アメリカで活躍・真田広之 “ラストサムライ”でトム・クルーズが慌てた理由は?代表作や見どころ・JAC時代など

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グローバリズムという言葉が世の中に溢れかえっている昨今の日本国内。

グローバリズムとは、国単位で物を考えるのではなく、国や人種・宗教などの壁を取り払って世界単位で物事を捉える事です。つまり世界、いや地球を一つの共同体として考えるという事ですね。

TPPなどはグローバリズム経済の最たるものです。アメリカ、日本、などという国の枠組みでの経済ではなく、沢山の国で共通のルールを作ってその中でもっと自由にやりましょうって事です。昔に比べると色々な意味でグローバリズムというのは身近になってきています。外資系の企業などは珍しくもありませんし、自分が住んでいる田舎でも外国人労働者はたくさんいますし。

しかし、日本で今最もグローバリズムから遠い存在であるうちの一つに、エンターテイメント分野があるのではないでしょうか。

音楽や芸能といった分野ですね。音楽に関しては、最近はBABYMETAL(ベビーメタル・通称ベビメタ)やきゃりーぱみゅぱみゅ、ONE OK ROCK(ワンオクロック・通称・ワンオク)など、海外で高い評価を得るミュージシャンも出て来ましたが、最も日本人が苦戦しているのが映画・ドラマ界ではないでしょうか。いや、苦戦というよりも挑戦する人自体が少ないといった方が正解かもしれません。

そんな中、日本でトップ俳優の地位を築きながらアメリカに拠点を移し、映画の都・ハリウッドで大活躍している俳優がいます。

そう、真田広之です。

アメリカで現在最も有名な日本人俳優といってもいい真田広之さんとはどんな俳優さんなのでしょうか(今さら?とか言わないでね笑)

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師・千葉真一との出会い、そして「柳生一族の陰謀」への出演

海外ドラマ『エクスタント』ニュースレター第二弾 真田広之が語る特典映像

真田広之は昭和三十五年(1960年)10月12日生まれの55歳で本名は下澤廣之(しもさわひろゆき)。

出身は東京都品川区大井で、血液型はA。身長は170㎝です。以前は女優の手塚理美(てづかさとみ)さんと結婚して二人の男の子を設けましたが、結婚から7年後の1997年に離婚。二人の子供は手塚さんが育てる事となり、真田さんは離婚後は独身を貫いています。

そんな真田広之さんは、あまり知られていませんが5歳で劇団ひまわりに入って、子役として数々の映画やドラマに出演なさっていました。そんな子役時代に出演した映画で真田にとって運命の出会いが待ち構えていました。真田さんが出演した「浪曲子守唄」で主演を務めていたのがサニー千葉こと、千葉真一だったのです。

それが縁となり、真田さんは中学校入学と同時に千葉さん率いるJAC(ジャパン・アクション・クラブ)に入ります。JACは世界に通用するアクションスター・アクション俳優の養成を目的に千葉さんが立ち上げた芸能事務所であり、ここに入ったことは後々の真田さんの役者人生にとって大きなターニングポイントともいえるでしょう。

真田さんは高校入学と同時に芸能活動を休止して学業に専念しますが、1978年の東映の大作映画・「柳生一族の陰謀」のオーディションに受かったことで芸能活動を本格的に再開します。この映画には、師匠の千葉真一が柳生十兵衛役で準主役を務めたほか、後に真田さんとともにJACの二枚看板とも言われた志穂美悦子さんも重要な役どころで出演していましたね。主役の萬屋錦之介さんの演技は流石の一語に尽きるものですし、それ以外にも三船敏郎、山田五十鈴、丹波哲郎、松方弘樹、西郷輝彦、大原麗子・・そして監督は深作欣二。凄すぎる面々でした(笑)。

この映画、ご覧になった事の無い方には是非見ておいてほしい作品です。映画界の大物たちの火花の散るような演技のぶつかり合い、硬派な脚本、素晴らしいアクション、そして驚愕のラストシーン。まさに日本映画を代表する傑作だと自信を持って言える作品です。

この映画で真田さんは、忍びのハヤテ役で出演していますが、そのアクションと爽やかなルックスでブレイクし、人気者の階段を一気に駆けあがっていきます。

存在感を示した「影の軍団」と演技派として花開く「麻雀放浪記」

映画「柳生一族の陰謀」で若手俳優の新星としてブレイクした頃の真田さんの仕事で印象深いのは、千葉真一さん主演の時代劇「影の軍団」シリーズです。第1作「影の軍団」から第5作「影の軍団~幕末編」までの全5シリーズ中、4作で出演しています。2では影の軍団の助っ人・はやて小僧役、3では影の一員・佐助役。そして4と幕末編では実在の江戸幕府幕臣・勝麟太郎(海舟)。

どれも素晴らしかったですね。なんてったってアクションが凄い。あのルックスであんだけアクションも出来ちゃうなんて反則でしょ。JACのメンバーがメインのこのシリーズなのですが、明らかに他の人たちよりも演技もずば抜けていました。天は二物どころか三物も与えてしまったんですね(笑)。恐らくこの頃の真田広之を知っている人からしてみれば、現在ハリウッドで大活躍しているのは不思議でもなんでもないのではないでしょうか。それくらい、まだ20代前半だった彼の実力は抜きんでていたのです。

同時に、この頃の真田さんの仕事でもう一つ印象的だったのが、1984年に公開された映画「麻雀放浪記」での坊や哲役。麻雀好きの40代の人たちにとってはこの映画は避けて通れません(笑)。

原作者である阿佐田哲也さんの若き日を演じたこの役は、それまでのアクション・アイドル路線の俳優・真田広之ではなく、演技派・真田広之を世間に大きく認知させることとなった作品だと思います。この映画を見た後、原作小説を読みましたが、もはや坊や哲は真田さん以外にはあり得ませんでした。それ程の説得力を持った演技でした。これ以降しばらくは、麻雀打つときは坊や哲になりきって打っていましたね。多分回りの連中もそうでした(笑)。我々世代の麻雀好きにはそんくらいの影響力を与えた映画だったのです。

初の悪役「必殺4」と真田広之を国民的スターに押し上げた「太平記」

「柳生一族の陰謀」の監督・深作欣二作品である1987年公開の映画「必殺4 恨み晴らします」では、初めての悪役を演じます。この作品で真田さんは悪の権化ともいえる奥田右京亮を演じ、藤田まことさん演じる中村主水ら仕事人と死闘を繰り広げます。この奥田右京亮役も真田さんの役者人生において重要なステップアップだったのではないでしょうか。とにかく、ホントはいい人なんだけど的な悪役ではなく、良心のかけらもないエキセントリックな絶対悪の役です。持ち前のアクションも存分に生かしたラストの主水との対決も必見ですよ。

1991年にはついに、あのNHK大河ドラマの主人公に抜擢される事となります。「太平記」の足利尊氏役です。

大河好きの立場からハッキリ言わせてもらいましょう。これは大河ドラマ歴代55作品の中でも名作中の名作です。歴代屈指ともいえるオープニングで三枝成彰氏の勇壮なテーマに乗せて騎馬で駆ける真田さんを見ただけで震えが来ます。何度見てもです。

原作・脚本・音楽も素晴らしいですが、やはり主演の真田広之さんの力も凄い。この年代でこれだけの役者がいるのか?って感じです。若き日の青年・尊氏は勿論の事、中年・壮年期の尊氏も重厚に演じてしまうその演技力。そして何よりも所作が素晴らしい。立ち居振る舞い、乗馬技術・殺陣など、全てがその時代に生きた本物の武士にしか見えないのです。これは明らかにJACでの厳しい訓練、さらに幼少期から日本舞踊の「玉川流」で学び、大学時代に大学の殺陣同士会で稽古した努力の賜物でしょう。

とにかく、この大河ドラマ「太平記」の主役を1年間務めた事によって、真田広之は押しも押されもせぬ国民的俳優となったのです。

野島伸司の問題作「高校教師」とハリウッドへの道

1993年には人気脚本家として飛ぶ鳥を落とす勢いであった野島伸司のドラマ「高校教師」に羽村隆夫役として主演します。このドラマはそのセンセーショナルな内容も併せて、放送開始とともに徐々に世間で話題になり始め、最終回にはついに視聴率33%を記録する大ヒットドラマとなります。教師と生徒の禁断の愛をメインとしながら、同性愛や近親相姦、レイプなどあらゆるタブーを盛り込んだこのドラマは、その衝撃的な内容のみに目が行きがちですが、主人公を演じた真田広之の演技も特筆すべき見どころの一つです。主人公の葛藤を見事に演じ切っていました。そしてあの切ないラストシーン。説明不要のドラマ史に残る名シーンですよね。

その後も一世を風靡したホラー映画「リング」や名作時代劇のリメイク作品「新・半七捕物帳」、大ヒット映画「陰陽師」の悪役・導尊役など、様々な役をこなしていった真田さんは、ハリウッド進出を決定づける2つの作品との出会いを果たします。

「たそがれ清兵衛」と「ラスト・サムライ」です。

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主演に危機感を抱かせるだけの圧倒的存在感を示した「ラストサムライ」

2002年公開の山田洋次監督作品である「たそがれ清兵衛」で主人公・井口清兵衛を演じた真田さんは2003年の日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞を受賞します。そしてこの「たそがれ清兵衛」は海外でも高い評価を得、本場アメリカのアカデミー賞でも外国語映画賞にノミネートされるなど、真田広之の名は世界で知られる事となりました。

そして、2003年のアメリカ映画、「ラストサムライ」への出演が決定する。トム・クルーズ主演のこの映画にはたくさんの日本人俳優が出演しており、特にトムとともに主演級で出演した渡辺謙はこの映画でハリウッドへ本格的に進出する事となりました。真田さんは脇役としてあまり出番が多くはありませんでしたが、殺陣、乗馬技術、所作などで他を圧倒する存在感を放ちます。では何故、そんなに出演シーンが多くなかったのでしょう。

実は、出来上がった作品を見た主演のトム・クルーズが、あまりの真田さんのカッコよさに真田さんの出演シーンをカットしまくったらしいのです。このままでは主演のおいらがヒロユキ・サナダにくわれてしまうじゃないの、ってとこですかね(笑)。まあそりゃそうです。カットされて少なすぎた出演シーンだけでも、主役を圧倒してましたからね。

その乗馬シーンのカッコよさ、殺陣の美しさ、そして何より本当の「侍」然としたその佇まいと存在感。トム・クルーズはおろか、「世界のケン・ワタナベ」こと渡辺謙さえも霞んでしまうほどだったとわたしは思いますね。

しかし、映画関係者の横の繋がりが日本以上に深くて強いハリウッドでこの話が広まらないわけがありません。日本に凄い俳優がいるという噂はハリウッド関係者の脳裏に深く残ったに違いありません。そしてここから真田広之のアメリカでの挑戦が本格的に始まったのです。

日本の俳優としての使命

ハリウッドに渡ってからの真田広之さんは、2007年にジャッキー・チェンと共演した「ラッシュ・アワー3」やアメリカの大人気ドラマシリーズ「LOST」、さらにキアヌ・リーヴス主演の「忠臣蔵」原作をモチーフにした映画「47RONIN」などに出演し、順調にアメリカでの俳優生活をステップアップさせています。

真田さん自身の凄いところは、これまでアメリカ人が持っていた間違った日本観を正したいと思っているところです。アメリカ人に本当の日本の姿を伝えたいと思っているところです。

アメリカ映画では、異国の文化を考証する役目の人がいないらしいです。だから、他国を描いたときに突拍子もないものになっていたりします。よくありますよね、間違った日本の描き方。そんな部分をしっかり正しい方向に導くのも自分の役目だと言っています。そしてそれは、実際に日本を題材にした作品に出演する日本人である自分にしかできない使命だとも。

凄いですね。と同時に日本人としてこんなに嬉しい事はないですね。

アメリカでは今でも田舎の方に行くと、日本人はいまだに着物を着てチョンマゲ結ってると思ってる人もいるらしいです。嘘みたいだけど本当の話らしいです。そんな間違った日本観を、真田広之さんの活躍で正しい方向に導いてもらえたらこんなに素晴らしい事はないですね。

まさに日本の「サムライ」と呼ぶにふさわしい真田さんのこれからの活躍に期待しましょう。

でも、もっと日本の作品でも見たいですね。もう一回、大河ドラマで主演とかして欲しいんですけど、アメリカでのキャリアが順調な今は無理な話なのでしょうね(涙)。

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