説はしたくない映画です。なぜって、この「シザーハンズ」の世界を口頭だけで説明するのは無理だと思うからです(苦笑)。映像と物語、そして音楽・・全てが一体となって訴えかけるこの「シザーハンズ」の世界は、もう実際に見てもらうしかないんです。
まあ基本的には悲しくて切ないお話なのですが、それを中和しているのがティム・バートンの映像美と世界観ですね。見どころはたくさんありますが、個人的にはエドワードが生みの親である博士の亡骸を傷つけてしまう場面と、最後に若き日のキムの雪像を作っているエドワードと、そして老いた自分ではなく、エドワードには若かった頃の自分だけを思い出にしていてほしいと語った場面ですね。ああやべ、書いててウルっと来てしまいましたよ(苦笑)。
この映画を見ていていつも思うのは、自分は大人になって何か大事なものを無くしてしまってるんだなあ・・という事ですかね。純粋な子どもの頃に持ってた大事なものを思い起こさせてくれる映画です。
街の灯(まちのひ) 主演:チャールズ・チャップリン
ご存知、「世界の喜劇王」チャールズ・チャップリンの名作中の名作がこの「街の灯」です。
1931年(昭和6年)に制作されたアメリカ映画ですね。何と、今から85年前の映画であります。音楽あり、セリフ無しのサイレント映画であり、字幕でセリフが出て来ます。
ストーリーは、チャップリン演じる町の浮浪者と、彼がふとしたことで出会った目の見えない花売りの少女との物語です。
チャップリン演じる浮浪者の男は、目の見えない花売り娘に一目ぼれ。しかし彼は娘に自分が浮浪者であることを告白できず、盲目の彼女に自分はお金持ちの紳士であると思わせます。
男は彼女の目を治す治療費を稼ぐために彼女には内緒で一生懸命に働きます。ボクシングの試合で八百長をして稼ごうとしたりしますがうまくいきません。しかしひょんなことから大金を手に入れる事が出来た男。しかしその代償に彼は無実の罪を着せられてしまうこととなり・・・
というお話です。
85年前の映画ですが、この映画は現代の老若男女すべての人たちの心を動かす映画だと断言します。「本当の愛とは何なのか?」などという表現が陳腐にすら思えるほどに美しくも悲しい物語です。ハッキリ言って今巷に嫌というほどに溢れているチープな感動エンターテイメントとは対極のものがこの映画にはあります。
チャップリンといえば「喜劇王」と呼ばれるのですが、チャップリンがただの「喜劇王」ではない理由はこの映画を見てもらえばわかってもらえるはずです。だからこそ没後40年近く経った現在でも伝説として語り継がれているのです。
まあぶっちゃけ、あんまりクリスマスは関係ないような気もしますが(おい!笑)、とにかく好きな人と一緒に見るのにこれほど適した映画もないでしょう。「喜劇」と「悲劇」は紙一重なのです。だからこそ美しい。それだけです。とにかく見ましょう。見て泣きましょう。あ、「悲劇」とはいっても悲惨な映画ではないのでご安心を(笑)。
素晴らしき哉(かな)、人生! 主演:ジェームズ・スチュアート

引用:wikipedia
もはや説明不要の名作中の名作です。世界で最も有名な映画のひとつですね。
太平洋戦争の終戦間もない1946年(昭和21年)公開のアメリカ映画です。主演は名優ジェームズ・スチュワート。
世界で最も有名な映画の一つなんてえらそーに言ってますが、わたしがこの映画を知ったのは30代半ばくらいの頃でした。今から10年くらい前ですね。はい、それまでこの映画の事は一切知らなかったのです。
職場で感動した映画の話をしてる時に、当時同じ職場の先輩が、「俺は“素晴らしき哉、人生”が好きだなあ」と言ったのです。「え?ああ、織田裕二と浅野温子のドラマですよね?」などと言ってしまったわたしに、先輩は「ちゃうよ、アメリカの白黒映画♪」と、半笑いで教えてもらいました(浅野温子主演のドラマにも“素晴らしきかな人生”というのがあったのです笑)。
その夜のうちにレンタルで借りて来ましたよ、DVD。感動しましたよ、ええ。そりゃあ感動しましたよ。めっちゃ感動しましたよ。先輩グッジョブっすって心の中で叫びましたよ。
簡単なあらすじはこうです。
ジョージ・ベイリー(ジェームズ・スチュアート)の人生は不運に見舞われた人生でした。自らの夢を追いかけるも、運命は彼に夢を諦めさせる選択を余儀なくさせて来ました。
父親の事業を受け継いで苦労したものの、会社の業績は安定して大事な家族にも恵まれて、やっとジョージの人生が好転し始めようとしていた時、彼は親族の問題に巻き込まれて人生のどん底に突き落とされます。
全てに絶望し、まさに自ら命を絶とうとしていたジョージの前に現れた一人の老人クラレンス(ヘンリー・トラヴァース)。クラレンスは実は天界からジョージの命を救うために遣わされた下級天使だったのです。
人生に希望を持てないと嘆くジョージに対して、クラレンスはジョージのいない世界を彼に見せることとなるのですが・・
という物語です。
ハッキリ言いましょう。直球ど真ん中です。しかしそれがいい。それだからいいんです。まさに古き良きアメリカ映画です。この後に続くこの映画に明らかに影響された「もどき」とは格が違いますよ。
人間にとっての幸福とは何なのか?生きていく上での永遠のテーマですね。そしてこの映画はそんな疑問に対してハッキリと答えてくれています。
自分の人生ついてないな・・とか、自分は必要なんだろうか?とか考えている人には是非とも見てほしい映画です。映画のすばらしさの全てがこの作品には詰まっているといってもいいでしょう。
後世に多くのフォロワーを生み出した珠玉の名作映画たち
まあここに紹介した3作品は別にクリスマスじゃなくても見ておいた方がいい作品だと思うほどの名作だと思うのですが(笑)、クリスマスという特別な日に見れば、また特別な感情が沸きあがる事は間違いありません。
3作品共に共通するのは、安易なハッピーエンドではないという事です。特に「シザーハンズ」と「街の灯」に関しては、ハッピーエンドでさえありません(バッドエンドでもありませんが)。
「んじゃ、クリスマスには相応しくないんじゃ?」という意見もあると思いますが、そんなことは全くもってありません。わたしは過去にこれらの作品でクリスマスを大事な人と過ごしましたから。幸いにも、わたしのこのチョイスに異議を唱えられたことはありません(たまたまかもしれませんが苦笑)。
根がひねくれ者だというのもあるのかもしれませんが、ありきたりの恋愛映画とか感動物語はあまり受け付けない体質なのです。
この3作品はあまりにも後世への影響が強すぎる作品であり、これまで数多くの模倣作品を生み出してきたほどに影響力のある名作揃いです。従って、どこかで見た事あるストーリーだなと思われる事もあるかもしれませんが、やはりオリジナルの輝きは不変であると思わせるだけの説得力がこれらの作品にはあります。
ベタな作品はちょっとなぁ・・っていう人にはうってつけの名作揃いだと思いますね。
まあ有名過ぎてその意味ではベタベタかもしれませんが(笑)。
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