“天才”という形容詞がこれだけフィットするアーティストもそうそういないのではないでしょうか。本名“プリンス・ロジャーズ・ネルソン”。そう、アメリカが生んだ世界に誇るスーパースター、「プリンス」です。
その音楽的な引出しの多さやマルチな才能から、時代によって音楽性を変えながら進化してきたプリンスの作品でベストを選ぶのはとても大変ですし、ファンの立場から言わせてもらうと“どの作品もそれぞれに良さがあってその時々で変わる”としか言えないのですが…(苦笑)
そんな中でももしも誰かに「プリンスのアルバムで聞くならおすすめはどれ?」と聞かれたら、「強いて挙げるならパープル・レイン」と答えると思います。
プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション名義の同名映画のオリジナルサウンドトラック盤
パープル・レイン(Purple Rain)1984年発売
プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション
サイド1(A面)
1.レッツ・ゴー・クレイジー(Let’s Go Crazy)
2.テイク・ミー・ウィズ・U(Take Me With U)
3.ビューティフル・ワン(The Beautiful Ones)
4.コンピューター・ブルー(Computer Blue)
5.ダーリン・ニッキー(Darling Nikki)
サイド2(B面)
1.ビートに抱かれて(When Doves Cry)
2.ダイ・フォー・ユー(I Would Die 4 U)
3.ベイビー・アイム・ア・スター(Baby I’m A Star)
4.パープル・レイン(Purple Rain)
未だ多くの音楽ファンに語り継がれる名盤「パープル・レイン」はプリンスのバックバンド「ザ・レヴォリューション」の名を冠した「プリンス・アンド・ザ・レヴォリューション」名義での初めてのアルバムとなります。
このアルバムはプリンス・アンド・ザ・レヴォリューションのアルバムでもあり、プリンスの初主演映画となった「パープル・レイン」のオリジナルサウンドトラック盤でもあります。というわけで、サイトや販売店等によってはプリンスのオリジナルスタジオアルバムではなくサントラ盤のジャンルにカテゴライズしてある場合もあるのでご注意ください。
この「パープル・レイン」は1984年6月の発売と同時に猛烈な勢いでチャートを駆け上がり、ブルース・スプリングスティーンの名作「ボーン・イン・ザ・USA」を蹴落として全米ビルボードアルバム1位を獲得し、その後も24週にも渡って1位に居座って最終的にアメリカだけで1300万枚以上を売り上げる、プリンスのアルバムの中でも商業的には最も成功を収めたアルバムとなりました。
従来の殿下(あ、プリンスの別称です)のパブリックイメージカラーであった“紫(パープル)”をタイトルにつけたこの作品の世界的大ヒットによって、「プリンス=紫」というイメージは決定的となりましたね。
ではこの「パープル・レイン」という音楽史に残るモンスターアルバムをシングルヒットした曲等とともにみていきたいと思います。
1stシングル「ビートに抱かれて」はビルボード全米シングル1位獲得
アルバム「パープル・レイン」に先立ってシングルカットされた第1弾シングル「ビートに抱かれて(When Doves Cry)」。そしてそのPV(プロモーションビデオ)がこちら。
いやぁ、何百回聴いているんですが聴くたびにカッコいい。FMで初めてこの曲を聴いた時の衝撃が蘇ってきますね。次の日の学校帰りにレコード屋に行ってアルバム買って帰ったのを思い出します。
イントロのプリンスのエレキギターで幕を開けるこの「ビートに抱かれて」、まさにその邦題タイトル通り妖艶なビートサウンドが展開されます。ロックサウンドとしては異形ともいえるベースレスサウンド、そこに乗っかるプリンスの粘っこいヴォーカル(誉め言葉です)にいかにも80年代!なちょいとチープなシンセサイザー(もちろん誉め言葉ですw)が加わってじわじわ盛り上がっていきます。プリンスの数多いルーツの要素であるロックとR&Bとの融合の究極形こそがこの曲といってもいいのではないでしょうか。極上のシンセ・ポップでありポップ・ロック、或いはネオ・サイケデリックといってもいいでしょう。聴き手によって様々な顔を覗かせる名曲です。発売から35年経った現在でも未だその衝撃は冷めやりません。
この曲はビルボード全米シングル1位となり、後に発売されたアルバム「パープル・レイン」の爆発的ヒットの大きなきっかけとなりました。
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