[NHK大河ドラマ]問題作?駄作?天地人(てんちじん)評価が低い原因 キャストか脚本家か原作か演出か

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このブログではこれまで数多くの大河ドラマの記事を書いてきましたが、ほとんどは大好きだった大河ドラマの記事でした。基本的に好きな事、興味のある事について書くというのが基本コンセプト(のつもり汗)のブログなので・・

しかしここではちょっとマイナスな、ネガティヴな記事になることを最初に言わせてください。ここでは2009年のNHK大河ドラマ「天地人」について述べてみたいと思います。

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視聴率は高いが大河ファンの評価は低い?天地人という大河ドラマ

まずは、2009年に放送されたNHK大河ドラマ「天地人(てんちじん)」について簡単な説明を。

ジャンル :歴史ドラマ
放送期間 :2009年1月4日~11月22日
放送時間 :毎週日曜日20:00~20:45
ドラマ枠 :大河ドラマ
放送回数 :全47話
制 作 局:日本放送協会(NHK)
音   楽:大島ミチル
原   作:火坂雅志
脚   本:小松江里子
主   演:妻夫木聡
主 人 公:直江兼続(なおえかねつぐ)
平均視聴率:21.2%
最高視聴率:26.0%

時代設定は戦国時代から江戸時代初期、越後、会津、米沢の領主だった上杉家の重臣であり軍師的立場でもあった直江兼続を主人公として描いたドラマです。

視聴率は最高26%、平均で21.2%を記録し、2017年現在では平均視聴率で20%越えを果たした最後の作品となっています(あくまで現時点での話です)。ハッキリ言って視聴率的には大成功といってもいいドラマです。

しかしいかんせん大河ドラマファンの間では悪評高いドラマである事もまた事実です。わたしも最後まで全話完走して見ましたが、ハッキリ言って大河ドラマの他作品と比べて名作といえるかと問われれば、お世辞にも名作とは言えません。大河ドラマファンにおすすめ出来るドラマ化といわれれば、おすすめは出来ないでしょう。大河ドラマがあまり好きではないという層にはお勧めできるのかもしれませんが・・

まあぶっちゃけると、個人的には大河ドラマの作品の中では駄作と呼ぶべき作品に位置付けられてしまうドラマなのです。

史実改ざん?ねつ造?これだけある歴史的な矛盾やおかしな時代考証

なぜ天地人がダメだったのか?色々な場所でいろいろなファンが意見を述べているのとそれほど差異はないと思いますが、一つ一つ述べてみたいと思います。

まず一番に大きかったのは、あまりに支離滅裂な史実無視のご都合主義な展開です。史実の改ざんといってもいいかもしれません。

あくまで大河「ドラマ」ですから、すべてが史実に忠実である必要はないというのが個人的な大河ドラマに対するスタンスなのですが、この天地人に関して言えばあまりにもその数が大きく、尚且つあまりにも突飛で荒唐無稽なものが多いのです。

大きく見ただけでもこれだけあります(大きくなので、細かいのは数限りなくあります苦笑)

  • 武田勝頼と上杉家との同盟交渉を主人公である兼続が行った
  • 関ヶ原前に兼続が家康に送った名状・直江状を何故か全国各地の大名に送っている
  • 天下人ともいえる立場の織田信長(吉川晃司)に無名の兼続が出会った
  • 真田昌幸の娘(幸村の姉/初音/演:長澤まさみ)がくノ一である
  • 雲上人の信長に対して若造の兼続が“義”を説く(笑)
  • 関ヶ原本戦において笹尾山に布陣していた石田三成(小栗旬)が戦の最中に松尾山の小早川秀秋(上地雄輔)に会いに行く(笑)
  • 大阪夏の陣で真田幸村(城田優)と兼続が千姫(川島海荷)を大阪城から脱出させた

まあこのうちの1つ2つならまだしも、これだけ天下の大事を捻じ曲げちゃあいかんでしょうという感じですね。この翌年に放送された「江~姫たちの戦国」にも匹敵する主人公のマルチ活躍スーパーマンぶりですね。

1つ1つの解説はここでは省きますが、もちろん定説ではないですし、客観的に見てもあり得ない論説だと思います。史実に忠実であるべきか否かというレベルを超えている、見る人によっては「ねつ造」と呼ぶ人がいても致し方のないほどの解釈だと個人的には思います。

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越後上杉家は硬派に描くべし?昨今のトレンドであるホームドラマ風大河の是非

個人的にどうしても受け付けなかったのが、ドラマ全体を終始覆っていたホームドラマ的雰囲気でした。

わたしの偏見といわれればそうなのですが、個人的に戦国時代~安土桃山、江戸初期の武田家、上杉家というのは最もホームドラマが似合わない家風だと思うのです。戦国時代の殺伐とした雰囲気がも最も漂っている、質実剛健な硬派のイメージなのです。このイメージはおそらく古くからの大河ドラマファンであれば共有してもらえるイメージだと思います。

過去に甲斐の武田家を主人公サイドで描いた作品には1988年の「武田信玄」と2007年の「風林火山」、上杉家を主人公に描いた作品は1969年の「天と地と」、武田上杉を主人公に据えたのはこの3作品ですが、印象的にはどうでしょう。

「天と地と」はリアルタイムで見ていないので何とも言えませんが、武田信玄と風林火山は比較的マイルドな作風が多かった同時代の作品の中では屈指の硬派なドラマです。

とにかく偏見といわれようとも(汗)、甲斐の武田、越後の上杉というのにホームドラマ的要素は全くいりません。硬派な戦国時代の殺伐とした雰囲気を安土桃山~江戸になっても残している世界、それが上杉と武田です。そこを無理やりにホームドラマ的に現代の価値観満載で描いてしまった部分は、古くからの上杉ファンを失望させた部分なのではないでしょうか。少なくともわたしはそうでしたね。

妙に軽ーいクラブ的な乗りを持った上杉家臣団、成人しても前髪を垂らす童のような兼続、恋愛で上手くいかない口下手な景勝・・

もう勘弁してくれ・・って思ったのはわたしだけではないはずです(涙)。上杉景勝や直江兼続、上杉家臣団が好きな人の多くは耐えられなかったのではないでしょうか。

名優・松方弘樹の熱演を無にする?リスペクトなき徳川家康の描き方

もう一つ、個人的に気になったのが主人公である直江兼続に立ちはだかるラスボス、徳川家康の描かれ方です。

上杉景勝、直江兼続を主人公として描く場合、当然徳川家康は悪役として描かれるのですが、その悪役具合が何とも薄っぺらいというか・・小悪党感が拭えない描かれ方なのです。

家康が悪役として描かれるのは当然ですし、それについて文句は全くありません。ただし、いくら悪役とはいえ天下を統一して幕府を開き、260年にもわたる平和な時代の基礎を築いた日本を代表する英雄です。悪役とはいえリスペクトしてほしいですし、もっと懐の深さというか、器の大きなラスボスとして描いてほしかったですね。先日惜しまれながら亡くなった名優・松方弘樹さんが素晴らしい演技だっただけに本当に残念でした。脚本段階でもう少し描き方を考えてほしかったですね。

例えば昨年の真田丸での徳川家康などはそれは見事なラスボスとして描かれていました。憎々しさと同時に、人間的な器の大きさ、深さやラスボスとしての成長等も丹念に描かれていました。この「天地人」では殊更に悪人面だけが強調されて、天下人たる資質を描くことを端折りすぎという感じがしました。故にただ小賢しくて嫌な奴にしか見えませんでした。

やはり脚本は大事だと痛切に感じましたね。

視聴率的に大成功となった大河ドラマ・天地人の評価の難しさ

まあ他にも細かいところを言えばきりがありません。

成人した兼続のただの泣き虫としか思えない小物っぷり。

兼続の考える「義」の定義がコロコロ変わって兼続にとっての「義」とは何なのかが全く伝わってこない。

重要人物の戦死は突撃シーン或いは出撃シーンの部分だけで端折られる。

とにかく登場人物が浅すぎて全く感情移入できない。

・・・・・・・

ハッキリ言いましょう。もちろん俳優さんに責任はありません。やはり原因は原作、脚本、演出でしょう。このどれか一つでも良ければ・・と思わざるを得ません。

ハッキリ言って、自分にとっては初めての上杉家を主人公とした大河ドラマでした。もう期待度はマックス状態でした。戦国時代屈指の人気を誇る上杉家ですから、わたし以上に期待していた人も多かったのでしょう。しかし視聴率こそ高かったものの、大河ファンや時代劇ファン、歴史ファンの間での評価はかなり低い作品であることは間違いありません。

しかし視聴率的にNHKにとって近年最高レベルの成功作であることもまた事実です。

視聴率の良し悪しとドラマの出来や面白さは当然比例しません。しませんが、テレビ局にとって視聴率は絶対といっていいほどの価値観です。絶対的正義といってもいいほどかもしれません。

この天地人が高視聴率を記録したというのは紛れもない事実であり、それだけの人が見ていたという事でもあります。

しかし、個人的にはやはりどうしてもこの作品を支持することは出来ないんですよね・・。しかし勝ち組大河という事実・・。うーん…(苦笑)

あ、ちなみに天地人の素晴らしいところや見どころについてはこちらの記事をご覧ください。

妻夫木聡主演天地人の見どころ 大島ミチルOPは神曲 子役加藤清史郎君に阿部寛、笹野高史に吉川晃司の熱演等

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