ビリー・ジョエル名作アルバム「ナイロン・カーテン」レビュー&名曲集(音源動画付き)

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ロック

第2弾シングル「アレンタウン」ビルボード全米最高17位

「プレッシャー」に続いてシングルカットされたのがこちらの曲です。

最高位全米ビルボードチャート17位の「アレンタウン」です。これもまたいい曲なんですけどね。アルバムのトップ、1曲目を飾るオープニングナンバーです。ミディアムテンポのホッとするナンバーで、「良き時代のアメリカ」とそんな古き良き時代が終焉しつつあるという1980年代前半を見事に描いているといった曲ですね。古き良きアメリカのサウンドながらもどこか寂寥感の漂う曲ですね。実験色の濃い曲の多いこのアルバム中では聞きやすい曲の部類に入ると思います。そういう意味でシングルカットされた理由はわかる気がしますね。

この曲はペンシルバニア州にあるアレンタウンという工業都市の事を歌った曲で、主産業である鉄鋼業の衰退によって町が抱えた不況や貧困といった問題にスポットを当てた曲です。とはいえ、救いのない曲ではなくそんな中でも個々の幸せを追ってひたむきに精一杯生きる町の人々を歌った曲です。

政治色は確かに強いですが、前述したとおりポップで心地よいサウンドはビリー・ジョエルの本領発揮といった感が強いのですが、これがヒットしなかったという事はやはりアメリカの影を描いた世界観…なんでしょうか。ぶっちゃけ、英詞がわからないわたしのような日本人にとってはビリーらしい素晴らしい曲といった印象なのですが…。

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第3弾シングル「グッドナイト・サイゴン」ビルボード全米最高57位

そして、第三弾シングルであり、最もこのアルバムの特殊性を表しているのがこのナンバー。

ベトナム戦争をテーマに歌った「グッドナイト・サイゴン」です。アルバム中では4曲目、LPレコードではA面ラスト(デジタル世代にはわかるまいw)を飾る曲ですね。

チャートアクション的には振るわず、ビルボードシングルチャート57位に終わりましたが、そんなセールス的成功云々は抜きにして、大きな話題を振り撒いた曲ですね。アルバム中最も重いメッセージを持った曲といってもいいでしょう。言い換えればこのアルバムを象徴する曲といってもいいかもしれません。

この曲の歌詞はベトナム戦争に赴いた兵士たちについて書かれています。アメリカ国内に大きな影を落としたベトナム戦争。未だ語り継がれるベトナム戦争の影ですが、このアルバムが発売された時期は、アメリカ軍が撤退してからまだ10年も経っていない時期で、その傷跡は生々しく国内に残っていた時期でした。

国内外で大きな批判の対象となったベトナム戦争ですが、現地で死と隣り合わせの中で戦った兵士たちの苦悩や葛藤を描いたこの曲はそんなアメリカの国内事情も相まって大きな話題となりました。

とまあ、曲としてはこういったコンセプトなのですが、そんな政治的な内容より何より曲自体の素晴らしさが特筆ものですね。抒情的なピアノソロから始まり、物憂いげなメロディからコーラスのサビ…ドラマチックで壮大な叙事詩がここにはあります。

ただ…やはりこれまでのビリーの作風からは大きくかけ離れた曲ではあります。一般的に受け入れられなかったのはそこなんでしょうね、やっぱり(苦笑)

全体を覆うマイナー調メロディがくせになる“やみつき”アルバム「ナイロン・カーテン」

ハッキリ言って、わたしがこのアルバムを聴いた時の第一印象は「暗いなー」というものでした。前作「グラス・ハウス」がロックン・ロール色を強く押し出したアルバムだったため、余計にその印象は強いものでした。ビリーの天才的ナメロディ・メイカーぶりは遺憾なく発揮されているのですが、全編にわたって覆われている静けさ(実際には凄い熱量を帯びているのですが…)がそう感じさせたのでしょう。

しかし、聞いていくうちにどんどんハマっていき、最終的に最も好きなアルバムとなったのがこの「ナイロン・カーテン」だったのです。アルバム全体が纏っているマイナー調の静けさは、前作「グラス・ハウス」や次作「イノセント・マン」を太陽とすれば、このアルバムは月といってもいい、対極の存在ともいえます。しかしその月の醸し出す哀愁や風情がたまらなくクセになってしまうんですね。

とにかく、このアルバムが語られるときに必ずと言っていい程話題となる、政治的メッセージなどはひとまず抜きにして聞いてみてほしいです。しかも何度か。そのうえでこのアルバムに対する評価を下してほしいと思いますね。

アルバムラストを飾る「オーケストラは何処にいる?(原題:Where’s the Orchestra)」はストリングスやホーンセクションが心地よい美しすぎる名バラードですが、このアルバムラストを飾るこの曲のラストはアルバム1曲目の「アレンタウン」のメロディで締めくくられます。この辺りもこの曲の「コンセプトアルバム」色の強差を物語っています。見事な構成、そして何よりどの曲も素晴らしい、とにかくその一語に尽きるアルバムです。

最後にもう1曲、ビリーの天才的ソングライティング能力が堪能できるアルバム収録曲を。アルバム2曲目の「ローラ」です。

うーん、やはり素晴らしい…

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