維新三傑にも数えられる幕末から明治にかけての英雄・西郷隆盛の兄弟といえば、海軍大臣などを歴任し、元老にもなった“小西郷”こと西郷従道(じゅうどう/つぐみち)が有名です。
しかし、西郷隆盛には従道の他に二人の兄弟がいました(姉妹は除く)。ここでは西郷隆盛の弟となる西郷家の次男・吉二郎と四男・小兵衛をご紹介しましょう。
西郷吉二郎隆広(さいごうきちじろうたかひろ) 演:渡部豪太(わたべごうた)
西郷吉二郎の生涯・略歴
天保四年(1833年)、薩摩藩城下士・西郷吉兵衛の次男(第三子)として薩摩国鹿児島城下加治屋町に生を受ける。母は西郷満佐(政佐)。兄・隆盛とは5歳年の離れた弟であり、弟・従道の10歳年上の兄という事となる。
天保十四年(1843年)、11歳の時に第10代薩摩藩主・島津斉興に謁見する。嘉永五年(1852年)に父・吉兵衛が死去し、長男の隆盛が家督を継いだ。その後は御勘定所書役として藩に出仕し、西郷家を兄・隆盛とともに支えた。
文久二年(1862年)、兄・隆盛が藩主の父である島津久光の待機命令無視によって沖永良部島へ流罪となり、弟・従道は寺田屋事件で尊攘過激派志士に加わったとして謹慎処分となり、吉二郎と四男の小兵衛も遠慮(自宅での籠居。謹慎より若干自由度は高い)を言い渡されて職を失い、西郷家の生活は困窮を極める事となった。そんな中で吉二郎は父や兄に代わって西郷家の中心となってこの難局を乗り切った。
江戸や京に滞在して国許を留守にしていた事の多かった兄・隆盛に代わって鹿児島の西郷家をよく守り、実質的な一家の家長として働いたが、慶応四年八月十四日(1868年)、番兵2番隊監軍として赴いた戊辰戦争における北越戦争において被弾し、重傷を負う。その傷が元となって死去。享年36。
北越戦争で非業の死を遂げた西郷家の縁の下の力持ちを演じるのが渡部郷太さん
戊辰戦争の中で官軍と長岡藩との戦いとなった北越戦争において戦死した西郷隆盛の弟・西郷吉二郎。
兄・隆盛は後に「自分が国家のために働けたのは吉二郎が兄たる働きを果たしてくれたからである。自分は年が上なだけであって、本当の兄と言えるのは吉二郎だ。」とまで語っています。まさに西郷家を支え続けた縁の下の力持ちという言葉が最もピッタリくる人物なのです。彼がいたからこそ西郷隆盛は国事に奔走出来、結果的に明治維新が成ったといっても過言ではないのかもしれません。
明治以降も生きていれば、必ずやもっと名を残す事となった人物であることは間違いありません。そんな西郷吉二郎を「西郷どん」で演じるのがこの俳優さんです。
名 前:渡部豪太(わたべごうた)
生年月日 :昭和61年(1986年)3月8日生まれ
年 齢:32歳
出 生 地:茨城県日立市
身 長:179cm
配 偶 者:あり(一般人女性)
ジャンル :俳優
血 液 型:AB型
特 技:スケボー、柔道、水泳、英語
所属事務所:スペースクラフト・エンタテイメント
若手人気俳優の渡部豪太さん。大河ドラマは2012年「平清盛」以来6年ぶり2度目の出演となります。平清盛では主人公の清盛の次男・平基盛という重要な役どころでしたが、今回はそれ以上のレギュラー度となりそうな西郷吉二郎役です。
この「西郷どん」における渡部豪太さんの吉二郎によって、もっとこの西郷吉二郎という人物にスポットライトが当たる事になれば嬉しいですね。
西郷小兵衛隆雄(さいごうこへえたかかつ)
西郷小兵衛の生涯・略歴
弘化四年十月十一日(1847年11月18日)、薩摩藩城下士・西郷吉兵衛とその妻・政佐(まさ)の四男として薩摩国鹿児島城下加治屋町に生まれた。長兄・隆盛の19歳下、次兄・吉二郎の14歳下、三男・従道の4歳下であり、長兄の隆盛とは親子ほどの年齢差があった。
兄の隆盛は自身に風貌や性格がよく似ており、親子ほども年の離れた弟・小兵衛を大変かわいがったといわれている。
兄の隆盛が征韓論に敗れて下野して鹿児島へと帰郷すると、私学校生徒を中心とした不平士族は西郷を盟主と仰いで政府に対する反乱を起こし、明治十年(1877年)に西南戦争が勃発した。
小兵衛は兄・隆盛とともに薩軍に加わり、副司令格兼一番大隊指揮長となった篠原国幹の補佐役的立場となる一番大隊一番小隊長として2月15日に鹿児島を出発した。
2月25日には政府軍と稲荷山を巡って戦闘となり、27日に肥後国高瀬河南(現:熊本県玉名市)での激戦において政府軍の銃弾を左胸部に受けて戦死した。享年31。
小兵衛の戦死の知らせを聞いた隆盛は大いに嘆き、近年の研究によると自ら小兵衛の遺体を持ち帰り、熊本市本山の興福寺に仮埋葬したといわれている。
太平洋戦争で焼失した小兵衛の顔写真 謎に包まれた悲劇の青年志士・西郷小兵衛
風貌も性格も兄・隆盛似であり、隆盛には我が子のようにかわいがられたという末弟の小兵衛。賊軍となった兄の後を追うように薩軍に加わり、新政府軍との戦いにおいて非業の死を遂げたその運命は、判官贔屓の日本人の琴線に触れるものがあります。
この小兵衛の写真なのですが、実は戦前には鹿児島市立教育参考館という所に所蔵されて飾られていたそうなのですが、太平洋戦争における空襲によって焼失してしまったため、現在では小兵衛の外見を知る術はありません。兄の隆盛は極度の写真嫌いのために写真が一枚も残っておらず、肖像画も死後に描かれたものばかりでその外見は謎に包まれています。隆盛によく似た小兵衛の写真が残っていれば、大いに参考になったであろうことを考えると残念という他有りませんよね。
そんな西郷小兵衛の幼年期を演じるのが小山蒼海くんで、少年期を演じるのが斎藤絢永くんですが、2018年2月2日現在においてはまだ生年となってからの西郷小兵衛を演じる俳優さんは発表されていません。決定し次第、追記する予定ですので楽しみにお待ちください。
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