渡辺謙名作ドラマ史 IWGP横山署長、大河ドラマ北条時頼、浅田次郎“壬生義士伝”の吉村貫一郎等

スポンサーリンク

1980年代後半、NHKの朝ドラ「はね駒」、大河ドラマ「独眼竜政宗」を立て続けに大ヒットさせ、一躍スーパースターとなった俳優・渡辺謙。白血病という病魔を克服して90年代に表舞台に帰ってくると、立て続けに名作を発表。俳優としての格の違いを見せつける結果となりました。

そして活躍の舞台を世界にまで広げ、世界のケン・ワタナベと呼ばれるようになる2000年代へと突入していくのです。

スポンサーリンク



スポンサーリンク

クドカンと渡辺謙、奇跡のコラボが実現した池袋ウエストゲートパーク

2000年代の渡辺謙のドラマといえば、わたし的には真っ先にこの作品を挙げたいと思います。

宮藤官九郎脚本の「池袋ウエストゲートパーク」、通称“I.W.G.P.”です。主演は長瀬智也で、それ以外にも当時はまだ一介の若手俳優に過ぎなかった窪塚洋介、妻夫木聡、佐藤隆太、山下智久、坂口憲二、高橋一生、阿部サダヲらを輩出し、さらに彼らはこの作品を機に売れっ子になったという、今でも大いなる伝説となっているドラマですね。

この若手登竜門とも呼ばれる伝説のドラマの中で池袋の警察署長・横山を演じたのが渡辺謙さん。ハッキリ言って俳優としての格的には明らかに場違いなほどの謙さんでしたが、演技は流石というしかありません。この若者群像劇の中に入ってもまったく違和感のないナチュラルな演技。それでいてしっかりとオーラも存在感もある演技力。一人だけ別次元といってもいい存在でドラマを落ち着かせていました。

池袋ウェストゲートパークが今でも名作と呼ばれているのは若手俳優の豪華さも理由ですが、渡辺謙さんをはじめとしたベテランのバランスのとれた演技も大きなポイントだと思いますね。

凄味溢れる鎌倉幕府執権・北条時頼役は伝説級のド迫力

続いて取り上げたいのがI.W.G.P.の翌年の2001年に出演したNHK大河ドラマ、「北条時宗」。この8年ぶりの大河ドラマで渡辺謙さんは、主人公である鎌倉幕府執権、北条時宗の父である北条時頼(ほうじょうときより)を演じました。

出演期間は3か月にも満たない短い間だったのですが、北条時頼の出演期間は実質渡辺謙さんが主演と言ってもいいでしょう。それくらい絶大な存在感を示していましたし、独眼竜政宗や炎立つといった過去の大河ドラマ二も全く劣らない素晴らしい演技でした。

特に毒を盛られて先が長くないと悟った時に、跡取りである時宗を呼び出して遺言を告げる場面・・これはもう鳥肌ものでしたね。俳優・渡辺謙の本領発揮といったところでしょうか。ここの凄まじさはとてもじゃないですが、言葉では説明できません。

この遺言によって時宗(和泉元彌)と実の兄である北条時輔(渡部篤郎)は争いを繰り広げる事となり、その結果この大河ドラマ「北条時宗」は、大河ドラマ史に残る「赤マフラー事件」を巻き起こす事となったのですが(笑)、長くなりますので赤マフラー事件についてはここでは割愛させていただきます(苦笑)。

それにしても北条時頼役の演技は凄まじかったですね。若き日の聡明で勇敢な若武者時代と、晩年の鎌倉政権の大実力者時代との対比は見事という他有りません。完全に主役でしたね。素晴らしいです。現時点ではこの「北条時宗」が謙さんの最後の大河ドラマ出演となっています。次の出演は何になるのか?楽しみに待ちたいですよね。

スポンサーリンク



新撰組で一番強かった隊士を描いた壬生義士伝で泣け!ただひたすら泣け‼

そして北条時宗からさらに1年後の2002年にもわたしにとって忘れる事の出来ない作品が生まれました。テレビ東京の新春ワイド時代劇「壬生義士伝-新選組で一番強かった男」での主人公・吉村貫一郎(よしむらかんいちろう)役です。

これもまた素晴らしかった。貧困から愛する家族を救うために東北から出てきて新選組に入った吉村貫一郎という一人の隊士の、愚直に義を貫いた人生を見事に演じました。妻を愛し子を愛し、仲間を想い、自分と家族を助けてくれた新選組に貫いた義と誠の心。東北訛りの朴訥な、しかし滅法強い一人の男を等身大に演じ切りました。本当に見事でした。

このドラマで何度泣かされた事かわかりません(苦笑)。とにかく謙さんの演技にやられてしまうんです。

中井貴一さん主演で映画化もされたこの「壬生義士伝」ですが、ドラマ版を見ていない人は絶対に見てみるべきですね。尺が長いので映画版よりも見応えがありますし、浅田次郎さんの小説を忠実に再現してあります。さらに息子の渡辺大さんとの親子共演も楽しむことが出来ます(若き日の貫一郎を渡辺大が演じた)。

こんな役も出来てしまうという意味において、俳優の奥深さをこれでもかと見せてくれた作品ですね。文句なしの傑作です。とにかく見ましょう(笑)。

ラストサムライで世界的スターとなっても衰えぬ創作意欲

このように毎年のように素晴らしい作品を送り出してくれた謙さんでしたが、2003年のトム・クルーズ製作・主演のハリウッド映画「ラスト・サムライ」における勝元盛次役によって、アカデミー賞で助演男優賞を受賞するなど高い評価を得、一躍世界の渡辺謙という存在となりました。

しかし世界的な名声を手にしたその後も渡辺謙という俳優は、日本、アメリカをまたにかけて精力的に作品への出演を続けていきます。そして様々な傑作を残してくれました。恐らくこれからもそうあり続ける事でしょう。

思えばこれだけの大俳優の仕事をリアルタイムで追ってこれたのは幸運という他ありません。だからこそこれからも多くの名作を残していってほしいですね。

コメント