NHK大河ドラマ「真田丸」第30話「黄昏(たそがれ)」史実から見たネタバレ予想と第29話「異変」視聴感想とMVP

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真田六文銭 真田丸
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現実となりつつある太閤秀吉の死・・そして時代は再び戦乱の世へ

豊臣秀吉(小日向文世)の晩年の姿を浮き上がらせた第29回「異変」。

幼少の拾(後の豊臣秀頼)を残して死ぬことに恐怖する天下人・秀吉の姿を余すところなく伝えてありましたね。同時にその兆候を察知して憂うもの、内心ほくそ笑むもの・・

まあその杞憂は現実となるわけですが、いよいよという感じになってきましたね。

実際に豊臣秀吉の晩年は、老いに伴う記述もいくつか見られます。失禁してしまったという史書もあり、今回の夜尿症の件はそこから取ったものであると考えられますね。聡明で計算高く抜け目ない人物であった秀吉のそのあまりの変わりようから、秀吉の死因として脳梅毒や尿毒症説も候補として挙げられています(死因は諸説入り乱れている)。

このような秀吉の変貌ぶり、そして老化現象(病気説もあり)は当然、諜報力のある大名たちには漏れ伝わっていたことでしょう。徳川家康(内野聖陽)は恐らくこの段階で既に秀吉亡き後の策略を巡らせていたはずですし、実際に水面下では秀吉の死を待たずに事を動かしていたのではないでしょうか。

応仁の乱以降乱れに乱れていた日本を統一した秀吉ですが、その死によって一時の平穏も再び戦乱の渦に巻き込まれていくのです。

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諸説ある中から歴史の真実を考える・・これが極上の至福タイム(笑)

今週の「異変」ラストで起きた「慶長伏見大地震」。もちろんこれは史実です。文禄五年(1596年)に実際に起こった直下型地震で、マグニチュードは7.5前後であったといわれています。

死者は京都を中心として関西地方で1000人以上であったといわれており、真田丸での描写と同じように伏見城の天守閣はこの地震によって倒壊し、600人以上が犠牲になったとも伝えられています。

異変とは、この慶長伏見大地震と、秀吉の老いとをかけたものだったのですね。しかし第1回「船出」の浅間山大噴火の時もそうでしたが、三谷幸喜は実際に歴史上にあった天変地異を上手くストーリーに絡ませてきますね。この辺りが歴史オタクだなあと感心しますね(褒め言葉です、わたしも歴オタなんでw)。

そして先週のネタバレ記事でも話題にした、真田薫(高畑淳子)の出自が遂に明らかになりましたね。薫(山手殿)の出自については諸説ありますが、この真田丸では朝廷の高級公家である菊亭晴季(きくていはるすえ)の侍女であったという説を採用しています。確かに菊亭晴季の侍女であったという説も存在していますが、わたし個人としては、武田家武将・宇多頼忠の娘であるという説が最もしっくりいきます。この説に従えば、真田昌幸石田三成率いる西軍に味方したのが最も納得できるからです(石田三成の妻も宇多頼忠の娘である事から)。

とはいえ、やはり歴史好きからしてみれば、諸説ある中のどの説が本当なのかと想像をめぐらせるのは至福の時間ですね(笑)。永遠に解き明かされないであろうことは分かっていながらも考える。人によっては無駄だと笑うかもしれませんが、人生に無駄って多少なりとも必要ですよね?そう思いませんか?だってその無駄がメチャクチャ楽しいんですもん(笑)。

後は日に日に容体が悪くなる信繁の義父・大谷吉継(片岡愛之助)も気になりましたね。吉継の病気はハンセン病であったといわれています。吉継のこの後を考えると吉継が次第に病に伏せっていくのは非常につらいものがありますね。しかし歴史の結果は既に出ています。見守るしかないんですよね・・

「異変」のMVP 初のMVP?第29話にして主人公・信繁が?(笑)

毎回毎回同じこと書いて申し訳ないのですが、今回も難しいんです、誰が何といおうと!難しいもんは!(逆ギレ?w)。

しかし迷った末に個人的に主人公・真田信繁(堺雅人)に一票を投じたいと思います。

決め手は何といってもラスト近くでの兄・真田信幸(大泉洋)とのシーン。信幸に秀吉の状態について聞かれた信繁は、秀吉の健康上の問題を信幸に話しません。信幸が真田家のためだと念押ししてもう一度問うても、信繁はわずかに笑みを湛えながら同じ答えを繰り返します。

この時の信繁の表情、これだけでMVP決定です。この演技には個人的にグッときました。既に覚悟を決めているかの如き信繁の表情。既に豊臣家に殉じようとさえ思っているのでは?とさえ思わせるような、決意と悲しみと覚悟・・全てが入り混じった、それでいて心の中に一点の曇りもない表情。

現在日本の俳優の中でこんな演技が出来るのは、わたしは堺雅人以外にいないと思っています。これまでどちらかというと歴史の立会人、傍観者として大河ドラマの主人公としては影の薄い感もあった信繁ですが、やはり堺雅人の演技無くしてこのドラマは成り立たないという事を改めて示した圧巻の演技でしたね。

信繁とともに悩んだのが、豊臣秀吉と石田治部少輔三成(山本耕史)。

秀吉は老いる前の底知れぬ妖怪の如き天下人・秀吉とは全く違う秀吉の顔を見せてくれましたね。何度も言いますが、小日向秀吉はもう殿堂入りでいいですな(笑)。

三成は相変わらず素晴らしい。豊臣家のために、自分を取り立ててくれた秀吉のために感情を抑えながら奔走する、まさに忠義の臣。新選組・土方歳三役を動とするなら、今回の石田三成は静。しかも熱き思いを胸に秘めながら静を装う本質的には動の男・石田三成。山本耕史の演技にもやはり引きずり込まれてしまいます。多分この数週間後に訪れるであろう石田三成の最期は、号泣していると思います。既に三成を見ていて胸が熱くなってくる自分がいます。はい、そうです、わたしは部類の石田三成ファンなのです(笑)。今回の山本三成は、三成ファンにはこたえられない石田三成になっているのではないでしょうか。まさにわたしの描く三成像そのままの三成なんですよね。

まあ今回はこの三人ですね。(松岡茉優)も可愛かったですけどね。てか、松岡茉優はやっぱり演技うまいっすなぁ。

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第30回「黄昏(たそがれ)」のストーリー

文禄五年閏七月十三日に起きた慶長伏見地震。

この未曽有の大地震によって、真田安房守(草刈正雄)が普請を命ぜられていた伏見城は大破。

ようやく伏見城の築城に熱き思いを蘇らせていた昌幸はふさぎ込み、気を紛らわせるために大坂の遊郭にいる馴染みの吉野太夫(中嶋亜梨沙)の元へと足繁く通っていた。

そんな中、太閤豊臣秀吉は、再び明を攻めるために大陸へ出兵すると宣言した。世に言う慶長の役である。

そして秀吉は、キリスト教を信仰するキリシタンへの弾圧を強め始めるのであった。

きり(長澤まさみ)がキリスト教に興味を抱き、キリスト教によって縁を持つこととなった細川忠興の妻・細川ガラシャ(玉 演:橋本マナミ)の身に危険が迫る事となるのであった。

そして秀吉の体は老いに抗う事が出来ず、変わりゆく秀吉によって諸大名の立には動揺と混乱が渦巻く事となる。信繁や三成ら、秀吉の側近たちは必死にその事実を隠そうとするのであったが・・


史実から見た「黄昏」ネタバレと考察

史実で慶長伏見大地震が起きたのが、1596年。秀吉の死はこの2年後の1598年ですので、第29話「異変」のラストから2年後に太閤秀吉はこの世を去るという事になります。

そして史実通りであれば、間もなく2度目の大陸出兵が秀吉の命によってなされる事となるでしょう。文禄の役に続く、慶長の役ですね。この慶長の役は豊臣家臣団の亀裂を深めるだけの結果に終わり、秀吉の死とともに日本軍は帰国するという、豊臣家にとって百害あって一利なしの結果と終ります。秀吉の死と重なって、まさに豊臣家にとっては踏んだり蹴ったりの状態となるのです。

そして歴史の勝利の女神は確実に徳川家康へとほほ笑んでいく事になるのです。

次週予告では秀吉が花見をしているシーンが出ていましたね。

あれは恐らく秀吉時代に行われた有名な花見、「醍醐の花見」であろうと思われますね。醍醐の花見は慶長三年三月十五日に行われた壮大なお花見です。秀吉の治世においては、文禄三年に行われた「吉野の花見」と並ぶ二大花見と言われています。

花見に招かれたのはほとんど女性ばかりという、まさにハーレム状態(?)の宴だったといわれています。諸大名たちは警護や出店の運営などに携わったという事で、派手好きな秀吉の人生最後の華やかな催しでした。

というのも、秀吉が死去したのが慶長三年八月十八日なのです。つまり、醍醐の花見のわずか5か月後という事なのです。

この事実を踏まえても、真田丸における秀吉の死はもうすぐそこまで迫っているという事なのでしょう。

初代吉野太夫は謎の女性 昌幸との関係は三谷幸喜次第なのです

もう一つ、次週予告で気になる場面がありました。今週の「異変」でも描かれていた、真田昌幸と吉野太夫です。

「黄昏」の予告では吉野太夫が血を流して絶命していると思われるシーンがあり、その傍らには昌幸と出浦昌相(寺島進)がおり、「危ないところであった(うろ覚えっす汗)」みたいなセリフを言っていました。

あの場面を見る限り、吉野太夫は何らかの刺客であり、それを忍びの出浦昌相が始末したという感じでしたね。

これについては、史実では何とも分かりかねるのが本当のところです。何せ、真田丸に出ているのは初代吉野太夫と思われる人物であり、初代吉野太夫と言うのは、全くもって全てが謎に包まれた人物なのです。というより、実在したという証拠もありません。二代目吉野太夫の実在が確実視されているので、初代もいたのだろうという程度なのです。

従って、もちろん真田昌幸と交流があったという記録もないですし、何らかの隠密的な人物であったという証拠もありません。

全ては三谷幸喜のフィクションであると思われます。ですので、昌幸と大夫の事については、三谷幸喜の脳内でしか結果は分からないのです(笑)。

とはいえ、非常に気になる予告であった事は間違いないので、あえてここで言及させていただきました。

秀吉の死が近づき、実力者たちがその足音を確実にとらえ始めるであろう次週の「黄昏」。そろそろ徳川家康の天下取りの野望に本格的に火が付き始めるでしょうし、慶長の役によって決定的となる石田三成らと、加藤清正(新井浩文)、福島正則(深水元基)らとの亀裂も気になります。さらには信繁の義父であり三成の親友である大谷吉継の病状も。

実力者俳優たちの魂の演技のぶつかり合いとなり、更に華も実もあった大坂編ももうすぐ終わりかと思うと非常に寂しいですね。

秀吉や三成、吉継らの勇姿を最期まで見届けたいですね。

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