2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の主人公、井伊直虎を支える井伊家家臣たち。
そんな井伊氏を下から支える井伊家臣たちも、井伊家当主の男子たちと同じように、続々と非業の死を遂げていくこととなります。
ここではそんな非業の死を遂げた井伊家重臣の次世代たち、後に徳川四天王と呼ばれる井伊直政(虎松)を支えることとなる井伊氏の血縁関係にある重臣たちをご紹介しましょう。
中野直之(なかのなおゆき) 演:矢本悠馬
中野直之の略歴
生年は不明。井伊氏の重臣であり親族衆でもある中野直由の子として遠江国に生まれる。
井伊氏の一門衆として井伊氏の当主である井伊直盛亡き後の井伊直親を名代として支えていた中野直由であったが、その直親も今川に謀殺され、直由も今川家の戦によって戦死すると、中野家は直之が後継者となり、引き続き井伊氏に仕えたといわれている。
直由は女領主として幼少の虎松(井伊直政)の後見となった井伊直虎、そして長じて徳川家康家臣となった井伊直政の家臣として井伊氏の中心的存在を担う。井伊直政が徳川家康に仕えることとなった浜松城での会見には重臣として臨席した。
その後も井伊氏の重臣として井伊家の彦根藩への加増移封に際しても付き従い、慶長十年(1605年)6月14日に死去。直之の子孫も井伊家家臣として仕えることとなった。
井伊氏の一門衆として、そして重臣として支え続けた中野氏
奥山家とともに井伊氏の譜代の重臣として重要な存在を担ってきた中野家。そんな中野家の当主として、直虎と直政を支え続けたのがここでご紹介する中野直之です。
中野家は元をただせば、井伊氏第十九代当主・井伊直氏の弟である中野直房(二十代当主・井伊直平の叔父)を祖とするれっきとした井伊氏の親族です。そしてそんな井伊氏の重責を担う立場であるという事を証明するかのように、中野直之の父・中野直由は井伊直盛、直親、さらに直虎を支え続け、井伊氏のためにその命を戦場に散らすこととなったのです。
そんな過酷な運命にあった中野家、さらには主家の井伊家のために力の限り尽くした中心の一人が中野直之です。
直之が父・直由から家督を継いだ時期は井伊氏にとって最も危機的であった時代でした。直盛、直親と当主が次々と非業の死を遂げ、長老の直平や父・直由、さらに今川家臣でありながら井伊氏のよき理解者であった新野親矩も今川による戦動員によって次々と戦死した後だったのです。
しかしそんな苦難の時代を乗り越え、井伊直政の時代となって井伊家はその花を咲かせるのですが、当然その陰にはこの中野直之の存在も大きかったのは間違いありません。
ダメ田十勇士とは?二年連続大河ドラマ出演となる矢本悠馬の真田丸出演
そんな中野直之を演じるのが、今勢いに乗っている若手俳優の矢野悠馬さん。大河ドラマ出演は昨年の「真田丸」に続いて2年連続の出演となります。
2年連続の大河ドラマ出演というと異例といえるのですが、矢本悠馬さんの場合の「真田丸」の出演も異例といえるものでした。
矢本悠馬さんの真田丸の出演は最終回の1シーンのみ。役柄は六郎という役なのですが、実はこの役は真田丸の放送開始に先立ってNHKが公開した「ダメ田十勇士」というショートストーリーの役柄そのままなのです。「ダメ田十勇士」とは、いうまでもなく真田幸村の下で縦横無尽の働きをしたといわれている伝説の「真田十勇士」のパロディーです。
本来ならば本編には何の関係もない物語りだったはずが、まさかの最終回での本編登場というサプライズとなったのです。ちなみに「ダメ田十勇士」の矢本さんを含めた全メンバーは以下の通りとなっています。
役名 キャスト モデルの十勇士
才蔵 博多華丸 霧隠才蔵
清海入道 松村邦洋 三好清海入道
伊佐入道 脇知弘 三好伊佐入道
小介 Mr.オクレ 穴山小助
鎌之介 梅垣義明 由利鎌之介
十藏 鈴木拓 筧十藏
甚八 岩井秀人 根津甚八
六郎 矢本悠馬 海野六郎、望月六郎
なかなかのメンバーですね。本編に出したくなるのもうなずけるメンツです(笑)。猿飛佐助をモデルにしたキャラはいませんね。これはおそらく真田丸本編に藤井隆さん演じる佐助が出るからだと思われます。
とにもかくにも昨年の真田丸での出演はほんの一瞬のカメオ出演のようなものなので、実質は今年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」が矢本悠馬さんの実質上の大河デビュー作といってもいいでしょう。
子役でデビューして劇団に研究生として入団し、自らの劇団旗揚げもした、26歳ながらもたたき上げの役者である矢本悠馬さん。今や数多いる若手俳優の中でもその演技力から映画にテレビにオファーはひっきりなしの状態となっています。そんな矢本さんの演じる井伊家の忠臣・中野直之。注目しないわけにはいかないでしょう。
奥山六左衛門(おくやまろくざえもん) 演:田中美央
奥山六左衛門朝忠(おくやまろくざえもんともただ)の略歴
生年は不詳。井伊氏の親族衆である奥山氏の一族であるが、その父親は奥山朝宗であるという説と奥山朝利であるという説がある。もしも朝利の子であるとするならば、井伊直親や中野直由、鈴木重時らとは義兄弟であったという事になる。
井伊直政に仕えた井伊家重臣である事は間違いないが、その実像は出自を含めて謎に包まれている人物ともいえる。
武田信玄の遠江侵攻の際に小野政次によって井伊直政が危機に陥った時には、いち早く直政の危機を救うために直政を鳳来寺に移したといわれており、その後も直政を支え続けた忠臣といわれる。
寛永六年(1629年)に死去。墓所は井伊氏の菩提寺である龍潭寺(りょうたんじ)。
俳優の他にも声優、ナレーター等マルチな才能を発揮する田中美央(たなかみおう)
奥山六左衛門朝忠という人物も、前述した中野直之とともに井伊氏苦難の時代を支えた忠臣で、井伊氏の大功労者といってもいい武将でしょう。実はその中野直之と子の奥山六左衛門は、血縁関係でも切っても切り離せない存在でもあります。
なんと、この奥山六左衛門の正室は中野直之の娘なのです。つまり、中野直之は奥山六左衛門の義理の父、岳父という事となるのです。
この義理の親子がきっちりタッグを組んで井伊氏の基盤を固めていたからこそ井伊直政も安心して戦や外交で大活躍できたという事もいえるでしょう。まさに井伊の影の大黒柱的存在といってもいいかもしれません。
そんな奥山六左衛門を演じるのが、劇団俳優座所属の田中美央(たなかみおう)さん。大河ドラマは初出演となります。
舞台、映像作品、ナレーション、声優にミュージシャンと、マルチな才能を発揮して様々な分野で活躍する田中さんですが、映画でも最近は「海賊とよばれた男」や「日本の一番長い日」などという話題作でも存在感を示しています。
今回は奥山六左衛門という、これまで誰も演じたことのない井伊氏の忠臣を演じることとなります。その実力をいかんなく発揮して奥山六左衛門朝利という武将をどう演じ切るのか本当に楽しみです。
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