第7回「奪回」詳細ネタバレストーリー
天正十年(1582年)6月28日、織田家の重臣・滝川一益(段田安則)と、上野国に攻め込んだ関東の雄・北条家の軍とが上野国の神流川で戦った(神流川の戦い)。5万以上の大軍をもって上野に攻め込んだ北条の前に滝川一益は敗走、上野国の箕輪城に退却を余儀なくされる。
元々の真田家の城であり、現在は一益の城となっていた沼田城を取り返すべく、真田昌幸(草刈正雄)は沼田城へ出兵、沼田城を取り戻す事に成功する。しかし、人質として城にいるはずだった昌幸の母・おとり(草笛光子)の姿はどこにもなかった。真幸は沼田城を叔父の矢沢頼綱(綾田俊樹)に任せ、真田信幸(大泉洋)にはもう一つの真田家の城であった岩櫃城(いわびつじょう)の攻略を言い渡して、真田信繁(堺雅人)とともに一益のいる箕輪城へと向かう。一益が箕輪城へおとりを連れて行ったと読んだのである。
真幸と信繁を出迎えた箕輪城の一益は、真田家が援軍を率いてきてくれたものと勘違いし、丁寧に礼を述べる。敗走のドタバタで、まだ真田家が沼田城と岩櫃城を取り戻したことに一益は気付いていなかった。真幸の読み通りである。
上野を引き払って滝川家の旧領である伊勢(現在の三重県)に戻るという一益。そして、滝川軍が信濃を脱出するまでは、念のためにとりを引き続き人質として預かりたいと一益は昌幸に言う。昌幸は承知するが、隙を見て信繁と矢沢三十郎頼幸(迫田孝也)がとりの居場所を探す。城の一室にいたおとりときり(長澤まさみ)を見つけた信繁は、必ず助けに来ると約束し、その場を後にする。
別れの杯を交わしていた一益と昌幸。すると、一益は昌幸に沼田城と岩櫃城を返そうと思う旨を伝える。すでに2つの城を奪い返していた昌幸は後ろめたさに苛まれる。
酒宴が終わった後、昌幸は信繁に、とりときりの奪還作戦を命じる。滝川軍が伊勢へ帰る途中に寄るであろう信濃・小諸城でとりたちを奪い返すという作戦だ。昌幸はとり奪還を信繁に任せ、真田の郷へと帰っていった。
しかしちょうどその頃、滝川家の家臣・長崎元家(松田賢二)が、主君・一益に真幸の沼田・岩櫃両城攻略を報告していた。ここに昌幸の嘘は一益に露見する事になった。
翌日、一益は小諸城へ入城する。その夜、信繁と三十郎は小諸城へ侵入。滝川軍と徳川軍が入り乱れる城の混乱を利用して、堂々ととりときりを連れ出す作戦である。巧妙に徳川の兵を装い、奥へと侵入する信繁たち。首尾よくとりの居場所を突き止めた信繁は、とりときりを連れ出そうとするが、忘れ物を取りに行ったきりと信繁は敵兵に見つかってしまう。なんとかその場をしのごうとする信繁たちの前に、運悪く一益が現れる。
「お主は真田のせがれではなかったか?」
一益に素性がばれた信繁ときり、さらに庭に隠れていた三十郎ととりも捕まってしまった。昌幸の嘘によってすでに真田家への信頼を失っていた一益は、4人とも人質として伊勢へと連れていくことを決める。
伊勢へ戻る途中の一益にまたも難題が降りかかる。信濃の木曾谷の領主・木曽義昌(石井愃一)が自分の領地を通らせないと通達してきたのである。伊勢へ戻るには木曽の領地を通らなければならない一益は、木曾を通行する見返りとして、信繁・とりら、滝川軍が連れている人質を義昌に譲り渡すことを提案する。人質を木曽義昌に渡した一益は、信濃を抜けて無事、伊勢へと帰還した。
木曾義昌の居城である・木曽福島城へと送られた、信繁ら人質たち。その前に木曾義昌が姿を現す。人質たちの前で自分の野心を得意げに語る義昌。しかし、人質の中にいるとりの姿を見つけた義昌はなぜか動揺を隠せない様子を見せる。
その後、とりたちが捕らわれている一室に義昌が姿を見せる。武田家を裏切った義昌をなじり、平手打ちを食らわせるとり。義昌を子供の頃から知っているとりは、義昌にとって頭が上がらない存在だったのである。
とりは信繁だけでも解放するように義昌に言い渡す。とりを残して自分だけ真田へ帰ることに抵抗する信繁であったが、とりに強引に話を決められてしまい、渋々きりをつれて真田の郷へと引き上げるのであった。松(木村佳乃)の奪回失敗に続く不手際に、信繁は大いに落胆する。
その頃、昌幸は出浦昌相(寺島進)から、室賀正武(西村雅彦)が北条に降ったと知らされる。これで信濃の国衆のほとんどは北条臣下となった。昌幸は昌相にもとりあえず北条につくように言う。
真幸は信濃・海津城へ出向いていた越後の大名・上杉景勝(遠藤憲一)の元を訪れる。信濃を攻めてくるであろう北条家に対抗するため上杉の助勢を乞う昌幸に、景勝は真田家の領土を守る事を約束する。
真田の郷に戻った昌幸は、とりの奪回に失敗した信繁を叱る。兄・信幸を引き合いに出して信繁の行く道を説く昌幸に、信繁は大いに感じ入るのであった。
真幸は信繁に対して、密命を与えた。海津城へと行き、叔父・真田信尹(栗原英雄)と合流。そして信尹の下で、元武田家臣であり、現在は上杉家の家臣である春日信達(前川泰之)を調略して北条家に寝返らせよというものだ。昌幸が北条の家臣になる際の手土産だという。
父の信頼と、尊敬する叔父・信尹のもとで働ける喜びに、二つ返事で引き受ける信繁。
昌幸の居室を出た信繁に高梨内記(中原丈雄)が声をかける
「親方様は本気になられたようです」
上杉と北条、二大勢力を相手にした昌幸の決断に信繁は身を引き締めるのであった。
「奪回」の視聴感想
前回に続いて、信繁の挫折物語第二章といった感のあった第7話「奪回」でしたね。
しかし、実際の歴史がそうなのですから仕方ないのですが、やはり「天正壬午の乱」はわかりにくい(苦笑)。加えて、主人公でもある真田家がさらに話をややこしくしてくれていますね(笑)。
ですが、それこそ歴史の面白さでもあります。どの大名もどの国衆もみな生き残るのに必死なのです。生き残りをかけて主君を変えたり、戦ったりしていたのです。その辺りの切迫した描写は、真田家だけでなく、木曾義昌や滝川一益、上杉や北条などからも伝わってきますよね。
今回は、きりのウザさがMAXでしたね。これは某巨大掲示板でしこたま叩かれるだろうなって思いながら見てましたwwwわたしはどちらかというときり擁護派だったんですが、そんなわたしでもウザかったので(笑)。
初登場組では板部岡江雪斎(山西惇)と春日信達(前川泰之)はほんの障りだけでしたね。来週以降が本番ってとこでしょうか。
一方で、石井愃一(いしいけんいち)さん演じる木曾義昌は見せ場満載でしたね。ふんぞり返って登場した時と、おとりばあさまの前での委縮しきった姿のギャップには笑かしてもらいました。いや、石井さん可愛すぎでしょ(笑)。
今週は西村雅彦演じる室賀正武の「黙れ、小童ぁっ!!」がなかったのが残念です。正武に怒られる信幸を見ないと気が済まない自分がいる事に初めて気づきましたw
来週は信尹と信繁の謀略が大炸裂しそうな予感がひしひししますが、人質となったおとりの身も心配ですね。あと、上杉景勝と北条氏政はやはりいいですね。両者の特徴が見事に描写されています。演じている役者さんの実力と優れた脚本の賜物ですね。
今週の最優秀キャラ(MVP)
今週は迷わず決める事が出来ました。
おとりおばあちゃんで決定です。
木曾義昌を子供扱いしてしまうほどの胆力は、さすがという他有りません。あの真田家の先代・真田幸隆(幸綱)の妻として信玄公にお仕えしていた人間だからこその存在感でしたね。
先週の人質に出ると決めた時の潔さも良かったんですが、今週は文句なしでMVPでしょ?
まさに真田家の「ゴッドマザー」と呼ぶに相応しい女性ですね。
おとりばあちゃんに叱責されてしょんぼりする木曽義昌も捨てがたかったですけどね(笑)。石井さんの演技が素晴らしかったですね。失礼ですけど、ホントに可愛かった。大物ぶって登場した後のあの落差は反則でしょ(笑)。まあそれを狙ってたんでしょうけど。
にしても、あの描写から見て、滝川一益はこれで物語から退場という事になるんでしょうか。段田さんの一益は凄く味があって、滝川一益という名将の悲哀のようなものを上手く出していただけに残念ですね。
次から次へと出てくるキャラがいれば、退場していくキャラもいるのが大河ドラマの常とはいえ、これだけ感情移入できてしまうのは、それだけこのドラマが優れたドラマであるという事でもあるんですけどね(遠い目)。
コメント