NHK大河ドラマ「真田丸」第29話「異変」史実から見たネタバレ予想と第28話「受難」視聴感想とMVP

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真田六文銭 真田丸
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真田丸では秀次の自発的切腹という説に・・素晴らしい豊臣秀次を演じた新納慎也さんに感服

遂に関白豊臣秀次(新納慎也)が切腹し、秀次の妻子や侍女たちが粛清された豊臣家最大の悲劇「豊臣秀次切腹事件」を描いた真田丸第28話「受難」。

豊臣秀次という人物の性格や人物像、豊臣秀吉(小日向文世)との関係性、秀次の置かれた立場などをこれまで丁寧に描いてきたこともあって、実に感傷深い回となりました。

ここまで諸説入り乱れていた秀次切腹の原因について、脚本家の三谷幸喜が出した結論は「秀次の自発的切腹」という事でしたね。この秀次の突発的かつ自主的な切腹という説は、最近にわかに注目を集めている説だそうです(すみません、わたしは知りませんでした涙)。これまで唱えられていた説とともにこれからは主流になりそうな説ですね。秀次が秀頼誕生以来体調面に不調を来したという史実にもしっかり合致していますし、秀吉の怒りの大きさにも説明がつくところも大きいですしね。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というところでしょうか。深い愛情が深い憎悪に変わってしまったという事ですね。

どちらにせよ、秀次切腹の真相についてはこの先研究がなされて真実が明らかにされる事に期待しましょう。

豊臣秀次役の新納慎也さんには心からご苦労様と言いたいですね。そして、ありがとうございましたとも。本当に素晴らしい秀次でした。秀次に関してはこれまで色々な人物像があり、ドラマでも様々な秀次が演じられてきました。今回の真田丸の新納秀次は、間違いなく豊臣秀次という悲劇の武将に光を当てるきっかけとなるでしょう。もちろんそれは新納さんの素晴らしい演技があってこそ。しばらくは秀次ロスに陥るファンが続出するのではないでしょうか。それほど見る者の心をとらえる名演でしたね。本当にご苦労様でした。

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たかの生存に呂栄助左衛門を絡ませる・・三谷幸喜マジック炸裂!

秀次の娘・たか(隆清院 演:岸井ゆきの)は結局命を救うために真田信繁(堺雅人)の側室となり、堺の豪商・呂栄助左衛門(るそんすけざえもん 演:松本幸四郎)によってルソン(現在のフィリピン)へ逃がされるという結末となりました。

史実では隆清院がルソンに渡ったという事も、呂栄助左衛門が関与したという事実もありません。よってこの部分は三谷幸喜の創作部分かと思われます。

一緒に見ていたうちの妻は、ドラマ本編後の真田丸紀行で紹介されたたか(隆清院)と信繁の娘と言われているお田の方(おでんのかた・顕性院)の紹介を見てわたしに、

「え?たかってルソンに行ったんじゃないの?帰ってきて子供産んだの?」

と聞くので、ルソンに渡ったのはフィクションだと説明すると納得していました(笑)。

秀次の妻子は残らず処刑されたのに、信繁の側室であったたか(隆清院)は生き残った。その歴史的事実から過程を創作した三谷幸喜お得意の手法ですね。そこに自身の憧れの役へのオマージュとして、松本幸四郎さん演じる呂栄助左衛門を38年ぶりに復活させてしまいました。お見事という他有りませんね。

秀吉の心変わりを恐れてルソンへと渡ったたかですが、秀吉没後にはひょっとしたら再登場もあるかもしれませんね。だからこそ真田丸紀行でお田の方を紹介したのではないでしょうか。たかの今後にも注目ですね。

薫の出自、春との婚儀、そして吉継に忍び寄る病魔・・

もう一つ、個人的には大きな見どころがありました。

信繁、信幸(大泉洋)の母、薫(山手殿 演:高畑淳子)の出自についてです。

真田丸では初回から登場しており、公家の出であるという設定となっていましたが、個人的には少し違和感を感じていました。真田昌幸の妻・山手殿(薫)の出自については諸説ありますが、近年では武田家臣・宇多頼忠の娘であるという説が有力となっていたからです。

もちろん、公家の菊亭晴季(きくていはるすえ)の娘であるという説もあるのですが、こちらについては最近の研究では懐疑的な見方が強くなっています。そんな矛盾を見事に突いた脚本でしたね。

そして、ようやく信繁の正室となる春(竹林院 演:松岡茉優)との結婚も決まりましたね。これで史実における信繁の正室・側室はほぼ出そろったといえます。

同時に、春の父である大谷吉継(片岡愛之助)にも史実通り病魔が忍び寄ってきています。吉継が患っていたとされるのは、現在でいう所のハンセン病だという説が主流です。関ヶ原の戦いの時には相当病状が悪化しており、目はほとんど見えず、足も悪くなって輿に乗っていたと言います。そんな状態でありながら、関ヶ原では鬼神の如き獅子奮迅の戦いを見せるのです。

こうやって見てみると、これまでの様々な伏線が回収され、新たな伏線が張られてきていますね。しかし、伏線が回収される度にドラマの終わりが近づいているようで寂しくなってしまうのはわたしだけなのでしょうか・・(涙)

「受難」のMVP 秀次ロスが心配なほどはまり役だった新納秀次・・松本助左は圧巻の一語!

今回は文句なしでいいでしょう。

もちろん関白殿下・豊臣秀次。新納慎也さんですね。

何度も言いますが、本当に素晴らしい豊臣秀次でした。切腹前に想いを馳せて涙を流す秀次、一人孤独に腹を召してこと切れた秀次の安堵が混ざった表情・・涙なしでは見られませんでした。正直ここまで秀次に感情移入してしまうとは思いませんでしたね。

三谷幸喜と新納慎也にしてやられた!!って感じです(笑)。もちろんいい意味でですよ。それくらい魅力的な豊臣秀次でした。みなさん、秀次ロスにはご用心♪って感じですかな(笑)。

助左こと呂栄助左衛門はもう圧巻という他有りません。だって歌舞伎界の重鎮・松本幸四郎さんですから。38年の月日は流れましたが、助左はやはりあの助左でした。最後の数分間のみの出番で一気に持って行ってしまいましたね(笑)。こちらも流石という他ありません。

お兄ちゃんの信幸も良かったですね。高野山で秀次に自らの置かれた境遇を語る場面は、この後の悲劇を知っているだけに感傷的になっていたのに、思わず笑ってしまいました。本当に心の底から「お兄ちゃん、ガンバ!!」と声を出してしまいそうになりましたね(笑)。特にとりおばあちゃんと本多平八郎忠勝の顔が思い浮かんできてしまいました。濃い面々っすなぁ(笑)。

豊臣秀吉の演技も何度も言いますが、今回も圧巻の一言。狂気と愛情の狭間に生きる権力者の孤独・・小日向秀吉ももう殿堂入りですな。

気になったのが、今回初登場だった徳川秀忠(星野源)。多くのドラマでは偉大な父親・徳川家康(内野聖陽)を持って苦労する苦労人として描かれる事が多かったのですが、真田丸での秀忠はどうもそうではなさそうです。というか、まだわかりません。どう転ぶのでしょう。隆慶一郎の小説のように、腹に一物も二物も秘めた謀略家として描かれる事になるのでしょうか。非常に興味をそそられる初登場でしたね。

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第29回「異変」のストーリー

真田左衛門佐信繁は、太閤豊臣秀吉の仲介により、豊臣家の実力者・大谷刑部少輔吉継の娘である春(竹林院)を正室に迎える事となった。

一方、兄の真田伊豆守信幸は、豊臣秀吉から父である真田安房守昌幸(草刈正雄)に依頼された伏見城の普請を、気乗りしない昌幸におしつけられているが、なかなか思うようにはかどっていなかった。

想いを寄せられていた関白・豊臣秀次(新納慎也)を亡くして落ち込むきり(長澤まさみ)は、ふとした事をきっかけとして豊臣家臣の細川忠興の正室・細川ガラシャ(橋本マナミ)と知り合う事となる。キリシタンであるガラシャと関わるうちに、きりはだんだんとキリスト教に魅せられていくのであった。

太閤として絶対的な権力を誇る天下人、豊臣秀吉には非情な現実に悩まされていた。誰もが迎える老い、そして現実に近付く死の恐怖である。老いによって死を現実に向き合い始めた秀吉であったが、天下人である秀吉の心にあったのは、まだ幼年であった一子・拾(豊臣秀頼)の事だけであった・・


史実から見た「異変」ネタバレと考察 秀吉に迫る老いと死の影・・

豊臣家最大の悲劇であった豊臣秀次の切腹という豊臣家のターニングポイントとも言うべき重大事件が終息した第28話「受難」。

そして豊臣家に近付いてくるのは、絶対権力者として一代で豊臣家を作り上げた男、稀代の英雄豊臣秀吉の死という現実です。

時系列でみてみると、秀次の切腹が文禄四年(1595年)の8月、秀吉の死が慶長三年(1598年)8月ですから、秀次の死からちょうど3年後にこの世を去ったという事になります。

次週の第29話「異変」では秀吉は迫りくる「老い」との戦いが始まるようです。そして同時に「死」という人間にとって不可避な現実とも・・

実際に史実では秀吉は死の数年前から急激に老いが顕著となり、時には失禁する事もあったと言われています。秀吉の享年は数えで62歳。満年齢で61歳です。となると、60歳前頃から急速に衰えていったと思われます。

平均寿命が八十歳を超える現代では「まだまだ若いのに・・」と思われるかもしれませんが、何といっても「人間五十年」と言われていた時代の話です。衰えが来るのは不自然ではないでしょう。

とはいっても、70歳を過ぎて大坂の陣を戦った徳川家康と比べると、やはり若過ぎだと思ってしまいますね。

信繁らを巻き込む歴史の大きな渦・・天下人秀吉の哀れな晩年

豊臣秀吉の晩年は非常に哀れであったとも言われています。

とにかくこの不世出の天下人は、死の間際まで幼少の嫡男・豊臣秀頼の事を想っていたと言われています。家臣や大名に涙を流しながら自分亡き後の秀頼の事を頼んだと言われています。

かつては「人たらし」としてパフォーマンス的な演技もお手の物であった秀吉ですが、秀頼の事を頼むときの涙は真実から出たものであったはずです。それほどに秀吉は秀頼を溺愛していたのです。

弟の秀長、甥の秀次、秀勝、秀保・・これら豊臣家の身内の誰かが生きていたらまた違っていたかもしれませんが、皆秀吉より早逝してしまいました。頼みの数少ない生き残った甥であった小早川秀秋(浅利陽介)に至っては、関ヶ原の戦いで西軍の石田三成(山本耕史)を裏切って徳川家の天下を決定的にしてしまうという逆アシストを決めています(苦笑)。

類い稀な能力と強運を持って天下人に上り詰めた秀吉ですが、晩年には老いによって能力を奪われ、さらに坂から転げ落ちるように運も失っていきました。この落差も逆説的に言えば、豊臣秀吉という男の人気につながっているのかもしれませんね。まさに諸行無常というべきでしょうか。

そんな落日の豊臣家に最後まで忠義を尽くす石田三成、大谷吉継、そして真田信繁・・これから彼らを巻き込んでいく歴史のうねりはもう待ったなしの状態になっていきます。後は見守るだけですね。

次週「異変」にはキリシタンとして非業の最期を遂げた細川ガラシャが登場します。細川忠興の妻であり、明智光秀の娘という、戦国でも最も有名な女性の一人です。真田丸でどう物語と絡んでいくのか楽しみですね。

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