日本の伝統芸能の代表格の一つといえば、やはり歌舞伎なのではないでしょうか。特に海外などでは日本を象徴するものとして歌舞伎を挙げる日本通も多いですね。
日本では有名な歌舞伎役者が数多くいますが、意外と知られていないのは彼らの実際に名乗っている名跡(代々継承される名前)とは別に、ちゃんとした本名があるという事です。〇代目中村○○という歌舞伎役者さんがいれば、その名前が本名だと思っている人は意外と多いですね。そこで、ここでは皆さんが意外と知らない有名な歌舞伎役者さんの実名をご紹介して見ようと思います。
中村屋 中村勘九郎(かんくろう)、中村七之助(しちのすけ)
歌舞伎界の華麗なる一族というと、松本幸四郎さんや市川染五郎さん、松たか子さんに松本紀保さんらの一家や、尾上菊五郎・富司純子夫婦とその子である菊之助、寺島しのぶさんなどの一家が思い浮かびますが、ここでご紹介する中村勘九郎さんの一族も豪華さでは全くひけをとりません。
六代目・中村勘九郎さんと二代目・中村七之助さんの中村屋の兄弟の活躍は目覚ましい程であり、父である十八代目・中村勘三郎さんや叔母の波乃久里子さんらから連なる華麗なる一族の系譜を継ぐべき存在として確かな存在感を示していますね。
そんな歌舞伎界の貴公子ともいえる中村勘九郎・七之助兄弟の本名がこちらです。
6代目中村勘九郎 → 波野 雅行(なみのまさゆき)
2代目中村七之助 → 波野 隆行(なみのたかゆき)
父である18代目・中村勘三郎さんは2012年に惜しまれながら57歳で亡くなりました。長く中村勘九郎という名で活躍されていたため、勘九郎=五代目勘九郎(十八代目勘三郎)というイメージが強かったのですが、現在では勘九郎=6代目という程に親しまれてきましたね。2年後の2019年には宮藤官九郎脚本の大河ドラマ、「いだてん〜東京オリムピック噺〜」での金栗四三(かなくりしそう)役で阿部サダヲさんとのW主演が決まっている六代目・中村勘九郎さん。弟の七之助さんともども今後の活躍から目が離せまない兄弟ですね。
澤瀉屋(おもだかや) 四代目・市川猿之助 (いちかわえんのすけ)
澤瀉屋を“おもだかや”と読める人が一体日本人に何人いるのだろう・・?などとしょーもない事を書きながら思ってしまったのですが、関係ないですね(苦笑)。
二代目・市川亀治郎としてその溢れる才能をいかんなく発揮して歌舞伎界の次代を担うスーパースターといわれ、2012年(平成24年)には叔父である当時の三代目・市川猿之助(現在は二代目・市川猿翁)から名跡を譲り受け、まさに歌舞伎界の将来を担うプリンスこそが四代目・市川猿之助さんですね。慶應義塾大学文学部卒というインテリでもあり、その博識ぶりはクイズ番組などで大活躍する姿からも相当であることが伺えます。まさに天才という言葉がピッタリです。
そんな四代目・市川猿之助さんの本名は結構難しいです。てか、わたしは漢字を読むことが出来ませんでした(爆汗)。
喜熨斗 孝彦
どうですか?読めます?敢えてフリガナは省いてみました(笑)。
正解は「きのしたかひこ」と読みます。てか、普通読めないと思います。しかしこの難解な本名でさえこの四代目・市川猿之助さんらしさを体現しているような気がしないでもないというのが不思議なところでしょうか。
スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)では週刊少年ジャンプ連載中の人気アニメ「ワンピース」を上演して大成功を収めるなど、次々と歌舞伎の新機軸を打ち出していっている鬼才・市川猿之助。もっともっと多くのものを私たちに見せ、後世に残していってほしいものです。
萬屋 二代目・中村獅童 (なかむらしどう)
テレビや映画、現代劇に時代劇にと大忙しなのが二代目・中村獅童さん。
戦後のテレビ・映画界の時代が生み出した時代劇スター、“よろきん”の愛称で知られた萬屋錦之介(中村錦之助)さんの甥としても有名です。テレビ・映画などでの活躍は目覚ましく、その意味でも昭和の大スターである叔父の萬屋錦之介さんの血を色濃く受け継いでいるといえますよね。同じく叔父である名優・中村嘉葎雄(なかむらかつお)さんとは映画・テレビで共演を果たし、その華麗なる一族の血を受け継ぐ存在として年々存在感を増していっている俳優さんです。
そんな萬屋という屋号を持つ中村獅童さんの本名が、これです。
小川 幹弘(おがわみきひろ)
ちなみに、スター俳優である叔父二人の本名がこちらですね。
萬屋錦之介→小川 錦一(おがわきんいち)
中村嘉葎雄→小川 賀津雄(おがわかつお)
余りにも早すぎた昭和の大スター、萬屋錦之介さんの逝去(満64歳没)。もっともっと“よろきん”の鬼気迫る演技を見たかったというファンの期待に応える俳優としてこれからも頑張ってもらいたい俳優さんです。先日は肺ガンを患って入院、手術という報道が大きく出ましたが、ガンはほんの初期だったらしく、切除することで問題ないレベルなのだとか。本当にホッとしましたね。
松嶋屋 六代目・片岡愛之助 (かたおかあいのすけ)
現在ではめっきり数少なくなってしまった大阪在住の上方歌舞伎役者として大きな存在感を放っている一人が六代目・片岡愛之助さんです。
人気女優の藤原紀香さんとの結婚でも大きな話題となった愛之助さんですが、歌舞伎ファン以外の一般的なファンの間で大きく知名度を上げたのは、何といっても堺雅人主演の人気ドラマ「半沢直樹」での金融庁検査官・黒崎駿一役なのではないでしょうか。オネエ口調で主人公の前に立ちはだかる黒崎のインパクトは強烈(笑)。とにかく怪演といってもいい程の強烈な存在感を放って一般視聴者にその名と顔を知らしめました。
個人的に好きな歌舞伎以外の作品を挙げれば、三谷幸喜原作の大河ドラマ、「真田丸」での大谷刑部少輔吉継役と、同じく三谷幸喜脚本の大河ドラマ「新撰組!」のスピンオフドラマ、「新選組!! 土方歳三 最期の一日」での榎本武揚役でしょう。どちらの作品でも山本耕史の盟友(土方歳三と石田三成役)として活躍する役どころなのですが、ここでの片岡さんの演技が素晴らしい。見た事のない方には本当におススメです。カッコいいんです。泣けるんです・・
と、話が逸れてしまいました(汗)。
そんな片岡愛之助さんの本名がこちらです。
片岡 寛之(かたおかひろゆき)
苗字は同じ片岡なのですが、片岡家に養子に入った愛之助さんは元々は歌舞伎とは縁もゆかりもない一般家庭出身です。片岡秀太郎の養子となる前の名前が「山元寛之」という名前でした。
愛之助さんの演技の幅の広さを見ていると、一般の家庭に生まれながらその才能を見込んで養子とした片岡家の眼力の凄さをまざまざと感じますね。これからも多方面での活躍を期待したい歌舞伎俳優さんの一人ですね。
市川海老蔵さんや尾上菊之助さん、中村芝翫さんなどについてはこちらの記事をご覧ください。
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